昔取った杵柄 ゴールデンボーイ

ゴールデンボーイ

ナチスの将校をかまってたらひどい目に遭う話

制作年 1998年
制作国 アメリカ
監督 ブライアン・シンガー
脚本 ブランドン・ボイス
原作 スティーヴン・キング
上映時間 111分
出演
ブラッド・レンフロ
イアン・マッケラン
デヴィッド・シュワイマー

だいたいのあらすじ

1984年 アメリカ
成績優秀でスポーツ万能な高校生のトッド・ボウデン(ブラッド・レンフロ)はナチスのホロコーストについて授業で学びます。
ナチスの一連の行動に異常な興味を抱いたトッドは図書館でナチスについて調べます。
トッドは学校帰りのバスの中でどこかで見たような気がする老人を見付けるのでした。

一月後の放課後、トッドは自転車で、ある家を訪ねます。
そこはあのバスに乗っていた老人(イアン・マッケラン)の家でした。
トッドはその男が600万人を殺害した元ナチスの収容所所長クルト・ドゥサンダーであると睨んでいました。
彼が図書館などで学んだドゥサンダーの経歴を語ると、男は動揺し、家で話すことになります。

トッドは男の指紋を採取し、ドゥサンダーと一致すると確認していました。
彼はハッキングや隠し撮りなども行っており、この事を誰にも告げておらず、知っているのはトッドだけです。
男はアーサー・デンカーと名乗り、トッドの考えを否定しますが、トッドは証拠を届け出ると脅迫します。
またトッドは証拠の資料を安全な所に保管しており、何かあれば自動的に政府機関などに届け出られると言います。
これはちょっと嘘臭い気がします。

トッドは収容所で行われたことに並々ならぬ興味を持っており、その話を聞かせて欲しいとドゥサンダーに要求しました。
それからトッドはドゥサンダーの家に入り浸るようになりました。

一月後、トッドはドゥサンダーの家で収容所の様子を聞いています。
彼の質問はガス室でどの位、人は生きられるのか?生き残った人はいるのか等のものでした。
ナチスのガス室に関しては確固たる証拠が無いので、どれほどの人が虐殺されたのか不明なが多いようです。

トッドの母アグネス(マージョリー・ラヴェット)はトッドがデンカー(ドゥサンダー)の家に入り浸っているのを心配します。
息子が迷惑をかけているのではないかと考えた彼女はデンカーを夕食に招待するように言いつけます。
ドゥサンダーはボウデン家に招待され、トッドの父リチャード(ブルース・デイヴィソン)も同席します。
彼は思ったより社交的でアメリカンジョークを交えておおらかに会話し、ボウデン家の信用を得ます。
ドゥサンダーは慣れているのか嘘をペラペラと話せるようです。

トッドがドゥサンダーの家で話を聞く時に一番興味を持つのは人体破壊や死亡する時の描写でした。
ドゥサンダーはトッドに人を殺害する時の気持ちを尋ねられ、国家の命令だから仕方なくやったと答えます。
過去の強制収容所での経験はドゥサンダーにとって思い出したくない記憶なのでした。
この辺のドゥサンダーのセリフがいかにもキングさんっぽい描写に満ちています。

体育の時間後にシャワーを浴びていたトッドは収容所でユダヤ人に囲まれてシャワーを浴びている幻覚を見ます。

トッドはナチスの軍服をコスプレショップで手に入れ、ドゥサンダーに着てみるように依頼します。
ドゥサンダーはこれ以上古傷を抉られるのは沢山だと猛烈に拒絶します。
トッドは着ないならイスラエルに通報すると脅迫し、仕方なくドゥサンダーは軍服を身に着けます。

ドゥサンダーの軍服姿を見たトッドは大喜びし、行進や方向転換などを命令し、実行させます。
その内、ドゥサンダーは動きが機敏になり、命じてもいないのにナチス式の敬礼をしたり始めます。
不安になったトッドは止めるように命令しますが止めず、ドゥサンダーはしばらくしてから動きを止めます。
ドゥサンダーがかつて刷り込まれたことはまだ彼の中に残っているようで、これは危険だとトッドに忠告します。

トッドはドゥサンダーの家に入り浸るようになってから他のことに興味が持てなくなっていました。
親友とも疎遠になり、ガールフレンドのベッキーにはインポと笑われます。
学業にも身が入らなくなり、成績はガタ落ちします。
まあそうなりますよね。

カウンセラーのエドワード(デヴィッド・シュワイマー)からはボウデン家に向けて三者面談の依頼状が送られました。
ムシャクシャしていたトッドは放課後のバスケットコートに迷い込んできた飛べない鳩を殺害してしまいます。

ドゥサンダーは家に迷い込んできた猫をオーブンで焼こうとしていました。
幸いにも猫は逃亡したのですが、トッドの残虐性が肥大するのに比例して彼もまた残虐性が甦ってきているようです。

トッドはドゥサンダーの家でエドワードからの書類を偽造し、両親に気付かれないようにしようとします。
彼はお前のせいで成績が落ちたとまたドゥサンダーを脅迫し、協力させます。
ドゥサンダーは書類を偽造し、トッドの祖父としてエドワードと面談します。
逆ギレもいい所だと思います。

トッドは急に呼び出されたので、ドゥサンダーが動いていることを知らずに驚きます。
ドゥサンダーはボウデン家の家庭の不和が原因でトッドの成績が下がったとエドワードに説明したようです。
リチャードは家庭内暴力、アグネスはアル中ということにされており、トッドは愕然とします。
エドワードは期末の成績がオールAであれば、中間の成績にも目をつぶりオールAにしてやると持ち掛け、なんでも相談に乗るとトッドに連絡先を渡しました。

トッドは怒り心頭で勝手な行動をしたドゥサンダーの家に怒鳴り込みます。
ドゥサンダーは私の正体を知りながら何ヶ月も通報しないでいたのだからお前もただでは済まないとトッドを脅迫します。
仕方なくトッドは期末までの3週間、死にもの狂いで勉学に励むことになります。
この辺から主導権がトッドからドゥサンダーに移ります。

トッドが勉学に専念することでようやく心の平穏を得ることになったドゥサンダーでしたが、自発的に軍服を身に着けるようになります。

元々成績の良かったトッドは猛勉強することで成績をオールAに戻すことに成功しました。
彼はその後、自分がナチスについて調査していた資料を全てゴミ箱に破棄しました。

トッドの成績を見て大喜びしたドゥサンダーは昔の話を聞かせてやると言いますが、トッドは拒否します。
ドゥサンダーは構わず、自分とトッドの関係を昔話として語りだします。
彼はトッドに脅迫されたことやこれまでにあったことを全て書き留めて銀行の貸金庫に保管したのだと言います。
ドゥサンダーが死亡した場合は貸金庫は法曹関係者の立ち合いの元、貸金庫が開けられるのだそうです。
トッドはドゥサンダーに完全に弱みを握られてしまい、もうここには来るなと宣告されました。

トッドはドゥサンダーから離れ、普通の高校生活を送るようになります。

ある晩、ドゥサンダーは自分のことを尾けている男の存在に気付きます。
その男はドゥサンダーに尾行を悟られても気にせず、むしろ挨拶したりと挑発的な行動をとります。
男は近所に住むホームレスでドゥサンダーがトッドを家に上げていた件を同性愛ではないかと脅迫してきます。

ドゥサンダーは男を家に招き、レコードをかけ酒を振る舞います。
ワーグナーのトリスタンとイゾルデいう所がまたなんとも。

ドゥサンダーは隙を見てホームレスを殺害し、地下室へ蹴り落としますが、突然の心臓の不調に襲われます。
彼は深夜にも関わらずトッドを呼び出し、手伝わせることにしました。

ドゥサンダーは到着したトッドを地下室に誘導して閉じ込めます。
ホームレスはまだ生きており、トッドに助けを求めますが、トッドはスコップで殴りつけて殺害します。
救急車を呼んでくれと懇願するドゥサンダーにトッドは貸金庫の鍵を寄越せと交渉します。

トッドはその後、救急車を呼び、ドゥサンダーは病院に搬送されました。
この時点ではトッドが鍵を入手できたのかどうかはまだ伏せられています。

トッドはドゥサンダー家の地下室に遺体を埋め、血痕を拭き取って証拠隠滅します。
またナチスの軍服も燃やしてしまいました。
炎を見つめるトッドの表情が印象的です。

トッドはドゥサンダーの見舞いに病院を訪れ、手術が成功し、20年は生きられると聞かされます。
トッドは証拠隠滅したから鍵を寄越せと迫りますが、ドゥサンダーは貸金庫の件は嘘だと答えます。
本当でしょうか?この人の言うことは信用できないような気がします。

トッドは用事が済んだので二度と会うことも無いだろうということで帰ろうとします。
ドゥサンダーは彼を引き止め「人を殺す気分はどうだ?」とトッドに尋ねます。
その時、トッドは自分がしたことを改めて悟ります。
ドゥサンダーに眠るまでの間、少しだけ側にいてくれと頼まれたトッドは渋々、付き合うことにします。

感想

これはまあまあ面白いと思います。
少年と老人の心理ドラマなのですが、テーマが黒いです。
力関係が入れ替わったりするのが面白いと思いました。
スパンが長い話でトッドが初めてドゥサンダーと出会うのは16の時で、ラスト付近では卒業式を迎えています。

もう少し原作はドギツイ内容だったような記憶がありますが、昔読んだので覚えてません。

ドゥサンダーのトッドとの会話は伏線的なものが多いようです。
特に「お前は取り調べが続いても嘘を吐きとおすことができるか?私はできる!」という台詞が印象に残っています。
また「相手を服従させる絶対的な力がお前にはない!」という台詞もありました。
一つ一つの台詞がトッドの悪い意味での成長の糧になっているように感じました。
なんだかダークサイドの成長物語を見ている感じで、やっぱりジェダイにはなれないんですね。

トッドは前半は嫌なガキのようでしたが、後半になると恐ろしい子に変わります。
恐らく、ドゥサンダーの軍服を燃やした辺りが転機だったと思います。演技もうまいと思います。
ドゥサンダーも徐々にしたたかさを出す辺りが良かったと思います。

ただメインの人間ドラマがちょっと薄い感じで今一つ印象に残りづらい作品だと思いました。

私はこの映画は普通です。

ラストまで(ネタバレ)

ドゥサンダーの入院していた病院の隣室の患者は偶然にもユダヤ人であり、ドゥサンダーの正体に気付きます。
彼はその後、通報しモサドやFBI捜査官がドゥサンダーの元を訪れます。
ドゥサンダーはしらばっくれますが、どうやら寝ている間に指紋を採取されたようです。
彼は病院に軟禁され、回復次第イスラエルに護送されることになりました。

トッドは無事に優秀な成績で卒業することになり、卒業式の日を迎えます。
エドワードは彼の祖父がいないことに気付き、リチャードから父は車椅子だと聞かされて訝しく思います。

無事にスピーチを終え、拍手を浴びるトッドでしたが、警察はその間にドゥサンダーの家を捜索して遺体を発見します。
ドゥサンダーのことはTVで大々的に取り上げられ、病院の前には反ナチスのデモ隊まで動員されています。

トッドはFBIとユダヤ人教授からドゥサンダーとの関係を尋ねられますが、彼の正体は知らなかったと白を切ります。
多少、証言の矛盾点を指摘されたりしますが、彼等は引き揚げて行きました。
リチャードはトッドに弁護士を付けてくれることになります。
証拠品捨てておいて良かったですね。ユダヤ人教授はどう見てもモサドの人だと思います。
トッドは成長してますね。親の前でも顔色を変えずに嘘を吐けるようになってます。

ドゥサンダーは護送される当日に生命維持装置に細工をし、自殺を図ります。

ボウデン家にはエドワードが訪ねて来て、ドゥサンダーの新聞記事を突き付け、説明しととトッドに迫ります。
エドワードは両親に報告すると言いますが、同性愛者だと告発するとトッドに脅されて引き下がります。

ドゥサンダーは護送直前に急激に心拍数を上げることで心停止に陥ります。
急いで蘇生措置が行われますが、彼は助かりませんでした。

エンドロールで終了です。

このままトッドが社会に出て行くのは恐ろしい気がしますね。
トッドはドゥサンダーと知り合うことで色々成長したようです。

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