犯人が怖すぎます 殺人の追憶

殺人の追憶

おまえは、いまどこにいる?

制作年 2003年
制作国 韓国
監督 ポン・ジュノ
脚本 ポン・ジュノ/シム・ソンボ
上映時間 131分
出演
ソン・ガンホ
キム・サンギョン
キム・レハ

だいたいのあらすじ

1986年10月23日
韓国の農村地帯の用水路で女性の遺体が発見され、地元のパク刑事(ソン・ガンホ)が現場に駆けつけます。

その後、農村地帯で同じように女性が殺害される事件が発生します。
この事件はパクとク課長、チョ刑事(キム・レハ)が捜査に任ることになります。
彼等は捜査も現場保存もグダグダで、大事な証拠の足跡もトラクターで踏み均されてしまいました。
そんなパクでしたが、直観力に優れ人を見る目があると自負しているようです。

パクは恋人ソリョンから知的障害を持つグァンホという男性が被害者のイ・ヒャンスクに付き纏っていたという情報を得ます。
グァンホに目を付けたパクは自白を強要するような取り調べを行います。
ある日ソウル市警からソ刑事(キム・サンギョン)が赴任し、女性に道を尋ねていた所をパクに連行されてしまいます。
いきなりドロップキックしてます。

パクはグァンホの靴を奪って足跡の証拠を捏造します。

ソは農村地帯で起こっている女性の殺人事件について捜査するために応援に来たのでした。

パクは取り調べの際に捏造した足跡の写真をグァンホに見せ、お前が犯人だと言い切ります。
彼とチョは誘導尋問や事前に覚えこませたことを証言させるなどして証拠を徹底的に捏造します。
そんなパク達をソは呆れて見ており、真犯人を挙げようと独自に捜査していました。
ひどい話ですが、昔の日本でも普通にありそうで怖いですね。

ク達は犯人はグァンホであると決めつけ、新聞各社を招いて現場検証を大々的に行います。
ソはグァンホの手が不自由で殺人もままならないだろうと考え、現場検証の中止を進言しますが、却下されます。
現場検証にはグァンホの父も現れ、グァンホが「俺はやってない」と叫んだため、新聞社はク達を質問責めにします。

マスコミではパク達の強制自白などの問題を報道し、クは解任されてしまいました。

新しくシン課長(ソン・ジェホ)が赴任し、パクは事件の説明をすることになります。
しかしパクはまともに捜査を行っていませんので、説明できません。
シンから事件の共通点を聞かれたパクはまともに返事も出来ず、代わりにソが答えます。

2人の被害者は雨の日に殺害されており、2人共赤い服を着ていました。
ソはもう一人捜索願が出ている女性も殺害されているはずだと言い、被害者は3人だと考えを述べます。
彼はシンに機動隊を出してくれるように依頼し、二日で見つけると宣言します。

シンはソの言うことを了承し、ソの想定する犯行現場の捜索が始まります。
パクとチョは現場には出向くもののバカバカしいと捜索には協力しませんでした。
果たしてソの睨んだ通り行方不明者の遺体が発見されました。

遺体の殺害には女性が身に着けていた下着が使われていること
遺体は殺害される前に暴行を受けていること
遺体の頭には被害者の下半身用の下着が被せられていること
という点からソはこれは連続殺人だと断定しました。
レイプされて自分のブラで絞殺され、頭にショーツやガードル被せられるとか悲惨そのものです。

ソはシンにグァンホの拷問を行っているのは時間の無駄だと進言し、ますますパク達の反感を買います。
2人の対立は深まり、とうとう皆で行ったカラオケパブでつかみ合いになります。
シンはそんな2人を諫めました。
シンはまともな人物だと思ったのですが、そうでも無かったです。アイスペールにゲロしてます。

シン達は雨の日に囮捜査を行うことにし、署員に赤い服を着せて歩かせます。
ソとギヨクはたまたま通りがかった女子中学生から「学校付近のトイレから夜になると変質者が現れて人を襲う」という噂を聞きます。
また女子中学生たちは学校の前でボロボロの傘を拾ったということでした。

結局、囮捜査は功を成さず、犯人はその日も別の場所で女性を殺害していました。
通報を受けたソは現場保存を徹底し、犯人の足跡を見付けました。

ソは女性はセメント工場の前で殺害され、400m離れたここまで引き摺って来られたと推理します。
それはほぼ女性が殺害された状況と一致していました。
結局、足跡も雨のせいで潰れており、その他の証拠も見つかりませんでした。

パクは強姦事件には必ず加害者の陰毛が残るはずなので犯人は下半身に毛が生えていないのでは無いかとシンに進言します。
シンはその推理を聞いて呆れかえります。

ソも名案が思い浮かばず、捜査は行き詰ります。
署員のギヨクがFM局のリクエストのリストを持ってシンに発見があったと報告します。
「憂鬱な手紙」というマイナーな曲をしつこくリクエストする人物がおり、リクエストされるのは必ず犯行が行われる日だと言うのです。
ソはそれが怪しいと睨み、シンも同意しますが、パクはバカバカしいと笑い飛ばします。
ソは急いでFM局に行き、リクエストはがきを押さえることにしました。
パクが無能に描かれており、可哀想になります。それにしてもパワハラがひどいですね。

ソはFM局に向かい、はがきのことを訴えますが、はがきは既に破棄されており、焼却されていました。
またしても警察は捜査に失敗してしまいました。
パクはこの間、銭湯に入り浸って毛の無い男性を捜したり、霊媒に犯人の居場所を鑑定してもらったりしています。

パクとチョ、別行動をしていたソは4人目の犯行現場で変質者を見付けて連行しますが、ただの変態でした。
しかし変態男は学校の便所に落ちてどこから這い出したと話していました。
またパクとチョは証拠を捏造しています。

ソは先日女子中学生から聞いた話を思い出し、有名な話なのかと思い、女子中学生に話を聞くことにします。
彼女は聞いた話なので最初に言いだしたのは誰だか分からないということでした。
ソが噂のあったトイレを何気なく見回っていると教師らしき人物と鉢合わせしてバツの悪い思いをします。
その教師に噂について尋ねると、その話とは関係無いとは思うけどトイレの向こうの畑で女が泣いていたと情報を得ます。

ソがその畑のある農家を訪ねてみると、女性が軒先に座っていましたが、声を掛けると怯えて隠れてしまいます。
彼が警察手帳を見せても、誰かに見られるから困ると言い張り、話も聞いてもらえません。
ソはその家の物干しに赤い服や下着が下がっているのを見付け、何か関係がありそうだと考えます。

ソは署に戻り、安心させるためにギヨクを伴い、女性の話を聞いてみることにします。
ギヨクと2人きりになった女性は去年の9月に連続殺人の被害者と同じことをされたと証言し始めます。
彼女は連続殺人鬼に襲われたのですが、生き残ったようで、犯人の手は女性のように柔らかかったと証言しました。

その夜、雨が降り出し、ラジオからは「憂鬱な手紙」が流れてきました。
シンは急いで応援を要請しますが、機動隊はデモの鎮圧に出払っていました。
そしてその夜も女性が殺害され、次の日に発見されました。
被害者は28歳で膣の中からは桃の果肉の破片が9つも発見されます。

パクは犯人が恐ろしくなり、これは普通の奴ではないと、ソの考えが正しかったと認めます。
ラジオ局から連絡があり、リクエストした人物について判明したそうです。
はがきの主はテリョン村に住むパク・ヒョンギュという男性だということで、ソとパクは早速、ヒョンギュを訪ねます。

ヒョンギュはセメント工場に努めていると管理人に聞いた2人は早速、工場を訪問し彼を事情聴取のため連行します。
ヒョンギュの工場勤務は去年の9月からで最初の前から勤務しており、手も女性のように柔らかでした。
彼はリクエストを送ったことは認めますが、殺人との関連は知らないと否定します。
またラジオは最後まで聞いており、犯行時間には家にいたと証言しました。
しかしラジオではいつもリクエストを送るヒョンギュに最後の曲をかける前にコメントをしており、彼はそれに答えることができませんでした。

ヒョンギュは拷問には屈しないと開き直り、怒ったチョは彼に暴行してしまい、捜査から外されました。
ソは証拠も無いので暴行してでも奴に自供させるべきだとパクのようなことを言い出し、パクに諫められます。
考え方が逆転しているのが面白いですね。

ソは山でパクがグァンホに自供させていた時のことをパクに訪ねると、あれは台詞を覚えさせたのではないと返答を得ます。
2人はもう一度、グァンホの証言テープを聞き、彼は事件を目撃していたのでここまで詳細に話せるのではないかと推理します。

2人がグァンホの家である焼肉屋を訪ねるとグァンホは不在だったので、ソがゲーセンまで探しに行きます。
焼肉屋にはチョもおり、やけ酒を呑んでいた彼はたまたま連続殺人のニュースを見ていた若者が刑事を悪口を言うのを聞き、暴れ出します。
そこにグァンホが戻って来ましたが、彼は喧嘩を見て混乱し、チョの足を釘の出た角材で殴ると逃げ出してしまいます。

パクはグァンホを追いかけ、ソが追いついて合流します。
グァンホはやはり事件を目撃していたようで、犯人の顔も見たと証言します。
ソはグァンホにヒョンギュの写真を見せると、彼は脅されたのか非常に怯えます。
そこにグァンホがまた逮捕されると勘違いした父親が駆けつけ、ソとパクを妨害しました。

グァンホはどさくさに紛れて線路まで逃走し、走ってきた列車に撥ねられてしまいます。
こうして警察は貴重な目撃者を失ってしまいました。
グァンホの死を眼の前で見てしまったパクは色々と落ち込んでしまいます。

ヒョンギュは証拠不十分で釈放されました。
シン達は犯人らしき人物の精液が見つかったと化学班から連絡を受けます。
しかし韓国にはDNA鑑定の設備が無く、アメリカに送って鑑定結果を待つことになります。

感想

これは面白いと思います。ジャンルはミステリーになるのでしょうか?
ただ推理物ではないので、推理する楽しみとかは無いですが。
テンポは良いと思います。長めの映画ですが、退屈しませんでした。
そんなに派手な映画では無く、淡々と進む感じなのですが、なぜか面白いです。

映像も良いと思います。私は引き気味のショットが絵画のようで好きでした。
風景もどこか寒々としていて全体的に緊張感がありますね。

2人の刑事が連続殺人の犯人を捜査するのですが、捜査のスタイルで馬が合わず対立というのが前半の構図です。
中播になると単なる無能な暴力刑事だったパクがそれなりに根拠があって捜査していたということがわかって来ます。
後半になると聡明だったソとパクの立場が入れ替わってくるのが面白いですね。
単なる暴力刑事にしか見えないチョがいるので、余計パクが際立つ感じです。

ソとパクの共通点として出世や自己保身では無く、本当に犯罪を憎んでいるといるんだなあと感じました。
だからこそ中播から協力して捜査ができるようになったのだと思います。
ソはエリート風なので、もしかすると挫折に弱いタイプなのかもしれないなあと思いました。
片やパクは雑草のように強いです。

役者さんは皆、良かったと思います。パクとソは最高でした。

これは面白いので見て損は無いと思います。
意外と年配の女性がこういう映画好きだったりするので家族でも楽しめると思います。
うちの母もこういう映画見るの好きですね。必ず独り言いながら見てました。

私はこの映画は普通です。

ラストまで(ネタバレ)

DNA鑑定の結果が届くまでの間、ソ達はヒョンギュを24時間体制で監視することにしました。

チョはグァンホに角材の釘で刺された傷が原因で破傷風に感染し、右足の膝から下を切断することになります。
パクは身寄りの無いチョのために手術の同意書にサインすることになり、落ち込むのでした。
パク辛いですね。励ましてあげたいです。

パクとソはなかなか届かないDNA鑑定結果にヤキモキしつつヒョンギュの監視もあり、不眠不休でした。
ソは食堂にいるヒョンギュを車で張り込んで監視していたのですが、少しうとうとした隙にヒョンギュはバスに乗り込みます。
ソは慌てて車で追跡しようとしましたが、エンジンが駆からず、ヒョンギュを見失ってしまいました。
ヒョンギュはその後、自宅には戻らずどこかで降りたようです。
ソはすっかりおかしくなっています。

その夜、雨は降りませんでしたが、女子中学生が犯人の犠牲となりました。

次の日、土砂降りの雨の中、現場で被害者の遺体を見たソは怒りに打ち震えました。
ちょっと酷い殺され方ですね。

ソはヒョンギュの家に殴りこんで彼を家の外に引きずり出すと、鉄道のトンネルで暴行を始めます。
とうとう拳銃を突き付けて脅すソに「俺がやったと言えばいいんだろ」とヒョンギュは飄々と答えます。
そこにパクがDNA鑑定の結果を持って走って来ます。
ソはとうとう暴力刑事になってしまいました。大事な証拠を雨の中持ってきて大丈夫でしょうか?

しかしDNA鑑定の結果、ヒョンギュはシロでした。
放心したソはヒョンギュを射殺しようとし、パクに制止されます。
パクはヒョンギュの目を見て彼が真犯人なのか見定めようとしますが、異常者の心は読めず、彼を開放します。

丁度その時、電車が通過し、DNA鑑定結果は轢かれて粉々になります。
ソは去って行くヒョンギュに発砲しはじめ、パクはソを全力で制止します。

2003年
パクは刑事を辞め、ソリョンと結婚して2人の子供を設けました。
ある日、パクは営業の道すがらに最初の殺人があった用水路を訪ねます。
彼が用水路を覗き込んでいると小学生の女子が前にも「昔したことを思い出しに来た」という人物が用水路を覗いていたと話します。
パクがその人物の人相を尋ねると、彼女は「普通の顔だった」と答えます。
パクは恐ろし気な表情を浮かべます。

エンドロールで終了です。

ラストは色々と解釈ができそうですね。
犯人が「普通の人」と認定されて暮らしていることが恐ろしいと感じたのか。
やっぱりあいつだったのかと思ったのか。

しかし救いの無い話でした。ソはその後、どうなったのでしょうか?

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