本が貴重だそうです ザ・ウォーカー

ザ・ウォーカー

運べ、西へ。世界に残る たった一冊の本を──。

制作年 2009年
制作国 アメリカ
監督 アルバート・ヒューズ/アレン・ヒューズ
脚本 ゲイリー・ウィッター
上映時間 118分
出演
デンゼル・ワシントン
ゲイリー・オールドマン
ミラ・クニス

だいたいのあらすじ

イーライ(デンゼル・ワシントン)は一人で終末の世界を旅しており、猫を狩って食べたり、死体から物資を調達したりしていました。
道中で六人組の強盗に襲われるのですが、彼はアッと言う間にナイフ一本で全員殺害してしまいました。
イーライは西に向かっているのですが、お気に入りのMP3プレイヤーのバッテリーが切れたので僅かな人が生活している町に立ち寄り、充電してもらうことにします。
この世界では貨幣の価値は無く、何もかも物々交換なのですが、特に工業製品は貴重で油脂製品等はもう手に入らないようです。
イーライは手袋等の衣料品を差し出し、酒場でソラーラ(ミラ・クニス)という女性に水筒を満タンにしてもらいました。

この町はカーネギー(ゲイリー・オールドマン)という男が支配しているようで、彼は何かの本を探しているようで、部下に本を集めさせていました。
イーライは酒場でカーネギーの部下であるマーツに絡まれたので叩きのめし、集団で掛かって来た彼の仲間も倒してしまいました。
しかしカーネギーの手下レッドリッジ(レイ・スティーヴンソン)に銃を突き付けられ、カーネギーに捕まって連行されます。
カーネギーはイーライがただ者では無いと感じ、仲間に引き入れようとし、イーライは断りましたが、無理矢に宿を提供されました。

ソラーラの母で盲目のクローディア(ジェニファー・ビールス)はカーネギーに囲われており、カーネギーはイーライを引き留めるためにソラーラに夜の相手をさせようとしますが、イーライは彼女が部屋に来てもきっぱりと断りました。
ソラーラはクローディアが殴られるから部屋には居させてくれと頼み、イーライは仕方なく了承しました。
この世界は最終戦争から30年経過した世界だそうで、ソラーラのような若者は教育を受けていないので文盲が多いそうですが、イーライは彼女に隠し持っていた本を見られてしまいました。

翌朝、ソラーラは朝食の際、クローディアにイーライに聞いた祈りの言葉を教え、それを聞いたカーネギーはイーライの本のことを知ります。
カーネギーは自分が探し求めている本をイーライが持っていると考え、彼を捜すのですが、既に部屋からは消えていました。
言及されてませんが、どうやら聖書のようですね。
イーライはバッテリーを回収して町を出ようとしていましたが、カーネギー一味に取り囲まれ、本を寄越せを要求されます。
カーネギーは町の人を纏め、従わせるのに本の言葉が必要だということです。
イーライはこの町はこの本を納めるべき場所では無いと断り、立ち去ろうとしました。

しかしそうは問屋が卸さず、レッドリッジが発砲したのを皮切りにイーライも拳銃で応戦し、カーネギーの手下をバッタバッタと射殺し、カーネギーも流れ弾に被弾して脚を負傷して引き揚げ、イーライは去って行きました。
ソラーラは町の外でイーライに声を掛け、水のありかを教えるから同行させろと持ち掛け、イーライは足を止めました。
彼女はイーライに泉の場所を教えますが、イーライは水を汲んだ後、「忘れ物をしたから取って来てくれ」と彼女を騙し、立ち去りました。

カーネギーは何としても本を奪えと部下に命じ、レッドリッジは交換条件としてソラーラを貰うと取引し、了承されました。
一方、ソラーラも単独でイーライの後を追い掛けていましたが、路上にいた強盗団に捕まってしまいました。
危うくレイプされそうになっている所を通りがかったイーライが助け、その後彼女は無理矢理イーライに同行します。
その後、車で移動しているカーネギー達の動きは早く、イーライ達の近くまで迫っており、先ほどの強盗の遺体と服の切れ端を見て、ソラーラが同行していることを知ります。
夜のなったのでイーライ達は野営することにし、本の中身を知りたいというソラーラに聖書の一節を読み聞かせました。
この本は戦争の後、焚書に遭って焼かれてしまい、世界で一冊しか残っていないとイーライは言います。
この本の所為で戦争が起きたと考える人も多かったそうで、戦後は物資付属になり、今までは捨てていたような物に飛びつくようになったと言います。

また本をどこで手に入れたのか質問するソラーラにイーライはいきさつを話しました。
30年前に最終戦争の影響でオゾン層に大穴が空き、紫外線が降り注いで地下に避難していた一部の人を除き、多くの人が死滅したそうです。
やがてイーライは地上に這い出て生きることになりましたが、ある日、心に響く声に本の所に導かれ、「本を西に運べ」と指示したそうで、「西への道は開かれ、お前を阻むものは倒れる」と声は伝えたそうです。
イーライが異常に強いのもそれが原因なのでしょうか?
そういえばレッドリッジがイーライを撃った際に命中してそうな角度でしたが、首元をかすめただけでした。

以来、彼は声の導きを信じて30年間も旅を続けているのだそうです。

翌日出発したイーライ達は「立入禁止」と札が立った家に立ち入るのですが、玄関に立った途端に落とし穴に落とされます。
家の中からはショットガンを構えたジョージ(マイケル・ガンボン)とマーサ(フランシス・デ・ラ・トゥーア)の老夫婦が現れるのですが、マーサは二人をお茶に招待してくれました。
夫妻は親切そうではあるのですが、強盗を撃退してその肉を食べているようで、その症状で手が震えていました。
悪い人達では無さそうなんですけどね。
このままでは食われる!と二人は逃げだすことにしたのですが、そこにカーネギー一味の車が到着しました。
イーライ達が回れ右で家の中に戻り、ジョージがたんまり溜め込んでいた武器を手に籠城します。

カーネギーは拡声器で「ソラーラに本を持たせて渡せばたすけてやる」と呼び掛け、イーライは家の二階から本に見せかけた爆弾を投げて返答代わりにしました。
こうして撃ち合いが始まり、カーネギー一味がRPGを撃ったのでマーサは死亡し、怒りのジョージは何人か手下を小銃を撃ち殺します。
カーネギー達はトラックに積んだガトリング砲を撃ち出し、家はハチの巣になってしまい、ジョージは死亡しました。

家は最早、丸裸にされてしまい、イーライ達は手下に包囲されて捕まってしまいました。
しかしイーライは本をどこかに隠しており、「素直にありかを教えろ!」とカーネギーはソラーラに拳銃を突き付けてイーライを脅しました。

感想

これはなかなか面白いです。
世紀末アクションのような感じですが、とてもメッセージ性の強い映画のようです。
ストーリーも面白いのですが、セピア掛かった独自の映像と終末感ある映像がいい感じです。
世紀末な人達が沢山出て来るので不穏な雰囲気なのですが、映像は絵画のようでした。
イーライのアクションがなかなかカッコいいので、娯楽作品としても楽しめる内容になっています。
ちょっと長めですが、盛り上げポイントが多くて退屈しないです。
音楽も独特の雰囲気でいい感じでした。

観た後に自分にとって大切なものは一体何なのだろうか?と考えさせられる作品でした。
それ以前に私の場合、きちんと自分の意思を持って、ブレないように生きたいなあと思いました。
恐らく電子化が進んで、本も捨てられていたんでしょうか、ホテルに備え付けのシャンプーで大喜びしている人達が悲しかったです。
かなり絶望的な世界観でしたが、世代によっても感じ方が違うようです。
恐らくイーライやカーネギーの戦前を知っている世代が一番辛いような気がします。
戦後生まれのソラーラ達は無いことに慣れているのではないでしょうか?
カーネギーが聖書を求めていたのも彼が言うように洗脳的な意味もあったと思うのですが、自分が希望を見出すためでもあったのではないかと勝手に思いました。
きっとこの世界の聖書というのは希望と与えるというより、お互いに思いやりを持って秩序を持って生きましょうみたいな面が大きいのかなあと思いました。

イーライが万能過ぎる感じですが、神のご加護っぽいので仕方ないと思います。
でもイーライがなぜ選ばれたのか?神の意思だったのか?等は私には難しくて分かりませんでした。
ソラーラがなかなか重要なキャラで、彼女を観ていると希望が湧いて来る気がしました。
最後のシーンはほろりと来ました。
カーネギー一味のレッドリッジはイーライに一目置いているように見受けられたり、悪役側もいい味出してました。
カーネギーが部下に威張り散らしていられるのも彼の力が大きいようです。
食人老夫婦もいい味出してて、嫌いでは無かったです。
短い描写で何となくこの人はこういうキャラなんだと説明する感じでしたが、濃い人多いですね。

ラストまでのあらすじ

イーライは本は家のTVの中に隠したと白状し、本は回収されてしまいました。
カーネギーはイーライを撃ち、まだ存命でしたが倒れた彼に「神のご加護はどうした?俺のために祈れ」と捨て台詞を吐いて立ち去りました。
レッドリッジの車で拉致されたソラーラは運転席の男の首を絞め、事故を起こさせますが、助手席に座っていたレッドリッジもイーライから奪ったナイフが腹に刺さって死亡します。
更に助手席に積んであった手榴弾を投げてもう一台の車を潰し、車を奪イーライの下へ向かいます。
カーネギーは彼女を追跡するとガス欠になるので見逃しました。

ソラーラは西に向かって歩いていたイーライを拾い、イーライは私の所為で本を奪われたと謝る彼女に「毎日、本を読んでいたのに、人のために尽くすという大事な教えを忘れていたのは俺」と答えました。
彼女は車を飛ばし、二人はやがて海岸付近に到着し、イーライは「ここだ」と言いました。
二人は海岸まで歩き、ボートでアルカトラズ島と思えれる島へ漕ぎ出します。
島には小銃で武装した兵士らしき者がおり「動くな」と呼び掛けられるのですが、イーライは手を上げて抵抗の意思が無いことを示し、「聖書を持ってる」と返答しました。
この島では戦前の物を集めており、ここから文明を復旧しようとしており、最近だと印刷機が出来たそうです。

カーネギーは技士を呼んで施錠を解かせて聖書を開きましたが、点字で書かれていました。
そうなんです。イーライは盲人だったのです。
冒頭ではそれらしきシーンが沢山あったのですが、途中から見えるのかと思っていました。

彼は絶望してしまい、クローディアに本を読むよう指示するのですが、彼女は点字を忘れたと答えます。
手下を大量に失った彼に従う者は無く、町では皆が好き勝手に振る舞い、暴動を起こしていました。
唯一生き残っていた手下も彼の方を見て「処置なし」という顔をし、クローディアも出て行きました。
凄い寓話ですね。

三十年間毎日、聖書を読んでいたイーライは一字一句内容を覚えていたため、口伝で聖書の内容を書き溜めてもらいます。
全ての内容を伝えた彼は死亡し、聖書は印刷されました。
ソラーラはイーライの埋葬を見届けた後、彼のナイフを貰い、旅人となって島を出て行きました。
彼女はまるでイーライのような姿で彼の聞いていたお気に入りの曲を聞きながら、夕陽に向かって歩いて行きました。

エンドロールで終了です。

ソラーラの最後の姿が彼女の意思を感じさせて素敵でした。
何だか胸が一杯になってしまいました。
イーライは最初、手探りで行動していたりしたので、盲人だと思っていました。
でも高速の下の争いを目撃したり、あまりにもスタイリッシュに戦闘するので、てっきり見えているのか思っていました。
恐らく、神の加護で見えるようになっていたのかなあと考えました。