混乱が混乱を呼び混乱を産む ブラックホーク・ダウン

ブラックホーク・ダウン

あなたはこの戦争に言葉を失う。しかし、知るべき時が来た。

制作年 2001年
制作国 アメリカ
監督 リドリー・スコット
脚本 ケン・ノーラン
原作 マーク・ボウデン
上映時間 144分
出演
ジョシュ・ハートネット
ユアン・マクレガー
トム・サイズモア

だいたいのあらすじ

オープニングの歌が空耳で「ゴメンゴメン」って聞こえます。不謹慎でした…
この映画はアメリカがソマリアに対する軍事介入を止めるきっかけになった「モガディシュの戦闘」を描いたものです。
ソマリアは1970年ごろからずっとエチオピアと戦争したりしていて困窮していたのですが、冷戦終了後に更に政情不安定になりました。
1992年には国連が介入したのですが、反政府側のアイディード将軍は国連に対して宣戦布告しました。

1993年10月2日
レンジャー部隊のエヴァーズマン二等軍曹(ジョシュ・ハートネット)は赤十字キャンプ上空をヘリで飛行中にアイディード将軍配下の民兵が市民を銃殺して物資を強奪している場面に出くわしました。
基地に無線連絡して交戦許可を要求したのですが、「介入不可」と却下され、基地に帰還しました。
こうした物資は兵糧に使用されたりブラックマーケットに横流しされたりしており、ブラックマーケットには銃器や弾薬も売られていました。

ガリソン少将(サム・シェパード)はアイディードの行方を追っており、モガディシュから出てきた彼の御用達の武器商人の車をヘリで追跡し、エンジンに発砲して強制連行しました。
必ずアイディードを捕らえるというガリソンに対し、武器商人は「これは一国の歴史であり、内政干渉」的に彼を一蹴しました。
一方、ブラックバーン上等兵(オーランド・ブルーム)はレンジャー隊員としてソマリアに配属になり、エヴァーズマンの配下となりました。

基地ではデルタフォースが幅を利かせており、ギブソン(エリック・バナ)が食事の列に割り込んだり、安全装置を外した銃をぶら下げて歩いたりするのでレンジャー隊のスティール大尉(ジェイソン・アイザックス)との間で確執が起こっていました。
全体的に気楽なムードが漂っている基地内で真面目なエヴァーズマンは「この国の人々には未来が無い。俺たちに出来ることは助けるか、国の崩壊をCNNで見るかだ」と話していました。
彼は上官であるビールズ中尉(ヨアン・グリフィズ)が癲癇の発作で倒れてしまったため、班を引き継ぐことになりました。

1993年10月3日
米軍ではスパイを何名か送り込んで諜報活動を行っていたのですが、15時にモガディシュでアイディード達の幹部会が行われるという情報を得ました。
そこで副官二名を捕らえるという作戦が起案され、まずはデルタフォースが会場に突入して敵を捕らえ、その後レンジャー隊が降下、マクナイト中佐(トム・サイズモア)の率いる車両班の車両で撤退という段取りになります。
急襲から撤退まで30分という予定の作戦で、攻撃機の支援を要請したのですが、「目立ちすぎる」という理由で却下され、ブラックフォークが投入されることになりました。

目標はバカラマーケット付近なのですが、正式な目標は直前まで分からないということでした。
レンジャー隊所属のグライムズ(ユアン・マクレガー)はずっと実戦参加できず、今回弾薬補充係に任命されたので喜んでいました。
エヴァーズマンは班の部下に作戦内容を伝え、出撃準備をし、30分の戦闘だからと暗視装置等を持たずに最低限の装備だけで待機となりました。

米軍ヘリは車の屋根に十字を描いた情報提供者の車両を追い、無線で連絡を取りながら目標地点を特定しました。
直後に作戦開始となり、各部隊が基地を出発しました。
ローチの横に直乗りしてます。怖いです。
民兵側も基地付近に民間人を潜り込ませて米軍を監視していたので、今回の出撃は直ぐに伝わることになり、彼等は速やかに武器を集めて戦闘準備を始めていました。
また、民兵達は車両部隊を妨害しようと路上で古タイヤを燃やして連絡を取り合っていました。

15:42

周囲に黒煙が上がる中、目標地点にデルタフォースが降下してヘリは引き揚げ、地上では交戦状態となりました。
そしてレンジャー隊も降下して建物の周囲を包囲し、車両部隊は待機場所に到着しました。
民兵はあっと言う間に集まって来て車両部隊に銃撃を始め、レンジャー部隊のヘリはRPGで狙われてしまい、躱した弾みで降下中のブラックバーンが落下しました。
民兵達は民間人と区別がつかず、撃たれないと分からないという点で米軍は苦戦を強いられます。
エヴァーズマン達は弾の飛び交う中をブラックバーンを運び、担架に乗せます。

デルタフォースは建物内部を制圧し、捕虜多数を捕らえたのですが、周囲は既に交戦状態でした。。
レンジャー部隊の近辺には常に銃撃が行われてロケット弾が町中を飛び交い、車両部隊もビルの上下から激しい銃撃を受けます。
装甲車の銃座担当だったピラ軍曹は至近距離から銃撃されて死亡しました。
上空を支援していたウォルコット准尉(ジェレミー・ピヴェン)搭乗のブラックホーク・スーパー61はRPGの攻撃を後部ローターに受け、路上に墜落しました。
ガリソンは地上部隊をヘリの墜落地点に移動させるよう指示し、また現場付近の上空で待機していたローチを一機派遣させ、「我々は主導権を失った」と呟きました。

エヴァーズマンの班がヘリに近かったので現場へ向かうことになり、彼はギャレンタインとシュミット達を率いて急行します。
車両部隊も止まぬ攻撃に堪えきれなくなり、捕虜を収容してヘリの墜落地点に向かうことになりました。
ビルの窓からいきなり撃ってきたりするので堪らないです。
エヴァーズマンの留守を守るレンジャー隊は車両部隊が引き揚げて行くのを見て取り残されたと悟りました。
一方、スーパー61の周辺には民兵が集まって来ており、小銃で抵抗するものの負傷者捕獲は時間の問題となりました。
先に撤退した車両部隊の一部は基地に帰還し、皆が負傷兵を見てショックを受けていました。

スーパー61の付近には救援のローチ一機が到着し、エヴァーズマンの隊もヘリを目視で確認できる距離まで近づきました。
ローチの乗務員はスーパー61の生き残りの負傷兵を回収して撤収し、エヴァーズマン達が援護します。
尚、スーパー61のパイロットは死亡、他は動けなくなっており、また負傷兵が出たのでスティールに車両を輸送ヘリと車両を要請しますが彼等も激しい交戦中で動けず、周囲の安全を確保するよう命じられました。
車両部隊の一部はヘリの近辺に到着しましたが道路はバリケードだらけで通行できず、RPGの攻撃で車両も一台破壊されます。
兵士の一人は友軍の兵の手首が道路に落ちているのを見て回収していました。
マクナイト達は車両を降りての戦闘を余儀なくされ、この戦闘で車両部隊は2名死傷者が出ました。

エヴァーズマンの留守を守っていたネルソン(ユエン・ブレムナー)達は迎えが来ないことに気付き、周囲の様子が少し落ち着いたのでヘリ墜落現場へと移動を開始します。
一方、スーパー61の遺体と一部の負傷兵を回収しに来たブラックホーク・スーパー68は周囲からの激しい攻撃を受け、上部ローターに被弾し、衛生兵を降ろして撤退しました。
衛生兵はヘリに入ったものの、負傷者は動かすと危険な状態だったので、内部で待機することになりました。

現場付近で待機していたデュラント(ロン・エルダード)が操縦するブラックホーク・スーパー64が61墜落現場へ向かうことになります。
しかし移動中にRPGの攻撃を後部ローターに受けたスーパー64は墜落し、基地から先ほど帰還したストルッカー(ブライアン・ヴァン・ホルト)の車両部隊が派遣されました。
ガリソンは「一人残らず連れ戻せ」と命令し、ストルッカーは「怖いから行きたくない」と言う部下の一人に「皆、同じように怖い。大事なのは何をすべきかだ。」と語り、判断は任せました。
スティール達と一緒にいたデルタのサンダーソン(ウィリアム・フィクトナー)も「ここに居てはヤバい」と墜落現場への移動を開始し、スティールは一部の兵士を同行させました。

ネルソン達はユーレク軍曹と合流しましたが、司令部は地上部隊がバラバラに展開してしまっていたので頭を抱えていました。
司令部では現場の状況が完全に把握できていないので、車両部隊は命令に右往左往している間に犠牲者を増やします。
一方、スーパー64の周辺にも民兵が群がって来たので、デルタフォースのシュガートとゴードンは別のヘリから降下して64のデュラントを守ると申し出、承諾されました。
彼等は勇敢にも百名弱の民兵が取り囲むスーパー64の付近に着陸したヘリから降下して反撃を開始し、64のデュラントを救助して物陰に運びました。

マクナイトの車両部隊は負傷兵が続出で戦闘不能となり、一旦基地まで撤退しました。

16:54

デルタ二名は奮戦したものの救援は現れず、多勢に無勢でゴードンとシュガートは射殺され、デュラントは捕虜となりました。
ガリソンは第10山岳師団を応援に派遣することになり、国連でもマレーシアとパキスタン軍をモガディシュに派遣することになりました。
ストルッカーの車両部隊は64の墜落現場付近へ到着しましたが、バリケードだらけで近づけず、ギブソン達一部の兵が車両を降りて進むことになりました。

17:50

サンダーソン達は崩れかけていた建物にかたまっていたエヴァーズマンの部隊に合流しました。
またユーレクもネルソン達と共にエヴァーズマン達に合流しましたが、彼等を援護していたスミスが撃たれました。
エヴァーズマン達は付近のビルの上にいる民兵達と激しい戦闘になります。
スミスが危険な状態だったのでエヴァーズマンはスティールに連絡し、救援ヘリを要請したのですが、司令部に却下されました。
もうヘリは落とされたくないのだと思います。

車両部隊から離脱して歩行移動していたギブソン達はスーパー64に到着して全滅したことを知り、ヘリを爆破しました。
デュラントを捕虜にした民兵幹部は「アイディードが倒れても俺たちは戦う」、「血を流して平和を求めるのがソマリア流で、お前らには用は無い」等と語っていました。

エヴァーズマン達が固まっていた建物付近の戦闘は夜になって治まりました。
スミスは危険な状態だったので彼の傷口に手を入れて銃弾を掴み出すという荒療治が実施されたのですが、失敗に終わりました。
「治ったか」と問うスミスにエヴァーズマンは「治ったぞ」と返答しました。
また、グライムズは建物にあった鍋等を用いて得意のコーヒーを淹れて気を紛らわせていました。

そこに民兵による野戦砲の攻撃が加えられ、エヴァーズマン達は再び交戦状態に陥りました。

感想

これは凄いです。傑作だと思います。
「最初の一発が耳元をかすめたら政治も何もかもどうでも良くなる」的な台詞がありましたが、正にそういう世界だと思います。
最初の作戦計画を除き、ほぼ全編が戦闘シーンという映画です。
この映画は反戦メッセージを売りにしたものでは無く、ひたすら行われた作戦の「事実」を描写しています。
なので作戦の件を責める訳でも無く、アメリカ側をひいきしている訳でも無いようです。

エヴァーズマンも「正義」を行うために参戦したのですが、それどころではなくなったようです。
彼等には敵の民兵を憎んでいるような気持も無かったように見えました。
「皆で生きて帰りたい」という強い気持ちが伝わって来て、「一人も残さず全員連れ帰る」というガリソンの台詞にもそれは読み取れました。
アメリカ正義、民兵悪と描かれている訳でも無く、平等にぐちゃぐちゃになって死んでいました。
グロは多めですが、リアリティを狙った結果なので仕方ないと思われ、逃げ惑う民間人の姿がソマリアの現実を語っていたと思います。
他の映像も砂塵やら古タイヤの黒煙、崩れかかった建物での戦闘、美しい海岸と盛り沢山でした。

アメリカが反政府軍の幹部を捕らえるのに躍起になっていたのは事実ですが、この作戦自体がそんなにマズいとは思えませんでした。
敵が手回し良かったので相手が悪かったのだと思います。
そもそも作戦が行われたのが敵地だったのですが、あんなに敵兵が湧いて来るとは思わなかったのでしょう。
恐ろしいのがボタンの掛け違いで泥沼にもつれ込む点で、いつ殺されるか分からない状況なので、「こういう時こそ冷静に」等とは口が裂けても言えませんでした。

役者さんも豪華で、すっかり制服系になってしまったエヴァーズマンの人が主演だと思われますが、完全に群像劇風で皆にドラマがありました。
ヒューマンドラマ要素はそれほど意識して入れてはいないのですが、兵士の行動と存在が結果的にドラマを生み出していたと思いました。
私はマクナイトとサンダーソンが好きでしたが、ギブソン推しの人も多そうです。

ラストまでのあらすじ

そこに駆けつけたギブソン達は野戦砲に忍び寄り、敵兵を殺して強奪すると重機関銃を撃っていた民兵に発砲して一掃した後に野戦砲を爆破しました。
そしてギブソン達はエヴァーズマン達に合流しました。

23:23

ガリソンは各部隊に航空攻撃を行うので、目印となるストロボを設置しろと指示しました。
そして戦車を含む第10山岳部隊がきちから出撃し、マクナイトも志願して出撃することにしました。
一方、ギブソン達の活躍で一旦落ち着いて来たエヴァーズマン達の周辺でしたが、スミスが亡くなってしまいました。
落ち込むエヴァーズマンをギブソンは「ここは戦場で部下や戦友の死は君の責任では無い。残った部下を連れ帰れ。考えるのは後でいい。」と激励しました。

その直後に民兵の攻撃が開始され、エヴァーズマン達は再び交戦状態に陥りました。
上空には攻撃ヘリ・リトルバードが待機していましたが、敵の位置が捕捉できていませんでした。
エヴァーズマンは銃撃を受けながら道路を走り、敵がひしめいている屋上に向けてストロボを投げ、ヘリはそれを目標に敵を一掃しました。
そしてスティール達の隊には念願の車両部隊が到着し、エヴァーズマンに「5分後にはお前たちの所にも車両が行く」と知らせました。

エヴァーズマンは「後5分だ」と皆を鼓舞して民兵と激しい銃撃戦を繰り広げました。

2:05

ようやく装甲車数台の車両隊がエヴァーズマン達に合流して民兵と交戦します。
マクナイト達はコクピットのドア等を切断して、スーパー61のパイロットの遺体を回収し、負傷者を車両に載せました。
その間も民兵の攻撃は止むことは無く、エヴァーズマン達は車両の近辺でひたすら銃撃戦となります。

10月4日 5:45

スーパー61を爆破して米軍は一斉に撤退となり、エヴァーズマン達は満員で乗れなかった装甲車の陰に隠れながらの帰還となり、民兵と交戦しつつ、避難場所であるパキスタン・スタジアムに到着しました。
エヴァーズマン達は水を振る舞われて人心地つきました。
スタジアムは負傷者で溢れ、ガリソンは自ら兵士が床に流した血を拭っていました。

ギブソンはまた救援に向かうそうで、エヴァーズマンに故郷の友人に「何で戦うの?」と聞かれた際のエピソードを話します。
「戦争中毒なのか?」と友人に突っ込まれても彼は返答しないそうで、「連中には俺が仲間のためだけに戦っているのがわからない」からだと言いました。
ギブソンは再び戦場へと乗り込んで行きました。

その後、エヴァーズマンは友人に「なぜソマリアに行くのか?英雄気取りなのか?」と聞かれた時のことを振り返り、「その時は何も答えられなかったが、今は違うと言える」と語っていました。
「英雄になりたいヤツはいない。結果として英雄になるんだ」と力説した彼は死亡した兵に「君の両親にそれを話す」と約束していました。

この戦闘でソマリア人1000名以上、米軍兵士19人が死亡しました。
ゴードンとシュガートは死後に勲章を受け、デュラントは11日後に解放されました。
2週間後には当時の大統領クリントンが強襲の責任を全て受け入れました。
アイディード将軍は96年に戦死しました。

エンドロールで終了です。

特典はメイキングやフォトギャラリーでした。

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