トンネル火災の怖さが分かります 1200℃ -ファイヤー・ストーム-

1200℃ -ファイヤー・ストーム-

その時、トンネルは地獄と化した

制作年 2005年
制作国 ドイツ/オーストリア/スロヴァキア/イタリア
監督 ドミニク・オセニン=ジラール
脚本 ホルガー・カルステン・シュミット
上映時間 94分
出演
アグライア・シスコヴィッチ
フラヴィオ・インシンナ
ゲッツ・オットー

だいたいのあらすじ

将来を期待される検事のサビーネ・フィンク(アグライア・シスコヴィッチ)はセラートンネルで起きた47名が死亡した大事故を担当することになります。
被告はトラック運転手のローマン・ジコウスキー(ゲッツ・オットー)で弁護側は敏腕のエミール・ブルナー(マイケル・レアーレ )だそうです。
ジコウスキーと面会したフィンクは消火器携帯の有無や労働時間、走行記録等の質問をし、ブルナーに禁固2年で司法取引を提案されましたが却下しました。
ブルナーは「対象をジコウスキーに範囲を狭めるとあなたは負ける」と謎の勝利宣言をしていました。

フィンクは事故から生還したボンガーツ氏に聞き込み調査を行ったのですが、事故当時はトンネル内の消火器は錆付いていて使い物にならなかったそうです。
トンネル内で渋滞に巻き込まれていた彼は前方で「火災発生」と聞き、付近の消火器を引き出そうとしたのですが、びくともしなかったということでした。
迫って来る黒煙に追われたボンガーツは付近の車に声を掛けながら外に逃れたそうですが、事故の件はかなりのトラウマになっているようでした。

現場を実地検分したフィンクはトンネル内の消火器がピンを抜かないとフックが外れない仕組みであることに気付きました。
現地の監視カメラにもボンガーツは映っており、確かに彼は消火器を外せていませんでした。
事故現場に真っ先に急行したのはイタリアのスカルディ家の消防車だったということです。
その後、ジコウスキーの給油記録を調べた所、彼は休憩を取らずに11時間連続で運転していたと判明しました。

生存者のメラニーによればトンネル内で工事が行われていたので片側交互通行だったのですが、ジコウスキーの運転するトラックが対抗車線に飛び出して来て対向車に気付いて急ハンドルで横転し、その際に一台の車が潰されて一家が動けなくなっていたそうです。
彼女の夫ライナーは一家を助けようとしていたのですが、間もなくトラックの荷台付近から火が出て、周囲の人達は車を降りて逃げ出しました。
一家は「娘だけでも…」と娘を差し出し、バイクの男が娘とメラニーを外に連れ出しましたが、ライナーは最後まで一家を助けようとして犠牲になったそうです。
立派な人ですね。

現地で消防の指揮を執っていたロートは事故が発生したのはイタリア側から800m、オーストリア側から4.2㎞の地点だったと言います。
オーストリア側に居たロートはトンネル内の換気扇をオーストリア側に向けてイタリア側から接近できるように調整しました。
火災現場の気温は摂氏400度に達し、火災で発生した黒煙は時速25㎞にも及ぶそうですが、自動車の火災の場合は化学消防車を使用するのですが、今回は水での消化となったそうです。
一番乗りしたイタリアの消防隊がトンネル内で消化活動をしていたのですが、イタリア側には危険物を搭載したらしきトラックが停車していました。

監視カメラでそれを察知したロートは運転手を問い詰めたのですが、なぜか彼は「知らない」と返答しました。
水は化学反応を起こして危険と判断したロートは急いでイタリア側に「放水はするな」と連絡したのですが、間に合わず、トンネル内で新たな爆発が発生しました。
イタリア側で消化に行っていたスタンツァ(ロレンツォ・カッチャランザ)達は爆風で吹き飛ばされ、ルイジが壁に叩きつけられて死亡し、スカルディ家の長であるルカが車の下敷きとなります。
そしてトンネル内は爆発で換気扇が吹き飛んでしまい、内部の温度が異常に上昇してしまったということでした。
その後、フィンクはブルナーから「危険物を搭載していたトラック運転手の妻に会ってみては?」という謎のヒントを得ました。

その運転手は危険物を搭載していたにも関わらず危険物表示をしていなかったのですが、運転手の妻によれば会社が勝手に請け負って運転手には知らせずに丸儲けしているのだそうです。
従って運転手は正確には積み荷を知りませんでしたが薄々は危険物を運んでいる自覚はあったようです。
彼は会社から解雇されたのですが、責任を感じたらしく事情聴取後に自殺したということでした。
政府は事故後に被害者に保障を行うと発表していたのですが、単なるパフォーマンスで実際には何も無かったのですが、なぜかトンネルの管理会社から1万5千ユーロ支払われたそうです。

ジュゼッペは黒煙に撒かれて脱出中に妻のブリギットを見失い、息子のダニエルを抱いて出たもののダニエルは死亡していました。
彼は後に集中治療室に搬送されたブリギットにはその件を言い出せず、ダニエルの描いた絵が欲しいと言われたので、似せて絵を描いたそうです。
(;;)
ブリギットはその絵を見て回復したのですが、ダニエルの死を知り出て行ってしまったということで、ジュゼッペは「まだ事故は終わっていない、私も原告として参加します」と表明しました。
彼は避難時にトンネルの誘導灯が作動していないのを目撃しますが、その後、トンネル再開通式の式典に招待されたのはまだいいとして招待状はダニエルにも出されていたそうです。
これは神経逆撫でしてますよね。

フィンクは事件の事を調査すればするほど、検事として自分が誰を告発しているのか分からなくなってきたのですが、彼女はジュゼッペに「私が責任をもって事故の関係者全てに責任を負わせます」と宣言しました。
その後フィンクはちょいちょい同行している相棒のレーマン(エットーレ・バッシ)と共にトンネルの管理会社を訪れました。
管理会社では例の1万5千ユーロを「慰謝料」として支払っており、「この件ではこれ以上の請求をしないこと」という署名にサインさせていました。
フィンクにはそれが会社の落ち度を隠蔽するものではないかと疑い、誘導灯の件を突っ込むのですが、管理会社の担当者は「証明してください」と開き直っていました。

彼女は上司やレーマンから「ジコウスキーの告訴に集中すべき」と注意を受け、「真実を明らかにしたい」という立場で対立してしまいました。
フィンクは遂にトンネルの施工会社に警察の家宅捜査を入れさせます。
トンネルに脱出トンネルが設けられていない点で代表に突っ込むのですが、これは法律違反では無く予算内に収めるための施工だという返答でした。

フィンクの捜査が進むにつれ、とうとう州大臣が圧力をかけて来たのですが、「司法は政治と独立が原則」と屈しませんでした。
新聞の見出しには「フィンクが捜査を長引かせている」という印象操作のような記事が掲載され、強い圧力をかけられた上司はフィンクを担当検事から解任してしまいました。

感想

これはなかなか面白いです。
検事がトンネル事故の真実に迫るというもので大半がインタビューになっています。
パニック描写はあるものの、パニック映画と思って観ると肩透かしを食らいます。
でもハラハラ度はかなりありました。

この映画は構成が上手いと思われます。
私としては映画なので、「爆発して終わりじゃないの?」等と不謹慎なことを考えてしまうのですが、段々と事故の全容が明らかになって来る様子に惹きつけられてしまいました。
また、重要な件を後半にぶつけることで、「ええっ!」と思わせる内容になっています。
タイトルは途中の展開から「それ」が起こるのは予測できるのですが、観ているこっちは「やめて!もう許して」という気分になります。

事故の様子の映像は見ているのが辛いです。
立派な行動を取る人が沢山出てくるので、傍観者のようで辛い気分になったりします。
実際にこういう事故に遭遇したら私はきっと何も出来ないでしょうとは思います、でもその場で出来ることはしよう!と考えさせられる作品でした。
そういう意味でも観て良かったと思いました。

役者さんの演技も直球で伝わって来る感じで良かったと思います。
ジャケの人はパトリツィアだと思われます。
私的にはロートが好きでした。

ラストまでのあらすじ

「クソ―!shit!」と書類を纏めたフィンクはロートの所に行って愚痴ることにしました。
スミマセン、嘘です。フィンクはそんな事言わないしドイツ語映画です。
二人の話題はトンネルを何往復もして人々を救助した勇敢なバイク乗りサーラ(ギデオン・ブルクハルト)の件になります。
彼は黒煙に覆われたトンネル内にスカーフでマスクをしてバイクで飛び込み、7人の人を救助していました。
また、ロートはライナーと面会したそうで、彼は療養所に居ると言うことでした。
ライナー生きてたんですね!
サーラは救助活動を行っている際に転倒してしまい、ライナーがジコウスキーと共に付近の5番待避所に運び込み、三人はそこにずっと非難していたそうです。

ジコウスキーは非常用ボタンを押し、ロート達はそれを検知しました。
5番待避所にはなんと出口が無くシャフト口しか無かったので、ロートはトンネルのパイプ通路を通って三人を救助しに急行しました。
丁度その頃、イタリア側のスカルディ家チームはルカをトラックの下から出そうとしていました。
ロートはパイプを叩いて存在を知らせ、煙に撒かれてヤバい状態だったジコウスキー達もハッチを叩いて応じたので、ようやく退避場所を特定しました。

ここで今回のトンネル事故最大の悲劇への幕が合開くのですが、トンネル内に化学薬品を積んだタンクローリーがあり、それが熱で爆発寸前の所まで来ていました。
連絡を受けたスタンツァはイタリアチームを退避させることにし、ルカを助ける!と言い張っている隊員にはルカが「俺のことはいいから逃げろ!」と説得しました。
しかし娘であるパトリツィア(ロザリンダ・チェレンターノ)は退避する振りをして耐火服を着こみ、タンクローリーの火を消そうと奥へと進んで行きました。

ハッチをこじ開けたロート達は力を合わせて気絶したサーラを引き上げ、脱出しようとしていました。
残念ながらサーラは既に絶命しており、ロート達は三人で逃げることになりました。
一方、消化が難しいと悟ったパトリツィアはタンクローリーに飛び乗り、ルカから遠ざけました。
そしてとうとうタンクローリーは爆発してしまいましたが、パトリツィアが中心寄りに移動させたお陰で多くの人の命が救われました。
事件の全容を知ったフィンクは自分が何をすべきかという答えを見つけました。

ジコウスキーの裁判ではレーマンが「禁固5年」を希求していましたが、フィンクは弁護側の証人として証言し、
彼女は「事故の真実を明らかにすることで次の事故を防ぐ。これが社会の責任であり、私には真実を追求する義務があります。」と述べ、解任に圧力があったこと、自分は民事で弁護側として係争する決意であること、今までの捜査結果を証言しました。

ジコウスキーは過失致死により1年の禁固刑が言い渡されました。
2年後、彼女は遺族や被害者に800万ユーロの損賠賠償を支払わせることに成功しました。

過去数年のトンネル事故の死傷者は200人以上だそうで、EUの新たな安全基準は2019年に見直される予定だそうです。

エンドロールで終了です。

この件はググったのですが、良く分かりませんでした。
ただ、トンネルに関する議論は以前からあったようで、ヨーロッパは地続きなので色々とあるようです。
ちょっと勉強になりました。

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