陣取りです 高地戦

高地戦

陣地取り合ってたらひどい目に遭う話

制作年 2011年
制作国 韓国
監督 チャン・フン
脚本 パク・サンヨン
上映時間 133分
出演
シン・ハギュン
コ・ス
イ・ジェフン

だいたいのあらすじ

1953年冬 ソウル
停戦協議が難航している中、ウンピョ中尉(シン・ハギュン)は上官から調査部への異動を命じられました。
韓国では北朝鮮軍に脅されて食料を提供する民間人等も容赦なく連行していました。
ウンピョは東部戦線のワニ中隊から人民軍の家族への手紙が配達されていたので内通者の調査を行うことになりました。
ワニ中隊にはウンピョの戦友で三年前の戦闘で北朝鮮軍に連行されたスヒョク(コ・ス)が居るそうです。
ウンピョは新任の中隊長と新兵と共に雪の中を軍用車両で移動し、ワニ中隊の駐屯地へ到着したのですが、中隊の兵士は「寒い」という理由で人民軍の服を着ていたりと規律は乱れているようです。
また、臨時の中隊長イリョン大尉(イ・ジェフン)はモルヒネ中毒に陥っていました。

ワニ中隊はエロック高地という地点を何度も人民軍と取り合っていたのですが、前回の闘いで奪還したそうなので新中隊長は「300m置きに対空砲を設置しろ」と命じ、イリョンから「奪われたらどうします」と猛反対を受けました。
また、ウンピョは中尉に昇進していたスヒョクと再会して談笑したのですが、気弱だったスヒョクは三年の間に肝の据わった軍人に成長していました。
ウンピョはスヒョクを信用して「この中隊に内通者がいるらしいと打ち明けるのですが、スヒョクは「何かの間違いだろ」と笑い飛ばしていました。

そしてウンピョが内通者を探しに来たという件はスヒョクを通じてイリョンにもバレてしまいました。
この中隊には連戦のショックからから認知症のようになっている兵士や光復軍上りで元人民軍のヒョサム曹長(コ・チャンソク)等がいました。
ここは激戦区でスヒョクは相次ぐ部下の死に疲弊仕切っており、停戦を望んでいるようでした。
僅かな休息を取る兵士達の駐屯地に皆からのリクエストで歌った新兵の悲しい歌が響き渡りました。

翌朝、中隊長は皆を叩き起こし、エロック高地が奪われたので奪還しろ!と命じます。
設置し対空砲も奪われ、そのまま人民軍の武装となってしまいました。
スヒョク達はゾロゾロと隊列を成して高地を上り、ウンピョも同行しました。
彼等は高地の手前にあった高射砲の陣地にスヒョクが人民軍兵士に変装して近付き、一気に奇襲を掛けて奪還し、尾根に退避して米軍に爆撃支援を要請しました。

爆撃が終わったのでイリョン達と合流して高地に駆け上がるワニ中隊でしたが、敵は無力化出来ておらず、トーチカからの攻撃で犠牲者が続出します。
イリョンは単独でトーチカに突撃し、味方が一斉に投げた手榴弾をスモーク替わりにしてトーチカに接近し、手榴弾を投げ込んで沈黙させました。
中隊は急斜面を登り、トンネルに隠れる人民軍兵士に激しい抵抗を受け、敵味方の死体の山を築きながら何とか高地を占領しました。
この最初の戦闘シーンだけでも観る価値あると思います。恐怖です。

この高地は殆ど身を隠す所が無く、所々で身を隠しながら進む感じなので、味方を犠牲して数と勢いで押さないと攻略は難しいようでした。
この日も両軍に多数の死傷者が発生し、新兵・ソンシクは初出陣で自分より若い兵士を殺して愕然としてしまい、ヒョサムに「戦争だから仕方ない」と笑顔で慰められます。
ここは戦略的な価値無さそうに見えますが…
スヒョク達は頂上にある豪に残されたいたお酒で酒盛りを始め、ウンピョに見咎められます。
更に「南の同士のお陰で手紙を届けられた」というお礼のメモを発見したウンピョは皆を問い詰めます。

スヒョクは銃を向けるウンピョに事情を説明しました。
何度も取っては取られの繰り返しだったこの豪に「いちいち持ち帰るのは面倒」とチョコレートや衣料品等の米軍から盗んだ物資を埋めて置いたのだそうです。
次回奪還時には埋めた箱には人糞が詰められており、「物資は貰った」と手紙が残されていました。
怒りのスヒョク達は罵詈雑言を書いた返事を書き、それの繰り返しになったのですが、ある日、箱の中にお酒が入っていたそうです。
そして箱の底には故郷に宛てた人民軍兵士からの沢山の手紙が入っていたので、スヒョク達はお酒を呑み、手紙を送ってやりました。
それからはスヒョク達はタバコを箱に詰め、お酒と交換するという奇妙な人民軍との交流が産まれたということでした。

ウンピョの誤解は解けて銃は下ろしましたが、ワニ中隊では前任の中隊長が死亡していたので、この件と何か関係があるのかとスヒョクに質問しました。
スヒョク曰く、前中隊長は戦闘の重圧に耐えきれず自殺したので、戦死として届け出たということでした。
ウンピョは前中隊長の死に疑問を感じ、彼の死体発見現場だという付近の小川を調べていたのですが、そこには穴の空いた鉄兜と焼いたトウモロコシが転がっていました。
直後に民間らしき女性(キム・オクビン)が現れたので「この辺りで不審な人物や事件を目撃しなかったか?」と質問したのですが、彼女は首を横に振りました。
どうやらトウモロコシは女性のものだったようなので、ウンピョはそれを返し、押し付けるようにチョコレートも渡しました。

それから何度もエロック高地を取ったり取られたりの戦闘が続きました。
何度も戦う内にウンピョも停戦を望っむようになり、スヒョク達とソンシクの歌を聞きながらお酒を呑むようになりました。
今回の手紙にはテギョンという女性に向けた手紙の彼女の写真が入っていたのですが、それはウンピョが小川で出会った女性でした。
しかし皆が「美人だ」と喜んでいるので、ウンピョはその件は言いませんでした。
また、箱の底にはドイツ製のゴーグルが入っていたのでソンシクの物となりました。

エロック高地の付近には中共軍が陣地を張り、偵察に出した兵は人民軍の凄腕狙撃手「2秒」に全滅させられたのですが、2秒というのは680m先から狙撃した弾が命中してから2秒後に銃声が聞こえることが由来だそうです。
謎の高速弾ライフルです。この設定は必要でしょうか?
スヒョクは2秒を何とか捕獲しようとウンピョ含む10名を率いて付近に偵察しに行きました。
しかしソンシクが2秒に狙撃されてしまい、「助けてください!」と泣きわめく中、スヒョク達は狙撃場所を特定しようとします。
2秒は何発かスヒョク達を燻りだすようにソンシクを撃ったので、とうとう居場所を特定したスヒョクが座標を知らせて爆撃妖精し、2秒が潜んでいた辺りは爆炎に包まれました。

ソンシクは死亡してしまいましたが、残念ながら2秒は爆撃から逃れていました。
ウンピョはソンシクの側で彼の死を悲しんでいたのですが、付近の林で人の気配を感じて飛び込むと人民軍の服を着て狙撃銃を持った小川の女性テギョンと遭遇します。
2秒の正体はテギョンだったのですが、ウンピョは銃を突きつけたものの撃てず、そのまま彼女は逃走しました。
ウンピョはソンシクを見殺しにしたことで「お前はいつも部下を見殺しにして出世したんだろ」的にスヒョクを責めるのですが、スヒョクは「俺の中の人間は死んだ!お前に何が分かる!」と怒鳴り返しました。

その時、認知症のようになったいた兵士が銃を持って暴れ出したので二人の諍いは中断されます。
この男の所属していた第二小隊はポハンの戦闘で全滅しており、そのショックでおかしくなったようです。
皆は必死に彼を宥め、イリョンは彼に歩み寄ると肩に銃口を当てさせて男が記憶を取り戻すように促したのですが、男がへたり込んだので背を向けた際に肩口を撃たれてしまいました。
幸い弾は貫通し、イリョンはモルヒネ中毒の所為で痛みは感じませんでした。

ポハンで何があったのか尋ねたウンピョにスヒョクはその際に起きたことを話し始めました。
ポハンでは上陸用舟艇による上陸作戦が展開されたのですが、人民軍の激しい抵抗に遭い、撤退となります。
しかし舟艇は撃沈されており全員は乗れず、また残りの舟艇も激しい攻撃に晒されていました。
舟艇には乗れなかった兵士が群がって来て、スヒョクが敵の攻撃に撃たれたので、恐怖でおかしくなったイリョンは後方の銃座で舟艇に群がって来た友軍兵士を一掃しました。
ワニ中隊の皆は彼を白い目で見たので、イリョンは自殺しようとします。

スヒョクはそれを止め、皆に「こいつのお陰で俺達は生き残った。お前らは責められるのか!」と皆に怒鳴りつけました。
皆はそれを認めて現在に至るのですが、あの男はその際のショックでおかしくなっていたのでした。
またイリョンはそのショックで無謀行動に出るようになったようで、スピード出世したのですが、恐怖と戦うためにモルヒネ中毒になったようです。
暴れた男は本部に護送され、この件は顛末しました。

エロックは相変わらずの状況でしたが、停戦前に少しでも多くの領地を確保しようと北も南も必死になっていました。
人民軍では中共軍を主体にしたエロック奪還作戦を行うことになり、戦局を察知したイリョンはエロックからの撤退を進言します。
しかし中隊長は聞き入れず、反逆行為だとイリョンに銃を向けエロック死守を命令しました。
そして夥しい数の中共軍がエロックを包囲したので、流石の中隊長も本部に状況を連絡したのですが、命じられたのは死守でした。

スヒョクは撤退を聞き入れない中隊長を射殺してしまい、外にいるイリョンとは連絡が取れなくなっていたので臨時の指揮官として部下に撤退を命じます。
ウンピョはスヒョクの力が無いとここからの撤退は無理なので今回は見逃しましたが、「生き延びたらお前を軍法で裁く」とスヒョクに言い渡しました。
エロックは物凄い物量の中共軍で包囲されており、スヒョク達は必死で撤退しますが、ヒョサムが死亡します。
イリョンの隊も合流したので、指揮は彼が執ることになり、ワニ中隊はありったけの迫撃砲を放ち、隙を見て近隣の森林に逃げ込みました。

ウンピョはスヒョクが中隊長同様に前中隊長を殺害したのではないかと疑惑を抱くのですが、そこにテギョンの狙撃が始まり、兵士の一人が倒れてスヒョクは脇腹を撃たれました。
皆はバラバラに森林地帯を走ることでテギョンの狙撃を逃れましたが、テギョンはスヒョクに狙いを定めていました。

感想

これは普通です。良作だと思います。
朝鮮戦争を描いたものなのですが、架空戦記っぽくなってます。
同じ民族で争うことの愚かさが描かれているのでしょうか?
かなり中だるみしている気がしましたが、退屈はしませんでした。
お話も内通者を探るという流れでなかなか面白いのですが、この辺りは早めに解決します。

この映画は戦闘シーンが凄くリアルだと思われ、戦闘描写では他の戦争映画と比較してもかなりの上位に位置すると思います。
観てるだけで、これは死ぬなと感じる位の臨場感があり、こんな事を何年もしていたら狂うなという説得力があります。
銃弾が地面に刺さる様子や軽くアナーキーな視点はちょっと戦争のはらわたに似てるかな?と感じました。
上の命令で何度も無駄な戦闘に向かう点は勤め人にも通じる所があるかと感じましたが、この人達は生命と直結しています。
この映画の肝は恐らく停戦協定が結ばれてからの部分では無いかと思います。
もう作戦も何もあったものでは無く、単なる殺し合いになってしまっています。

「戦う理由」も確かに韓国軍兵士にはあまり無かったような気がします。
彼等は人民軍をひたすら「クソ野郎」だの「アカ」だの罵って無理矢理戦っていたような印象でした。
でも裏を返せば人民軍も同じで、その辺が手紙の交流に現れているような気がしましたね。
この映画を観ていると誰が誰と戦っているのか良く分からなくなってきます。
兎に角生き延びよう!という方向になるのも良く分かります。

「はい、ここは泣くところですよ」のような韓国映画特有のくどい盛り上げは多発してましたが、あまり気になりませんでした。
ドラマ部分にかなりの時間を割いていたようですが、個々の兵士もキャラが立っていて面白いです。
というかドラマ部分は両国の事情が入ってるみたいなので、正直私は流してました。

私はイリョンが一番好きでした。
ヒョサムもいい感じのおじさんでしたね。

ラストまでのあらすじ

スヒョクはテギョンの居場所を特定して反撃に出るのですが、スコープで2秒の正体がテギョンであると知り、撃てませんでした。
ウンピョはスヒョクの下に駆けつけたのですが、スヒョクはテギョンに止めを刺され、「おふくろの顔が思い出せない」と言って息を引き取りました。
エロック高地は人民軍が占拠しましたが、ここに来てようやく停戦協定が結ばれました。
ウンピョはスヒョクの遺体を駐屯地まで運び、「後、一日だったのに…」とワニ中隊は悲しみに沈みます。

こうして戦争は終結し、ワニ中隊も付近の小川でくつろいでいました。
冬の間は凍てつき冷たかった小川も夏になったので、兵士達にとっては憩いの場となり、皆は子供のようにはしゃぎます。
そこに人民軍の一隊が通り過ぎたのですが、敵の中隊長は三年前にスヒョクを拉致した人物でした。
人民軍中隊長は高地の豪に常備していたカップをこちらに投げ、皆は彼等にサヨナラを言い、ウンピョはテギョンにスヒョクが預かっていた写真を渡しました。

やがて司令官が駐屯地に到着し、停戦協定の条文を読み上げるのですが、履行されるのは12時間後で、それまでに韓国軍は総攻撃を仕掛けるそうです。
ワニ中隊もエロック高地の奪還を命じられたのですが、同じ頃人民軍でも同じ命令が下されていました。
イリョンは最後の出撃のために演説をして「戦場の支配者はワニだ」皆を奮い立たせます。
それによるとワニは成長するまでに殆どが死ぬのですが、最後に生き残ったワニは最終的には沼の支配者になるということでした。

中隊は高地の周辺に到着し、辺りが深い霧に包まれていたのでこのまま霧が晴れないことを望みましたが、霧が晴れて爆撃が始まりました。
ワニ中隊は突撃したのですが、なぜか米軍の爆撃が再度行われ、味方も犠牲になりました。
ウンピョは近距離で狙撃しているテギョンに出会い、彼女をナイフで刺殺しました。
イリョンは左腕を失って戦場を彷徨っていたのですが、敵の中隊長に出会い、射殺されました。
最後の戦闘は作戦も何も無く、ただ闇雲に突撃していただけでした。

ウンピョは明け方に頂上の豪に入り、人民軍の中隊長と出会い、一緒にお酒を呑み、タバコを一服しました。
ウンピョは三年前に彼から「お前たちは戦う理由が無いから負ける」と言われたので「戦う理由ってなんだ?」と質問しました。
中隊長は「もう忘れた」と返答し、その時無線から停戦の知らせが流れました。
それを聞いて二人は狂ったように泣き笑いしたのですが、中隊長は腹部を撃たれていたので死亡しました。

ウンピョは明るくなった空の下、死体の山が築かれた高地を降りて行きました。

エンドロールで終了です。

強い反戦メッセージというより「戦争は無駄な事です」という感じでしょうか?

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