段々見えなくなる恐怖 ロスト・アイズ

ロスト・アイズ

視力を失い、恐怖がはじまった

制作年 2010年
制作国 スペイン
監督 ギリェム・モラレス
脚本 ギリェム・モラレス/オリオル・パウロ
上映時間 117分
出演
ベレン・ルエダ
ルイス・オマール
パブロ・デルキ

だいたいのあらすじ

全盲の女性サラ(ベレン・ルエダ)は見えない何かを罵りながら地下室で首吊りをしようとしていました。
不思議なことに誰もいなかった空間から黒手袋の人物が出現し、彼女の立っていた椅子を蹴って死に追いやり、その様子を写真撮影しており、この一帯は停電しました。
同時刻にサラの双子の妹フリア(ベレン・ルエダ)は呼吸困難に陥って倒れ、姉の身に何かあったのでは?と案じます。
電話が通じなかったので、フリアは夫のイサク(ルイス・オマール)と共にサラの家を訪ね、中に押し入って地下室で彼女の遺体を発見しました。

駆け付けたディマス警部(フランセスク・オレーリャ)からサラは悩んでいなかったか聞かれたフリアは「姉
は目が見えないことにも楽観的でドナーを待っていた」と返答しました。
サラは徐々に視力が失われる病気だったのですが、現在は見えているフリアも同じ病気でした。
フリアは電気が復旧した際にサラが嫌いだった曲がCDプレイヤーから再生されるのを聞き、彼女は他殺だったのではないかと疑問を抱きます。
しかしイサクは「ストレスで病気が進行するから考えるな」と妻を宥めます。

サラの葬式では隣人だというブラスコ(ボリス・ルイス)と出会ったのですが、彼自身はサラと交流なく、娘のリアがサラから本を借りていたそうです。
なぜかブラスコはイサクに遺書の有無を確認していました。
そしてフリアはソレダドという近所の老夫妻がサラが視力を失った際に面倒を見ていたとディマスから聞き、訪問することにしました。
イサクには秘密があるようで、フリアが出掛けた後にディマスから「早く話した方がいい」等と言われていました。

家の壁に張られたロープ沿いにソレダド夫人を訪ねたフリアでしたが、ソレダドは盲人でサラとはもう1年ほど付き合いが無いそうです。
サラはバウマン・センターという盲人福祉センターで新しい友人が出来たそうで、自然と疎遠になったということでした。
フリアはバウマン・センターに行き、サラという単語をを小耳に挟み、地下のスポーツ施設に下ります。
利用者は盲人なのでフリアが見えず、皆が絶賛サラの悪口大会をしていたので声を掛けそびれたのですが、どうやらサラには恋人がいたようなのです。
結局、フリアは存在を悟られて捕まってしまうのですが、利用者の一人が「男が後ろにいる」と叫ぶので、振り返ると本当に男が逃走していました。

そこでフリアは「コラー」と男を追い掛け、暗い地下廊下の袋小路に追い詰めたのですが、男はカメラのフラッシュで目晦ましをして逃走しました。
男を路上まで追ったフリアは急に視界が狭くなってショックでしゃがみこんでしまいました。
サラの家に戻ったフリアは「どこに行ってたの?」とイサクから詮索されたので、仕方なく「サラの死は謎があるし、誰かが私を監視している。もしかしてサラの恋人かも」と打ち明けます。
イサクはバウマン・センターでの一件を聞き、荷物を纏め始めて「さっさと帰ろう。目に良くない」と連れ帰ろうとします。
フリアは夫がガチな様子だったので事を荒立てるのは良くないと考え、「この近くに泊まらない?」と切り出し、優しい夫の了承を得ました。

フリアは上手いことサラが恋人と滞在していたと小耳に挟んだ「ベリャビスタ」という町に滞在することにしました。
こういうこと書くと怒られそうですが、名古屋風の名前の町ですね。
ホテル名は領収書で突き止めてあったので早速部屋を取り、フロントで聞き込みを行ったところ、サラは確かに滞在していたのですが、なぜか記録が消えており同伴者の名は分かりませんでした。
レストランに行けばわかるのでは?と言われたので、フリアはイサクと一緒にレストランに行きました。
イサクの目を盗みウェイターから聞き込みを行ったところ、相手の男性の事は分かりませんでしたが、サラは目の手術を受けていたということでした。

フリアはショックを受けて放心してしまい隠しきれなくなったので、サラがここに滞在していた件と目の手術の件を打ち明けるのですが、実はイサクはサラの手術が失敗した事を医師から聞いて知っており、フリアは「なぜ黙ってたのよ!」と怒って店を飛び出します。
ここでフリアはまた発作を起こして視界が狭くなってしまい、イサクはそれを知って苦悩します。
また、サラは手術の失敗を苦にして自殺したのだし、恋人は彼女が失明したから捨てたのだとフリアを説得しました。
ひとまず二人は仲直りし、フリアも翌日は医師の診断を受けることを約束しました。

翌朝、出発間際にフリアはホテルの雑役夫をしているクレスプロというおじさんからサラが部屋に忘れたという鍵を受け取り、サラの恋人は特徴の無い「透明人間」だと話しました。
フリアはクレスプロから男はホテル付近の駐車場に車を停めたと聞き、監視カメラを確認しに行くことにしてイサクを呆れさせます。
仕方なくイサクがカメラ映像を入手しに行ったのですが、彼はなかなか戻って来ません。
フリアがしびれを切らして管理室へ行くと管理人はイサクに映像のコピーを入手したということでしたが、突然の停電が起こり、何者かが映像の記録媒体を持ち去ってしまいました。

イサクは行方不明となり、時を同じくしてクレスプロは入浴中に照明を浴槽に落とされて感電死していました。
警察には通報しサラの恋人の件を伝えるも相手にされず、証人がいる!と殺人鬼らしき人物とすれ違いながらホテルに戻ったフリアはクレスプロの死を知って発作を起こし、ますます視界が狭くなりました。
というかもう殆ど見えてないと思います。
孤独なフリアは医師の診断を受け、1ヶ月以内には失明するだろうと宣告されます。
その後、ソレダドにサラの恋人について質問したのですが、アンヘラという息子に見捨てられたという愚痴をこぼされただけでした。

その後、イサクのクレジットカードが使用されたとディマスから知らされたのですが、指輪が発見されたことからイサクは自分の意志で失踪したのではないかと言われてしまいます。
そしてサラの家に何者かが侵入した形跡があるいう通報を受けたので、ディマスはフリアを連れてサラの家に向かいました。
ディマスに待っているように言われたフリアは勝手に地下に入り込み、何かに触れて悲鳴を上げます。
駆け付けたディマスはそこには首を吊ったイサクの遺体を発見するのですが、視力を完全に失ったフリアには見えていないのでした。

筆跡鑑定して本人のものに間違いなしというイサクの遺書が発見されたのですが、彼はサラと付き合っていた件が書かれていました。
ディマスは恐らくカメラの件も自分が映っていたからだろうと自身の推理をフリアに伝えました。
尚、フリアにはすぐドナーが見つかり、手術を受けられることになりました。
手術は成功し、2週間は包帯が取れず取ると失明する危険性があるので、そのまま入院するように医師から指示されるのですが、フリアはサラの家に滞在したいと言い張り、仕方なく医師も許可します。
フリアって我儘なんですよね。常に逆張りしてる気がします。
尚、イサクの遺体は病院に預かってもらい視力が回復次第に葬儀を出すということにしました。

フリアはサラの家まで送ってくれた病院職員にクレスプロから渡された鍵を渡し、「どこの鍵か調べてくれ」と依頼しました。
職員はドアに鍵を差し込んで確かめ、どこの部屋にも合致しないと伝えてから去りました。
視力回復した後に調べればいいじゃんって思いました。
サラの家には来たものの電話も満足に取れないフリアはゴギャ泣きしていたのですが、間もなく訪問予定だった看護師がやって来ました。

看護師はイヴァンと名乗り、フリアは早速「女性が良かった」等と我儘を言って困らせます。
実はフリアは視力があった時にシクシク泣く女性患者を看護していたイヴァン(ダニ・コディーナ)と病院で会ってます。
イヴァンは身の周りの世話をした後に「時間が来た」と彼女に睡眠薬を投与して通信機を渡して去って行きました。
イヴァンの顔は一切映らず、不自然でした。
ベッドで爆睡していたフリアはイサクがサラと共謀して包帯を剥がそうとするという悪夢を見てしまいました。

翌朝、飛び起きたフリアは確かにドアの外を何者かが歩き回っていたので、イヴァンに通信機で連絡し、「隣の部屋に誰かいる」と知らせました。
イヴァンは警察に連絡するというのですが、フリアはなぜか拒絶します。
そしてイヴァンの誘導で外に逃げることにしたのですが、彼はなぜかサラの家の間取りや階段の数まで正確に覚えていました。
何とか外に出たフリアでしたが、侵入者は例の鍵を奪ってから去りました。

イヴァンは家の中を調べ、誰も侵入した形跡は無いとフリアに伝えました。
そして彼はフリアの包帯を替えた際に「自分も学生の時に事故で2ヶ月失明したことあった」と話し、悪い方向に考えてはいけないと彼女を諭します。
彼はその経験があったので看護師になったということでした。
その後、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるイヴァンに対してフリアも心を開くようになりました。

ある夜、イサクとのなれそめを話していたフリアはイヴァンの中にイサクの幻影をみてしまい、彼にキスしてしまいます。
イヴァンは「こんなことダメだ」と拒絶し、慌てて帰りましたが、明日も来てくれるそうです。
イサクを思い出してベッドで身もだえていたフリアでしたが、家に中には黒手袋の男が侵入しており、彼女に注射を打とうとしていました。
それに気付いたフリアは全力で表に飛び出し、ブラスコに助けられました。

しかしブラスコは電話が通じないと嘘を吐いて警察に通報してくれず、壁には例の鍵がありレイプされそうになったのでフリアは隙を見て逃げ出し、イヴァンに通信機で助けを求めます。
イヴァンは建物の陰に身を潜めていたフリアを発見し、彼女の希望で自宅へと避難させました。
ディマスは不在ということだったので明日改めて通報することにし、その夜は彼の家に泊まることになりました。
なぜかイヴァンは地下に折り畳みベッドを取りに行ったまま戻らず、入れ替わりにリアが家に侵入して来ました。

感想

これは普通です。
盲人の女性が死亡してしまい、その妹が謎を追い掛けるというものです。
冒頭シーンでサラが誰も居ない空間に呼びかけているのでオカルト系かと思ったのですが、そんなことはありませんでした。
どちらかというとスリラー系の強いサスペンスという感じでした。
結末はすっきりしないのですが、ロマンス映画の閉じ方でした。

お話は意外性を狙っているようでしたが、後半に入ると段々とからくりが読める感じでした。
でも完全に動機が分からないので、スッキリはしないかも。
フリア頑張ってましたが、全力疾走したりするのでちょっと無理ある気がしました。
また、展開が少しくどい気もして、リアの件も何だか良くわかりませんでした。
大筋は解明されませんが、サラの冒頭の行動や他の伏線は回収している不思議映画です。

映像がなかなか良いのでは無いかと思われ、所々の演出は完全にホラーで、怖いシーンありました。
なのですが、「視力を失う」という恐怖はイマイチ伝わらなかった気がします。

最初の内はフリアはおばさんにしか見えなかったのですが、やっぱりこの人美人ですね。
演技も上手い気がして、色んな映画に出ているのが頷けるような気がしました。
私が手に取りそうな映画に良く出演されてる点も嬉しいです。
ディマス好きでしたが、イマイチ活躍しないという。

全体的にはなかなか面白かったのですが、ちょっと長いので暇つぶしに気軽にという感じでは無かったです。
興味のある人は観て損はないかな?という気がしました。

ラストまでのあらすじ

リアは「近づかないで」と拒絶するフリアに「うちのパパは事件とは無関係。あなたを監視してたのは私で、犯人はあなたの看護師」と告げます。
彼女はサラにその男が近づくので監視していたそうで、イサクもサラと浮気していた訳では無く、あの遺書は脅迫して書かされたものだと言うのです。
イヴァンが戻って来たのでリアは去りましたが、ドアの鍵が証拠だと言っていました。

鍵は床に落ちていたそうですが、イヴァンが「僕が預かっておくから」と没収しました。
隙を見てリアがフリアを連れ出そうとするのですが、フリアが信じないのと鍵が架っていたので断念し、リアは浴室に隠れました。
フリアはトイレに入って時間稼ぎをし、包帯を取るまで4日だったのですが、思い切って包帯を外してしまいました。
幸運なことに視力が復活しており、彼女は自力で脱出ルートを探ります。
そしてフリアは迷い込んだ一室に自分とサラの盗撮写真がびっしりと壁に貼られているのを目撃し、完全にリアを信用しました。

しかしリアは包丁を口に刺されて壁に釘付けにされて死亡していました。
イヴァンに見つかってしまったので、フリアは目が見えない振りをして顔を見たのですが、彼の正体はソレダドの息子アンヘル(パブロ・デルキ)でした。
フリアは彼の写真を軽く見ただけだったので、彼が何者なのかは分かりませんでした。
彼女は「本当に見えないのか?」とアンヘルにナイフを目に突き付けられても見えないふ振りをして頑張ります。
アンヘルはフリアに病院に連れて行ってくれと要求され、血まみれの顔のままで電話する振りをしたりしており、彼女はそれを見ながら必死に見えていることを悟られないように頑張ります。

そんな事は知らないアンヘルはリアの死体を隠したり、飲み物に一服盛ったりと大忙しでした。
フリアはお茶を飲まされそうになってので、彼に砂糖を取りに行かせてカップをすり替えたのですが、移動した名残でお茶が波立っていたのに気付いたアンヘルは飲まず、作戦を変更しました。
アンヘルはデカいクーラーボックスの所に彼女を誘導し、蓋を開けさせます。
中には本物のイヴァンの遺体が入っており、彼女は息を呑んでしまったので、アンヘルは「こいつ見えてる!」と悟りました。

フリアは車に乗せられて何処かに連れ去られそうになったので、上手いことアンヘルを閉め出し、ギアをニュートラルに入れて坂を下るのですが、直ぐ壁に激突してしまいました。
仕方なく彼女は車を飛び出し、付近にあった壁ロープを手繰ってソレダドの家に飛び込みました。
ソレダドは事情を聞いて警察に通報しようとしたのですが、間もなくアンヘラが家に侵入したので、息子サイドに回った彼女はフリアを電話機で殴りつけてKOしました。
また、盲人の振りをしていたソレダドは実は目が見えていたのです!

アンヘルは精神を病んでおり、社会から拒絶されて「いないこと」にされていることから人間を憎んでいました。
しかし、盲人だけは自分の存在に気付いてくれたようなので、サラにストーキングしていた彼はサラを失明させ、それが原因でサラを自殺に追いやったようです。
同様にソレダドが盲人では無いと知った彼は注射器を取り出し、彼女の目に注射を打ちました。
このシーン痛いです。目を背けてしまいました。

フリアが息を吹き返すとサラの家の地下室に運ばれていました。
アンヘルは彼女に「君は間もなくまた失明するだろうから、遠くへ行って一緒に暮らそう」と告げるのですが、彼女はそれを拒絶し、サラと同様に自死を選びました。
彼女は椅子に立って首にロープを架けたのですが、流石に実行は出来ませんでした。
フリアは隙を見てアンヘルのナイフを盗み、彼の脚に突き立てて地下室に閉じ込めました。

視力を失ったフリアは手探りでディマスに電話しましたが、会話途中で地下の電話線を抜かれました。
いよいよアンヘルが地下室ドアを打ち破って出て来たので、フリアはブレーカーを落として家の中を暗闇にしました。
「暗くなるまで待って」でもあった王道パターンですね、
でも、フリアは盲人歴浅いので弱いのでは?

アンヘルはカメラのフラッシュを焚いて彼女に迫って揉み合いになり、マウントを取ったアンヘルはナイフを、フリアは必死で掴んだカメラをと双方が相手に向かって振り下ろしました。
この辺の演出はなかなか面白いです。

やがてディマス達が駆け付け、フリアは保護されてアンヘルはホールドアップされました。
しかし彼はナイフで自分の喉を切り裂いて自殺してしまいました。
そしてフリアは完全に失明する前にイサクの遺体と面会させてもらったのですが、フリアに角膜を提供したのはイサクでした。

フリアとイサクは天文観測を生業としていたのですが、イサクはフリアとの馴れ初めで「君の瞳の中に宇宙が見える」と言っていました。
最後の視力で鏡を見て自分の瞳を見つめた彼女は確かに瞳の中に宇宙を見ました。
そして宇宙は段々と暗く閉じて行きました。

エンドロールで終了です。

悲しいです。
やけにドナーが見つかるの速かったのでおかしいな?と思ってました。
結果的には解決したのですが、フリアの逆張りって全部裏目ってますね。
実はアンヘルの動機の詳細は語られなかったのですが、なんとなくハンディキャップを抱えた人に対する問題点もテーマに据えているきがします。
ブラスコがフリアをレイプしようとしていた点やアンヘルの心の奥底にも「見えてないからセーフ」的な点があったのではないかと。
昔の漫画とかだと美人な女性がハンディ抱えてるのでDV男とくっつけられるパターンとかありますよね。

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