幽霊美人です 叫

赤い服着た女にひどい目に遭う話

制作年 2006年
制作国 日本
監督 黒沢清
脚本 黒沢清
上映時間 104分
出演
役所広司
小西真奈美
葉月里緒奈

だいたいのあらすじ

黒スーツの男が東京湾の埋立地の海水の水溜りに赤い服を着た女の顔を突っ込んで溺死させていました。
この男は吉岡に見えますね。

刑事の吉岡(役所広司)は湾岸地帯の崩れそうに老朽化した建物に住んでいるのですが、恋人の春江(小西真奈美)がちょいちょい出入りしているようです。
彼は地震で液状化して水溜りが沢山出来ている埋立地で発見された赤い服の女の殺人事件の現場に立ち会っていました。
赤い服の女は水溜りに顔を突っ込んだ状態でうつ伏せに倒れており、溺死していました。
吉岡は付近の水溜りでコートのボタンを発見したのですが、黙殺していました。

帰宅した吉岡は自分の黒のコートを調べてみた所、ボタンが一つ失くなっていたので先ほどの殺害現場に行き、ボタンを拾い上げると、それは果たして吉岡のコートのものでした。
彼がボタンを拾い上げた際になぜか水溜りの水面がザワザワと波立ち、その直後に女性の悲鳴が響いたのですが、付近には誰も居ませんでした。
翌日、吉岡はボタンを鑑識に提出しました。

赤い服の女の爪の部分から他人の指紋が検出されたのですが、何と該当人物は吉岡でした。
同僚の宮地(伊原剛志)からは「手袋しないで遺体に触ったな」とどやされるのですが、吉岡は大いに混乱します。
この地域は建物を建てたり更地にしたりとしており、周囲の風景は良く変わるようで、帰宅した吉岡は春江に「今度、地震が来たらこの一帯は海に沈むかも」等と話していました。
また、彼は15年前には川崎から有明にフェリーで通勤していたのですが、その際に見ていた建物はもうどこにあるのか分からないでそうです。
その後、春江は「1週間か2週間位来られないけど、来られようになったら電話する」と言って去りました。

医師の佐久間(中村育二)は病院に訪ねて来た高校生の息子・勇一から「先輩に借金あるから使わない注射器100本くらい用意してくれ」と頼まれます。
勿論断ったのですが、「借金は50万あるので返してくれ」と勇一が言うので、「妻と相談する」と返答して車で一緒に帰宅します。
佐久間は埋立地の工事現場に向かい、「ふざけんな」と暴れる勇一に筋弛緩剤になる麻酔を注射し、水で満たされていたセメント用の桶に彼の顔を突っ込み押さえつけて溺死させました。
現場に駆け付けた吉岡は赤い服の女と同じ手口で殺害されている事から連続殺人で無いかと判断しました。

しかし佐久間が病院を欠勤していると判明し、手口も雑だったので宮地は連続殺人の可能性は薄いと考えました。
また、鑑識では赤い服の女の手首からは黄色い塗料の付いた紐のような痕跡があると知らされました。
そして帰宅した吉岡は自宅の黄色いコードが切断されているのを目撃して、女の殺害現場に行くと黄色いコードが入ったビニール袋を水溜りから発見しました。
捜査雑過ぎると思います。
その現場を誰かが見ており、急に付近のビルに駆け込んだので吉岡は後を追いました。
男は佐久間だったのですが、屋上に逃げた彼は吉岡が近づくと飛び降りてしまいました。

佐久間は生きていたので、下に降りた吉岡は「何が目的で俺をハメようとしてるんだ」と暴行しました。
保身に走る吉岡は佐久間の取り調べも「俺以外に担当させるな」と宮地に釘を刺し、担当を申し出ます。
勇一殺害の動機を聞かれた佐久間は「手に負えなくなった。自分の責任を無しにするためには殺すしかないと思った」と返答しました。
引き続き吉岡は佐久間を連続殺人の容疑で取り調べるのですが、佐久間は部屋の隅に誰も見えない勇一を見て、「許してくれ」と床を這いつくばります。

吉岡は佐久間の精神鑑定を依頼することになりました。
宮地は吉岡が証拠として提出しようとしていたケーブルを「お前の家のに似てるから面倒になる」と言いつつ、回収していました。
「お前、俺のこと疑ってんのか!」と異常に激昂する吉岡を「悪かった」と宥めつつ、宮地は「俺も愚痴を聞いてもらって楽になったぞ」とカウンセリングを受けることを勧めます。
その夜、吉岡は「地震の後に壁に割れ目ができ、その割れ目を押し広げて赤い服の女が出てくる」という悪夢を見て飛び起きます。
まだ深夜でしたが、起き出して気晴らしにタバコを吸っていた吉岡は停電の後、地震が起きるという事案が発生したので、ちっとも休まりませんでした。

更に吉岡の見えない所で鏡にちらっと赤い服の女(葉月里緒奈)が映ったのですが、直後に彼女は物凄い叫び声を上げて吉岡の背後に飛び掛かって来ました。
吉岡が反射的に飛びのいたので女は勢い余って前のめりに倒れたのですが、ビビりまくりの吉岡が「誰だ!君は」と聞くと彼女は「わたしです…」と答えました。
そしてベッドに避難して震える吉岡に向かって手を伸ばし、赤い服の女はスーッと近づき、「どうして、わたしと一緒に居てくれなかったんですか?」と謎の質問をします。
吉岡の目の前に移動した彼女は「わたしとあなたはいつかきっと巡り会う…そう思っていました。」と抑揚の無い声で告げ、吉岡は「知らない。本当に知らないんだ」と頭を抱えてしまいました。
この人和的な幽霊!って感じで怖いのですが、凄い美人です。

赤い服の女は「また会えてうれしいです」と抑揚の無い声で言い、普通に歩いて玄関のドアを開けて出て行きました。
さっき、飛行していたのはなんだったんでしょうか。
「これはダメだ」と感じた吉岡は早速、翌日カウンセリングを受けることにしました。
精神科医の高木(オダギリジョー)は軽い質問を吉岡にして、「特に異常なし。ストレスだね」と軽く診断されました。
高木の所には酷い交通事故の被害者の幽霊を毎晩見ているという交通課の巡査がおり、パニックを起こしていました。
その幽霊は高木の分析は「真実の声」で、事故処理の手順が果たして正しかったのかどうかという巡査の良心の呵責のようなものが彼自身を責めているのではないかということでした。
吉岡は「真実(幽霊)が相手を間違えることありますか?」と質問したのですが、「真実は間違えない」と軽く返されただけでした。

疲れ切った吉岡は帰り道に春江に路上で会い、「一緒にどこか遠くへ行かないか」と誘うのですが、「急に言われても…。一人で旅行に行けば?」的な返答をされてしまいました。
トボトボと歩いて吉岡に作業船の船員(加瀬亮)が「「この辺は建てるでも無く、壊すでもなくひどいねえ。一度船に乗れば、酷い物が見えるよ」と声を掛けられました。
その後、埋立地で黄昏ていた吉岡の側に「いつもあなたの側にいます…」と赤い服の女が現れ、「僕が君に何をした!」と訴える吉岡に「殺した…。海水に浸けた」と返答します。
彼女はスススと移動して「やってない!」と叫ぶ吉岡に迫り、「長い暗闇でした…」と孤独と絶望を訴えて消えました。
怖いです。

吉岡は頭を抱えたものの、自分が赤い服の女の後頭部を掴んでバケツに突っ込んでいるフラッシュバックを見ました。
その後、吉岡は自分の記憶に自身が無くなったので、春江の膝に甘えながら「最近、俺なんかしたっけ」と聞いたのですが、春江は「そんなことは今の私達にはどうでもいいでしょ。昔の事は全部幻。人を惑わせるだけ」と返答しました。

ベンチャー企業の社長・小野田(野村宏伸)は部下で不倫相手の美由紀(奥貫薫)を呼び出し「妻と別れる」と宣言し、業務後に会う約束をします。
地震のような物に遭遇した美由紀は湾岸に海水をポリタンクに汲みに行き、職場の浴槽を海水で満たしました。
そして美由紀は業務後に、二人の将来を語る小野田の頭を鈍器で何度も殴りつけ、浴槽に浸けて殺害したのですが、彼女の背後には赤い服の女性がひっそりと立っていました。
宮地は小野田殺害現場に駆け付けるのですが、吉岡には電話が通じず連絡が取れないということでした。

その頃、吉岡は署の資料室で調べものをしており、過去にフェリーから見えた黒い建物が脳の療養所で、言うことを聞かない患者には海水を張った洗面器に顔を突っ込むという体罰が行われていたと耳にしました。
小野田殺害の容疑者は挙っていない事もあり、勝手な行動ばかりしている吉岡の姿を見咎めた宮地は「お前、夕べどこに居た?」と疑いを抱くようになります。
しかし、間もなく現場から逃走する美由紀の目撃情報が寄せられ、また、遺体安置所の赤い服の女は両親が捜索願いを出したそうで身元が判明したそうです。

宮地と共に八王子の柴田家を訪ねたのですが、殺害された礼子にお金をせびりに来るという婚約者が丁度家に来ていました。
吉岡はその男・市川が逃走しようとしたので追跡し、飛び出して車に撥ねられて軽傷を負った市川を連行しました。
市川は礼子殺害を自供し、コートのボタンや黄色いコードは彼の所持品でした。
遺骨は両親に引き取られ、事件は落着しました。

感想

これはなかなか面白いです。
刑事が女性を殺した犯人ではないかとハラハラする内容なのですが、なぜかそれに幽霊が絡みます。
冒頭で吉岡らしき人物が映るので、観ているこちらは彼が犯人だと思ってしまうのです。
大筋は理解できたのですが、赤い服の女と春江の因果関係が良く分かりませんでした。
何となく無関心ダメだとか自己反省大事だとかいうことは分かったのですが、結末も良く分かりませんでした。
素直に受け取ると終末エンドなのですが。

所々で映像は上手いので流石だと思いました。
赤い服の女も地味に怖かったので良かったのですが、空飛んだのはウケました。

女優さんは美人ばかり出てました。
春江も赤い服の女の美人なのですが、地味に美由紀の人も美人ですよね。
後は宮地も良かったですが、高木はなんだか役が合ってなかった気がしました。

なんだか良く分かりませんでしたが、面白いとは思いました。

ラストまでのあらすじ

しかし帰宅した吉岡を待っていたのは玄関でシクシクと泣く赤い服の女でした。
吉岡は「もう十分だろ!恨むなら市川を恨めよ。」と叫ぶのですが、どうやら彼女は礼子では無かったようです。
そして吉岡は通勤中のフェリーの上から黒い建物の窓に佇む赤い服の女の姿を目撃していたことをフラッシュバックのように思い出します。
彼女は「誰も私を助けてくれなかった。何年も助けを待ち続けて死んだ」と訴えるのでした。
逆恨みだと思います。

そして彼女はいつもの物凄い叫び声を上げ始めたので、吉岡は頭が割れそうになってしまいます。
思わず家から逃げ出した吉岡を追って来た女は吉岡を追い越して団地の階段の踊り場から舞い上がり、そのまま彼方へと飛び去りました。
このシーンはちょっとびっくりしてしまいました。スーパーマンかよって思いました。
その後、市川も佐久間も吉岡と同じフェリーを利用したことがあると発覚しました。
吉岡は鴉が沢山飛んでいる不気味な色の空を眺めながら、春江に電話し、「何かが起きてるから、ここを離れて遠くに行こう」と電話しました。

道路には不気味な血管のような形の泥に囲まれた水溜りがあったのですが、吉岡はそこで美由紀と出会いました。
吉岡が美由紀を捕まえて赤い服の女の事を尋ねると、彼女は赤い服の女は「誰も私に気付かずに忘れ去られる。」と孤独を訴えていたそうです。
そして美由紀は「全てを無し」にしたいと思い、小野田を殺害したと動機を語りましたが、彼女も佐久間と同じように何か見えないものを見て怯えていました。
吉岡は思わず彼女の頭を掴んで水溜りに押えこんでおり、我に返ると「早く行け」と叫んで美由紀を逃がしました。
どうやら赤い服の女の女が殺人をさせるようなのです。

吉岡は高木に女の件を相談し、高木は「夢が伝染して…」のような仮説を呟くのですが、「ありえない」と動揺して否定し始め、吉岡に「もう来ないでくれ。自分で解決しろ」と告げて追い帰しました。
この狼狽振りだと高木も何か見ているのでしょうか?
吉岡は春江と遠くへ行くことにしたのですが、駅で彼女だけ送り出し「後から追い付くから先に行ってくれ」と言い、自分は停泊していた作業船に作業員に声を掛けて乗り込みました。
彼は作業員に頼み、あの黒い建物の近くに船を着けて貰いました。

吉岡が建物に入ると中には海水を張った洗面器があり、二階の窓辺にはこちらに背を向けて赤い服の女が佇んでいました。
彼女は「やっと来てくれたのね。あなただけ許します」と言って消えました。
吉岡の足元には白骨死体があり、どうやら赤い服の女のものだったようです。
帰宅して一息入れていた吉岡は自分の部屋にポリタンクがあるのを発見したのですが、それと同時に洗面器に顔を突っ込んで死亡している春江らしき白骨死体を発見しました。

そこに春江が現れたので、吉岡は「これは、俺がやったのか?」と尋ね、「そんなこともうどうでもいいじゃない」と返されます。
吉岡は自分が半年前に春江を殺害したことを思い出したのですが、春江は彼を恨んではいないそうです。
彼は拳銃で自殺しようとするのですが、春江はそれを止め、幽霊モードになって「それじゃあたし行くから」と消えようとしました。
吉岡は慌てて春江を抱きしめて「やり直させてくれ」と頼み込むのですが、そこにはやや狂気の表情を浮かべて空気を女のように抱きしめている吉岡の姿があるだけでした。

我に返った吉岡は消えた春江に未練がましく「もう一度だけやり直させてくれ」と呼び掛けるのですが、春江はもう二度と現れませんでした。
吉岡は鞄に春江の骨を詰めて出て行ったようで、入れ替わりに宮地が彼の家に入って来ました。
宮地は何やら吉岡のバッグ等を家探ししていたのですが、窓の外には彼を見つめる赤い服の女がいました。
彼は春江殺害の洗面器に気付き近づくのですが、地震が起き、洗面器に張った水が波打ちます。
そして洗面器を覗き込んだ宮地の上から赤い服の女が背中を押すように落ちて来て、彼もろとも洗面器の中に消えました。
ちょっとウケました。

吉岡は春江の白骨を詰めた鞄に赤い服の女の白骨を詰めるのですが、背後では赤い服が揺らめき、「わたしは死んだ。だからみんなも死んでください」という女の声が響きます。
吉岡が終末感漂う人気無い町を歩いている間にも女の声はこだまし、春江が声にならない叫び声を上げていました。

エンドロールで終了です。

全体的に良く分からない部分がありました。
てっきり赤い服の女の所為で吉岡が春江を殺害したと思っていたのですが、それだと時間軸が合わないような気がします。
なので春江が殺されたのは事件が起こる随分前だと思うのですが、赤い服の女が復活するトリガーが良く分かりませんでした。地震でしょうか?
春江の殺害の件があったので、吉岡が最初の事件に良心の呵責を感じていた事は分かりましたが、もしかしてそれがトリガー?
結末も良く分かりませんでした。
赤い服の女がターゲットを自分の存在に気付いていた人間以外に絞ったということは理解できたのですが、いきなり町の人気が無くなって、新聞紙転がってます。
最後の春江の叫びもイマイチ良く分からないです。
私は春江は幽霊では無く、吉岡の幻覚だったのではないかと思っているのですが。

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