電話ボックスで騒いでるだけなのに面白映画 フォーン・ブース

フォーン・ブース

電話出たらひどい目に遭う話

制作年 2002年
制作国 アメリカ
監督 ジョエル・シュマッカー
脚本 ラリー・コーエン
上映時間 81分
出演
コリン・ファレル
フォレスト・ウィテカー
ラダ・ミッチェル

だいたいのあらすじ

2002年当時のニューヨークの人口はおよそ800万人で周辺都市を合わせると1200万人だそうです。
電話回線は1000万で電話会社は50以上、携帯電話は300万人に普及していましたが、多くの人が公衆電話を利用しているということです。
8番街53丁目に1台設置された公衆電話は明日取り壊される予定だそうで、この公衆電話が映画の舞台となります。

スチュ(コリン・ファレル)はNYで宣伝マンという謎の職業をを名乗り、助手のアダムを伴って複数の携帯を手に忙しそうに通りを歩いていました。
宣伝マンというのは要するに各種メディアに店やタレントの売り込みをする仕事のようです。
そして彼は助手と別れて53丁目にある公衆電話ボックスに飛び込んだのですが、なぜかそこにピザが届きました。
スチュはピザを受け取らずに配達人に5ドル渡して追い払いました。

スチュは女優志望のパム(ケイティ・ホームズ)に電話を架け、何もしていないのに売り込んだと嘘を並べて報告してホテルに呼び出そうとしますが、「これから稽古が…」と断れました。
仕方なく電話を切ってボックスからボックスから出ようとした瞬間に電話が鳴り、スチュが反射的に出ると「君は私を怒らせた」と男の声が告げました。
ピザを届けたのもその男だったようで、男は何処かの窓からスチュを監視しているそうです。
男はスチュの事を何でも知っており、「脅迫か?」と察したスチュが「お前を逆に潰す」的な事を豪語すると男は「お前の妻に架ける」と言って切りました。

再び電話が鳴ったのでスチュが男の目的を尋ねると、自分は元役者で仕事が全然ないと訴えました。
スチュが「オーディションを受けさせてやる」といい加減な事を言うと「パムに架けろ」と指示され、拒否すると男がスピーカーフォンにして彼女に電話を架けました。
男はパムにスチュには妻が居り、君の身体が目当てで、奴には何の力もなく誰も有名にしていないとバラして切りました。
スチュは全て図星だったので「俺あんたに何かしたか?」と泣きつき、男は「短縮1番で妻のケリーに電話して裏切った事を謝罪しろ」と指示しました。

そんなやりとりを続けていると通りの外には娼婦が現れて「いつまで架けてんだ」とボックスのドアを叩き、スチュは汚い言葉で彼女を追い払います。
スチュは携帯で妻ケリー(ラダ・ミッチェル)に電話し、「さっき知らない男から電話があって、あなたがボックスから架けて来ると言われた」と知らされます。
外では先ほどの娼婦が仲間を連れて来て騒いでいるのでその声がケリーに筒抜けで、男は「他の女と寝たいと言え」とスチュに要求します。
この映画は状況に応じて画面が何分割かに分かれるのですが、これがなかなか効果的で状況を把握しやすく、「あっ、あの人近づいて来てる」みたいにハラハラして面白いです。

スチュは男に怒鳴りつけたり娼婦を追い払ったりでケリーに言う事が支離滅裂になったのですが、兎に角「男の言いう事は信じるな!」と伝えて携帯電話を切り、娼婦を罵って追い払いました。
男は「ライフルで狙っているからボックスから出たら殺す」と脅し、ボルトアクション音を聞かせました。
そして黒人が路上で売っていた歩くロボの玩具がボックスの手前まで歩いて来ていたので、男は正確にそれを撃ち抜き、ハッタリでは無いことを証明します。
路上の黒人が「壊しやがって」と怒鳴り込んできたのでスチュはお金を払って追い払い、男との交渉に専念します。
そして男はスチュにレーザーサイトを当て、それを認識させました。

男は何人か殺害した事を匂わせ、スチュは心底恐ろしくなるのですが、そこに娼婦に頼まれた用心棒っぽい男・レオンが「ボックスから失せろ」とスチュを追い払いに来ました。
しかし命が懸っているスチュは「切れない」と拒否しレオンに120ドル渡して追い払おうとします。
レオンがお金を受け取ったのを見て娼婦達はブーブー騒ぎ、レオンは「無期限に使うなら500寄越せ」とボックスを叩きます。
スチュの態度にブチ切れたレオンはバットを持ち出し、娼婦たちははやし立て、男は電話口で「何とかしてやろうか?」と呼び掛けます。

とうとうレオンはボックスのガラスを割ってスチュを掴み出そうとし、スチュは「助けが欲しいか?聞いてるか?」という男の声に「YES!」と返答してしまいました。
直後に男がレオンの首の後ろを狙撃し、レオンが倒れると路上は大騒ぎになります。
娼婦達は「あいつが銃で撃った」と大騒ぎし、スチュは動けず、男は「お前が傲慢だからこうなった。相手に敬意を払え」と忠告しました。
確かにスチュはいつも上から目線です。
スチュはこっそり携帯で911に電話し、「ライフルで狙う」等の単語を入れて男と会話しつつ危機を知らせようとしたのですが、伝わるはずも無く切られてしまい、男からは耳元を掠めるように狙撃され「悪だくみをするな」と警告されました。

やがてボックスの周りはパトカーで囲まれ、スチュは銃を突き付けられて包囲されました。
警官が来ても男は動じるどころか状況を楽しみ、投降を呼びかける警官に対してスチュは「忙しいから後にしろ」と返答し、自分は武器を持っていないアピールをするのがやっとでした。
スチュは男がベトナム帰還兵を匂わせたので、話を合わせて褒めたたえ説得しようとしたのですが、男は嘘を吐いてスチュを揶揄っているだけでした。
警官隊の指揮官であるレイミー警部(フォレスト・ウィテカー)は交渉係の到着を待たずにスチュと対話することにしました。

スチュはレイミーに銃は持っていないと訴えるのですが信じては貰えず、誰と通話しているか聞かれたので精神科医だと答えます。
レイミーは自分もストレスで家庭を失ったので気持ちはわかると呼び掛け、スチュは男の指示とアドリブを混ぜながらレイミーとやり取りします。
男は「女房を性的に満足させられなかったのか聞け。聞かないと二人共殺す」とスチュを脅したので、スチュは相手を侮辱する質問をさせられます。
レイミーは絶句して弁護士を呼んでやると告げ、彼の部下はスチュの態度に怒ります。

レイミー達はスチュの通話相手を特定しようとし、間もなくローカル局もやって来ました。
男は「全くコネの無いお前と違い、お前を有名人にしてやった」とスチュをおちょくりますが、TV局が来た事は警官隊には撃たれる確率が減るのでスチュにとっては悪いことだけではなさそうです。
スチュは「本を出版すればヒーロー」等と男をおだてる作戦に出るのですが、通用する相手ではありませんでした。
スチュはハッタリだけで生きてるみたいなので、持ち味を活かせないのは辛いですね。

今度はスチュのポッケの携帯が鳴ったのですが、銃を取りだすと誤解されて撃たれる可能性があるので出られません。
男によればケリーからの電話だそうで、「今こそ電話に出てケリーに謝罪しろ」とスチュに命じます。
しかしケリーが警官隊を話しているのを見てスチュは「妻じゃなくてあんたが架けてるだろ」と見破りました。
ケリーはレイミーに「私に男から電話があった後におかしくなった」と証言し、精神科医に通っている件も否定し、夫は無実だと主張したのですが、レイミーは「彼が銃を持っているという証言が多数ある」と跳ねのけます。

レイミーから説得するように依頼されたケリーはスチュに呼びかけるのですが、男に妻を認識させたくないスチュは「それは妻じゃなくてイカれた女優だ」と否定して追い払います。
しかし男はそんなスチュを見て楽しそうに笑い、スチュは弱点が増えて絶望します。
一方、電話が盗聴も逆探知も出来ないと知ったレイミーは何かこの事件は様子がおかしいと感じ始めます。
男はケリーに対して厭らしいことばかり言うので「もう相手にしない」と沈黙で答えたスチュでしたが、男はケリーに対するボルトアクション音で脅すのでした。

スチュは泣きそうになりながら「要求何よ。何でもするから」と懇願し、男は「ケリーに浮気の件を話せ」と返答し、それが済めば解放してやると約束しました。
仕方なくスチュは男が考えた台詞である「他の女に毎日電話した。ファックしたかった」をケリーに叫びました。
ケリーは夫が何を言い出したのか理解できない様子でしたが、「あなたが何をしても構わないからボックスから出て来て」と懇願しました。
ケリーはいい人でスチュにはもったいないですね。
それを見ていた男は「やっぱ気が変わったから解放すんの無し」と嘲笑し、スチュは「クソー」とブチ切れ、とうとう電話を切りました。

感想

これは面白いです。
軽くペテン師の男が骨太の男に電話ボックスから出ないように脅迫され、ひいひい言う話です。
全ての事情を知っているのはスチュと電話の男、そして視聴者だけで、スチュは男と警官の両方から狙われています。
その状況で上手く立ち回らなければならず、電話ボックスからも動けないという状況が面白いです。
テンポも良くてこの狭い一角で色んな事がポンポンと起こります。
ちょっと電話男は有能過ぎでるでしょと感じたのがツッコミ所でしょうか。

これって「他人の不幸は蜜の味」的な感覚に近いのかもしれないですね。
でもスチュは嫌な男なのですが、ケリーが来てからは段々彼の事が可哀想になって来ます。
最初は正直「ざまあ」と思ったんですが、ここまでやらなくてもいいんじゃないかな…となって来る感じです。
私達の視点は広くて電話の男目線に近いのですが、傍観者に過ぎない私は段々とその視点も辛く感じ、そのストレスもスリリングだと思えるようです。

この映画はやっぱりスチュの人の力が大きいと感じました。
開始三分で「こいつ嫌な男だな」と思わせ、段々と哀れっぽく見えてくる所が凄いです。
スチュはなんだかんだでたまに電話男に悪態を吐くので、反骨心があって偉いと思いました。
私なら完全に奴隷化しそうです。

演出も大げさでは無くて分かり易くて良いなあと思いました。
最初の方の画面分割も邪魔にならない範囲で上手く使ってあり、あるタイミングでピタッと止め、ポイントで復活させているのがキモを抑えている感じでした。
狙撃犯の移動シーンの分割だけはいらないような気がしましたが。

ケリーは良い役で私はファンなので嬉しかったです。
パムは可愛いのでちょっと可哀想。
レイミーの人は平静を装いながらも身内に苛立って怒鳴りつけるシーン等もありました。

ラストまでのあらすじ

公衆電話は鳴り続けたのですが、スチュはそれをガン無視して両手を上げて外に飛び出し、「投降する」とレイミー達に呼び掛けました。
駆け寄って来たケリーの頭にレーザーサイトが当たっているのを確認したスチュは「下がれ」と叫びました。
このままではケリーが危ないと「電話を取る!」とボックスに駆け戻り、それを見ていたレイミーは何か察したようで、部下に「撃つな」と命じてスチュに電話に出るよう指示しました。

スチュは男と通話を始め、レイミーはケリーをパトカーの中に保護し、部下に「ビルの中に狙撃犯が居る」と目立たないように捜索を命じました。
男は上を見るようにスチュに指示したのですが、そこには拳銃らしき物がありました。
スチュは「ライフルと拳銃じゃ弾が違うだろ」と視聴者の気持ちを代弁して突っ込んでくれたのですが、男は「潰れる弾使ってるから判別できないよ」と軽く返されました。
そしてスチュをあざ笑うように「劇場の4階のピンクのカーテンの部屋に居るよ」と居場所を伝えます。

外にはパムが現れ、男は「銃取らないとパム撃つ」とスチュを脅します。
止めてくれと懇願するスチュに「ケリーかパムかどっちか選べ」と男は要求し、泣きそうなスチュはしゃがみ込んで男の視界に入らないようにポッケから携帯を出してケリーを呼びます。
ケリーは携帯をレイミーに渡し、レイミーは会話の内容から狙撃犯が居ると確信しました。
レイミーはケリーの店にあった電話から男を割りだそうとし、犯人には悟られないよう行動しろと部下に釘を刺しました。

レイミーは型どおりの説得を行っている振りをしながらスチュに接近し、居ない弁護士を居るかのように扱う矛盾した会話の中に狙撃犯を指す「弁護士」という単語を混ぜて「狙撃犯の事は承知している」旨をスチュに対して匂わせました。
男は「銃を取って外に飛び出せ」とスチュに自殺を命じ、「それが嫌ならカメラの前で自分がどういう人間か告白しろ」と要求します。
スチュは外に向かって「自分が無益と思える人間には冷たく、若者達にはただ働きさせた。大ウソつきで嘘で固めた世界の大統領になるべきだ。」、「俺は上っ面だけで生きていて、結婚指輪を外してパムに電話した。」と叫びます。
そしてアダムに対しては「宣伝マンにはなるな」と呼び掛け、ケリーには「あれがパムだ」と指で示しました。

スチュはケリーに「君を見ていると自分が恥ずかしい。すっと嘘で固めて生きて来たから本当の自分を見せるのも恥ずかしい」と告白しました。
更に「君を愛してる。でももう何も言う資格はない」と告げて泣きだしました。
スチュには男が自分を解放するつもりは無いことは薄々わかっていたのですが、最後だと覚悟を決めてケリーに告白したのでした。
一方、警察ではケリーの店への電話がホテルの一室だと特定し、レイミーは「弁護士が来る」と叫んでスチュを励ましました。

緊張が少し解けたスチュはよせばいいのに「もう直ぐ警察が行くぞ。終わりだぞ」と男に知らせてしまいました。
男は「じゃあ道連れにケリーを殺す」と告げ、スチュは堪らず銃を手に大きく手を挙げて「俺を撃て」と叫びながら外に飛び出しました。
そして誰かが彼を狙撃し、スチュは倒れました。
警官がホテルの一室に突入すると犯人らしき男は喉を斬って自殺していました。

スチュを撃ったのは警察の狙撃班によるゴム弾だったので彼は無事で、駆けつけたケリーと抱き合いました。
レイミーは「よく頑張った」とスチュを褒め、犯人は死亡したのですが、顔を確認すると宅配ピザ屋でした。
救急車に乗せられたスチュが薬で意識を失いかけていると男(キーファー・サザーランド)が近づいて来て真犯人であることを匂わせ「君の誠実さが続くことを願う。続かなければまた電話する。」と告げて去りました。

男はライフルの入っているケースを手にゆっくりと引き揚げて行き、途中で電話ボックスを見てニヤリと笑いました。

結局犯人の目的は分かりませんでしたが、何となく自分が悪いと思って相手を成敗しているようです。
スチュは段々と合格点に近付いていたような気がしますが、最後に銃を手に飛び出して行ったのが決め手になって見逃して貰えたようです。
スッキリしない感じではありますが、これはこれで良かったような。
犯人の万能振りは一体何だったんでしょうか。
これ、中の人の逮捕歴の多さで犯人役に選ばれたんでしょうか。
特典はメイキングとか入ってました。

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