私も高所恐怖症直したいです めまい

めまい

高所恐怖症でひどい目に遭う話

制作年 1958年
制作国 アメリカ
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚本 アレック・コペル/サミュエル・テイラー
原作 ボワロー=ナルスジャック
上映時間 129分
出演
ジェームズ・ステュアート
キム・ノヴァク
バーバラ・ベル・ゲデス

だいたいのあらすじ

刑事のスコティ(ジェームズ・ステュアート)は高層ビルを逃走中の犯罪者を追跡中に足を滑らせ、目も眩むような高さのビルから落ちそうになり、両手で縁にぶら下がった状態となりました。
一緒に行動していた警察官が彼に手を伸ばしたのですが、彼は手を滑らせて落下してしまいました。
スコティは自力で這い上がったものの、この件は彼の心にトラウマとして残っていました。
いきなり怖くてこっちが眩暈します。カメラマンは怖くないんでしょうか?

スコティは背中の筋が伸びる怪我を負って高所恐怖症になってしまい、警察を退職して友人のデザイナー・ミッジ(バーバラ・ベル・ゲデス)の所に入り浸っていました。
ミッジ可愛いです。
二人は学生時代に3週間だけ婚約していたそうで、すっかり暇なおじさんになったスコティは「今夜呑みに行かない?」と誘ったのですが、「仕事だから」と断れてしまいました。
医師によれば高所恐怖症は同じショックを受けないと治らないそうですが、スコティは克服してやる!と意気込んでいました。
少しずつ慣らせば克服できる筈と考えてミッジに踏み台を準備して貰ったのですが、ふとビルの下の景色が目に入り、スコティは眩暈を起こして倒れてしまいました。

その後、スコティは電話で呼び出されていたので旧友のエルスター(トム・ヘルモア)を訪ねます。
彼は造船業で財を成しているようでしたが、妻を監視してくれないかと依頼されます。
エルスターは何やら死者が妻に憑依したような事を言っているのですが、妻が突然夢遊病のように彷徨ったり、話をしていても無応答だったりするそうです。
更にその間の記憶がないということなので、エルスターは妻を精神科医に診せる前に状況を確認したいということでした。
スコティは私立探偵を紹介しようとしたのですが、「君に頼みたい」と強く懇願されたので仕方なく様子見で引き受けました。

翌日からエルスターの妻マデリン(キム・ノヴァク)を監視することにし、スコティが家の前で張っていると彼女は高級車で家を出て来ました。
マデリンは花屋でブーケを買ってから教会に入って行ったのですが、「カルロッタ・バルデス」なる1857年に没した人物の墓前に佇んでいました。
その後、マデリンは美術館に入り、美人女性の肖像画の前に座って、その肖像画をひたすら眺めていました。
係員によれば、その絵は「カルロッタの肖像」だそうで、マデリンの髪型と持つブーケは肖像画の女性のものにそっくりでした。

暫くしてマデリンは出発し、今度は歴史がありそうな洋館のホテルに入って行きました。
スコティが通りから覗いてみると彼女は部屋を取ったのか、二階の部屋の窓を開けて上着を脱いでいました。
支配人に警察の身分証をチラつかせて話をきいてみるとマデリンはカルロッタ・バルデスを名乗ってここに2週間ほど滞在しているそうですが、不思議な事に「今日は来ていない」と言われ、確かに部屋の鍵もフロントにありました。
支配人に確認して貰い部屋を見たのですが、確かに誰も居らず、窓から覗くとマデリンの車も消えており、スコティは狐につままれたような気分になりました。

仕方なくエルスターの家に戻ると、家の駐車場にはマデリンの車が停まっていましたが、運転席には確かにあのブーケがありました。
スコティはミッジの所に行き、藪から棒に「シスコの歴史の権威知らない?」と尋ねました。
簡単に目的を聞いたミッジは「そういうことなら古書屋のポップが詳しいよ」と教えてくれたので、彼女に案内してもらうことにしました。

ポップ(コンスタンティン・シャイン)はあのホテルは元々カルロッタの家で富豪が彼女にプレゼントしたと教えてくれました。
富豪はキャバ嬢だったカルロッタを家で囲い子供もできたのですが、後に彼女は捨てられ、本妻との間に子供が居なかった富豪は子供を取り上げたそうです。
カルロッタは悲しみの余りに発狂したのか、ボロボロの服で通りに出ては「私の子供は何処ですか?」と尋ねて回るようになり、その後自殺したということでした。
帰り道にミッジが「何調べてんの?」と興味津々だったので、スコティは関係者の実名等はぼかして説明したのですが、以前にエルスターの話をしていたので、殆どバレてしまいました。

ここまでの状況をエルスターに報告するとカルロッタはマデリンの曾祖母であり、マデリンは形見の宝石も所持していると判明しました。
なあんだそういうことか!と納得したスコティでしたが、エルスターはマデリンはカルロッタの事は知らないと言い張るのです。
エルスターはカルロッタがマデリンに憑依したと考えているようで、カルロッタは錯乱状態で自殺したので、それがマデリンに起こるかもと不安を感じているようです。

その後も尾行を続けるスコティでしたが、ある日マデリンはいつものお墓から美術館コースの後に金門橋の下に車を停めました。
海辺の道路を走るシーンの風景の美しさに感動しました。
マデリンはブーケを千切って湾内に投げ入れていたのですが、何を想ったか突然湾内に飛び込んでしまいました。
スコティは慌てて湾内に飛び込み、彼女を救い出し、意識が無い彼女を自分の家へと運びました。
ベッドに寝かせたマデリンは「私の子供は…」等と恐ろしい寝言を言っていたのですが、スコティに架って来た電話の音で目覚めました。
全裸だし何がなんだか分からないという感じのマデリンにスコティはガウンを差し出しました。
私なら絶叫しますがマデリンは落ち着いてます。

マデリンには全く記憶が無かったので、スコティは暖炉の側に誘導しつつ、サンフランシスコ湾に落ちた件を説明し、彼女は礼を言いました。
彼女は橋の下に行った事は覚えていましたが、美術館は車で通るだけで中は見たことが無いと言いました。
マデリンはなぜここに居るのかと質問したので、家が分からなかったからとスコティは返答し、車は下に運んでおいたと伝えました。
その後はお互いに自己紹介して、マデリンは自分が人妻であると打ち明けた所でエルスターから電話がありました。
スコティが彼女に悟られないように手短に事情を説明している間にマデリンは部屋を出て行きました。

エルスターによればカルロッタが自殺したのはマデリンと同じ26歳だったそうで、その符号も気になっているそうです。
スコティの家の下から車で出て行くマデリンの姿を目撃したミッジはニヤニヤしていたのですが、若干ジェラシーな表情を浮かべて去りました。
翌日、スコティが尾行しているとマデリンは彼の家のポストに手紙を投函していました。
スコティが話し掛けると昨日のお詫びの手紙だということだそうです。
彼はマデリンの美しさに魅かれ始めたようで、ブラブラするなら一緒にと同行を申し出ました。

一緒にメタセコイヤの木を眺めていたらマデリンはカルロ―タモードになっておかしくなります。
正気に戻ったマデリンを海岸に連れて行き事情を聞くと、時々記憶を失うそうで、最近だと鐘楼と塔のあるスペインの村のようなものを見たそうです。
怯えるマデリンを抱きしめるスコティでしたが、とうとう二人はザバーンと打ち寄せる波を背景に熱烈なキスを交わしてしまいました。
このシーン松竹みたいなんですが、位置的に無理あると思います。

ミッジはスコティを手紙で呼び出し、カルロ―タに似せた自分の肖像画を見せたのですが、ドン引きしたスコティはすぐに引き揚げました。
その夜、マデリンがまたあの鐘楼のある建物の夢を見たと怯えながら訪ねて来て景色の詳細を語りました。
スコティはそれを聞き、その場所は修道院だと思い当たります。
マデリンはその場所に行った事があるはずで、その場所に行けばきっと恐怖も消えると考えたスコティは彼女を説得して、翌日その修道院を一緒に訪ねることにしました。

修道院に着いたスコティは早速マデリンに「君が夢で見た景色はこれなんだ。現実に見た景色と混同してるだけなんだ」と説明し、「君の力になりたい」と彼女を抱きしめます。
マデリンは「やることがある」と彼を引き剥がし、尚も「恋をしてしまった」としつこいので引き剥がして「こんな関係になってはいけない」と告げて去ろうとします。
スコティの余りのしつこさにマデリンは「私を失えば私を愛していた事がわかる。私も愛してる」と自分からキスをして彼を押し留め、教会へ近づいて塔を駆け上がり始めました。

慌ててマデリンの後を追うスコティでしたが、高所恐怖症の彼には塔を上がる事は出来ず、途中でめまいに襲われます。
マデリンは塔の上から飛び降り、下の屋根に叩きつけられて死亡しました。
スコティはショックでその場から立ち去り、一時記憶障害に陥りました。
その後、マデリンの死に関する簡易法廷が開かれましたが、エルスターや周囲の証言からスコティやエルスターが疑われる事は無く、間違いなく自殺であると結論が出ました。
エルスターは町を出て行くそうで、「巻き込んで悪かった」とスコティに詫びを入れましたが、マデリンを愛していたスコティはショックから立ち直る事が出来ませんでした。

スコティはマデリンの持っていたブーケが散るのを皮切りにカルロ―タの墓穴を落ちてそのまま塔から落ちるという悪夢に襲われました。
生首ショットちょっとウケました。

感想

これはなかなか面白いです。
高所恐怖症の元刑事が霊に憑依された人妻を助けるという内容です。
他人の弱点を利用してアリバイ作りにするというアイディアが面白いと思いました。
高い所に行くと床がグラングランと迫って来るショットがトレードマークのようです。
冒頭でエルスターがスコティに語っていた内容も軽い伏線だったようです。

テンポは悪くないと思いますが、後半の展開がちょっと退屈に感じられて長い印象です。
例のスコティがジュディをいじる辺りの一連の流れで、必要な場面だったとは思いますが、私には若干退屈でした。
ミッジとか扱いが悪くて、後半でいなくなってました。
ちょっとしか出てないポップさんとかも居て殆どスコティとマデリンで進行する映画です。

この映画で一番感動したのは景色で、海岸付近の風景等が美しく描かれていました。
あと、カルロッタの肖像画も美しかったと思いました。
マデリンの人は二役演じてますが、しっかり別人に見える所は凄いなあと思いました。
前半と後半のスコティのギャップもなかなか面白いです。
この人は二枚目というより二枚目半くらいの感じだと思われますが、ヒッチコック映画って二枚目半の人が出てる映画の方が面白いような。

ラストまでのあらすじ

ミッジは軽く廃人のようになってしまい、精神病院に入院したスコティの面会に行き、色々と励ますのですが、心ここにあらずという様子の彼には届きませんでした。
医師の話ではスコティの回復には半年から1年位かかるそうで、彼は一言も発しなくなっていました。
ミッジは肩の辺りに胸当ててる気がするのですが、無反応でした。
その後退院したスコティは初めてマデリンに出会ったレストラン、美術館や花屋を巡って彼女の事を偲びます。
ある日彼は街角でマデリンに瓜二つの女性を発見して尾行しました。

スコティは彼女が滞在しているホテルの部屋をノックし、叩き出されそうになったのですが、「話を聞かせてくれ」と食い下がりました。
彼女の名はジュディ・バートン(キム・ノヴァク)で、このホテルには3年住んでいるそうです。
確かにジュディはマデリンとそっくりでしたが、髪型や化粧、振る舞いは全く異なるものでした。
哀しそうな表情をしているスコティを見てジュディは軽く同情し、食事に誘われたのでOKしました。
1時間後に迎えに来ると去って行ったスコティを見送り、ジュディは顔を曇らせます。
実は彼女はエルスターと凶暴し、マデリンを殺害する手助けをしていたのでした。

エルスターはスコティにカルロッタの件を吹き込み、マデリンの様子がおかしいと思いこませていたのですが、実はスコティが会っていたマデリンはジュディでした。
塔を駆け上がったのはジュディで、エルスターは塔の上でマデリンを突き落とし、高所恐怖症で追って来られないスチュを自殺の証言者として利用したのでした。
ジュディはその旨を書置きとして残し、荷物を纏めて町を出ようとしましたが、思いとどまって書置きを破きました。
彼女もまたスコティと何度か会う内に彼の事を愛してしまっていたのです。

そういう訳なのでスコティとレストランで食事をしたジュディは彼がマデリンが来ていたグレーのスーツっぽい衣装の女性を発見するとそちらに目を向けるのを見て悲しい想いをしていました。
食事が終わってジュディをホテルまで送ったスコティは明日の朝も会えないかと言い出し、ジュディは仕事を休み、渋々それに応じてしまいました。

スコティはジュディにマデリンそっくりのスーツや靴を買い与え、着せようとしました。
それはマデリンでは無く自分として愛して欲しいジュディには辛いことで、彼女の古傷を抉る事だったのですが、スコティは「僕のために頼む」と懇願するので、ジュディはそれを受け入れてしまいました。
また、彼女自身もスコティの側に居られることは幸せな事だったのです。
スコティの要求は止まるところを知らず、とうとう髪の色や化粧もマデリンそっくりに矯正されますが、「私を愛してくれるなら」と仕方なくジュディは受け入れるのでした。
これ普通は許容できないですよね。ショートにしろだのロングにしろだの言われると「お前の髪の毛は伸縮自在なのかよ!」って言い返したくなります。

そして完成したのはどう見てもマデリンというジュディの姿でした。
どう見てもマデリンなのですが、しっかり別人に見える所が凄いと思いました。
ということでスコティは安心してジュディとHするのでした。
しかし偽りの幸福が続く訳も無く、ある晩にジュディはうっかりカルロッタのネックレスを装着してしまいました。
スコティはその瞬間に悟った事があり、できるだけ表情には出さないように「岬までドライブしよう」とジュディを誘いました。

スコティは過去に戻るためだと言い、ジュディをあの修道院へ連れて行きました。
彼は嫌がる彼女を無理矢理に塔へと引っ張って行き、「マデリンの役をやれ」と階段を上がらせました。
事件があった修道院に夜でも自由に出入りできるのはちょっとおかしいですよね。
ジュディの後を追うスコティは何度か眩暈に襲われますが、更に上へと上がって行き、とうとう彼女の正体を暴きました。
彼女は怯えながら自分が偽物であった事を認め、マデリンは既に首の骨を折られていた状態で投げられた
と白状しました。
怒りのスコティに問い詰められた彼女はエルスターが彼の高所恐怖症を利用していた件も白状しました。

とうとうスコティは高所恐怖症を克服し、ジュディを連れて更に上へと向かいます。
そしてとうとう塔のてっぺんの鐘楼に着き、ジュディに「マデリンを殺して何を得た!お前はエルスターの女なのか!」と怒鳴りつけました。
彼女はお金を受け取った事を認めつつも「私があなたと再会した時に逃げなかったのは愛していたから」と告白しました。
ジュディは「私を愛して」とスコティに抱き着いてキスをしたのですが、こちらに迫る人影を見て怯え、そのまま飛び降りてしまいました。

現れた人影は修道女で、ジュディを見て胸の前で十字を切って鐘を突きました。
スコティは塔の上からジュディを呆然と見下ろすことしかできませんでした。

エンドロールで終了です。

特典はメイキングドキュメンタリーとか入ってました。