口減らしの話 鬼畜

鬼畜

弟はきっと星になったんだ

制作年 1978年
制作国 日本
監督 野村芳太郎
脚本 井手雅人
原作 松本清張
上映時間 110分
出演
緒形拳
岩下志麻
蟹江敬三

だいたいのあらすじ

暑い夏のある日、切羽詰まった様子の菊代(小川真由美)は利一、良子を連れ、幼い庄二をおんぶして寄居の男衾駅から電車に乗り、川越市駅に到着しました。
菊代が向かったのは竹下印刷という小さな会社だったのですが、建物の半分が焼け落ちており、それを見た彼女は愕然としました。
菊代は放心したように駅近くのラーメン屋で三人の子と昼食を採り、夜になってから竹下印刷を訪ねました。

印刷所では従業員の阿久津(蟹江敬三)が帰ろうとしている所でお梅(岩下志麻)が片付けをしていました。
菊代はお梅の夫でここの経営者である宗吉(緒形拳)が出て来るのを見て、外へと連れ出しました。
実は菊代は宗吉の妾で三人の子は宗吉の子でした。
ずっと生活費が貰えないので困窮した菊代は取り立てに来たのですが、騒ぎを聞いたお梅は「中に入りな」と菊代達を招き入れます。

菊代は自分が7年間妾であると挨拶し、怒りのお梅は宗吉に「ちゃんと説明しろ」と怒鳴ります。
そもそも二人の仲は馴染みの料亭の女中をしていた菊代を宗吉が押し倒したのが事の発端でした。
菊代はその際に「ちゃんと面倒見てくれる?」と確認し、宗吉が「任せろ」と言ったので身を任せていました。
この人もあざといですよね。
やることをやっていたので利一が出来、宗吉は家を借りて菊代を囲う事にしました。
というのが経緯で、菊代が受け取っていた生活費はカツカツだったらしく、とうとうそれさえ貰えなくなったので受け取りに来たと説明しました。

お梅はイライラした様子で団扇を仰ぎ、宗吉が菊代に責められるのを聞いていましたが、立ち上がると宗吉をビンタし「こんな女に言わせっぱなしで恥ずかしくないのか!大体三人共お前の子なのか!」と全方位に喧嘩を売ります。
菊代とお梅は言い争いになり、宗吉はおろおろして「俺の子だよ」と言い、良子は「帰りたい」と泣きだして大変な騒ぎになります。
奥さん怖いです。二人共美人なのですが、タイプが全然違うという。
最終的に菊代は「もう別れる。子供三人抱えて働きにも出られないから責任取れ」と怒鳴り、お梅は「うちには余分なお金は一銭も無いからお前が何とかしな!」と宗吉に怒鳴り、さっさと布団を敷きました。

玄関に追いやられた菊代達の様子を見ようと宗吉が起き上がると、横に寝ていたお梅はカミソリで彼の首を軽く傷つけました。
菊代はとうとうブチ切れ「亭主は返してやるよ!その代わり子供は置いていくからな!」と利一達を置いて出て行ってしまいました。
宗吉は慌てて追い掛けたのですが、電車も動いておらず、菊代の姿は見当たりませんでした。
彼が家に戻るとお梅が般若の形相で子供達を照らして見ており、「あんたには似てない」と宗吉に言い放ちました。

翌日、宗吉は子供を連れて菊代の家を訪ねたのですが、菊代は既に家を引き払っていました。
宗吉は子供達を遊園地に連れて行き、「母ちゃんは遠くに行ったから父ちゃんの家で待とう」と話し、「おばちゃんが面倒見てくれるからいい子にしないとダメだ」と付け加えました。
ということで帰宅したのですが、お梅は「お前は騙されて他人の子を押し付けられたんだよ!」と宗吉にブチ切れ、「あたしは他人の子の面倒は見ないよ!」と予防線を張られます。

確かにこの印刷屋はお梅が朝から晩まで一生懸命に働いて仕事を取って来ているので成り立っており、宗吉はお飾りのようなものでした。
お梅は騒ぐ子供達を叱りつけ、利一の耳をつねって虐待したのですが、宗吉には子供を二階に逃がすしか出来ませんでした。
その後、宗吉は馴染みの銀行員・木村(大滝秀治)に融資の相談に行くのですが、断られてしまい、逆にお梅が行っているダンピング営業の事を問題だと指摘されてしまいました。

印刷所は取引先をどんどん失っており、そんな状況で食卓の醤油をどボドボとお椀に入れて炊飯器に流すという遊びをしていた庄二の姿を見てお梅はブチ切れます。
宗吉が帰宅するとお梅は「食べたきゃ食べろよ!」と怒鳴りながら炊飯器のご飯を庄二の口の周りに押し付けていました。
阿久津が見かねて止めに入り、宗吉に「しっかりしろよ」と一喝しました。
利一はそんなお梅に反抗的になり、ますます険悪になるのですが、宗吉は「おばちゃんに謝りなさい」しか言えないのでした。
確かに利一達もしつけが悪いです。

ある夜、宗吉は庄二が泡を噴いたと利一から知らされたのですが、お梅は「いっそ首でも絞めとけば」と言い放ちます。
次の日病院に連れて行くと庄二は慢性的な栄養不足で消化不良だと医師から言われてしまいました。
宗吉はおかゆを作って庄二に与え、仕事の合間に育児をするので精一杯となります。
お梅の虐待はエスカレートし、「頭が臭いんだよ」と良子に粉洗剤を浴びせたりするようになったのですが、宗吉は「おばちゃんの近くに行っちゃいけない」と言い聞かせることしかできませんでした。
印刷所ではとうとう阿久津が辞めると言い出して辞職することになりました。

菊代の引っ越し先が判明したので宗吉はそこに向かったのですが、菊代は既にそこも引き払っていました。
宗吉は仕方なく近所の人に連絡先を渡して引き揚げました。
その晩、宗吉が酔って帰宅するとお梅はまだ仕事をしており、二階に上がると庄二がグッタリして動かなくなっていました。
庄二は衰弱死しており、印刷用のシートを被っていたので、お梅が放置した線が濃厚でした。
宗吉から庄二の死を聞かされたお梅は「あいつら見てるとあの女を思い出して気が狂いそうになる」と叫んで激しくHを求めました。

ある日、利一が帰宅すると良子の姿が見当たらず、お梅は良子の所持品をゴミ箱に捨てていました。
その頃、宗吉は良子を新宿に連れ出しており、デパートの玩具売り場に置き去りにしようとしていたのですが、良子は何かを感じ取ったのか父親の下を離れようとしませんでした。
その後、宗吉は東京タワーに良子を連れて行き、良子に展望台で望遠鏡を覗かせている間に帰りのエレベーターに乗って置き去りにしました。
良子は宗吉の名も住所も言えないので、ほぼ戻って来ることは不可能でした。

タワーのエレベーターで逃げる際に振り返った良子と目が合った宗吉は罪悪感に押しつぶされそうになっていました。
利一に良子の行方を追及された宗吉は「他所に預かって貰った」と嘘を吐きました。
良子を置き去りにするのはお梅の案だったようで、お梅は「利一は何もかも知っている」と判断し、青酸カリを飲ませろと宗吉に迫ります。
やはり庄二はお梅がシートを被せて放置したようでしたが、「良子の事は知らない!お前一人でやったんだ!」と宗吉に責任を擦り付けました。

ある日、利一は見知らぬ人の連れ子の振りをして電車に無賃乗車し、男衾の家を訪ねたのですが、そこには違う家族が入居していました。
一方、利一が戻らないのでお梅と宗吉は庄二達の件をバラされるのではないかと狼狽していました。
やがて利一はパトカーに乗せられて印刷所に戻って来たのですが、警官(田中邦衛)は男衾付近で保護したと説明しました。
お梅と宗吉は利一は良子のように置き去りにはできないと再認識しました。

ある日、宗吉は利一を上野動物園に連れ出し、パンに青酸カリを混ぜて殺害しようとしました。
しかし苦いと言って拒絶され、失敗に終わり、利一の口に無理矢理パンを詰め込もうとしていた宗吉はドン引きする通行人を見て我に返り、その場で泣き崩れるのでした。

感想

これは普通です。
お妾さんの子が家に来て大変だという内容です。
遣り切れない系の話なのですが、軽くホラーです。
前半は宗吉の優柔不断振りにイラッと来るのですが、後半になると宗吉ヤバいです。

主要人物全員鬼畜で、まともなのは阿久津さん位です。
特にヤバいのはお梅で、悪いのは宗吉だと思うのですが、怒りを子供にぶつけてます。
観ていて嫌な気持ちになりましたが、貧乏がいけないのかなんなのか。

ラストまでのあらすじ

帰宅した宗吉にお梅は「落ちると死体が発見されない崖」の話をし、早く利一を始末しろと遠回しに要求しました。
翌日から宗吉は利一を新幹線に乗せて当てもない旅に出たのですが、出来るだけ遠くに行こうと考えている内に米原まで来ていました。
在来線を乗り継いで福井まで来た親子はバスに乗って東尋坊へ辿り着きました。

宗吉はこの地で利一を始末しようと考えたようでしたが、夕暮れの人気無い崖の上でも彼は利一の背を押すことはできませんでした。
再び列車に乗った親子は能登へと移動し、宿を取って宿泊しました。
その晩、宗吉は石版印刷の見習いに入った際の苦労話を延々としていました。
翌日の夕方、宗吉は遊び疲れて眠ってしまった利一を抱え、景勝地の崖の上から落としました。

利一は地元の漁師に救出されて無事だったのですが、住所や名前を聞かれても完全黙秘していました。
着ている服はあらかじめお梅がラベル等を剥がしていたのでメーカーも特定できませんでした。
警察では婦警(大竹しのぶ)を使って聞き出そうとしたり手を尽くしたのですが、利一は頑として宗吉の事は口を割りませんでした。
しかし利一がポケットに入れていた石が石版印刷の石版の破片だと判明し、警察はその線から捜査を進めます。

一方、印刷所では阿久津が退職して去っていました。
そして印刷所には刑事が現れ、宗吉は殺人未遂容疑で連行されました。
能登に連行された宗吉は利一と顔を合わせたのですが、利一は「父ちゃんじゃない。知らない人だ」と否定します。
宗吉は利一の前で「勘弁してくれ」と手を合わせ、泣き崩れるのでした。

利一はそのまま児相に引き取られ、彼を乗せた車が海岸線を走って行きました。

終了です。

恐らく利一は最後まで宗吉を庇ったのだと思いますが、「こんな奴父親じゃない」って意味もありそうです。

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