少女霊が頑張る話 ラブリーボーン

ラブリーボーン

死んでもひどい目に遭う話

制作年 2009年
制作国 アメリカ/イギリス/ニュージーランド
監督 ピーター・ジャクソン
脚本 フラン・ウォルシュ/フィリッパ・ボウエン/ピーター・ジャクソン
原作 アリス・シーボルド
上映時間 135分
出演
シアーシャ・ローナン
マーク・ウォールバーグ
レイチェル・ワイズ

だいたいのあらすじ

幼少期のスージー・サーモンはペンギンが住んでいるスノードームを眺めては「独りぼっちで可哀想」と考えている幼女でした。
そんな彼女をパパのジャック(マーク・ウォールバーグ)は「この子は完璧な世界に住んでいて寂しくないんだ。」と慰め、スノードームを振って「ほら、綺麗だろ」と示していました。
ジャックは妻のアビゲイル(レイチェル・ワイズ)との仲も円満でスージーにはリンジーという妹とバックリーという弟も出来、一家は幸せに暮らしていました。

スージー(シアーシャ・ローナン)は14歳になり、誕生日プレゼントにカメラを貰った彼女は写真を撮りまくるようになり、将来の夢は野生動物の写真家でした。
サーモン家の家の近所にはコナース家という農場があり、そこに大きな陥没穴が開いたので、住民は粗大ゴミ等を放り込んでいたのですが、コナース家にはスージーの同級生で霊感が強いと言われるルース(キャロリン・ダンド)という娘がいました。
ある日、スージーの弟のバックリーが呼吸困難で倒れたのでスージーは家の車を無免許運転して病院に運びました。
パパは長髪なのですが、やはり眉間に皺寄ってます。

バックリーはお陰で救われ、リンジー(ローズ・マクアイヴァー)も両親も大喜びで、アビゲイルの母である祖母のリン(スーザン・サランドン)は「お前は人の命を救ったから長生きできるだろう」と話していました。
しかしそれから間もない1973年12月6日にスージーは14歳で殺害されてこの世を去ることになりました。

そんなことは当然知らないスージーはシン・レイ(リース・リッチー)という男の子に夢中になったり、ジャックからボトルシップ作りを伝授されたりしていました。
また、スージーは写真を撮りまくり、与えられた24本のフィルムをあっと言う間に消費してしまい、現像代でサーモン家の家計を圧迫することになります。
その頃、サーモン家の近所の男ジョージ・ハーヴィ(スタンリー・トゥッチ)はスージーに目を付け、収穫後のトウモロコシ畑で何やら準備していました。
ハーヴイは庭でバラを育て、ドールハウス作りを趣味とする一見温厚な男で、近所付き合いも良好でした。

ある寒い朝、スージーはアビゲイルの手編みの帽子を嫌々被って登校し、学校ではオセロを鑑賞しました。
鑑賞会が終わるとスージーはレイから「今度の土曜日10時にモールでデートしよう」と誘われました!
その帰り道にトウモロコシ畑を通って近道していたスージーは風でプリントが飛ばされ、追い掛けているとハーヴィに遭遇しました。
ハーヴィはトウモロコシ畑の下に蝋燭や子供が喜びそうな物で装飾した地下室を作り、スージーに「見て行かないか」と声を掛けます。
つい誘いに乗ってしまったスージーはそのまま地下室に監禁されそうになるのですが、何とか逃げ出して家に向かって走りました。

風に飛ばされたプリントはルースが路上で拾い上げており、その際に凄い勢いで自分の横を駆け抜けていくスージーを目撃していました。
その頃、サーモン家ではスージーが帰宅しないので両親が心配しており、あちこちに連絡していました。
ジャックは居ても立っても居られず、スージーの写真を手に夜の町に飛び出し、通行人に「この子を見てませんか?」と呼び掛けます。
一方、スージーは走れど走れど家に辿り着けず、路上で必死の聞き込みを行うジョージの姿を目撃したものの、一瞬で消えてしまいました。

サーモン家にはフェナマン刑事(マイケル・インペリオリ)が来てスージーの失踪当時の服装等をアビゲイルに質問していました。
一方、スージーは霧に覆われて暗い路上を走り、家に飛び込んだのですが、家の中は暗くて誰もおらず、アビゲイルのフェナマンへの答弁だけが聞こえて来ました。
スージーは家の中に白い光を発している部屋を発見して入るのですが、そこではハーヴィが血まみれの身体を浴室で拭っていました。
どうやらスージーは畑で殺害されたようなのです。

警察の捜索により、トウモロコシ畑から血痕の付いたスージーの帽子が発見されました。
一方、ハーヴェイはスージーの荷物を焼却し、自分の衣服に付いた血液を漂白して徹底的に証拠隠滅を図っていました。
ハーヴェイの家にもフェナマン達が聞き込みに来たのですが、上手いこと居間にあったスージーのブレスレットを隠し、ドールハウスを披露したりしてやり過ごしました。
その後、ハーヴェイは色々な物が装飾してあるスージーのブレスレットから家の模型だけ外して湖に投げ捨てていました。

スージーは金色に輝く湿地帯の草原のような不思議な所に居たのですが、草原の中央にレイが佇む小屋を見付けて走り寄ります。
しかし急に深くなった湿地に脚を取られ、そのままダムの底に沈んだ家のような所に深く深く沈んで行きます。
ダムの底の家の前に寝そべったスージーは次の瞬間、レイが佇んでいた小屋の床に寝そべっており、そこにはレイが残していったスージーへの想いを語るクサい詩がありました。
そのメモはスージーが殺害される寸前に風に飛ばされたメモであり、精神を集中したスージーはモールで待ちぼうけしているレイの姿を見ることが出来ました。

レイはスージーが失踪したのは承知していましたが、モールには来たようで、そこにルースが現れて拾ったメモを彼に返していました。
ルースは自分がすれ違ったのはスージーの霊であると認識したようで、スージーは意外に近くにいるかもしれないとレイに話していました。
その様子を見ていたスージーは死後の世界の先輩っぽいホリー(ニッキ・スーフー)に生者の前に姿を出してはダメだと窘められていました。

ホリー曰くこの美しく幻想に満ちた場所は生と死の間の世界だそうで、彼女は金色に輝く草原の中央に立っている青々と葉を茂らせた巨木を指差し、「皆、あそこに行かなくてはならない」とスージーを導こうとします。
しかし心残りがあるスージーが「私は家に帰る」と拒否すると巨木は葉を鳥が羽ばたくように散らし、枯れ木になってしまいました。
スージーの心残りとは家族で、ジャックはスージーを失ったことで自分を責め、折角作ったボトルシップのコレクションを叩き割っていました。

ジャックが泣きながらボトルを割ると、スージーの世界の美しい海の上に浮かんだ巨大なボトルシップの瓶も割れるのですが、ジャックは最後にスージーと一緒に作ったボトルシップを見て我に返りました。
彼はそのボトルを通して向こうの世界にいるスージーを見つけたような気がし、スージーもそれを感じて手を伸ばしていました。
スージーは「完璧な世界」でホリーと共に雪遊びをしたり雑誌の表紙を飾ったりしており、ジャックはペンギンのスノードームを見てそれを想像しました。

そこにバックリーが現れて「スージーが部屋に入って来てほっぺにキスをした」と言ったので、ジャックは「パパも見た」と言って彼を抱きしめます。
そしてジャックは「月に一本!」と約束していたスージーのフィルムを約束通り一本ずつ現像することに決めました。
アビゲイルはそんなジャックを見て「今更約束なんて…」と心を痛めるのでした。
未だにスージーの遺体は発見されていませんでしたが、ジャックはスージーが誰かに殺害されたと考えており、「顔見知りだからついて行ったに違いない」とフェナマンに怪しいと思われる人物の名を上げ、「警察に任せろよ…」とドン引きされます。

事件からは11ヶ月が経過し、しょっちゅう「あいつは怪しい」とご近所さんの話をするジャックを見てアビゲイルは参っていました。
その件を何となく理解していたフェナマンはジャックに「警察もやることやってるし…、奥さんの事も考えれば」的なことを忠告しました。
ジャックは仕方なくリンを呼び寄せ、アビゲイルを元気づけてもらうことにしました。

リンは頼られたので張り切って家事をするようになったのですが、根っからの自由人でお酒とタバコ、メイクだけが生きがいの彼女に家事ができる筈も無く、家の中はカオスになりました。
しかし細かいことは気にせず明るい性格のリンは一応、子供達には受け入れられたようです。
ある日、リンジーは犬の散歩中に犬がやたらとハーヴィを見て吠えたので、「こいつ怪しい」と漠然と感じるようになりました。
結局、リンの存在はアビゲイルの救いには成らず、アビゲイルは限界が来て家を出て、カリフォルニアの農場でキツイ仕事をしながら離れて暮らすことになりました。

リンジーは彼氏ができ、スージーがしたことも無かったキスも経験しました。
尚、リンジーは成績優秀で学校の総代にも選ばれており、新聞記事の地方面を飾ったこともありました。
スージーは流れて行く時間の中で段々と変化していく家族を見守り、レイのことも見守っていました。
レイはスージーの事を想いながらもルースと一緒に過ごす時間が長くなっていました。

その後、ハーヴィはリンジーが自分の事を怪しんでいると気付き始め、再び殺人の衝動が彼の中で芽生え始めました。
一方、ジャックが毎月現像していたフィルムもとうとう最後の一本になりました。
プリントされた写真にはハーヴィの庭の薔薇を家族で眺めていた際のものがあったので、ジャックは仕事帰りにハーヴィの庭を訪ねます。
ジャックはそこで木の枝を集めて小屋のような物を作っているハーヴィと出会い、挨拶したのですが、スージーはジャックが何気なく手に取った枯れた薔薇の花を念動力で咲かせます。

ジャックはこれはスージーからの「お知らせ」でハーヴィはあの時に娘に目を付けたに違いないと漠然と勘付きます。
放心状態になったジャックを見て、ハーヴィはそそくさと家に入り戸締りしたのですが、ジャックは後を追い「娘に何をした!」とドアを叩いて叫ぶのでした。
ハーヴィの家のドアを壊したジャックはフェナマンに「いい加減にしなさい」とお灸を据えられ、ハーヴィが怪しいと感じていたリンジーが味方してくれたものの、「この件は忘れる」と告げました。
しかしジャックは追及を諦めた訳では無く、ハーヴィが家を出て行くのを見計らい、バックリーのバットを手に後を追いました。

その様子を見ていたスージーはホリーに「私は今まで人を憎んだ事は無かったけど、ハーヴィの事を憎んでいる」と吐露しました。
何もできない自分が辛いと感じているスージーを「あの男から解放されないと」と慰めるホリーでした。
一方、ジャックはハーヴィを追ってすっかり生い茂っているトウモロコシ畑の中に入り込んでいました。
スージーは「このままではジャックが殺人犯になる!」と必死で止めようと叫んだのですが、ジャックはハーヴィの罠にはまり、全く無関係のカップルの彼女に襲い掛かってしまいました。
そしてブチ切れた彼氏にボコボコにされ、バットで嫌というほど殴られて再起不能になってしまいました。
再起不能でも眉間に皺寄ってます。モブにやられるなんて…
こんなジャックの中の人の姿は見たくなかったです。

感想

これはなかなか面白いです。
殺人鬼に殺された少女が間の世界で色々する話です。
てっきり復讐かと思ったのですが、そんな事は無かったです。
尤もスージー達は殺人犯を憎いと思っても何も出来ないようです。
そういう訳なので、かなりファンタジーな内容です。

元々、スージーも殺人犯を憎む自分の気持を嫌悪していたようなので、綺麗な方向に進めたのは彼女のためにも良かった気がしました。
もしかしてこれ憎悪に満ちたりすると悪霊化するんでしょうか?
俊雄くん達にもスージーの姿勢はぜひ見習って欲しいです。
日頃、悲惨な映画ばかり観ている私の心も洗われた気がしました。(多分気のせいだと思います。)

内容は良く分かりませんが、少女の死を乗り越えた家族が絆を取り戻す的な話だと思います。
ピリッとしない内容のようですが、意外に面白いです。
これ、映像が兎に角凄いです。
間の世界が美しいので、スージーはちっとも悲しそうではないのです。
冒頭でジャックが言っていた「完璧な世界にいるペンギン」の件を思い出しました。

最後にしたかったことも何だか可愛いですね。
そういえばリンは「今まで最高の体験だった」とスージーに語っていましたね。
そういう訳なので、肩透かし的な展開がかなり多かったです。
唯一頑張ってくれたのがジャックとリンジーだと思われ、この人達が私のような人間の代役をしてくれてます。
フェナマンの無能ぶりにはガッカリしてしまいました。
ちゃっかりモブのブライアンとかいう男とその彼女が結末で幸せになってるのがちょっとウケました。

不思議映画で何が面白いのかと聞かれると説明できないのですが、良い映画だと思いました。
想像していた内容とは違いましたが、ちょっと感動しましたね。

ラストまでのあらすじ

ジャックは死んでもおかしくない位に重症でしたが、病院に運ばれ、なんとか一命は取り留めました。
スージーの世界では彼女が愛用している小屋がボロボロに腐って陥没していました。
スージーはジャックの痛ましい状態を見て心を痛め、「私が漂っているのがまずいのだ。忘れてもらおう!」と判断し、死者の声が聞こえるという扉を潜ろうとしました。

ドアを潜ると二階からはスピルバーグ映画のような光が見えたので、スージーはそちらに向かいます。
二階の廊下は先が見えないほど長く伸びていたのですが、そこで彼女は奥からやって来た光に覆われ、様々なビジョンを見せられます。
ビジョンによると、どうやらハーヴィは家主殺しに始まってから連続殺人を犯しているようで、犠牲者の数はスージーを含めると二桁に届きそうでした。
また、ホリーも彼の犠牲者だったと発覚したのですが、スージーは自分が殺されてから袋詰めにされて金庫に入れられている事も思い出しました。

ある日、ハーヴィは木の枝と工具類を手に車で家を出て、路上でランニングしていたリンジー達の横をこれ見よがしにすれ違いました。
リンジーは体調を崩した振りをしてランニング仲間から離れ、果敢にもハーヴィの家に不法侵入しました。
彼女は二階の床下に隠してあった秘密の手帳を発見し、そこにスージーとトウモロコシ畑との関連性を見出したのですが、間もなくハーヴィが帰宅してしまいました。
そして更に手帳を読み進めていたリンジーはスージーの髪の毛が貼ってある事やトウモロコシ畑の地下室の秘密を知りました。
侵入者に気付いたハーヴィでしたが、リンジーは捕まりそうになりながらも手帳を手に二階の窓から脱出して逃げきりました。

ハーヴィは最小限の荷物を持って家を飛び出し、リンジーは帰宅しました。
家にはアビゲイルが戻っており、早速退院していたジャックとイチャコラし始めたので知らせる空気では無くなり、リンジーは仕方なくリンに手帳をサッと差し出しました。
ハーヴィの家にはフェナマン達が駆け付け、家宅捜索が始まったのですが、その頃ハーヴィはスージーの入った金庫をコナース家の穴に捨てようとしていました。

その頃、スージーの世界ではあの巨木が復活しており、スージーは木の前でハーヴィの犠牲者である少女に出会いました。
少女によれば「もう直ぐ皆がここに来る」ということで、言葉通りにハーヴィに殺害された皆が集まって来て、スージーはホリーと再会して抱き合いました。
木の向こうには天国があるそうで、皆はそちらに向かったのですが、スージーは最後に一つやることがある!と草原を進みました。

ハーヴィが金庫を穴に向けて転がしているのを見ていたルースは窓の向こうから半透明のスージーが近づいて来たのを目撃します。
スージーはルースに憑依してコナース家に来ていたレイを呼び、スージーの姿でキスを要求しました。
そしてハーヴィは金庫を転がし終え、スージーの入った金庫は穴をゴロゴロと転がり落ちて行きました。
てっきりスージーは金庫を転がすの止めるのかと思いました。
切ないラブストーリーになっちゃいましたね。でも気持ちわかります;;

レイはスージーにキスをして「君は美しい」と言いました。
金庫のシーンと相まって切なさが増大して泣きました。

事件は落ち着いたのでジャック達もより深い絆を築きました。
またルースとレイもますます親密になったようです。
尚、ジャックをしばいたモブの男の彼女は妊娠したようです。
ハーヴィは町から逃走したのですが、家出少女をナンパして「消えろ」と追い払われ、氷柱が背中に落ちたのを気にしている内に脚を取られ、人知れず崖に落下して死亡していました。

その後、ずっとスージーの部屋に入っていなかったアビゲイルが部屋に入って窓を開け、掃除を始めました。
アビゲイルは「愛してるわ。スージー」と囁きながら楽しそうにシーツを整えました。
こうしてお魚みたいな名前の少女は皆に別れを告げ、天国へと旅立ちました。

エンドロールで終了です。、

また泣きました。でも悲しい気持ちでは無いです。
なんか不思議な映画ですね。これ。
死体が最後まで見つからず、そのまま穴も埋められたのはちょっと残念な気がします。

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