木人ウケます 少林寺木人拳

少林寺木人拳

父の仇を捜していたら木人形にひどい目に遭う話

制作年 1976年
制作国 香港
監督 チェン・チーホワ/ロー・ウェイ
脚本 シン・チン
上映時間 97分
出演
ジャッキー・チェン
カム・コン
ドリス・ロン

だいたいのあらすじ

少林寺の修行は我々の想像を絶するもので、門弟たちは重い鉄の靴を履かされてこれまた重い水の入った桶を担いで何度も長い階段を往復させられるという水汲みを命じられていました。
門弟の一人で聾唖者のイーロン(ジャッキー・チェン)は何度か水をこぼしてへこたれそうになったのですが、寺で修行をしている尼僧(チャン・ビンユー)から「へこたれずに頑張りなさい」と励まされて頑張ります。
イーロンは桶の水を満たせなかったので教官からおしかりを受け、「無理なら出て行け」と言われるのですが、必死で土下座して許しを乞い、チャンスを貰います。

へとへとになって水汲みを終えると今度は槇割りを命じられるのですが、イーロンはへこたれそうになると妙な構えをした人形を見て闘志を燃やします。
どうやらその人形は顔を隠した男にカンフーで殺害されたおじさんが持っていたもののようで、おじさんには息子が居たようです。
その後、たまたま通りがかった酔っ払いの僧から酔拳の動きを見せて貰ったのですが、腰が肝心だそうで、僧は後ろに倒れた身体を脛だけで支えるという凄い事をしていました。
ある夜、イーロンは修行僧達が滝の裏の洞窟に入って行くのを目撃して後を尾け、洞窟の中でホームレスのようなイカレた男(カム・コン)が鎖で手足を拘束されているのを目撃しました。

どうやら修行僧達は男に饅頭を持ってきたようなのですが、男は「酒持ってこい!」と悪態を吐いていました。
修行僧達が出て行くと、男は要らん!と言ってポイした饅頭を拾おうとしていたのでイーロンが拾って男に渡してあげます。
男は拒絶したのですが、イーロンが外側の皮を剥いて綺麗にして渡してやると誠意が通じたのか物凄い勢いで食べました。
そして男はイーロンが喋れないと理解し、少し機嫌が良くなったのか「今度は酒持ってこい」と要求しました。

その後、院内は門弟が木人に挑戦する!という話題で騒然となります。
実は少林寺には木人巷という場所があり、そこには狭い廊下の両側に攻撃して来る木の人形が並べられています。
制限時間内にこの木人の攻撃を避けながら廊下を通り抜けると免許皆伝となるようです。
流石に超難関なようで、今回の挑戦者もボコボコにされてリタイアしていました。
どうやって動いてるんでしょう。

イーロンは食事の時間にこっそり酔っ払い僧の徳利からお酒を盗み、あの洞窟男の所に持って行きました。
お酒を呑んだ洞窟男は上機嫌で、今度からもっと持って来いと要求します。
彼はカンフーの達人で「獅子吠」という技を研究中だそうで、イーロンに木人に勝つ方法を伝授してくれるそうです。
仕方なくまた酔っ払い僧からお酒を盗むイーロンでしたが、見つかってやられてしまい、罰として掃除を申し付けられます。
イーロンがしっかり掃除したので酔っ払い僧はご褒美に果物をくれました。

イーロンは喜び勇んで洞窟に果物を持って行ったのですが、洞窟男は寒いだの熱いだのと不平を言い、イーロンを振り回します。
その都度、自分の服を脱いで着せたり、脱がしたりしているイーロンを見て洞窟男は感心し、情が移ったのかカンフーを教えてやることにしました。
見よう見まねで洞窟男の動きを毎日練習していたイーロンは上達したようで、お馴染みの風を切る謎の音を発し始めました。
洞窟男は「兎に角急所攻撃!」と急所を攻撃する技を伝授していたので、イーロンはその通りに練習していました。

ある日、イーロンがカンフーの練習をしているのを見た尼僧は「お前の技には殺気がある。カンフーは相手を殺す技では無い」と諭し、敵の攻撃を回避するという「蛇意八歩」という技を伝授してくれることになりました。
安定の技コンプしていくマンネリの流れなのですが、やっぱり面白いです。
尼僧は油を張った池にイーロンを連れて行き、この上を自在に移動するという技であると説明し、お手本を見せました。
彼女は池に飛び乗ったのですが、足は池の上を滑るように自在に動いていました。
上半身の動きはショボいですけど。
つるつる滑って立てないイーロンを見て尼僧は「鉄靴水汲みの修行を続けなさい」とアドバイスしました。

暫く経つとイーロンはとうとう池の上を自在に動けるようになり、基本的な技もマスターしました。
洞窟男との鍛錬もより本格的になり、鳥居の形をした竹と足元のシーソーのような竹で男が攻撃し、それにイーロンが挑むという木人を見据えたものとなりました。
イーロンはますます上達し、洞窟男は「これなら木人に勝てる」と認めました。
木人に勝てば少林寺を出ることができるので、洞窟男は「俺との事は誰にも言うな。裏切ったら罰を与える」と前置きした上で、丸めた紙を渡して「これを長春堂の足の不自由な男に渡せ」と指示しました。

いよいよイーロンは木人巷に挑むことになり、廊下に入って行くとずらりと並んだ木人が座っていました。
イーロンが木人に近付くと彼等は一斉に動き出し、シャドーボクシングのような事を始めます。
中の人も大変です。
そして木人を観察していたイーロンは意を決して先に進み、バシバシというお馴染みの音を響かせながら木人の攻撃を受け流し、どんどん進みます。
次の通路はもっと狭くなっており、たまに前方に木人が居たりしたので、イーロンはかなりのダメージを受けながらも上手く回避し、木人をなぎ倒してクリアしました。

木人をクリアしても合格とはならず、焼けた鼎を両腕だけで挟んで持ち上げて移動という謎のマゾイベントが待っていたのですが、キン肉マンになっていたイーロンはこれもクリアし、腕には鼎に付いていた虎と龍の焼き印が押されました。
少林寺の館長はイーロンは洞窟男にカンフーを学んだに違いないと判断したのですが、邪念が無い彼を見て「くれぐれもカンフーを悪事には使わないように」と念押しし、何かあったらリン・クン大師に会いなさいと巻物を渡して送り出しました。

山を降りたイーロンは早速お高く留まった嫌な感じのおじさん(ミャオ・ティエン)にぶつかって「どこに目を付けてる!」と怒鳴られたりもしましたが、洞窟男の約束を果たし、長春堂という薬屋の店主に丸めた紙を渡しました。
その後、イーロンが食堂に立ち寄ると「青龍白虎派」とかいうチンピラ六名が店主の娘(ドリス・ロン)に酌をしろと因縁を付けていたので、止めに入り、しつこく絡まれたので軽くいなしました。
どうやら青龍白虎派というのは洞窟男の手下だったようで、一味は薬屋から手紙を受け取り、「もう直ぐ親分が戻って来るから食堂の娘を手土産にしよう」等と悪いことを話し合っていました。
手下にユン・ピョウさんいますね。

少林寺では洞窟男が鎖を切って脱走し、館長達は「大変な事になった」と大騒ぎしていました。
実は洞窟男ファー・ツーは大悪人でカンフーを利用して悪事を働いていたので、10年前に一部の武芸者が少林寺と協力して取り押さえ、洞窟に幽閉していたのでした。
自由になったファーは完成させた獅子吠の技で次々に自分を幽閉した武芸者達を殺害し、復讐を遂げていました。

感想

これはなかなか面白いです。
内容は水戸黄門のようにお馴染みの復讐ものです。
いつもの修行→軽く挫折→修行→勝利というあれですが、悪い人が師匠というオリジナル要素があります。
私、子供の頃に父が見るので無理矢理カンフー映画を見せられていたのですが、何が面白いのか理解できませんでした。
ジャッキーさんの他の映画は変顔とかするので、少し笑えるシーンもあったりするのですが、皆同じじゃんって思ってました。
でもヘンな映画を愛好するようになってから見直してみるとカンフー映画ってかなりヘンだということに気付き、楽しめるようになった気がします。

これもそういう意味でとってもヘンな映画ですが、コミカルなシーンはあまり無く、内容はシリアスです。
カンフー映画なので、登場人物は男も女も皆カンフーです。
食堂の娘やその弟もカンフーで、多分店主もカンフーだと思われ、ファーが侍らせていた綺麗なお姉さんもきっとカンフーです。
なのでいきなりカンフーが始まるのは当たり前で、インド映画で唐突に踊りが始まるように、ミュージカル映画でいきなり歌いだすようにいきなりカンフーです。
唯一カンフーじゃなかったのはイーロン達が立ち寄った民家の人達でした。
男も女も頭の中はカンフーで一杯なので、カンフー強ければそれでいいのです。

演出以前に編集が凄く雑でカンフーシーンになるとブチブチと貼り合わせた感じになります。
これは勝手な思い込みなのですが、大陸の人はあまりこういう事を気にしてない気がします。
なので観てる方も突っ込まないのではないかと感じました。

木人拳とか言っててタイトルもそのまんまなのですが、これはツッコミどころが満載の修行の一環なので、あまり大筋とは関係ないです。
でもガッタンガッタンと動く木のロボみたいな木人を見てると何だか微笑ましいので、考えた人天才だと思います。
少林寺も凄く弱いと思われ、恐らくウェンさんの方が強いのでは?
結局、イーロンが鍵を握るという展開も意味不明で、十八羅漢とかいうモブ集団は何だったんでしょうか?

修行の内容も凄くて、絶対教官の人達はあれ、こなせないと思います。
特に館長は単なる名古屋章さんだったので絶対無理だと思います。
この人達は最後に「アミダブツ(日本語字幕)」とかそれっぽいことを呟くのがそこはかとなくおかしいです。
結末付近でアミダブツとか言われた時はウケました。
結構、悲しいシーンが多いような気がするのですが、そこでまたアミダブツなので申し訳ないのですが笑ってしまいました。

音楽は全体的に面白くて修行シーンの音楽とか燃えます。
中国の音楽って独特のチャカポコいう楽器が入ってて名曲もあるし、面白いですよね。
「はい。また修行です!」的に音楽で無理矢理煽ってくるスタイルなので、使い方も面白いです。

ファーの人はなかなか渋くて格好良かったので、悪い人じゃなかったら良かったのにと思いました。
ウェンさんはいい人らしいのですが、悪人顔で、疑われても仕方ないです。

ラストまでのあらすじ

青龍白虎派の連中は食堂の娘を拉致し、「娘と引き換えに金持ってこい」という脅迫状を店主に出しました。
お金を持っていけば娘は無事に返してもらえるだろうということで弟がお金を届けることになります。
気の毒に感じたイーロンは弟に同行してやることにしました。

道中でイーロン達はファーが十八羅漢という少林寺の追手と戦っている現場に遭遇します。
ファーはめちゃめちゃ強いのですが、疲れと人数差は押し切れず劣勢でした。
イーロンはファーが悪人だとは知らず、弟と協力してファーを逃がしてしまいました。
弟がファーに食堂の娘の事を話すとファーは「青龍白虎派なら任せろ」と娘を取り戻してくれるそうです。
そりゃこいつが親玉ですから。
その晩は民家に泊まることになったのですが、

ファーはその家の主人が怪しい素振りを見せたので、坊主頭だった主人の弟をカンフーで抹殺し、役所に連れて行こうとした一家もまとめて殺してしまい、高笑いしていました。
その様子を見たイーロンはショックを受け、弟は猛烈にファーに抗議したので、ファーは「面倒な奴らだ」と二人を追い出しました。
翌日、イーロン達は可哀想な一家を埋葬し、約束の身代金交換場所へ行ったのですが、娘はおろか青龍白虎派の連中も来ませんでした。

イーロン達は食堂に戻り、店主に顛末を報告したのですが、それはそうと食堂ではあのお高く留まった男・ウェンが食事をしていました。
店主は落胆していたのですが、直後に娘は無事に戻って来て、突然解放されたと話しました。
どうやらファーはイーロンとの約束は守り、娘は解放してくれたようでした。
青龍白虎派を追っていたらしいウェンは弟にしつこく質問したので怪しまれて悶着を起こし、カンフーを披露したのですが、その構えはイーロンが回想していた殺人者の構えでした。

イーロンはウェンに戦いを挑んだのですが、ウェンは簡単にイーロンをあしらい、彼が少林寺で修行を積んだと見抜き、「寺に帰って修行し直せ」と告げ、お金を払って去りました。
実はイーロンがいつも回想していたおじさんは彼自身の父であり、回想に出て来た子供はイーロンでした。
イーロンはカンフー使いの覆面強盗に父を殺されたので復讐のため少林寺に入門したのでした。
ウェンを仇と睨んだイーロンは巻物を手にリン・クン大師を訪ねることにしました。
その頃、ファーは次々に自分を幽閉した武芸者達を血祭りに上げていました。

盲目のリン大師はイーロンの持って来た巻物を見て、お前はファーの弟子か…とため息を吐き、事の顛末を語りました。
実はファーはリンの一番弟子で、乱暴狼藉を働いたのでウェン達に捕らえられ、少林寺に連れ戻されたので、当時館長だったリンは責任を取って自分の両目を潰して辞任し、ファーの措置を新館長に委ねていたのです。
その際に何か問題が起きたら巻物を届けて知らせなさいと言い残していました。
リンは弟子は取らないとイーロンを追い帰そうとしていたのですが、そこに館長が少林寺の危機!と飛び込んできました。

館長はイーロンには素質があるので、少林寺の奥義を伝授しては?とリンに持ち掛け、リンは秘伝書を懐から出して渡しました。
ということでイーロンは館長の指導の下、石を動かしたり腕立てしたりという筋肉タイムになりました。
BGMも修行モードのやつが流れてます。
その頃、ファーは若い女性を侍らせてブイブイ言わしており、「少林寺に殴り込んでクソ坊主殺すぞ!」と息巻いていました。
イーロンはたちまち頭角を現し、館長も舌を巻くほどの腕に上達していました。
彼は師であるファーとの戦いをためらったのですが、「あいつ悪人だぞ」と説得され、ファーに立ち向かうことになりました。

いよいよ決戦!と準備をしていたのですが、そこにウェンが加勢に現れました。
実はウェンはイーロンの父の師匠で弟子の仇を討つために仇の使う拳法を真似て捜していたのだそうです。
従って彼が仇だというのはイーロンの誤解でした。
そこにファー一味が高笑いをしながら現れました。
ここは寺では無く単なる荒野なのですが、なぜ示し合わせたように集まって来るのか?
この辺りはカンフー映画の謎の一つです。

ウェンがファーに立ち向かったのですが、ファーはあの構えの必殺拳を出してやられそうになり、イーロンの父を殺害したのはファーだったと発覚します。
イーロンの父が持っていた人形はファーの構えを現しているのですが、なぜ事前にそんな物を用意できたのでしょうか?
この辺りもカンフー映画の謎の一つです。

ウェンがやられそうになったのでイーロンは割って入り、「なぜ殺した?」とファーに向かって声を上げました。
実はイーロンは本当は喋れたのですが、仇を見つけるまでは喋らないと誓ったのだそうです。
どういう利点があるのでしょうか?この映画最大の謎です。

イーロンは明らかに強くなっており、ファーと互角の戦いを見せたのですが、尼僧の教えを守り、急所攻撃だけは行いませんでした。
途中でファーを休ませようと手下が攻撃して来たのですが、イーロンはあっさり手下を倒しました。
少林寺の人達はこういう時に加勢すべきだと思うのですが、何もしません。
再びイーロンとファーの対決になり、お互いの凄まじい力で二人は擦り傷だらけになっていました。
父の形見の人形も戦いの最中に壊れてしまい、とうとうイーロンはファーを地に倒しました。
獅子吠出したみたいなのですが、私には何が何やら。スミマセン。

しかしイーロンはファーとの修行の日々を思い出し、「一日でも師は師です。少林寺に戻ってくれれば水に流します」とファーを見逃しました。
ファーは「お前のような弟子を持って誇りに思う」とヨロヨロとイーロンにすり寄ったのですが、隙を見て彼を殺そうとしました。
イーロンを捕らえたファーは喉に必殺拳を叩きこもうとしたのですが、かわされたので、自分の喉に入れてしまいました。

その後、イーロンは少林寺に戻り、正式な修行僧となることにしました。
仏像が大写しになってエンドマークで終了です。

この映画は音楽が京劇みたいで面白かったです。

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