ヤバい精神科医の話 羊たちの沈黙

羊たちの沈黙

殺人鬼と仲良くしたらひどい目に遭う話

制作年 1991年
制作国 アメリカ
監督 ジョナサン・デミ
脚本 テッド・タリー
原作 トマス・ハリス
上映時間 118分
出演
ジョディ・フォスター
アンソニー・ホプキンス
スコット・グレン

だいたいのあらすじ

FBIアカデミーの実習生クラリス(ジョディ・フォスター)はバージニア州の山中でえっほえっほと体力づくりに励んでいました。
そんなある日、彼女は行動科学科のクロフォード主任捜査官(コット・グレン)に呼び出され、彼のオフィスを訪ねました。
クロフォードのオフィスの壁にはバッファロー・ビルと呼ばれる被害者の皮の一部を剥ぎ取って行く連続猟奇殺人鬼の新聞記事や被害者の写真が一面に貼られていました。
彼の依頼というのはビルの心理分析のために過去の殺人鬼の心理インタビューを行ったのですが、ハンニバル・レクターという猟奇殺人鬼が協力を拒んでいるそうで、インタビューは無理でもレクターの様子を観察して報告して欲しいというものでした。
クロフォードはレクターは非常に危険な異常者だからくれぐれも気を付け、絶対に個人的な話はしないようにクラリスに念押ししました。

早速、レクターの収監されている精神病院へ向かったクラリスでしたが、担当医のチルトン(アンソニー・ヒールド)も彼は非常に危険な男で特に我々を敵視していると語りました。
チルトンはやや下世話な男で、クラリスを軽くナンパしたり、レクターは8年も女に会っていないから喜ぶだろう等と語っていましたが、クラリスはさっさと案内してもらいました。
彼は面会の前に「ガラス戸に近付くな。絶対にペンやホチキス等の文具は渡すな。書類は食事用の窓から。ヤツからは何も受け取るな」とクラリスに口酸っぱくルールを説明しました。
1981年に胸の痛みを訴えたレクターは医務室に送られたのですが、そこで看護師に噛みついて舌を食べたそうで、その際にもレクターの脈拍と呼吸は乱れず、平然と残虐行為を行っていたということです。

やがて厳重に施錠されたレクターの房に案内された看守のバーニー(フランキー・R・フェイソンの案内でクラリスは単独で観察を試みることにしました。
幾重にも施錠されたレンガ作りの刑務所のような門を通って囚人達の前を歩くと、早速レクターの隣の囚人から「アソコが臭う」等とわいせつな言葉を投げられます。
レクター(アンソニー・ホプキンス)のガラス扉で閉ざされた牢獄の前には椅子が置いてあり、クラリスはそこでインタビューすることになります。

レクターはクラリスににこやかに挨拶して身分証明書を見せるよう指示し、期限が1週間で切れることから彼女が正規の職員では無いと見抜きます。
そしてクラリスが隣の囚人から罵声を浴びた事についてレクターはガラスの向こうで全力で匂いを嗅ぎ、「エビアンのスキンクリームを使ってるな。香水はレール・デュ・タンだけど今日はつけてない」等とのたまうのでした。
レクター全力でキモくて鳥肌立ちます。
クラリスは話題を反らし、心理テストに持ち込もうとするのですが、レクターは「バッファロー・ビル」の名の由来は何なのか?と質問されたので、カンザス州の警察が名付けたもので被害者の皮が剥ぎ取られているからと返答しました。

更にビルが皮を剥ぐ目的は何だと考えているのかと聞かれたクラリスは「興奮するし、連続殺人鬼は記念品を欲しがるから」と返答し、レクターはそれに対して「私は違う」と返答し、クラリスは「そうね。あなたは食べたわ」と返しました。
そしてレクターは質問事項を受け取ったのですが、内容を見てバカバカしいと一笑し、クラリスに「高価なバッグにチープな靴を履いている。田舎の出身だな」と言い、更に「両親は貧しい階級でウェストバージニア出身」、「田舎で男の目を引いてヘビー・ペッティングの毎日にウンザリし、FBIに入った」と指摘しました。
クラリスは出来る限り動揺を隠しながら「その鋭い洞察力をご自分に向けては」と皮肉りました。

レクターは気を悪くしたように用紙を返し、「前に国勢調査員が家に来たとき、肝臓をワインのつまみにしてやった」と脅し、「飛んで帰れ」とクラリスを追い払いました。
帰り際にクラリスはレクターの隣の囚人・ミグズに精子をかけられたのですが、レクターはそれを見て怒り、クラリスを呼び戻して非礼を詫び、「昇進のチャンスをやる」と告げて「私の患者だったミス・モフェットを捜せ。もう帰れ!」と怒鳴りました。
クラリスは一斉に猿のように騒ぎ出した囚人の怒号の中をそそくさと退散し、駐車場でシクシクと泣きました。
ショックを受けたのも勿論でしたが、彼女の父は警察官であり、その時の事を思い出したようでした。

その後クラリスはクロフォードからレクターがミグズを一日中罵って自殺に追い込んだと聞かされます。
彼女はモフェットの件を調べていたのですが、レクターが人肉事件と呼ばれる事件で逮捕された際にカルテを全廃棄していたと知り、違う方向で捜査を進めていました。
その結果、ヘスター・モフェットという人物がボルティモアで長期に渡り倉庫を借りていると突き止めました。
10年間誰も入っていないという倉庫を無理矢理ジャッキで開け、内部を見て回ったクラリスは内部に置かれた車の中でホルマリン漬けにされた男性の生首を発見しました。

早速クラリスはレクターの所に行き、「ヘスター・モフェット」は「私の心残り」のアナグラムだ!と倉庫の件を怒鳴り、レクターは生首の主はベンジャミン・ラスペールという変態性欲の人物で自分は隔離しただけだと答えました。
ベンジャミンは女装している状態で殺害されており、レクターは変身願望のある殺人鬼の犠牲になったのではないかと語りますが犯人の名は語りませんでした。
そしてレクターはバッファロー・ビルの心理状態は資料から分析できるので、逮捕に協力してもいいと提案し、遠回しにここから出たいと要求しました。

レクターはバッファロー・ビルの犠牲者が近い内に出るだろうと予言していたのですが、夜のテネシー州メンフィスの駐車場で身体の不自由な男(テッド・レヴィン)が車にソファを積むのに苦労しているのを見かねた女性(ブルック・スミス)が手を貸してやり、そのまま荷台に押し込まれて拉致されていました。
この男こそがバッファロー・ビルであり、彼は大柄な女性が好みのようで、今回も大柄な女性を物色していました。
女性の親切心に付け込む辺りが卑劣だと思います。

ウェストバージニア州のエルク川で女性の遺体が発見され、バッファロー・ビルの犯行であると認定されました。
ビルは三日間被害者には危害を加えずに生かしておき、三日後に射殺した後に虐待し、いつも違う川に遺体を捨てるというスタイルを守っていました。
クラリスはビルは白人男性で一軒家に住んでおり、30代~40代で腕力があり、自制心があって用心深いと分析しました。
遺体の搬送先でクロフォードと共に被害者女性の遺体検分を行ったクラリスは被害者の喉の奥に蛾の蛹が突っ込まれていたのを発見しました。

その後、昆虫学者の所に蛹を持ち込んだ所、スズメガの一種で背中に髑髏のような模様のあるアジアにしか生息しない種であると判明しました。
恐らくビルは蛾の卵を輸入して大事に育てたのだろうと憶測されるのですが、実際彼のアジトでは各種の蛾を飼育している温室のような物がありました。
ビルは先日拉致して来た女性を井戸の底に監禁し、彼女の叫びを聞きながら全裸でミシンを操作していました。

先日、駐車場で拉致された女性はルース・マーティン上院議員(ダイアン・ベイカー)の娘キャサリンであったと発覚し、各社マスコミは代々的に事件を取り上げ、ルースはTV番組で犯人に娘を解放するよう懇願していました。
その後、クラリスはレクターを訪ねたのですが、チルトンは彼女が自分に情報公開しないことに不満を持っているようでした。
なお、議員はレクターがビル事件の捜査に協力した場合にはNYの丘が見える警察署に移送し、そこでは読書や1週間に一度、浜辺を散歩できるという条件を提示したので、クラリスはそれをレクターに話しました。
レクターは協力の条件としてクラリスの個人情報と交換と持ち掛け、クラリスは同意しました。

レクターがまず質問したのは「子供時代の最悪の思い出」で、クラリスは父の死と返答しました。
彼女は母を幼い頃に亡くしており、父と二人暮らしだったのですが、彼女が10歳の時に警察署長だった父は暴漢二名に撃たれて1ヶ月間生死の境を彷徨った末に他界したそうです。
この情報と交換に被害者の喉に蛹があったのはビルに変身願望があるからだとレクターは指摘しました。
クラリスはレクターに要求されてその後の生い立ちを始めます。
尚、この一連の会話はチルトンに盗聴されていました。

クラリスは父の死後に母の従弟夫婦の農家に引き取られたのですが、2ヶ月間で逃走したのだそうです。
レクターは交換にビルは性転換手術を受けようとして断れた事があるかもしれないと話しました。
その頃、キャサリンは井戸の上に居るビルから全身にローションを塗りこむよう指示されていました。
彼女は「母は議員だから逃がしてくれれば告訴しない」と交渉するのですが、キチ○イに通用する訳も無く、壁に貼り付いている無数の女性の爪を見て自分の行く末を悟り悲鳴を上げるのでした。

その後、クラリスとレクターの会話を盗聴していたチルトンは「議員に確認したが、そんな約束した覚えはないと言われたぞ。お前は騙されてるぞ」と立ったまま拘束衣を着せられて全身をバンドで拘束され、噛まないように顔もガードで覆われたレクターの牢に入って話しました。
チルトンは「その代わりに私が交渉してやったから、テネシーの刑務所に移れる。ビルの名を言え」と要求し、レクターはルイスという名だが、苗字はメンフィスで直接議員に教えると返答しました。
尚、レクターは密かにチルトンのボールペンをくすねていました。

クラリスがクロフォードの指示で偽情報を流したのは事実で、ルースはFBIに立腹しつつメンフィスでレクターと面会することになりました。
空港でルースと面会したレクターはビルの本名は「ルイス・フレンド」であり、1980年の4月~5月の間に患者の紹介で会ったのだが、ルイスは人間の皮膚で何かしていたと打ち明けました。
レクターは「キャサリンを育てたのは母乳?乳首固くなった?」と凄い質問を始め、更に「娘が死んだらあんたは身体のどこで痛みを感じる?」と続けました。
眩暈がしたルースはレクターを追い払うように指示し、レクターは最後に「身長175㎝で体重は80㎞、ブロンドで青い目、フィラデルフィア在住」とルイスの特徴を伝えました。

チルトンは自分の交渉で事件が解決に近付いたので、鼻高々で記者会見に応じていました。
一方、クラリスはレクターが収監されたテネシーの刑務所で彼と面会しました。
レクターは広々とした広間の中央に置かれた鉄格子で囲まれた牢の中に座っており、広間では四六時中警官が監視していました。
クラリスは「ルイス・フレンド」がアナグラムであり、並びを変えると「まがい物」だった事から本当の事を話して欲しいと個人的に彼に懇願しました。
レクターは「ビルは求めているものを切望する余りに殺人を犯している」と話し、再びクラリスと情報交換を始めました。

レクターに要求されたクラリスは牧場を逃げ出した理由を牧場主がラムを屠畜していたのを目撃したからだと話しました。
ショックを受けた彼女はラムを一頭抱えて逃げ出し、警察に捕まって怒りの牧場主に施設に送られたのだそうです。
レクターの「今でもその時の事でうなされるか?」という質問にクラリスはYESと答え、「キャサリンを助けたら悪夢を見なくなると思っているのか?」という質問には分からないと答えました。
そこにチルトンが現れたので、クラリスは連れ出されるのですが、レクターは満足したようで、鉄格子越しに借りていたビルの資料をクラリスに返却し、その際に彼女の指を撫でて「さようなら」と別れを告げました。

レクターはクラリスの話に感銘を受けたようで、彼女が子羊を抱いている絵画を描いていました。
その後、レクターは食事の差し入れ中にボールペンの芯で手錠の鍵を開け、警察官を二名殺害して悠々と監房を脱走しました。
刑務所内ではレクターの脱走を検知して非常警戒体勢に入ったのですが、レクターは警官の死体の顔の皮を被って警官に成りすまし、ストレッチャーに乗せられたまんまと脱走しました。
レクターは自分の服を着せた警官の遺体をエレベーターの上に隠しておき、そちらに注意を惹き付けていました。

感想

これは普通です。
お話はなかなか面白いのですが、レクターの万能感は軽く無理があると思います。
あと、クラリスがなぜビルのプロファイル特定に至ったのか良く分かりませんでした。
レクターがなぜクラリスに情報を与えたのかも良く分からす、イマイチスッキリしません。
原作は読んでないのですが、この辺りは原作読めばハッキリしたのかも。
そう考えると2時間でももしかすると短かったのでしょうか?

まあテンポも良くて色々と盛り上がりますので、なかなか面白い作品だとは思います。
反面で演出は古臭い感じでウーンという感じで、役者の演技に助けられている面が大きいような気がしました。
それなりにショッキングなシーンはあるのですが、それほどスリルは感じなかったです。
全体的にドンヨリした空気が流れているような雰囲気は良かったような気がしますが。

それにレクターの起こした事件というのが良く分からず、全体的に登場人物に掴み所がありません。
結末はスッキリと終わるのですが、ビルも最終的に何がしたかったのか分からず、レクターの人物像もハッキリしません。
そういう訳で色々とモヤモヤが残る感じの映画だと思いました。

ラストまでのあらすじ

レクターは救急車の中で隊員を殺害し、そのまま空港付近に救急車を乗り捨て、一般人を殺害して服や金品をゲットしていました。
クラリスはその話を聞いても自分はレクターに襲われないのではないかという確信があり、引き続きビル事件を解決しようとしていました。
レクターから返却された資料を同僚のマップ(ケイシー・レモンズ)と検証していたクラリスは死体の発見場所は不規則を装っているという旨のレクターのメモを発見します。
そして「毎日眺めているものを切望したのが犯行の始まり」というレクターの台詞をヒントに第一犠牲者がビルの知り合いだったのではないかと推理しました。

オハイオにある第一被害者の家を訪ねたクラリスはオルゴールの裏から第一被害者のセミヌード写真を発見し、クローゼットの服を見ていた際になぜかビルは被害者の皮を剥いで服を作っているのだ!と気付きました。
第一被害者は服飾系の仕事をしているようですが、なぜクラリスがビルの性癖に気付いたかは謎です。スッキリしないです。
クラリスは急いでクロフォードに電話して自分の推理を伝えたのですが、彼は既に容疑者を確定して確保に向かっているということでした。
その頃、キャサリンは井戸の底にビルのペットの犬を引き摺りこんで人質にしようと骨で釣っていたのですが、失敗に終わりました。
そしてビルは被害者女性の頭皮を頭に被って化粧し、股間にチ○コを挟んで鏡に映る自分の姿にウットリしていました。
クレヨンしん○ゃんが「女のおまた」とかいう一発芸にしてましたね。

その後、キャサリンはとうとう犬を井戸に落とすことに成功し、人質に取って「獣医を呼べ!電話を持ってこい」とビルを脅します。
ビルは激しく動揺し、いっその事キャサリンを射殺しようかとデカいリボルバーを手に取ります。
そこに呼び鈴が鳴り、第一被害者の友人から聞き込みをしたクラリスがリップマン夫人を訪ねて来ました。
一方、クロフォード達は容疑者の家の呼び鈴をクラリスと同時に鳴らしていたのですが、家は空き家で空振りに終わっていました。
この同時に呼び鈴を鳴らすという演出は古臭いですが、なかなか面白いとは思いました。

クラリスはビルにリップマン夫人はもう居ないと言われたのですが、彼から話を聞こうとし、家の中に招き入れられました。
家の中でスズメガを発見し、ビルの応対に不審感を持ったクラリスは銃を抜き、ビルをホールドアップさせました。
ビルは隙を見て家の奥に逃げ込み、それを追うクラリスと家の中で隠れんぼが開始されます。
地下に立ち入ったクラリスはほぼ出来上がっている女性の皮で作ったボディスーツを発見し、キャサリンの悲鳴を聞いて「私はFBIだからもう大丈夫」と呼び掛けました。
そして井戸に捕らわれているキャサリンを発見し、直ぐ戻ると呼び掛けてビルを捜します。
犬五月蠅いです。

ビルは暗視スコープを所有していたので、家の電気を落として真っ暗にし、暗闇を手探りで進むクラリスの姿を捉えました。
そしてビルは一方的にクラリスに近付き、彼女を射殺しようと撃鉄を起こしたのですが、音に気付いたクラリスは振り向きざまに銃を連射し、ビルを射殺しました。
同時に灯り取りの窓が開いて明るくなり、事件は解決しました。
その後、クラリスはFBIの正規職員になり、特別捜査官に任命されました。
モルダーみたいですね。

クラリスはパーティーの席でレクターから「悪夢は止んだか?」と電話を貰ったのですが、現在地を訪ねられると彼は「古い友人と夕食の約束があるから」と電話を切りました。
レクターは彼を警戒してハイチかどこかに高飛びしたチルトンを追って来たようで、「ここは安全か?」と護衛に確認しているチルトンを追い掛けて町の中に消えました。

エンドロールで終了です。

レクターの夕食=食べるということでしょうか。
最後の追跡シーンで以前に立て籠もり救出の実習をしている際に失敗した際の伏線回収があると良かったかもと思いました。
実習の際にクラリスは物陰に隠れていた教官に撃たれて死亡ペナルティを受けていましたので、その辺の回収があると良かったのではないかと。
特典はメイキングとか豪華なようです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする