マスターズ・オブ・ホラー ゾンビの帰郷
死んだ兵士が生き返ってひどい目に遭う話
制作年 | 2005年 |
制作国 | アメリカ |
監督 | ジョー・ダンテ |
脚本 | サム・ハム |
原案 | デイル・ベイリー |
上映時間 | 59分 |
出演 |
ジョン・テニー |
テア・ギル |
ロバート・ピカード |
だいたいのあらすじ
選挙バッジを胸に付けたデビッド(ジョン・テニー)とジェーン(テア・ギル)がワシントンに向かう夜の道路をドライブしていました。
前方に松葉杖をついた兵士のゾンビのようなものが現れたので、ジェーンは「奴らの仲間だから轢け」と運転席のデビッドに指示しました。
車はゾンビを跳ね飛ばしたものの衝撃で道路を飛び出し、林の中の木に激突してエンストし、ボンネットには先ほどの兵士の首が口をパクパクさせていました。
デビッドはエアバッグの衝撃で肋骨を痛めましたが、幸い大事故には至らなかったのでジェーンは前方から走ってきた軍用車両に助けを求めました。
しかしその車両からは兵士ゾンビがワラワラと降りてきたのでジェーンはショットガンで応戦しました。
デビッドは銃を手に「すまない。俺の所為なんだ。俺があんなことを言ったばかりに」と言いながら背後からジェーンの頭を撃ちました。
4週間前にデビッドとジェーンはマーク・クラーク(テリー・デイビット・マリガン)のTV番組にコメンテイターとして出演しました。
反戦活動に対するインタビューを見て、元大統領の報道官であるデビッドは当たり障りのない意見を述べていましたが、ジェーンは極右なので批判的な意見を述べていました。
デビッドはいつもの癖でイラク戦争遺族のインタビューに対して「願いが叶うなら戦死したご子息に戻ってきて欲しい。息子さんも祖国のためになって光栄だと語るでしょう」とお涙頂戴の演技をしながら答えていました。
収録後、意気投合したデビッドとジェーンはバーで飲んでいたのですが、ジェーンは「凄い演技だった。あなたには人を騙す才能ある」的に茶化します。
ジェーンは自分は単なる逆張り女だと白状し、デビッドは「一瞬考えている振りをして返事すればそれらしく見える」とコツを伝授しました。
ということで早速Hすることになったのですが、ジェーンの性癖はSMでした。
また、デビッドは大統領の選挙チームであるカート(ロバート・ピカード)から電話をもらい、「ご子息に戻ってきて欲しいのフレーズ使わせてね。ただし、大統領から君がパクったことにしてね」と言われて了承していました。
そして大統領は「もしも願いが叶うなら、彼等に戻ってきてほしい。彼等も意義を感じているでしょう。」と演説しました。
その2日後、輸送された兵士の遺体がゾンビとして甦る事件が起きました。
また、母親と共に墓参りをしていたデビッドも兵士ゾンビに襲われて車で逃走しました。
ナイト・オブ・ザ・リビングデッドのパロディみたいです。
そしてデビッドはカートから兵士が蘇っていて不死身と実験室にいるゾンビを見せられたのですが、ゾンビには痛覚があるようで撃たれると痛がっていました。
ゾンビ出現の理由はわからないそうですが、カートはこいつらを使えば兵士不足は解消と喜んでいました。
翌日、ゾンビ兵士は投票所に現れ、期日外投票をして完全に息絶えていました。
ジェーンはTVに出演し、この投票について「蘇ったら死者とは言えないし、国のために死んだ彼等の票を拒否するわけにはいかない」と明言を言いました。
そして国のあちこちに甦った兵士が現れるようになったのですが、とうとう喋るゾンビが現れ、「俺たちは嘘の戦争で犠牲になった。不正な戦争を終わらせる候補に投票したい」と声明を出しました。
どうやら彼等は現大統領に投票する気はさらさらないようでした。
これは大量殺戮兵器の件の皮肉だと思われます。
TVで「神の軌跡」とかもてはやしていたおっさんは「地獄の釜が開いて悪魔が蘇ったのだ」と掌返しし、ジェーンも彼等はリベラル派並みに知能が低いし、死んでるから票は無効!と凄い掌返しをしました。
更にジェーンは「あいつらは反逆者だから退治!」と凄い発言をしていました。
なお、兵士ゾンビは特に人に危害を加えないようです。デビッドが襲われてたのは大統領関係者だからでは?と推測してます。
その一方で兵士ゾンビに感謝し、温かく迎える人たちも勿論存在していました。
選挙は現大統領が劣勢になったので、カートはゾンビを隔離することにしました。
更に遺族を脅して息子ゾンビに自分達に都合のいい書類を渡してサインさせようとしたのですが、ブチ切れた息子ゾンビに襲われて殺害されました。
感想
これは普通です。
兵士が投票のために蘇るという発想が斬新で面白いです。
ブラックユーモアよりの話で、デビッドとジェーン達大統領陣営の会話が兎に角ひどいです。
登場人物は皆クズなのですが、デビッドが段々と改心する様子が描かれてます。
このゾンビは怪力なのですが、大人しいゾンビで人を食べたりはしません。
のろのろ系なのですが、怪力なのでキレると強いです。
ラストまでのあらすじ
デビッドは兵士ゾンビを隔離していたことをマーティの番組で追求され、「衛生上の隔離なので明日には出します」と言い訳しました。
更に彼は兄がベトナム戦争で死んだと言い続けていたのですが、それも嘘だとバレて糾弾されてしまいました。
実はデビッドの兄フィリップは除隊した後に精神を病み、拳銃自殺をしようとしていたのですが、デビッドがその銃をおもちゃにしてフィリップを射殺していました。
そしてデビッド自身も幼かったのでその件を忘れていたのでした。
いよいよ投票当日が来て、ゾンビ兵士達は投票を行って次々に倒れました。
出口調査では現大統領が負ける予想されたのですが、なぜか勝利し、続投が決まりました。
デビッドはクビにされ、後釜にはジェーンが収まりました。
実は大統領陣営では兵士達の票は数えず、不正を行っていたのでした。
その直後に過去の戦争で死亡した兵士達が蘇り、援軍として立ち上がりました。
そして現在に至り、デビッドはジェーンを射殺し、自分も死のうと銃を咥えたのですが弾切れでした。
ゾンビに囲まれたデビッドは「私が悪い。さあ殺せ」とリーダー格のゾンビに告げたのですが、リーダーは「仲間になれ」と言いました。
そしてデビッドの前にはフィリップが現れ、「仲間になれ」と説得してデビッドの首の骨を折りました。
デビッドはゾンビとなって彼等の仲間になりました。
100万のゾンビ兵士は嘘吐きの政府を信用せず、流転する政府を国中で監視しており、再び間違った戦争が行われないようにしているということでした。
エンドロールで終了です。
ブラックユーモア系の話でしたが、意外と真面目に終わりました。