どろろ
妖刀盗もうとしたらひどい目に遭う話
制作年 | 2007年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 塩田明彦 |
脚本 | NAKA雅MURA/塩田明彦 |
原作 | 手塚治虫 |
上映時間 | 138分 |
出演 |
妻夫木聡 |
柴咲コウ |
瑛太 |
だいたいのあらすじ
賢帝歴3048年、東の果てにある国では、数十年に渡る戦が続いているそうです。
戦に敗れて落ち武者となった醍醐景光(中井貴一)は地獄堂という寺で世を呪い、四十八の魔物に「天下を取れる力をくれ」と望みました。
魔物は代償としてまだ産まれぬ景光の子を要求し、景光がこれを飲んだので契約成立となり、契約の証として景光の額には深い傷が刻まれました。
20年後、荒廃した町の踊り子がいる酒場で深くフードを被った若者・百鬼丸(妻夫木聡)がカウンターに腰かけていたのですが、彼の手相を見た占い師(きたろう)は「お前生きてんのか」的に驚いていました。
間もなく仮面を被った踊り子がステージに立つと百鬼丸は彼女に切り掛かったのですが、この女の正体は蜘蛛の肢に老人の胴体、ヤシガニのハサミを持つ妖怪・ヤシガニ蜘蛛でした。
百鬼丸はヤシガニ蜘蛛の肢に首を刺されたのですが、傷は直ぐに再生しており、死闘の末に敵を倒しました。
そこにすりやかっぱらいを生業にしているコソ泥どろろ(柴咲コウ)が逃げ込んできて、その現場を目撃していました。
どろろって汚い男の子だったはずですが、どう見ても美少女です。
どろろは金子をすった相手(劇団ひとり)に酒場で捕まってしまったのですが、百鬼丸は脚が生えて義足が抜け落ちていました。
その後、どろろは隙を見て逃げ出し、百鬼丸の知り合いらしき琵琶法師(中村嘉葎雄)から百鬼丸のことを聞いていました。
昔、寿海(原田芳雄)という呪師が薬草摘みをしていると川からたらいが流れてきたので拾い上げた所、そこには両目も鼻も両手両足もない赤ちゃんが乗せられていました。
呪師である寿海は人のパーツから身体を作り出すことができたので、赤ちゃんを連れて帰って重湯を与え、戦場跡から死体を集めて来たそうです。
寿海はパーツを作っては赤ちゃんに手術を施して再生させたのですが、なぜか家には百鬼丸の身体を狙って魑魅魍魎の類が現れるようになりました。
旅をしていた琵琶法師はそれを聞いて妖魔を斬れる妖刀を寿海に渡しました。
その子こそ百鬼丸であり、寿海は百鬼丸の両腕に隠し刀を付け、教育して息子として育てました。
ある日、百鬼丸が帰宅すると寿海は血を吐いて倒れており、「わしが死んだら家を焼け。醍醐のような奴に医術が渡ってはいかん」と告げて息絶えました。
百鬼丸が家を焼き払って旅立とうとすると景光に切り殺された地獄堂の住職(山谷初男)の声が響き、お前の身体は四十八の魔物に奪われているので取り返したかったら魔物を斬ればよいと教わります。
また、旅を続けていれば魔物に身体を奪われた理由もわかるだろうとその声は告げていました。
話を聞いたどろろは百鬼丸と彼の持つ妖刀に興味を持ち、後を追って彼につきまとうことにしました。
その後、百鬼丸達は醍醐の圧政に苦しみ、やむを得ず子を捨てた村の住人(でんでん)と出会ったのですが、どろろは「子を捨てる奴は許せん」とやたらとキレていました。
そこで鯖目(杉本哲太)という武将と出会い家に招かれることになったのですが、彼の家には妻(土屋アンナ)と7つ子の娘がいました。
その夜、百鬼丸はどろろに対して「お前は親の仇討のためにこの妖刀を狙っているんだろ「と言い当てていました。
深夜、あの七人の子は「雄の方が美味そう、メスも悪くない」などと話し合いながらエビのような尾を持ち背中の節に目玉を持つ芋虫の魔物に変化していました。
そして百鬼丸達の寝所に忍び込んだのですが、あっと言う間に斬られて退散していました。
この屋敷には地下の抜け穴があり、百鬼丸達が進むと通路には無数の小さな人骨と魔物の卵がありました。
抜け穴の先は子捨て村の焼け落ちた寺であり、ここはかつて捨てられた子達が集まっていた所でした。
鯖目の妻は魔物であり、産卵や子供の養育のために捨て子を攫っては養分にしており、鯖目もそれを承知で百鬼丸達を餌として家に迎えたのでした。
百鬼丸は屋敷に戻って鯖目夫妻と対峙し、どろろは半鐘を鳴らして村人たちに鯖目の件を知らせ、反乱を煽っていました。
鯖目妻は鯖目を押さえ込んで説得する百鬼丸の背後から刀を差し、百鬼丸もろとも鯖目を殺害しました。
再生した百鬼丸に迫られた鯖目妻は正体を現して蛾の妖怪マイマイオンバとなり、沢山の目がある羽を広げて飛び去ろうとしました。
そこに殺された子供達の霊が現れて妨害し、地に落ちた彼女は百鬼丸に斬られました。
怒りの村人たちも殴りこんできて7つ子や卵を燃やして殺しました。
しかし肝臓を取り戻して吐き戻す百鬼丸を見た村人は「あいつも化け物だ」と騒ぎ立て、百鬼丸は感謝の言葉どころか投石されながら村を後にしました。
その後、百鬼丸達は巨大な女の顔を持つ桜の木の妖怪で枝の首を持つろくろ首型である桜魔人と死闘を繰り広げていました。
桜魔人が口から吐く桜吹雪に吹き飛ばされ、赤い長い髪にに絞められて苦戦しながらも百鬼丸は桜の巨木ごと桜魔人を一刀両断し、耳を取り戻しました。
百鬼丸は目が見えず、耳が聞こえず喋れなかったのですが、今までは不思議な能力で見聞きして話していました。
これでようやく自分の耳で音を聞くことができるようになりました。
今度は全身を固いいぼに覆われた二足歩行で両腕が無いオオトカゲのような魔物オオサンショウウオと対峙します。
5m程度の巨体と巨木をもなぎ倒す強烈な尾の一撃、長い舌の触手攻撃やヒップアタックに苦しみながらも、どろろの援護で動きを封じました。
オオサンショウウオには刀の攻撃が利かなかったので、百鬼丸は敵の体内に飛び込み、内部から斬って倒しました。
この戦いで百鬼丸は喉を取り戻し、自分の言葉で喋れるようになりました。
また、この頃にはどろろも積極的に百鬼丸をサポートするようになっており、二人の絆は深まっていました。
今度の敵はカラス天狗で大きさは人間程度なのですが、自由自在に飛び回る上に二本の腕に持った刀と足の爪で自在に攻撃してくるので百鬼丸達は大苦戦します。
おまけに怪力で岩を掴んでぶつけて来たりするのですが、どろろのサポートで太陽を背にした百鬼丸はカラス天狗の動きを読み、隙をついて一撃を入れました。
カラス天狗は死ぬ前に百鬼丸の正体を知ったようで「恨むならお前の父を恨め」と言い残して爆死していました。
この作品では斬られた魔物はもれなく爆死します。
この戦いで百鬼丸は右腕を取り戻し、右腕に仕込んだ普通の刀が抜け落ちました。
旅の途中で古戦場兼国境地帯を訪れた際にどろろは自分の仇は景光であると明かしました。
どろろの父・火袋(菅田俊)は一揆を起こして弓で射られ、村は焼かれました。
母(麻生久美子)は幼かったどろろに「父ちゃんのような本物の男に出会って女で居たいと思うまでお前は男として強く生きろ」と言い遺して死亡しました。
景光の城下町に入った百鬼丸は酒場でごろつきに襲われて倒していたところ、景光の息子・多宝丸(瑛太)が現れて「これは使えそうだ」とスカウトされました。
そのまま城へと案内されたのですが、そこで多宝丸の母・百合(原田美枝子)と出会ったのですが、彼女は百鬼丸の着ている家紋入りの着物に見覚えがあり動揺します。
彼女の手を握って心の目で過去を見た百鬼丸は自分が景光の子であると知りました。
百合は産まれて間もない百鬼丸を景光に殺されそうになり、止めに入った際に「お前が捨てて来い」と命じられていたので川に流したのでした。
動揺した百鬼丸はどういうことだ!と詰め寄る多宝丸に当身を食らわせて城から立ち去りました。
百合は「息子が帰って来た」と景光に知らせ、事実を知る景光は世迷言と切って捨てました。
その後、百鬼丸は河原でどろろに「俺はお前の仇の息子だったから一緒には居られない」と告げました。
信用しないどろろの手を握り、城で起きたことを頭の中に送り込みます。
そして「俺はもうお前とは会わない。にくければ斬れ」と立ち去ろうとした百鬼丸でしたが、どろろは彼を後ろから刺しました。
しかしまだ心臓を取りもどしていない百鬼丸は倒れず、そこに琵琶法師が現れました。
感想
これは普通です。
手塚治虫氏の漫画を実写映画化したもので、自分の身体を魔物に取られた男が戦って取り返すという内容です。
漫画は少しだけ読んだことあるのですが、設定は面白いですが、暗かった印象が…
この映画はその設定の面白さとベースだけ頂いてカラッと明るいアドベンチャーにしちゃいました!ということのようです。
冒頭の雰囲気は暗いのですが、初回戦闘シーンからいきなり明るくなります。
一応、城下町にさらし首が置いてあったりもするのですが、ホラーコメディかな?と楽に観られます。
確かに面白いので娯楽映画として楽しめます。
その反面で景光絡みのエピソードが少し薄い印象で、後半忙しいです。
色々詰め込んでるので長めの映画ですが、これでも時間足りない気がしました。
それと最初に殆どの謎が明かされてるのでお話に意外性は無く、単純なアクション映画になってる気がしたのが少し残念です。
勿論百鬼丸達は情報知らないんですが、視聴者は全て知ってるというパターンです。
逆にそういう作品だと主人公たちが危険な場所に近づこうとすると「そっち行っちゃダメ!」的なスリルが産まれたりするのですが、この作品にはそれは無いです。
恐らく百鬼丸が強すぎるせいだと思われ、景光の件はもう少し後でばらしてもよかった気がしますが、どうなんでしょう。
どろろは原作ではどうみても汚いガキだったのですが、今作はいきなり男の娘みたいになってます。
彼女が女性だったということも初めから明かされてます。
どろろの中の人は顔汚くして「てやんでい」調に熱演されてますが、やっぱ可愛いのでウケます。
協力してオオサンショウウオやカラス天狗と戦ってるシーンはどろろっぽくて素敵でした。
この映画、戦闘シーンはワイヤー多めで面白いですよね。
移動シーンとかも面白くてすごくお金がかかってる印象です。
時代劇というより西部劇っぽい感じで楽しめました。
ラストまでのあらすじ
実は琵琶法師は地獄堂の住職の霊から話を聞き、百鬼丸の正体を知っていました。
百鬼丸は父が自分を魔物に捧げたと知ってショックを受けて景光に憎しみを募らさせるのですが、どろろは「お前には親は殺せない」と言って別れを告げて去ります。
どいつもこいつもぶっ殺してやる!と憎しみにかられた百鬼丸の前に青と赤の狛犬の魔物が現れました。
狛犬は「お前のしたことは無駄だった。死んだ方が幸せだ」と自殺に追い込もうとしたのですが、百鬼丸は惑わされそうになりながらも狛犬を斬りました。
こうして百鬼丸は両目が見えるようになりましたが、「誰か俺を殺してくれ」と苦悩します。
そこにどろろが現れ、「俺は敵討ちを諦めたからお前もちゃんと生きろ」とぐしゃぐしゃに泣きはらした顔で叫びました。
彼女は考えた末に自分の仇討よりも百鬼丸に健やかでいて欲しいと望んだようです。
百合は忍びに百鬼丸の行方を探らせたので、お忍びで面会に出ようとしていましたが、門の前で待ち受けていた多宝丸に連れ戻されてしまいました。
一方、景光は20年戦い続けても天下統一できないことに焦りを感じていました。
そこに猪のような顔をした僧侶姿の魔物・四化入道が現れ、百鬼丸が天下統一の邪魔であるから始末しろと焚きつけました。
その頃、百鬼丸は自分の目が見えることがうれしく、どろろに道端の花などを見せてもらっていました。
そこに百鬼丸の存在が気にいらない多宝丸が襲来し、いきなり大砲を発砲してきました。
百鬼丸は無駄な争いは止めろと止めるのですが、部下が襲ってきたので応戦している際に折れた刀の先が多宝丸の首に刺さり、多宝丸は死亡しました。
そこに百合が駆け付け、状況を誤解した彼女は百鬼丸に短刀を向けたのですが、斬ることはできませんでした。
やがて景光も単騎で駆け付けたので百合は「この子だけはなりません」と立ちはだかったのですが、景光に斬られました。
景光に立ち向かう百鬼丸を見て「お前がこんなクズのために親殺しになる必要はねえ」と立ちふさがるどろろでしたが、当身を食わされて気絶しました。
ということで死闘が始まり、「その身体どうした?」と尋ねる景光に百鬼丸は「父に作って貰った」と返答しました。
景光は自分のしたことに一片の悔いもないと告げ、死闘の末に百鬼丸は景光にマウントを取ったのですが、「どろろが憎しみを捨てたから俺も捨てる」と景光に止めは刺しませんでした。
そして百鬼丸は「多宝丸はお前を信じていた。あいつの死を無駄にするな」と告げて立ち去りました。
しかし四化入道が「多宝丸を生き返らせたければお前の身体を寄越せ」と持ち掛けたので、景光はこれを承認してしまいました。
四化入道は景光に憑依し、鬼のような姿の魔物となり、多宝丸は復活しました。
百合蚊帳の外で可哀想
魔物景光は「わしは天下を取った。お前は殺すから首を洗ってまってろ」と百鬼丸に告げ、立ち去ろうとしました。
しかし自我が残っていた景光は魔物景光の腹に刀を刺し、「わしもろとも斬れ」と百鬼丸に指示し、百鬼丸は魔物景光を斬りました。
景光は多宝丸に国を託し、「ふざけんな!謝ってから死ね!」と叫ぶどろろには「百鬼丸は頼む」と言い残して爆死しました。
百鬼丸は心臓を取り戻し、景光の軍勢が取り囲んだのですが、多宝丸が止めました。
多宝丸は百鬼丸に城を継いでくれと依頼したのですが、百鬼丸は「まだ魔物は半分しか倒していない」と辞退しました。
どろろが城下町を立ち去り、街はずれの草原を歩いていると百鬼丸が待ち受けていました。
ということで二人はまた旅を続け、やがて海岸にたどり着きました。
海が広いとどろろから聞いていた百鬼丸は初めて実物の海を見て「こりゃ広い」と感動していました。
残り二十四体!の文字が出ます。
エンドロールで終了です。
打ち切り漫画みたいですが、打ち切られたみたいです。