徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑
キリシタンしてたらひどい目に遭う話
制作年 | 1976年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 牧口雄二 |
脚本 | 志村正浩/大津一瑯 |
上映時間 | 80分 |
出演 |
川谷拓三 |
橘麻紀 |
風戸佑介 |
だいたいのあらすじ
第一部
江戸時代の刑罰はなかなか残酷だったそうで、不貞を働いた末に夫を殺害した妻が生きたまま釜茹でにされたり、謀反の疑いがある藩主が絞首刑にされた挙句に胴体真っ二つにされたりしたようです。
また、有名は八百屋お七は生きたまま火あぶりの刑を受けました。
寛永5年6月、長崎で山中を訪れていた佐々木伊織(風戸佑介)は河原で水浴びをしている際に樹上から落ちてきたマムシに噛まれてしまいました。
そこに地元女性・登世(内村レナ)が通り掛かり、迷わず伊織に走り寄って刃物で傷口を開き、口で毒を吸いだしてくれました。
伊織は見知らぬ男を助けようとする登世の心根と応急処置の速さに感服して礼を言い、更に登世は「よかったら家で休んでください」と申し出ます。
水浴びをさせてもらい、食事等も出してもらった伊織は登世の家族に感謝し、機会があれば登世の家を訪ねるようになりました。
そういう訳なので伊織と登世が恋人になるのにはそう時間も掛かりませんでしたが、登世は身体だけは許しませんでした。
当時の幕府のキリシタンに対する刑罰は非常に残虐なもので、伊織の上司である長崎奉行の高坂主膳(汐路章)は刑罰見物を楽しんでおり、焼き印を身体に押し当てられたキリシタン悲鳴の上がる中、「もっと面白い刑罰を考えろ」と配下に命じていました。
そんなある日、伊織が登世の家を訪ねると家は物盗りにでもあったように荒れており、目付の弥吉(長島隆二)が居ました。
弥吉は登世の一家がキリシタンだと告げ、証拠のロザリオも押さえていたので伊織は動揺します。
高坂の刑罰は残虐を極め、狸の信楽焼の中に油を張って男を閉じ込めて焼いたり、水を張った水槽に女性を入れて大量の蛇を投入したりと非道な行いを続けていました。
この蛇本物みたいで、威嚇してます。
登世の父親は足をハンマーで砕かれて塩水を浴びせられ、母親は炭火の上にくくり付けられて炙られ、高坂は楽しそうに拷問に参加していました。
そして登世が白洲に引っ立てられ、両親の無残な様子を見て絶叫するのでした。
弥吉は「あれは伊織の女だ」と高坂に耳打ちし、面白がった高坂は伊織を呼び出して寝所の監視を申し付けます。
伊織は目の前で高坂が縛り上げた登世を弄んでレイプする様を見せられて憤るのでした。
高坂は宴席で登世を改宗させて側女にすると部下の前で発表し、登世を脅すために妹を連れてこさせ、伊織に登世妹を責めるよう命じます。
伊織がためらっていると高坂は伊織を蹴飛ばし、自身で棒を振るって登世妹を滅多打ちにしました。
妹は仲間のことを尋ねられても決して口を割らず、終いには両目を焼かれたので、とうとう登世は「なんでも話しますから妹を許して」と折れました。
登世の妹はそのまま奉行所から放り出され、登世は仲間の居場所を白状しました。
高坂はキリシタンの溜り場に部下を差し向け、女性信者を無理矢理レイプしている部下を発見した伊織はその二名を斬り捨てました。
ということでキリシタン達は磔になったのですが、高坂はわざわざ登世を刑場に連れて行って処刑を見学させます。
しかしキリシタンのリーダーは登世を責めず「天国で待っています」と余裕だったので高坂はブチ切れ、リーダーの腹を槍で刺させます。
そして登世の両親を磔にし、じわじわと槍で刺す様子を登世に見せつけるのでした。
登世は半狂乱で泣き叫び、見学に来ていた野次馬連中も処刑の惨たらしさに大ブーイングを浴びせます。
高坂は伊織に登世の両親を刺すように命じるのですが、伊織はそれだけはできないと拒否します。
とうとう登世は発狂してしまい高坂の刀を奪って斬り掛かったのですが、暗殺失敗に終わったので戒律を破って自害しようとします。
しかし瀕死の父は登世に「死んではならん。妹を頼む」と言い残したので自害も叶いませんでした。
高坂は登世の両親を生きたまま火炙りにし、その日の処刑は終わりました。
夜は夜で高坂の玩具にされる登世にとってはこの世は生き地獄でした。
ずっとその様子を見せつけられていた伊織は登世の身体を拭くように命じられたので反抗し、高坂の部下に身体を押さえられた状態で胸に傷を刻まれた挙句、髷を切られて追放されました。
1年後、伊織は登世の籠を襲撃して高坂の部下を二名斬り捨て、弥吉に手傷を負わせて登世を奪還しました。
そしてようやく伊織と登世は結ばれたのですが幸せは長く続かず、二人は高坂達に包囲されてしまいました。
伊織は奮戦したものの多勢に無勢で押さえ込まれ、弓で射られた挙句に高坂自身の槍で突かれて死亡しました。
登世は姦通の罪で罪人となり、目隠しをされて伊織の死体を後ろに結んだ馬で引き回れます。
皮肉なことにこの時、登世は杖をついた妹とすれ違っていたのですが、お互いに目が見えなかったので気付きませんでした。
登世は両手と身体を台に固定され、両脚を牛に結ばれるという牛裂きの刑を執行されます。
間もなく牛が走らされ、登世は股が裂けて足がもげ、内臓をぶちまけて死亡しました。
フルチ映画みたいです。
高坂はそれを見て大喜びし、乾杯していたのですが、彼はこの後に大名になり、大出世したということです。
なお、伊織と登世は天国で結ばれたようです。
天国とか言われてもあのよーって感じです。
高坂の中の人は凄く活き活きと演じていらっしゃいました。
第二部
文政4年の江戸深川の虎吉(木谷邦臣)の女郎部屋では捨蔵(川谷拓三)がどんちゃん騒ぎをしていました。
そこで食べてばかりいる変な娼婦のさと(橘麻紀)と知り合ったのですが、実は捨蔵は無銭飲食であり、翌日袋叩きにされて1年間無償で働くことになりました。
捨蔵はそこで他の女郎から客を奪った女郎が全身犬に舐められるという制裁や妊娠した女郎が腹を打たれて強制的に流産させられる様を目撃します。
流産させられた女郎・たみ(八木孝子)はその日の内から客を取らされ、血を吐いて倒れてしまいました。
感想
これは普通です。
江戸時代の刑罰を紹介しつつ当時の人間ドラマを見せます的なもののようです。
二部は割と明るい話なのですが、一部は真っ暗で何も救いが無く、この調子だったらどうしようと思ってました。
やっぱりポルノ系なのでH描写が多いのですが、本当に一部は観ていて辛いです。
思ったんですが、江戸物ってレイプ系が多い印象です。公開当時の流行だったのでしょうか?
なんだかんだ言っても江戸っぽい感じ出てますね。
刑場の仕掛けとか凝り過ぎだと思いました。
ただ、殆どの刑罰が「そんな風になんねーよ」って感じでした。
グロも割とあってどうしても入れたい感が伝わって来たのでフルチ映画を思い出しました。
一部の登世の方が美人系なのですが、二部のさとの方がその辺にいそうで親近感湧きます。
さとはなんか頭もユルそうで友達だったら和みそう。
たみの人も薄幸そうでなかなか素敵。
伊織の方が捨蔵よりもハンサムなんですが、私的には捨蔵の方が好きです。
悪党なんですけどなんか憎めないというか。
ラストまでのあらすじ
たみの客であり、赤ちゃんの父親である卯之助(野口貴史)は夜陰に乗じてこっそりたみを連れ出そうとしました。
しかしそううまく事が運ぶ筈も無く店を出た所で捕まってしまい、卯之助は縛り上げられて鬼松(小峰一男)達に袋叩きにされます。
捨蔵はわざと切れ味が悪くしてある刃物で卯之助のチン〇を切るように命じられ、仕方なく実行しました。
卯之助はそのまま通りに放り出され、たみは既に息絶えていました。
捨蔵はたみの死体を始末するよう虎吉から命じられました。
捨蔵はたみの死体を運ぶ振りをして中にさとを入れて連れ出しました。
彼はさとを使って詐欺をすることを思いつき、女郎小屋にさとを売り飛ばしてお金を受け取っては便所から逃がすという作戦でした。
しかし肥溜めにお金を落としてしまい、逃げるのが精一杯で作戦は失敗に終わります。
捨蔵はお前のせいだとさとを責め、二人は喧嘩別れしてしまいました。
夜更けの橋の上に佇んていたさとは夜鷹と間違えられ、縄張りを荒らすな!と他の夜鷹のリンチを受け、罰則として河原に住んでいた連中にレイプされていました。
そこに捨蔵が戻って来て連中を棒きれで撲殺し、さとを救出しました。
その後、捨蔵とさとは置き引きや詐欺、恐喝などで小金を稼いで暮らしていました。
ある晩、捨蔵とさとは美人局をしていたのですが、相手が十手持ちだったのでそのまま逮捕されてしまいました。
実は奉行所は二人を様々な罪で追っており、捕まった二人は激しい拷問を受けます。
捨蔵は重い分銅を首に下げられて棒で打たれ、さとはやっとこで乳首をもぎ取られます。
しぶとく口を割らない二人でしたが、捨蔵は足の親指を斬り落とされて水車責めを受け、さとは石抱きの拷問を受けます。
連日の拷問にとうとう二人は口を割り、奉行所の前に晒されてのこぎり引きの刑に処されます。
この刑は奉行所の前に罪人を首を固定した台に縛り上げて竹ののこぎりを置き、誰でも罪人の首にのこぎりを引いてよいという刑なのですが、当然のこぎりを引く人は殆どおらず、後に絞首刑になるパターンが多いと言うことです。
それでも「二人一緒で良かったね」等と呑気に話していた捨蔵達でしたが、虎吉は奉行所に賄賂を収め、さとだけを回収してしまいました。
その後、捨蔵は酔っ払いのおっさんにのこぎりで首を斬られ死亡しました。
さとは仕方なく明るく商売しているようでした。
終マークで終了です。
二作目は明るかったですね。