ヘンなおっさんが島に変人集めてます 恐怖奇形人間

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

入院したらひどい目に遭う話

制作年 1969年
制作国 日本
監督 石井輝男
脚本 石井輝男/掛札昌裕
原作 江戸川乱歩
上映時間 99分
出演
吉田輝雄
賀川雪絵
由美てる子

だいたいのあらすじ

大正13年の秋、人見宏介(吉田輝雄)は精神病院にぶち込まれており、どうみても遊郭のような上半身裸の着物女性が踊り狂っているという女子房に潜り込み、イカレた女性に玩具のナイフでブスブス刺されていました。
人見には自分が外科医の卵だったということ以外に記憶が無く、自分はイカレてないと自覚していました。
ある日、病院内に響く子守唄を聞いた人見は自分が獣のようなイカレ男と断崖に佇んでいたことを思い出し、その様子をスケッチします。
そしてある土蔵の中でその子守唄を聞き、土蔵の中の少女が奇形の顔に変わったことも思い出しました。

ここは精神病院というより完全に刑務所という趣の場所で、人見は牢屋に入れられていたのですが、看守(高英男)に目を付けられているので、その日も他の患者を騒がせた疑いで鎮静剤を打たれました。
息を吹き返した人見でしたが、なぜかハゲの患者が侵入しており、襲い掛かって来たので揉み合いの末に絞殺してしまいました。
これはまずいと人見は脱走し、あの子守唄を口ずさんでいたサーカスの少女・初代(由美てる子)と出会います。
呑気に初代と話し込んでいた人見はこの歌が彼女の産まれ故郷の歌なのではと推測していたのですが、追手が迫ったので退散しました。

その後日、人見は初代に断崖の絵を見せると彼女は何となく見覚えがあると言ったので、これが初代の産まれ故郷であり、自分の記憶にも関係があると推測します。
初代は以前所属していた団員から子守唄は裏日本の何処かの島に伝わるものでないかと聞いたことがあったそうで、その場所を言いかけた途端に突然倒れてしまいました。
彼女の背中には深々とナイフが刺さっており、うっかりナイフを手に取ってしまった人見は完全に殺人犯とされてしまいます。

ということで逃亡者となった人見はこの事件の謎を解こうと列車で裏日本と呼ばれる日本海側の東北に移動していました。
前の座席に座っていた乗客が残していった新聞に自分の顔が載っていたので「まさか手配写真?」と急いで確認すると、それは自分と瓜二つの菰田源三郎なる人物の死亡記事でした。
人見はこの菰田家に何か秘密があると踏んで菰田家の地元に移動しました。
そこでマッサージの女性に話を聞いたところ、源三郎の父である丈五郎は手に醜い姿をしており、執事の蛭川(小池朝雄)に家内のことを任せ、自身は無人島に引き籠っているそうです。
また、人見の足の裏にある卍の傷が死亡した源三郎にあったと聞きました。

人見は海辺の断崖に遺書と履物を残して源三郎の墓を暴き、死体の死に装束を奪って源三郎に成り済ますことにしました。
そして人見は死に装束を着て墓場で倒れている所を上手いこと坊主達(由利徹、大泉滉)に発見されて運ばれます。
ということで人見は上手いこと源三郎として舞い戻り、源三郎の妻・千代子(小畑通子)に介抱される日々を送ります。
人見は千代子に魅かれつつあったのですが、Hしたらバレると判断して手は出しませんでした。
ある夜、屋敷の様子を探っていた人見は乳母から源三郎の写真を見せられ、彼が左利きだったという情報を得ました。

それでも源三郎は近視だったり、飼い犬に吠えられたりと人見とは色々と差異があったのですが、その都度人見は上手く誤魔化していました。
どうやら源三郎は遠縁の娘だという静子(賀川雪絵)とも不倫関係にあったようで、段々と周囲が疑いの目を向けるようになったので、人見はとうとう千代子を抱いてしまいました。
ひとまず千代子は大満足したようだったので人見は一安心したのですが、今度は静子をどうするかという課題が残りました。
よく考えるとこの映画は本題とあまり関係ないHな展開が多い気がします。でも乱歩作品ってHですよね。
ということで人見は静子ともHしてしまいました。

その後、書類に署名を求められた人見は左手では字が書けないのでお茶をこぼして誤魔化しました。
そして突如として入浴中の静子がマムシに襲われそうになるという事件が起こり、咄嗟の出来事だったので人見は右手に持った桶でマムシを殺傷しました。
どうやら静子の命を狙ったものがいるようで、更に静子は不倫の現場を赤裸々に描いた脅迫状っぽいものを受け取っていました。
また、千代子もなぜか人見とHしている際の様子を赤裸々に描いた脅迫状っぽいものを受け取っていたのです。
どうも風呂焚きの新吉(大木実)が怪しいと思うのですが、彼は何だか飄々としていて掴みどころがありませんでした。

その後、三人の女中の内二名がわざわざ入浴シーンを披露しながら「この家怖い。辞めよっかな」等と話し合っていると異形の男二名が風呂場に現れました。
人見は悲鳴を聞いて男を追いかけるのですが、彼等は忽然と姿を消してしまいました。

ある夜のこと、人見とイチャコラしていた千代子が突然胸を押さえて苦しみだし、そのまま他界してしまいました。
どうみても変死だったのですが、人見は自分の事情もあるので病死として処理し、ますます謎の事件に巻き込まれていきます。
そして、家の中には異形の男たちが頻繁に出没するようになって人見を悩ませるのでした。
その後、乳母の歌う子守唄と源三郎の残した断崖のスケッチを見た人見は丈五郎の居る島に秘密があると考えました。

翌日、人見は猛反対する蛭川を説得し、蛭川と静子、新吉を伴って島へと渡りました。
新吉は船頭なので分かりますが、静子を連れて行く意味がわかりません。色気担当かな?
島の断崖は果たして人見が記憶の中のものと瓜二つであり、そして海岸には同じく記憶の中で見た白装束の獣じみた男(土方巽)がいたのですが、その男こそ源三郎の父・丈五郎でした。
やがて丈五郎は「わしの島の完成度を見せてやろう」と案内してくれたのですが、案内先の小高い原っぱでは異形の男女たちが暗黒舞踏をしていました。
更に銀箔を塗りまくった全裸女性が灯篭となっている小舟で島のあちこちを案内されたのですが、お麩を投げると鯉のように食べに来る鯉のような全裸女性や、山羊と合体したケンタウルス女性などこの島は異形の集まりでした。

どうやら丈五郎は菰田家の財産をつぎ込んで異形の人達を集めては王のような振る舞うという困ったことをしているようです。
それはそれで勝手にしてくださいという所感ですが、人見にはあの記憶の土蔵のイメージを確かめたいというもう一つの目的がありました。
ということで島を単独でウロついていた人見はあっさりと土蔵を発見し、そこで初代と瓜二つの秀子(由美てる子)と出会いました。
秀子は異形の男と背中を繋がれ、人工的にシャム双生児にさせられており、人見は驚愕しました。
そこに丈五郎がフハハハハと笑いながら現れ、「いいものを見せてやるぞー」と人見を島の一角に案内しました。

そこには顔がつぶれた男女や獣のような男女がおり、丈五郎が奇形人間と呼んでいる者たちでした。
丈五郎は健常者から奇形人間を製造し、奇形人間の王国を作っていずれは世界征服的なことを目論んでいるようです。
広川達はこの奇形人間の奴隷にされるそうで、島からは出さんと宣言する丈五郎でした。

感想

これはイカレてます。
記憶を失った男が自分の秘密を探る内にヤバいことになりましたという話です。
お話は荒唐無稽で奇想天外なのですが、なかなか面白いです。
古い映画なので放送禁止用語を連発しており、TVだったら殆どピーされてると思います。
じっとりした雰囲気はなかなか素敵で、冒頭の精神病院のヤバい雰囲気で引き込まれます。
全体的にエロくてドロドロした感じの展開も多めで、個人的にはドロドロ展開楽しめたかも。

もっと面白いのがたまに現れるイカレた感じの映像で、これはヤバいと思います。
島の変な踊りの映像だとか奇形人間と呼ばれるヤバい人達だとかイカレてると思います。
そして丈五郎の謎の踊りがキチ〇イ振りを炸裂させてます。
精神病院の遊郭みたいな女性の集団もかなりヤバいと思われますが、後に彼女たちは可哀想な人だったと気づかされます。

エロいので女性の登場人物は殆ど脱がないといけないので女優さんも大変です。
個人的にはオッパイ出すよりキスシーンが辛いかなと感じました。
尚、皆さん大好きな人間椅子のシーンもありますよ!
この人間椅子のシーンは実に中の人が良かった気がします。

江戸川乱歩シリーズということなので、おなじみの明智探偵も出てきます。
キャラクターがやたらと「ああっ!」とか驚いたり、高笑いするのも素敵。

乱歩映画はどうしても変態的というかヤバい方向に行きがちですが、これはぶっ飛んでる気がしました。

ラストまでのあらすじ

丈五郎によれば源三郎には弟がおり、その弟は奇形人間製造のために東京で医学を学んでいるそうです。
そしてその弟は間もなく源三郎を奇形人間にするために戻ってくるそうで、それを聞いた人見は「それ、俺のことじゃん!」と気づいて愕然とします。
自分の出生の秘密を知った人見は「そんなのはお断り」と抵抗して丈五郎に銃を向けられたのですが、「実は俺は人見宏介」だとネタばらししました。
それを聞いた丈五郎は初代は秀子の妹であり、人見を島に連れ戻すために東京に送ったのだとネタばらししました。
人見が精神病院に居たのはなぜか?初代を殺害したのは誰だったのか?という謎が残ります。
協力を強制された人見は秀子を元の身体に戻すという条件で同意しました。

そして外科手術が行われ、秀子は元の身体に戻り、一月土蔵の中で共に暮らす内に人見は秀子と男女の仲になっていました。
その経緯を見守っていた丈五郎は大喜びし、「祝いに母親に会わせてやる」と人見と秀子を洞窟の奥へと案内し、なぜか静子と蛭川もついてきました。
そこには秀子の母である、とき(葵三津子)が監禁され、放心状態で子守唄を歌っていたのですが、彼女は丈五郎の妻であり、人見の母でもありました。
しかし元々丈五郎の財産だけが目当てであったときは彼を嫌っており、その後雇った林田という人物といつも肌を重ね合っていました。

その後ときは妊娠し、怒りの丈五郎はこの島に林田と共に彼女を洞窟に監禁しました。
二人は放置されて命乞いをしても許されず、間もなく林田は死亡し、ときは林田の死体に群がるカニを食べて生き延び、今でも林田の白骨死体はときの側にありました。
なんとも猟奇的な話です。
源三郎と人見は三歳までこの島で育ち、人見は東京のサーカス団へと送られて、そこで医学を志すようにさせました。
その後、怒りのあまりに丈五郎は背中の曲がった醜い男にときを犯させ、産まれた子が初代と秀子でした。
姉である初代はサーカスに売られ、丈五郎は鬱憤を晴らすために秀子をシャム双生児にしました。
つまり人見と秀子は兄妹だったので、丈五郎は人見に「お前たちは近親相姦という罪を犯した」と嘲笑うように告げるのでした。

丈五郎は蝋燭を吹き消して、協力するかどうか二、三日考えろと告げて引き揚げようとします。
当然、蛭川と静子は「私達に何の関係が!」と抗議したのですが、実は蛭川は静子と通じて家の財産を狙っており、東京で人見に色々と差し向けていたのも彼でした。
そこに高笑いをしながら新吉が入って来たのですが、実は彼の正体は名探偵明智小五郎だったのです!
明智は東京であるビルの13号室の貸し広告の掲載頻度が高いことから犯罪の臭いをかぎ取り、周囲を調べていたのでした。

ビルの一室を借りていたのは蛭川であり、丈五郎の島への奴隷を確保するために「事務員募集」と称して若い女性を集めては拉致していたのです。
そしてあの精神病院は蛭川によって買収され、拉致した女性の一時監禁場所として利用していたのです。
蛭川はまた、女装しては拉致女性を虐待する異常性格者でもあり、病院で人見を殺害しようとしていたのも彼の部下でした。
初代を投げナイフで殺害したのも蛭川であり、明智はサーカス団を調べて菰田家との繋がりを知り、下男として潜入することにしました。
明智は源三郎が入れ替わっていることも見抜いており、千代子を監視していたのも人間椅子となった蛭川でした。
更に蛭川と静子は共謀して天井から糸を這わして毒薬を垂らし、源三郎を殺害しようとしたのですが、誤って千代子を殺害してしまいます。

丈五郎は「貴様ー!」と蛭川と静子に拳銃を向け、二人は相手を盾にして自分は助かろうと必死になります。
じりじりと後ずさりする内に蛭川と静子は崖から海中に落ち、そのまま溺れて消えました。
そして丈五郎は人見に銃を向け、「馬の頭に人間の身体の馬頭観音を作れ!」と命じます。
しかし明智は既に拳銃の弾を抜いており、「観念しなさい」と丈五郎に迫り、丈五郎は洞窟の外へと逃走します。
明智はそれを追い、人見と秀子はときを救出し、「これを明智探偵に渡してください」と手紙を託して去りました。

邪悪な夢破れ、もう逃げられないと観念した丈五郎は島ごと爆破する自爆装置を押そうとし、明智は必死の説得を続けます。
そこにときが合流し、「悪いのは私なんです」と丈五郎を庇うのですが、手紙を読んだ明智は人見達が心中するつもりだと知らせます。
丈五郎は反省して「とき、すまなかった」と告げて自害し、ときは「私が悪かった」と心から詫び丈五郎を抱きしめるのでした。

時を同じくして空には花火が上がったのですが、それは許されない恋の道に落ちてそれを諦めきれない人見達が自害した姿でした。
花火と同様に、人見と秀子の生首やら千切れたまま繋いだ手が宙を舞い、「おかあさーん」と叫ぶのでした。

完マークで終了です。

最後の青白い生首とか素敵過ぎで、この監督ちょっとイカレてると思います。
色んな女性が出てましたけど、私は静子派です。でも一番腹黒いですよねw

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