猟奇事件を映画化 猟奇女犯罪史

明治大正昭和 猟奇女犯罪史

妻が自殺してひどい目に遭う話

制作年 1969年
制作国 日本
監督 石井輝男
脚本 石井輝男/掛札昌裕/野波静雄
上映時間 92分
出演
吉田輝雄
賀川雪絵
由美てる子

だいたいのあらすじ

解剖医の村瀬(吉田輝雄)の下に妻の雪子(中村律子)の遺体が搬送され、村瀬は衝撃を受けていました。
雪子は自殺だったのですが、体内からは他人の精液が発見され、村瀬は妻が何らかの事件に巻き込まれたのではないかと考えます。
そして法医学教室を尋ねて過去に女性が起こした事件を調べ、雪子の死に関する何かのヒントを得ようとします。
冒頭に死体解剖をドンと持ってくる辺りがすごいです。
それはそうとして妻の自殺がどうして過去の女性犯罪と結びつくのかよくわかりませんが、ツッコんだら負けのような気がします。

東洋閣事件

1961年に東洋閣で起こった連続殺人事件であり、主犯の宗方絹枝は死刑宣告を受けました。

宗方絹枝(藤江リカ)はホテル東洋閣の経営者夫人である千代(葵三津子)の友人だったのですが、経営者である斉藤浩助(石山健二郎)は外の女と遊んでばかりで実質的な経営は千代に任せていました。
千代は赤字続きのこのホテルを手放そうと画策しており、その件を絹枝に相談したのですが、実は斉藤の愛人とは絹枝でした。
絹枝は斉藤に千代がホテルを売ろうとしている件をチクり、「殺しちゃえば」的にけしかけていました。
その後、絹枝は渋谷(藤木孝)と共謀し、大浴場に入浴している千代の背中を流す振りをして首を絞めた後に斧で撲殺しました。

千代は失踪ということにし、絹枝は女将の座に納まりました。
しかし斉藤はあまり経営には役に立たず、相変わらず従業員のすみ等に手を付けており、絹枝も半ば公然と渋谷と浮気していました。
千代の遺体はボイラー室の壁に埋め込んであったのですが、最近千代の弟が「姉は殺害されてホテルに埋められている」という噂を流していたので、絹枝は渋谷と共に腐乱した千代の遺体を山中に埋めました。
二人は背徳感からかその場でHを始め、絹枝は渋谷に「斉藤を始末すればずっと一緒」と言って焚きつけました。

東洋閣へ戻った渋谷は早速絹枝の前で斉藤を撲殺して失踪したことにし、これで東洋閣は債権者である絹枝のものとなりました。
その後ようやく念願の別館の増築が完成したので絹枝は蝋燭を灯して渋谷と記念Hをします。
絹枝は渋谷のお酒に一服盛っており、渋谷がしびれて動きが鈍くなった所を刺殺しました。
しかし蝋燭が倒れていたのでそこから出火し、増築したばかりの別館は燃え上がります。
この炎の中の血みどろシーンは凄いです。強烈だと思います。

絹枝は「あたしの東洋閣が」と半狂乱でナイフを手にしたまま外に飛び出しました。
その後、栃木県警は絹江を逮捕し、後の取り調べで絹枝は自分の夫も殺害していたことが判明したそうです。

これはホテル日本閣事件をベースにしてるみたいです。
絹枝の狂気の演技が怖いです。

阿部定事件

1951年5月18日に阿部定(賀川雪絵)は愛人の石田吉蔵(若杉英二)の局部を切り取って逃走しました。
世間では阿部定は淫乱ということになっていたのですが、疑問を感じた村瀬は本人(阿部定)にインタビューしました。
彼女は「石田が殺してくれと言うので殺した。何か彼を思い出すものを持ち帰りたかった」的に答えました。
この映画が公開された二年後に本人は失踪しています。

石田はセックスの際に首を絞められるのが好きで、事件があった日も定は石田の首を絞めて上に乗っていたのですが、気が付くと石田は死亡していました。
そして定は石田を誰にも触れさせたくないと考えて局部を切り取り、その血でシーツに「定吉二人キリ」と書きました。

定は元々石田の経営する料亭で女中をしていたのですが、段々と石田に迫られるようになり、それから不倫関係になったのだそうです。
その後、二人の情事は妻のとく(牧淳子)にも知れることになり、石田は定を連れて家出します。
しかし派手に遊んでいたのでたちまちお金が無くなったので、定はパトロンに「やくざの情婦が出きて手切れ金が必要」と嘘を吐き、100円を都合しました。
そしてひたすら二人はセックス三昧だったのですが、石田は定に言葉責めされたり首を絞められたりすると喜んだそうです。

定は裕福な畳屋の娘として生まれ、好き勝手に暮らしていたのですが、16歳の時にレイプされたのを機に不良になりました。
両親は定を遠縁の稲葉屋に預けたのですが、定は稲葉の食い物にされてしまいました。
その後は各地を転々として娼婦等をして暮らし、時には警察のお世話になっていたということです。
それから妾になったり色々あったのですが、現在のパトロンと知り合い、その後吉田屋に入ったそうです。

石田を殺害した後に定は再びパトロンに身を寄せ、今まで肉体関係が無かった彼に無理を言って抱いて貰いました。

阿部定本人は「一生の内に本当に好きになる男は一人」と語っていました。

凄く村瀬が浮いていて素敵です。

象徴切り事件

定の事件後に全国で女性が男性の生殖器を切り取ると事件が発生したそうです。

四国では学生の進(由利徹)がお金を無心していた煙草屋の婆さん・とら(金森あさの)にハサミでチン〇斬られました。

静岡でも上田英治(大泉滉)が浮気現場に踏み込まれて恋人にチ〇コ斬られていました。

ネタパートみたいです。

感想

これは普通です。
妻を亡くした解剖医村瀬が女性が起こした事件を追いかけるという内容です。
村瀬の探求心は止まる所を知らず、本物の阿部定に橋の上でインタビューしたりしています。
この作品、果たして村瀬いるのかな?と途中で気がついてしまうのがウケます。
一応、事件の冒頭等で村瀬のナレーションが入るのですが、どうも真面目で珍妙な感じになっています。

事件を再現したという点では特に目新しいものはないのですが、所々の演出がなかなか良いと思います。
個人的には東洋閣事件が一番面白かった気がします。
ラストの炎の中のシーンは凄かったと思います。
他にも小平事件の顔アップの不気味な演出や、高橋お伝の処刑場のシーン等が印象に残りました。
阿部定事件は思ったよりインパクト薄かったです。

女優さんだと絹枝の人とお伝の人が素敵でした。
定の人も似たような作品に沢山出ていて可愛いのですが、なんか今回はピンとこなかったです。
小平の人はやっぱりいいですよね。
この人悪役ばっかりなのですが、たまにいい人役やった時のギャップが激しいので小平にも騙されそうになります。

ラストまでのあらすじ

小平事件

小平義雄(小池朝雄)は1945年~1946年に渡り女性を強姦・殺害した罪で死刑となった猟奇殺人鬼です。
彼は逮捕された後の取り調べでも反省の色はなく、「レイプした後に首を絞めると女の顔色が変わるのが堪らない」的なことを舌なめずりしながら楽しそうに供述していました。

戦時中、工場のボイラー技士だった小平はに面倒を見てやった女工・高崎光子(木山佳)が田舎に疎開すると言い出したので、その場でレイプしていました。
光子は激しく抵抗したので小平は首を絞めて事に及び、そのまま殺害したということです。
次に小平の毒牙に掛ったのは30歳の人妻で、「こう、女が逃げ出したので頬をビビビーンと張って…すると諦めたのか自分から着物を脱ぎだして」等と実に楽しそうに供述しており、取り調べの刑事も思わず身を乗り出して小平の供述を聞いていました。
小平は親切な男の振りをして遠くまで買い出しに出たその主婦に近づき、「知り合いの農家が米を安く譲ってくれる」と誘い出してレイプの末殺害していました。

小平は次に22歳の若い女性を同様にレイプの末に絞殺していました。
引き続き、21歳の女性を二名と19歳の女性をレイプの末に絞殺しています。

その後、小平は映画館で食料をネタに緑川柳子(片山由美子)を引っ掛けて、進駐軍に仕事を斡旋することを匂わせます。
柳子の母は娘から小平を紹介され、明日小平が知り合いの農家に米を分けてもらいに行くという話を聞き、彼を泊めてやることにします。
翌朝、小平は母娘を食い物にしてやろうと狙っていたのですが、柳子には隣のおばさんが同行すると言い出したので叶いませんでした。

その後、柳子が家に訪ねてきたので小平は明日就職を斡旋すると約束し、翌日増上寺の門で待ち合わせとなりました。
小平は話してる最中に手を絞殺ポーズにしてるのが怖いです。
翌日、小平は柳子を暴行の末にレイプして絞殺し、その後逮捕されました。

1949年11月5日の午前11時55分に小平は宮城刑務所で絞首刑を執行され、人生の幕を閉じました。

村瀬は難しい顔をしつつ、女が彼を狂わせたのか?女が狂うのか等と考え込んでいました。

この作品だけモノクロで女性の犯罪ではありません。
顔のアップが多くて生々しいのですが、小平がどういう人間なのかはイマイチわかりませんでした。凄い変質者だということは分かりましたが。
それはそうと話の合間に村瀬が難しい顔で出てくると笑ってしまうのは私だけでしょうか?

高橋お伝

「明治の毒婦」と呼ばれた高橋お伝(由美てる子)は雪の降りしきる中、警官に押さえられ、首斬り浅右衛門(土方巽)により斬首されようとしていました。
伝は命乞いをして身をよじったので浅右衛門は一刀目を外してしまい、伝は「市さんに一目会わせてください」と懇願します。
このシーンはなぜか美しく感じました。

16の時、伝は波之助(林真一郎)という男と無理矢理結婚させられたのですが、波之助は間もなくハンセン病を患い、顔が崩れてしまいました。
身体が豊満すぎで16歳は無理あると思います。
伝は波之助を気の毒には思いながらも、身体を求めてくる彼を受け入れることができずにいました。
その後、伝は留吉(蓑和田良太)という男と知り合って色々と相談に乗って貰っていたのですが、身体までは許していませんでした。
ある夜、波之助は伝を無理矢理犯そうとし、それを目撃した留吉が弾みで波之助を殺害してしまいました。

ということで伝は留吉と故郷を後にしましたが、留吉は伝を品川の女郎屋に売り飛ばしました。
そこで市(林彰太郎)という男と出会い、横浜に駆け落ちすることになったのですが、留吉が邪魔に入ったので市は彼を殺害しました。
しかしお金が無くなって横浜に渡ることも叶わず、伝はこれを最後の悪事にしようと、浅草の旅館に資産家の男をおびき出し、首をカミソリで切って殺害してお金を奪いました。
そして伝は逮捕され、この刑場へと来るハメになったのでした。

浅右衛門は二刀目は誤らずに振り下ろし、伝の首は雪の中に落ちました。

高橋お伝に関してはそんなに悪い人でも無かったと言われてますよね。

ということで、ひたすら眉間に皺を寄せて犯罪記録を読んでいた村瀬が何かを掴んだかというと妻の死に関しては「何もわからない」だそうです。
カメラは建物を出て行く村瀬を映し、完マークで終了です。

薄々こうなるだろうとは思っていましたが、直球で返されるとは想定外でした。
苦悩した表情で「わからない」とか言われると軽く逆ギレされてる気分で「いや、誰も犯罪記録調べてって頼んでないから」とツッコみたくなります。

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