31Km
そこは、生と死の分岐点。
制作年 | 2006年 |
制作国 | スペイン/メキシコ |
監督 | リゴベルト・カスタニーダ |
脚本 | リゴベルト・カスタニーダ |
上映時間 | 101分 |
出演 |
イリアナ・フォックス |
ラウル・メンデス |
アドリア・コラド |
だいたいのあらすじ
アガタ(イリアナ・フォックス)はハイウェイの31Kmの標識付近で運転中にカーラジオの不具合に気を取られてよそ見をし、子供を撥ねてしまいますが車も彼女も無事でした。
彼女は急いで車を脇に寄せると確認に車外に出ますが、子供はぐったりおり、アガタは怖くなって恋人のオマール(ラウル・メンデス)に電話します。
その直後、子供はゾンビのように起き上がり、その様子にショックを受けたアガタは後ずさり、トラックに撥ねられてしまいました。
子供はリーガン状態でした。オマールって海老の産地と同じ名前ですね。
その頃、アガタの双子の妹カタリーナ(イリアナ・フォックス)は引っ越しの最中でした。
男友達ヌーニョ(アドリア・コラド)と一緒に姉が遅いと心配していましたが、アガタの事故をフラッシュバックのように見てしまいます。
カタリーナは一心不乱に道路を駆け出し、事故現場へ駆けつけます。
アガタは足ぐにゃぐにゃでひどい状態です。ひき逃げされたようですね。
アガタはすぐ病院へ搬送され、足を切断することになりました。
病院にはオマールも駆けつけて来ており、皆は間もなくモラレスという医師からアガタの容体について説明を受けます。
アガタは命は取り止めましたが両足を失い、昏睡状態で意識が無いそうです。
それでもカタリーナはアガタに面会し、変わり果てた姉の姿を見て悲嘆します。
いきなりキツい映像が多い映画ですね。
アガタの手を取ったカタリーナは彼女のとぎれとぎれの言葉が聞こえてきます。
同時に誰もいないはずのベッドに人影を目撃して彼女は同様します。
モラレスはカタリーナの様子を見て、少し眠る様に勧めて睡眠薬を渡してくれます。
彼によるとアガタが轢いたという子供は現場にはいなかったどころかそんな話も出ていないそうです。
薬の規制がうるさくないのか、睡眠薬を瓶ごと渡してくれてます。ビックリしました。
何と病院に灰皿もあって待合室で喫煙可のようです。
オマールは待合室に出てきたカタリーナに自分の部屋に泊まるように勧めます。
カタリーナはショックから覚めやらず、ヌーニョとオマールはカタリーナの家に荷物を取りに行くことになりました。
家へ向かう車の中でヌーニョはカタリーナとは友人だが、好きだと打ち明けます。
オマールは過去にアガタと間違えてカタリーナのことを口説いたことがあったようで、これが2人の間に遺恨を遺します。
カタリーナの家に着き、ヌーニョは車に荷物を積むことにし、オマールは事故現場を見に行きます。
オマールは兄貴風キャラでヌーニョはいい奴っぽいです。2人は馬が合わないようです。
オマールが現場に着くと周囲はかなり寒くここでは死亡事故が多いようで、道端に石碑のような物が沢山あります。
道路脇の森へ入ると彼の背後をあの子供らしき影がちょろちょろと素早く走り回り、同時に子供の泣き声とささやき声が聞こえてきます。
オマールが思わず誰だと声を掛け、周囲を探っているとパトカーから出て来いと警告を受けます。
オマールがパトカーの所に出向くと担当刑事のウガルデ(カルロス・アラゴン)が待っていました。
オマールの説明で現場荒らしではないと誤解は解けますが、ウガルデはここから立ち去れと警告します。
彼は何か知っているようです。
カタリーナはアガタの誕生日パーティのビデオを発見して見ているうちに眠り込みます。
姉妹は顔を合わすたびに喧嘩になっていたようです。
彼女は水中を漂う母子の夢を見てうなされ、目覚めると助けを求める姉と子供の声を聞きます。
そしてアガタが何者かに引き摺られて行く姿を目撃したので外に出てみます。
道路には引き摺られたような血の跡がどこかに続いており、追ってみると下水道のマンホール付近で跡が途切れていました。
カタリーナが恐る恐るマンホールの蓋に立つと姉の助けを求める声がますます強く頭の中に響きます。
その直後、姉の悲鳴と獣の咆哮のようなものも聞こえてきて、オマールの家に逃げ帰ります。
病院へアガタの面会に行ったカタリーナは話しかけることで意識が戻るかもしれないとモラレスに告げられます。
カタリーナはアガタの手を握り、自分が出来が良く良心にも可愛がられるアガタに劣等感を感じていたことを正直に打ち明けます。
彼女の背後からはあの少年が近づいてきており、背中を叩き、歌声が聞こえたので見てみるとベッドの下で体育座りをしていました。
同時にアガタの指が激しく動き、目が開いたのでモラレスを呼びますが、モラレスは昏睡状態の患者には良くあることだと説明します。
なんだか呪怨みたいになってきました。
一連の現象は事故現場に関係していると考えたカタリーナは待合室でヌーニョに現場に行きたいと願い出ます。
オマールも同行することになり、3人で事故現場へ向かうことになりました。
ヌーニョはカタリーナを独り占めしたいので、オマールを警戒してます。
モヤモヤしていたヌーニョはお前は家族のことも何も話してくれないとカタリーナに八つ当たりしたので、彼女は両親のことを話します。
彼女の父親は建築現場で勤務中に事故死しており、母親はずっと精神を病んでいました。
母親に薬を飲ませるのは父親に信頼を得ていたアガタの役割でしたが、ある日カタリーナが手柄欲しさに薬を瓶ごと母親に渡します。
母親はオーバードーズしてしまい、風呂場で昏睡して溺れ死んだということで、カタリーナ7歳の出来事だったということです。
現地にはヌーニョの運転で行くことになり、カタリーナはオマールとヌーニョが微妙に仲が悪いことに気付きます。
2人は車の中でも些細なことで口論を始めてしまい、よそ見をしたヌーニョは31㎞地点で女性を撥ねてしまいます。
オマールは倒れている女性を調べると既に絶命していたので、警察に事故報告の電話を入れます。
カタリーナは背後を走り去る子供の気配と声を聞いたような気がして森に近付いていくと車に撥ねられそうになります。
オマールが彼女の様子に気付いて助けたのでなんとか無事でした。
ヌーニョは事情聴取のため、警察へ連行されて行くことになりました。
カタリーナはオマールにマンホールの件などを放しますが、彼は彼女の身を案じて31㎞地点には近づかない方がいいと忠告します。
オマールはアガタの事故の前に喧嘩をしていたことを気に病んでいたようで、カタリーナは彼を慰めます。
2人は何となくキスをしてしまいますが、アガタ命のオマールはやはり違うと感じたようです。
オマールはヌーニョが君のことを好きで、あいつはいい奴だから仲良くしなさいと言いました。
カタリーナは姉に対する劣等感を感じていたので、オマールのことを憎からず思っていたのかもしれません。
ヌーニョの事件を捜査していたウガルデは被害者の女性が23時間前に死亡していたという結果を受けてヌーニョを釈放することにします。
その時、彼は署内で調べものをしていたオマールと再会し、31㎞地点に興味を持っているオマールに少し情報を与えます。
警察でもあの少年のことは認識しており、3年前から捜査しているそうです。
あの地点では事故が多発しており、被害者は若い女性ばかりだそうです。
ウガルデは事故の原因は幽霊の仕業だと言い出し、オマールに失笑されます。
彼はそんなオマールに、証拠が知りたくなったら来いと自宅の住所をメモ書きで渡しました。
それは何となくはわかるんですが。オマールも不思議現象体験してるでしょ?
ヌーニョは釈放され、轢いた女性が死んでたとカタリーナに告げると彼女は原因を探りに31㎞地点を調べに行こうと言い出します。
彼は事故を起こしたこともあり、行くのは嫌でしたが、渋々カタリーナに付き合って31㎞地点に同行します。
31㎞地点には「エル・エンカントで薪売ってます」という看板が出ているのですが、その村は近くにあるようです。
2人は何か情報が得られるかもと思い、村に向かってみることにします。
薪が沢山積んである小屋に着いた2人をナゾの老婆が出迎え、カタリーナに「お前を待っていた」とナゾの言葉を吐きます。
老婆は31㎞地点に関する元凶を知っているのだそうで、以下のような話を語ります。
何百年も前のスペイン統治時に美しい娘が住んでおり、スペインの軍人と恋仲になり子供が産まれたそうです。
しかしスペインの軍人は子供が産めない妻の替わりに娘に産んでもらっただけだったということです。
ショックを受けた娘は子供と無理心中を図り、川に飛び込んで死亡したそうです。
母子は成仏できずに幽霊となり、川の付近で若い女性をターゲットに祟りを成しているということです。
カタリーナはリオミクスコアク通りのマンホールで母親の声を聞いたと老婆に伝えます。
老婆によるとアガタはその母子に祟られたので、祈りもお祓いも意味をなさず、助からないだろうと言います。
但し、この世とあの世の境にカタリーナが訪れてアガタの魂を呼び戻せば助かるかもしれないとのことです。
これが31㎞地点とどう紐づくのか理解できず、老婆が何を言ってるのか良く分かりません。
老婆は夜の森は危ないから今夜は泊まっていけと2人に勧めます。
ヌーニョは嫌がりますが、カタリーナは泊まると言い張るので、2人はここに泊まることになります。
オマールはウガルデの家を訪ねてみることにしました。
彼の家には厳重に鍵をかけた一室があり、そこには31㎞地点についての資料がびっしりと貼られていました。
ウガルデもリオミクスコアク通りで幽霊が出ることは気づいており、それが31㎞地点に関連しているのではないかと考えていました。
こっちも31㎞とどう関連するのか理解不能です。
オマールはウガルデから地図を借り、急いで自宅に戻りましたが、カタリーナの姿はありません。
アガタの病室に架けても連絡がつかなかったので、カタリーナが事故現場に向かったのではないかと察します。
彼はカタリーナの携帯に電話を架け、リオミクスコアク通りで女を捜そうと呼びかけます。
タクシーで現場にむかったオマールは自分の車が事故現場に駐車されているのを見つけました。
周囲にカタリーナ達の姿を見いだせなかったオマールは森をさまよいます。
彼は霧に包まれてしまい、子供の声を聞きます。
オマールの周りの霧が晴れると道路が川に変化しており、対岸にはあの子供がいます。
彼は子供に吸い寄せられるように川に入って行き、そのまま深みにはまり溺れさせられてしまいました。
一睡も出来なかったカタリーナに老婆は眠ることでアガタと夢の中で会うことができ、交流できるから寝た方がいいと言います。
オマールの家に戻ったヌーニョはオマールの置いていった資料を調べてみることにします。
昔の地図を見るとリオミクスコアク通りには川が流れていたようで、川は31㎞地点とも交差していました。
カタリーナが昔の新聞記事を見ているとあの老婆が1941年に自殺しており、幽霊だったことも発覚します。
彼女はそれをヌーニョには告げずにアガタの面会へ行くと告げて出掛けました。
しかしカタリーナは実は31㎞地点へ向かっており、そこで怪我をしているオマールと出会います。
彼女がオマールに声を掛けるとオマールは一切無言で車に乗り込み、前方を指さします。
カタリーナがどんなに呼びかけてもオマールは一切反応せず、無表情のままです。
オマールは31㎞地点の近くで車を降りるとカタリーナに何かを知らせるように道路脇の草叢を見つめます。
その先にはオマールの遺体が転がっており、カタリーナが振り返るとオマールの姿は消えていました。
なんだかタクシー運転手の怖い話みたいになってきました。想像すると怖いですが、映像だとイマイチですね。
カタリーナは警察に匿名で通報するとその場を後にします。
丁度、昨夜の留守番電話が通知され、オマールからのリオミクスコアク通りを調べようという内容でした。
カタリーナはリオミクスコアク通りに向かうことにし、車を走らせます。
感想
これはちょっと面白いです。割と怖いシーンもありました。
じめーっとした雰囲気に包まれている作品で、演出はいい感じだと思います。
これはリングとかそういう系統と同じ暗さがある映画だと思います。
ただビックリ系と音で脅かす系が多いのが残念でした。
お話は正直あまり面白くないと思いました。ちょっと破綻しているような気もします。
前半に雰囲気で引っ張って、中盤は引っ張り切れなくなってダレて後半に少し面白くなる感じでした。
ダレて来たところで全体の暗さと相まって眠くなるのも事実です。
ちょっと説明不足の部分が多く、見た人によって解釈が変わるような気がします。
霊が沢山出て来るみたいなのですが、皆さんやることがまどろっこしいです。
最終的に何がしたいのか良く分かりませんでした。
登場人物は正直あまり魅力が無く、感情移入しづらいと思います。
カタリーナが辛いのは分かるんですが、ちょっとカリカリしてるというかなんというか。
一番好きだったのはウガルデでしょうか。嫌いだったのは老婆です。
私はこの映画は普通です。
ラストまで(ネタバレ)
カタリーナはリオミクスコアク通りの工事現場付近に車を駐車すると眠り込んでしまい、アガタの姿を見ます。
ヌーニョはアガタが戻らないので31㎞地点までタクシーで向かい、収容されているオマールを目撃し、ウガルデに会います。
ウガルデがオマールの名前を知っていたことからヌーニョはウガルデに話しかけます。
ヌーニョはオマールの資料の提供者はウガルデだったと知り、森の中の老婆の話をするとウガルデに案内するように頼まれます。
森の中の小屋は一夜にして廃墟になっており、ウガルデからこの家の老婆は1940年代に自殺したと告げられます。
ヌーニョはカタリーナを捜すのを手伝ってくれとウガルデに頼みます。
ますます稲川淳二さんの怖い話みたいになってきました。「あかーいはんてんきせましょか♪」
ヌーニョはウガルデと共にリオミクスコアク通りに向かうことになりました。
外は雷雨が降り出していました。
車内で眠り込んでいたカタリーナでしたが、子供の頃の母親が死亡した際の悪夢を見て飛び起きます。
この悪夢なのですが「お願い。やめて」って言ってるのは誰なのでしょう?
何だか姉妹が故意に母親を殺したようにも見えるのですが。
「どうしてこんな目に遭わせた!」って言ってるのは姉と母のようなので違うとは思いますが。
カタリーナは独りで下水道へ入って行き、ヌーニョとウガルデが跡を追います。
ヌーニョはパトカーに積んであったショットガンを手に取りました。
下水道にはあっさり入れるものなんですね。ショットガンには鍵かかってないんでしょうか?
ウガルデは下水道の螺旋階段の上からカタリーナらしき人物を発見しますが、上から見た彼女はまるで別人に見えました。
この下水道入り口はなかなか凝っていて素敵です。サイレントヒルみたいです。
3人はバラバラに行動することになり、ブレーカーに気付いたヌーニョが電気を点けます。
カタリーナは下水道の奥で再び老婆に出会います。
老婆は生命を捧げて魂を呼び戻せと訳の分からないことをカタリーナに告げます。
実は老婆は今回の件の黒幕の一人で自殺した母子というのは彼女の娘と孫だったようです。
老婆は自分を生贄に捧げ、娘を復活させようとしたのですが、死亡した場所が異なっていたため失敗します。
今回、カタリーナ達が謎を探ることでこの場所で死んだことが判明したということでした。
要するに娘を復活させたいから命を寄越せということみたいです。
そして川の中からは沢山の手と共にナゾの白い霊体が出現するのでした。
その後、グニャグニャの足で立ち上がろうとしているアガタの姿やラスボスっぽい霊体などが出現します。
ラスボスっぽい霊はどうやら心中した母親のようで、「私の坊やはどこ?」などと意味不明なことを言っており犯人の動機は不明です。
微妙にCGがズレてる気がするのはご愛敬でしょうか。
カタリーナは心中した母親の霊に襲い掛かられたのですが、無事でした。
今度はカタリーナの母親の霊が現れ、彼女を説得して後ろから押さえつけます。
そこにラスボス霊がカタリーナ目がけて突撃して来るというチームプレイを食らいます。
カタリーナの悲鳴を聞いてウガルデとヌーニョは急ぎますが、先に到着したのはヌーニョでした。
ヌーニョはカタリーナをしっかと抱きしめ、「全て終わった」とナゾの発言をします。
訳が分からないので、これ以上混乱させる発言は控えて欲しいものです。
カタリーナは先ほどの突撃で霊に乗っ取られたらしく、ヌーニョは周囲が川でカタリーナが悪霊に見えてしまいます。
思わずヌーニョは彼女を突き飛ばし、銃床でガンガン殴ります。
その現場をウガルデが発見し、拳銃を突き付けてヌーニョを制止します。
しかしヌーニョの前に再び悪の老婆が現れ、殺れ殺れと彼を煽ります。
彼は止めを刺そうとしますが、我に返るとカタリーナに手を掛けたことを知ります。
急いでカタリーナの様子を窺うヌーニョでしたが、彼女はぐったりしてしまいました。
ウガルデも確認しますが、もう脈がありません。
ヌーニョはショットガンを口に咥え、銃声が下水道に響き渡りました。
気が付くとヌーニョは病院のベッドで横になっていました。
どうやらヌーニョがショットガンを撃つ前にウガルデが彼を撃って制止したようです。
ヌーニョは記憶が無いようで、付き添いのウガルデからカタリーナは君に殺されたと告げられます。
ヌーニョ完全に病んでますね。
アガタは意識を取り戻し、私の坊やはどこー!と凄まじい叫び声を上げるのでした。
エンドロールで終了です。
なんだか後味の悪い終わり方ですね。
カタリーナが生贄になることで心中した母親は復活できたようなのですが、これからどうなるのでしょうか?
しかし息子さんはベッドの下で体育座りしてましたよね?回復すれば車椅子で移動できるでしょうし。
良く分からないのは息子は何してたんでしょうかね?単なる悪霊だったんでしょうか?
そうなると若い女性ばかりが事故死しているというのが良く分かりませんね?
オマールも少年に殺害されてますし。深く考えないことにしました。
エンディングテーマのイントロがちょっとクランベリーズのゾンビっぽくてカッコいいですね。
どうでもいいんですが、この映画はエンドロールが長いです。
大作映画扱いだったんでしょうか?確かにちょっと面白かったですが。