アコークロー
沖縄来たらひどい目に遭う話
制作年 | 2006年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 岸本司 |
脚本 | 岸本司 |
上映時間 | 97分 |
出演 |
田丸麻紀 |
忍成修吾 |
尚玄 |
だいたいのあらすじ
アコークローというのは沖縄の表現で「昼と夜の間」、「黄昏」等を表すそうです。
何かの必殺技かと思いました。
JKっぽい二人組が海辺でくつろいでおり、一回デートした相手にストーカーされた挙句に自殺されたとか話していました。
ストーカーされていたJKは「キモかった」等と率直な感想を述べていたのですが、自殺した男の霊が現れてしまい、とうとう自宅のベッドの下にまで出現し「おい」と呼び掛けるのでした。
そしてお祓いをする霊能者のようなユタと呼ばれる女性が呼ばれたのですが、彼女はJKに「これは幽霊じゃなく、あなたの脳が産んだ幻影」と伝えました。
鈴木美咲(田丸麻紀)は姉(清水美沙)の赤ちゃんを預かって乳母車で路上を散歩させていたのですが、携帯電話に出ていたので少し前方不注意になり、前方の横道から飛び出してきた自転車に乳母車が激突して車道に弾かれ、トラックがそれを撥ねるという不幸に見舞われました。
これ前方に注意してても回避するのは厳しいと思います。
未だにその悪夢を見る美咲でしたが、現在は恋人の村松浩市(忍成修吾)を訪ねて沖縄にやって来ていました。
浩市と再会した美咲は彼の友人である渡嘉敷仁成(尚玄)とその息子仁太を紹介されました。
その夜、仁成の友人喜屋武秀人(結城貴史)の祖母シズ(吉田妙子)に夕食をご馳走になった美咲は祖母達から沖縄の独自の習慣について教わります。
沖縄では猫の死骸を発見した場合、祟りを怖がって袋詰めにして吊るすのだそうです。
また、豚の幽霊や赤い髪で魚の目玉が大好物でおならが弱点の妖怪キジムナーの話を聞きました。
仁成には別れた妻で真っ赤な髪の早苗(菜葉奈)が居るのですが、仁太にこっそり会いに来て激しく拒絶されていました。
翌日、キジムナーに興味を持った美咲は仕事帰りの浩市に比屋定影美(小田エリカ)という元ユタで作家の女性を紹介してもらいました。
影美が言うには実の所キジムナーは正体不明で、キジムナーを裏切ると目玉をくり抜かれて一家惨殺されるそうです。
「なんであんたはそんなにキジムナーが気になるの?」と影美に聞かれた美咲は上手く返答ができませんでした。
その後、帰宅した美咲は家の前を通る早苗を目撃し、「あれは仁成の元女房」と浩市に教わりました。
夕方になって帰宅した仁成は家に早苗が上がり込み、仁太の髪を赤く染めているのを発見して激怒し、遠慮なく早苗をボコボコにして叩き出し、絞殺しようとしていました。
そこに浩市たちが現れて仁成を止めました。
浩市も詳しくは知らなかったのですが、早苗は仁成と結婚していた頃、二人目の子供を自分の誤ちで亡くし、情緒不安定になったのだそうです。
その話を聞いた美咲は2年前に姉の子供を事故で亡くしたことを打ち明け、早苗の気持ちが分かる気がすると語りました。
その深夜、早苗は林の中にぶら下がった猫の死骸袋を赤ちゃんのように抱っこしていたのですが、煙のような顔をしたフナムシのようなものが現れ、彼女に憑依していました。
浩市は仁成に「もう一度俺も同行するから早苗と話をつけに行こう」と約束しました。
その後、休日になったので仁成の家に溜まっていた浩市達はそろそろ早苗の家に行こうかとしていたのですが、そこにフラフラと早苗が現れました。
早苗は「さびしいよう」と呟くと鎌を振り上げて浩市に斬りかかって突き飛ばすと仁成に何度も斬り付けます。
浩市と秀人が必死に押さえようとしたのですが秀人も早苗に斬られ、再び早苗ともみ合っていた浩市は誤って彼女の腹に鎌を刺してしまいました。
早苗は腹の鎌を抜き、尚も仁成に斬り付けようとしたので今度は美咲と揉み合いになり、美咲は誤って早苗の胸に深々と鎌を刺します。
間もなく早苗は動かなくなり、浩市はビニールに彼女を包み、どこかに運び出そうとします。
警察に行かないの?という美咲の問いかけに「将来棒に振りたくない」と返答する浩市でしたが、そこに仁太が帰宅し、状況を把握したようで駆け出しました。
仁成が「ごめんなー」と追いかけると仁太はサトウキビ畑でハブに噛まれて倒れていました。
急いで戻ると既に浩市達はいなくなっていたので、仁成は自分の車で仁太を病院へと運んでいたのですが、道中で横から突っ込んで来た車に激突されてしまいました。
浩市と美咲は秀人が役に立たなかったので、沼地のような所にブロック塀を結んだ早苗の遺体を鎮めました。
幸い仁成たちは無事だったようで、仁太も助かりましたが、入院となりました。
美咲は警察に自首するべきだと浩市に助言したのですが、「仁太はどうなる」と言われてぐっとつまってしまうのでした。
その後、秀人は行方をくらましてしまったのですが、浩市達が早苗を遺棄した場所に行くと秀人の姿があり、肩まで水に浸かりながら「目玉あげるから何もしないで。痛くて取れない」と謎の寸劇を披露していました。
秀人はそのまま入院しました。
仁成もまた庭にビニールにくるまれた早苗が現れ、恨めしそうにこちらを睨んでいるという幻影に悩まされるようになります。
浩市も出勤する際に同じ姿の早苗の姿を目撃していました。
そして買い物に出た美咲は仁成とすれ違ったのですが、彼は虚ろな様子で「仁太がいないんだよね」等と意味不明なことを言っており、足の傷が化膿していました。
その後、仁成が帰宅するとロープが首吊り状に掛けられていたのですが、彼は見えない仁太と「じゃあ俺が死んだ真似するから」等と会話しつつ首つり自殺をしてしまいました。
浩市は仁成の葬儀に出た後に仕事が手につかなくなり、勤務している旅行会社の上司に最近ミスが多いと叱られました。
というのも浩市にはいつもいつも恨めしそうな早苗の姿が見えるからでした。
感想
これは普通です。
のんびり暮らそうとしていた男女が事件に巻き込まれ…という内容です。
ちょっと浩市の行動が不自然で「なんでそうなるの?」って感じではあります。
よくある幽霊譚なのですが、雰囲気はまあまあいいです。
登場人物の殆どが沖縄のアクセントで話しているのですが、方言はきつくないので言ってることは分かります。
前半は沖縄のんびり話のような感じで空も明るいんですが、後半になると展開はドンヨリして来て風景も曇り空や雨降りが多くなります。
キジムナーというのが謎の存在なのですが、早苗の赤い髪の印象もあったのか美咲の中では早苗に憑依した何かがキジムナーであるとされたようです。
結局、憑依した者の正体は不明なのですが、その辺も含めてなんだか沖縄っぽいのかな?と思いました。
演出やBGMなどが悪くなかった気がしますが、何が言いたいのかよくわからない面がありました。
沖縄の文化といってもそれほど紹介できていないし、人間怖いのか幽霊怖いのかも掴みどころが無かったです。
分かったのはやっぱり悪いことはしちゃダメだなっていうことだけでした。
説明不足な面もあり、仁成がなんで早苗をあれほど嫌っていたのかよくわからず。
また早苗がなんで仁太の髪を赤く染めていたのかも謎です。
ちょっと展開はアレですが、暇つぶしにはなるような気がします。
ラストまでのあらすじ
そんな訳なので浩市は参ってしまい、ゲーゲーと吐くようになるのですが、彼が吐いているのは赤い髪の毛でした。
その内に立っていただけの早苗は浩市に掴みかかってくるようになったので、ますます浩市の症状は悪化します。
浩市は仕事にも行かなくなってしまい、早苗が見えない美咲は「幽霊なんて思い込み」と彼を説得していたのですが、浩市の指さす方向を見た美咲は初めて早苗の姿を目撃し、恐怖で固まるのでした。
美咲も早苗の姿に悩まされることになってしまったので、「行方不明の早苗がなぜか亡霊になって現れる」という設定で影美に相談しました。
浩市の家に来た影美は確かに早苗の姿を認め、除霊を開始しました。
除霊は朝まで及び、影美は浩市達の悪事を見抜いたのですが、浩市は「正当防衛だ」と逆ギレしました。
そして影美が呪文を唱えると早苗は口から胎児のようにも見える憑依していたものを吐き出し、影美はそれをむしゃむしゃと食べて倒れました。
浩市は目を包丁で突いてしまい、美咲も後を追おうとしたのですが、早苗の霊がそれを押し止めます。
早苗の遺体は発見され、美咲は服役することになりましたが、死亡推定時刻は遺体が発見された時だったそうです。
影美は美咲と面会し、早苗に憑依していたもう一つの魂があった件を話し、美咲はそれをキジムナーであると解釈しました。
そして影美は面会に来ていた美咲の姉に「どうか心の声で話してあげて」と告げて去りました。
仁太は生き永らえたのですが、処置が遅れたせいで片腕を失いました。
美咲と浩市は拘置所の廊下ですれ違い、笑顔で会釈するのでした。
エンドロールで終了です。
浩市生きてたようです。
ユタってキモいものも食べなきゃいけなくて大変なんだなということは分かりました。