ジャバウォッキーその他の短編
チェコの映画監督であるヤン・シュヴァンクマイエルさんの短編集です。
制作年 | 1964年他 |
制作国 | チェコ |
監督 | ヤン・シュヴァンクマイエル |
脚本 | ヤン・シュヴァンクマイエル |
上映時間 | 91分 |
収録作品
シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック
1964年 12分
仮面を付けた2人の男性の人形が舞台の上にいます。
2人は君からどうぞ的な動きで譲り合ってしましたが、右側の男から手品を披露します。
男が帽子から不気味な魚を出し、頭の歯車に魚を放り込むと耳に器具を突っ込んで頭の歯車を回し始めます。
そして頭をカポっと開けて魚を取り出すと、魚は骨になっていました。
なんなんでしょうこれは?笑ってしまいました。
この人がエドガルさんみたいです。
今度は左側の男が手品を披露します。
彼の頭の中は鍵付きの収納庫になっているようで、鍵を開けて頭をカパっと開けると中からヴァイオリンを取り出します。
右の男との椅子の間にロープを張り、右の男は耳栓をし始めます。
男が帽子をロープの上に逆さに置くと、中から部品のような物が出てきて合体し、馬のような形になります。
馬はヴァイオリンの演奏に合わせて綱渡りをしたり、踊ったりしました。
この人がシュヴァルツェヴァルトさんみたいです。
右側の男が大胆に顔をガバーっと左右に開くとヴァイオリンが2つ入っていました。
男は手を4本にして2つのヴァイオリンの演奏を始めます。
帽子からトロンボーンが出て来たり、耳からトランペットが飛び出したり、シンバル叩く手が増えたりと大変忙しいことになります。
そして演奏は終わりました。
何を言ってるかわからないと思いますが、私にも良く分かりません。
左側の男は頭を3つビヨーンと縦に並べてグラグラゲームをします。
頭を投げたり、蹴ったり、指の上で回したりとして忙しいことになります。
2人は出し物が終わり、固い握手を交わし…
なんだか良くわかりませんでしたが、最後は2人共バラバラになって握手して終わりです。
なかなか面白いです。効果音とBGMが可愛いくて良かったです。
仮面とかが可愛くなくて、ナゾの甲虫がキモいのは流石だと思います。
J.S.バッハ-G線上の幻想
1965年 10分
バッハの映像をバックにボロい建物の壁が映ったり、壁で粘土細工が広がったりするナゾ作品です。
後半になると建物の中をずんずんと進んで行きます。
なんだか良く分かりませんでした。ダンジョン物のRPGのようでした。これは面白くなかったです。
家での静かな一週間
1969年 20分
道端で挙動不審なおじさんが双眼鏡で郊外の家を見ており、鼻からメモを出して丸めて食べたりしています。
そしておじさんはダッシュで先ほど見ていた家に突入して行きました。
おじさんは勝手に家に入ると電気を点け、壁に物を掛けたりしてくつろぎ空間を作成していました。
その後、ドリルを手に取るとドアに穴を開けて中を覗き込みます。
部屋の中では飴の缶を倒して大量の飴が脱出し、飴の包みの中からはネジが出てきます。
ネジはトコトコと隊列を成してタイプライターのキーの上に並びました。
おじさんはそれを見て覗くのをやめるとカレンダーのようなメモに印を付け、空気枕を膨らまして目覚ましをセットすると寝てしまいます。
おじさんが目覚めてまたドアに穴を開けて覗くと今度はキッチンのような所の壁から舌が出て来て尺取虫のように這いまわります。
舌は食べ残しの皿をなめたりしていましたが、自分をミンチ器にかけ、新聞紙を丸めた棒のようになります。
おじさんはカレンダーに印を付けて就寝しました。
これ妖怪みたいですね。
おじさんがまた穴開け&覗きをすると今度は食器棚をねじまき鳥が餌を食べようと自力でネジを巻いて進んでいます。
鳥には紐が付いており、なかなか餌を食べられないのですが、ようやく紐が切れて餌を啄みます。
すると棚の引き出しから土塊のような物が落ちてきて鳥は生き埋めになり、土塊は床に溜まると中から機械のような物が出てきます。
おじさん就寝タイムです。
こんな事が1週間分繰り返されます。
7日目になるとおじさんは身なりを整えて覗き穴に爆薬を突っ込んで出て行きました。
これはほとんど音が無い作品です。4日目の鳩が出て来る回がちょいグロです。
意味はわかりませんでしたがなんだか凄くシュールです。
何が起こっているのか良く分からないのもありました。(6日目)
人間の食欲だとか消費などをあざ笑っているように感じられました。
庭園
1968年 17分
2人のおじさんがウサギ被害について語り合っています。
そして車に乗って出発するのですが、ヘンなボタンを押してラジオ点けてます。
おじさん達はえっちらおっちらと車で進み、メガネおじさんの家に着きます。
どうやらメガネおじさんがもう一人のおじさんを招待したみたいです。
メガネおじさんの家の周りには人が沢山並んで手を繋ぎ塀を作っていました。
彼は慣れた様子で門役の人の持っている鍵を開けると門役の人達が門のような動きで道を開けてくれます。
友人が訝し気な表情を浮かべながら、その人間門に入っていくと人間門は自動的に閉まります。
なんなんでしょうか?これは?パントマイムみたいです。
友人がこれは一体と人々を観察してみると皆が同じ姿勢で足の角度まで同じで微動だにしません。
メガネおじさんに呼ばれたので友人はそっちに行ってみます。
なんとメガネおじさんはウサギ被害のことを憂いていたのにウサギを飼っており、凄いだろうと自慢します。
良く観察してみると塀の人達は賭けジャンケンをしてサボっている人もいます。
塀の人達はお互いに見張り合っているようで、「あいつサボってる」とメガネおじさんに密告する人もいたりします。
とうとう気になった友人はメガネおじさんに塀の人達のことを聞き、何か耳打ちされます。
友人は自発的に塀の一部になってしまいました。
これは普通です。DVD裏の解説によると社会主義に対する暗示的なことが書かれてます。
オトラントの城
1973年 18分
TV番組で「オトラントの城」という小説に書かれていた城がなんと実在した!という内容を学者を招いて解説しています。
学者によるとオトラントの城はイタリアにあると思われていたのですが、チェコに実在したようです。
学者の解説は退屈なのですが、切り絵の紙芝居がありそれが面白いです。
オトラント城の城主マンフレッドは息子を事故で失ったので、息子の嫁イザベラと結婚しようとしますが拒否られます。
嫁はセオドアの助力もあり、何とか義父の元からとんずらします。
セオドアは地下牢に入れられますが、マンフレッドの娘マチルダが差し入れをして助けます。
セオドアはイザベラを取り戻しに来た騎士が城に現れたどさくさに逃走してイザベラを守ろうとします。
マチルダはそれを見て嫉妬して嘆きます。
切り絵の間に学者の笑顔のカットなどが入るので笑ってしまいます。
イザベラを取り戻しに来たのは彼女の父でマチルダに惚れこみ、イザベラと物々交換する話がついてしまいます。
その時、巨大な騎士が現れてイザベラ父を妨害したので、イザベラ父は物々交換を拒否します。
マンフレッドはイザベラを殺害しようとしますが、マチルダを殺害してしまい、城は巨大な騎士に潰されたということです。
その後、TV局のレポーターと学者のおじさんでオチを付けます。
これは普通です。切り絵が面白かったです。
ジャバウォッキー
1971年 14分
冒頭に少女の声で鏡の国のアリスの「ジャバウォッキー」の詩が朗読されます。
咳払いをしたりして可愛いです。
その後、子供部屋にあるセーラー服が躍りだしたり、部屋の中に虫が湧いたリンゴの木が生えたりします。
パズルや迷路が自分で回答を出していると黒猫が現れて妨害しました。
倒れた人形の内部からおがくずがはみ出しており、中から小さな人形が沢山出現します。
小さな人形は踊りだしますが、次々とアイロンにぺちゃんこにされたり、ミルで挽かれたり穴に飲まれたりします。
大きな人形が小さな人形を調理して食べたりして、また迷路と黒猫が出てきます。
躍るセーラー服の袖から小さな軍隊の人形が出てきて行進や整列を始めます。
そこに揺り籠に寝そべった赤ちゃんの人形が現れ、兵士達を片っ端から食べ始めます。
兵士達も迎えうちますが、赤ちゃんはデカいので全員食われ、また迷路と黒猫が出てきます。
柄が人形になった折り畳みナイフがテーブルの上で踊り、テーブルクロスを穴だらけにした後、収納したナイフで流血して死亡しました。
なんじゃこりゃって思いました。
また迷路と黒猫が出てきます。
今度はノートの頁がどんどん破れて勝手に折り紙細工になり、好き勝手に動きます。
壁の肖像画は舌を出して口から少女のブロマイドのようなものを吐き出します。
折り紙は窓から飛び出し、椅子に縛られた人形は前転します。
ワードロープから父親のスーツらしき物が出てくると饗宴は鎮まりました。
これは子供が乱暴狼藉な振る舞いをしていたら、父親が帰ってきた感じでしょうか。
面白いと思います。
感想
これは良く分かりませんでしたが、映像が面白いのでなかなか面白かったです。
手品師の話とオトラントの城、ジャバウォッキー辺りが面白いと思いました。
効果音やBGMが可愛い感じで気に入りました。
どの作品もちょっとユーモラスな所があると思いました。
私はこの作品はちょっと好きです。