死霊の罠
スナッフビデオの秘密を探ってひどい目に遭う話
制作年 | 1988年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 池田敏春 |
脚本 | 石井隆 |
上映時間 | 100分 |
出演 |
小野みゆき |
桂木文 |
小林ひとみ |
だいたいのあらすじ
土屋名美(小野みゆき)というタレントが投稿ビデオを紹介する番組に出演していたのですが、ヒデキなる引き籠りっぽい人物がそれを観て「ママに似てる」と話していました。
ある晩、名美宛てにビデオテープが送られてきたのですが、その中にはある廃墟で女性が眼球をナイフで刺されて瞼まで切り裂かれるという映像の後に名美のアップが入っていました。
グロいです。
映像には東京からその廃墟までの移動経路も含まれていたので名美はプロデューサーの原田(島田紳助)に取材をしたいと申し出たのですが、「そんなもんに局の金は使えんから行きたかったら勝手に行け」的にあしらわれます。
名美は女性だけのスタッフで取材に行くことにし、運転手兼用心棒として近藤(阿部雅彦)に同行してもらうことにします。
ということで出発し、あっさりとその基地跡のような廃墟に到着したのですが、彼等の後を尾けている人物がいるようでした。
当然門はガッチリと施錠されていたのですが、名美がいじっていると開いてしまいました。
まずは三組に分かれて探索して1時間後に集合ということになり、5人だったので名美が単独で近藤と麗(小林ひとみ)、雅子(桂木文)と理江(中川えり子)という組み合わせにしました。
その後、名美は人探しをしているという男(本間優二)に出会いました。
一方、麗は足に蛇がまとわりつくという謎の怪異に見舞われた後に、以前から言い寄っていた近藤に押し倒されてHしていました。
雅子はひたすら写真を撮影していたので理江は単独行動を始め、名美と合流し、この場所は無気味だからさっさと帰りたいと名美に訴えました。
実はこの廃墟には男性を拉致監禁している謎の黒マント男がいるようなのですが、そんなことは誰も知る由もありませんでした。
その頃、雅子は撮影現場と思われる建物を特定していました。
麗は天井にやたらと蛆が湧いている一室を発見したのですが、そこで壁に並んだロッカーから女性の死体が飛び出しました。
驚いて後ずさった拍子に置いてあったソファに腰かける格好になったのでですが、床や壁から鉄の杭が複数飛び出して来て麗の身体を貫きました。
名美達は一旦車に戻り、先に一服していた近藤と合流しました。
そこに雅子が「建物見つけたー」と走って来たので、皆でそちらに向かいます。
中に入ると謎のキュルキュル音が響いてきたのですが、それは麗の惨殺死体がぶら下げられ、真っすぐな廊下をこちらに滑ってくる音でした。
理江はパニックを起こして麗の死体が出て来た方向に走り、建物から脱出して警察を呼びに走ります。
車に戻った理江は後部座席から現れた監禁男にレイプされ首を絞められるのですが、男は「ここに入って来た連中を始末すれば見逃してもらえる」、「奴らは二人で一人。恐ろしい奴ら」と話していました。
建物に取り残された名美達は暗闇で雅子が頬を何者かに斬り付けられたのを皮切りに一斉に逃げ出したのですが、名美と近藤は足元の床が抜けて下の階へと落下しました。
孤立した雅子はコート男に斬り付けられながら、パニックを起こして逃げ回っていました。
一方、理江はいよいよ監禁男に絞殺されそうになっていたのですが、車のフロントガラスを突き破って鉄棒が飛んできて監禁男を貫通し、男は死亡します。
理江は悲鳴を上げて車から降りたのですが、そこにワイヤーの首吊りロープが首に掛かり、そのまま引っ張られて死亡しました。
名美が息を吹き返すともう夜になっていて、なぜか建物の屋上に立っており、近藤の姿はありませんでした。
そこで先ほど出会った男と再会したのですが、それはそうとして近藤の生首が近くに転がっていました。
尚、この男は刑務所のような所に収容されていたそうで、この廃墟ではヒデキという弟を捜しているのだそうです。
男は見えない何かに「ヒデキかー?」と話し掛けて姿を消したのですが、名美が後を追うと男はなぜか肩の所を刺されており、急に銃を取り出しました。
そして男は刺した相手がいるのか長い廊下の向こうに発砲しながら走り去りました。
名美は仕方なく一人で行動することにしたのですが、長い廊下を歩いているとTVが置いてあり、雅子が拷問されたのか「名美さん…助けて…」と懇願している様子が映っていました。
そして名美は映像の雅子が居場所を教えたので、それをヒントに先を急ぎ、目当てのドアを開けようとします。
そのドアを開けると柱に縛られている雅子に矢が射られるようになっていたのですが、雅子は口にギャグボールを詰められて声が出せません。
名美はドアを開けてしまい、雅子は天晴れにも顔に射られた矢を頭を動かして避けました。
大喜びで雅子に駆け寄った名美でしたが、ワイヤートラップを作動させてしまい、その結果雅子の頭に巨大なナタのような鉄板が命中し、哀れ雅子は死亡しました。
同時にコートの男がいきなり現れ、ロケット花火を名美に撃ち始め、更に服に矢が射られたので名美は壁に釘付けになります。
コート男はまるで生殺しにするように姿を消し、名美は「お前みたいな変態には負けない!」と憤ったのですが、今度は太ももに矢を射られました。
そこにヒデキを探している男が現れて矢が射られた方向に発砲し、名美の矢を抜いて助け起こしました。
名美は男と一緒に逃げることにしたのですが、彼は殺人鬼は子供だと語っていました。
しかしこの男もこの男で常人には持てない熱さのオイルライターを平気で持ったりと様子がおかしいようでした。
そして男は抜け道を知っていると名美を地下道に導いてくれ、自分は神経がおかしいので熱さを感じないのだと説明してくれました。
また、名美が銃を撃ったことがあると言うと男は自分の銃を彼女に渡し、「ここを真っすぐ進めば出口だ」と伝え、自分はヒデキを探しに回れ右しました。
名美が梯子を上って地上に出ると外はすっかり明るくなっていました。
そして名美は車に戻り、理江の惨殺死体を発見して「私が誘わなければ皆無事だったのに…」とシクシク泣きました。
間もなくコート男が現れたのですが、身を隠していると監禁男と理江の死体を引き摺って持ち去りました。
感想
これは普通です。
スナッフビデオが送られてきて、それを探りに行ったら殺人鬼がいましたという内容です。
展開は単調でほぼ同じような場所で仲間がドンドン殺されるというものです。
これだけだと退屈なのですが、ピタゴラスイッチのような謎の仕掛けで殺人が行われるようになってます。
どうやら見所はそこだけだった模様ですが、ツッコみ所は満載です。
死霊のはらわたを意識したような演出が多く、大人版のサスペリアみたいな感じでもあります。
廃墟のシーンはイマイチだと思いましたが、霧のシーンとかなかなか雰囲気良かったです。
冒頭の眼球破壊シーンはねちっこくて怖かったんですけど、やっぱり全体的に安っぽいです。
なぜか絡みシーンがやたら多くて、麗と理江はオッパイ出してます。
ややダラダラしてる感じですが、暇つぶしには良いのではないでしょうか。
ラストまでのあらすじ
名美はコート男と戦う決意を固め、ライトを手に元来た道を引き返しました。
そして彼女が廃墟に戻ると「ヒデキちゃん、夜更かししてないで明日は学校に行くのよ」と繰り返す母親っぽい声が聞こえました。
更に奥に進むとモニターが沢山ある部屋があり、そこには番組の名美の映像が沢山映っており、壁には母親と小さい子供の写真が飾ってあったのですが、母親には無数の針が刺してありました。
先ほどの母親の声はテープ音声だったようで、タイマー作動なのか間もなく自動的にリピートされていました。
そしてコート男が現れたのですが、その正体はあのヒデキを捜している男でした。
彼は解離性障害なのか、声色を使い分けて一人で会話しつつ死体を処理していました。
名美は男に拳銃を突きつけ、警察に自首させ、男は観念したのですが、なぜか室内でエクスプロージョン系の魔法のような爆発が次々に起こります。
そして「逃がさないよ」的な子供の声が響き、男は自分を撃って殺すよう名美に指示しました。
とうとう名美は男に発砲したのですが、止めを刺せずにいると男の体内をぶち破って子供のような肉塊が現れ、子供の声で喋りました。
どうやらこのヒデキは男の体内で一緒に暮らしていたようで、超能力が使えるらしく、「お兄ちゃんを奪おうとしたな!」と名美にエクスプロージョン系攻撃を仕掛けます。
何とか避けていた名美でしたが、とうとう天井に貼り付いたヒデキのへその緒で首を絞められました。
そこに男が飛び込んできてヒデキを捕まえて強制的に自分の身体に戻します。
男はもう終わりにしよう的なことを言って自分の胸に押し込んだヒデキにナイフを深々と刺し、そのまま燃えている室内の火に薬品と共に倒れ込んで燃えました。
しかし男はヒデキに乗っ取られた状態で黒焦げのまま起き上がり、名美に襲い掛かりました。
名美は男の体内から覗くヒデキの眼を目掛けてガラス片を突き刺し、窓から突き落してバラバラにしました。
その後、名美は病院で意識を取り戻し、刑事から黒焦げの男は身元不明で、ヒデキと思われるものはなかったと告げられました。
名美は番組を続けており、番組の中で死亡したスタッフを追悼しました。
追悼番組の後に名美はスタッフから「忘れ物だと渡すように頼まれた」と男のライターを渡されます。
その直後、誰もいないスタジオで名美は苦しみ始めて倒れ、体内からはヒデキが「ママー」と現れるのでした。
エンドロールで終了です。
なんか美しい感じのBGMが流れてます。
どうやら男は二重人格というよりヒデキに寄生されてたようです。