悪魔のいけにえ
テキサスの虐殺一家の話
制作年 | 1974年 |
制作国 | アメリカ |
監督 | トビー・フーパー |
脚本 | トビー・フーパー/キム・ヘンケル |
上映時間 | 83分 |
出演 |
マリリン・バーンズ |
アレン・ダンジガー |
ポール・A・バーティン |
だいたいのあらすじ
1973年8月18日
テキサスで墓荒らしが起こっているというニュースが流れます。
遺体の部位をパズルのように組みなおして人形を造ったり、放置したりされているようです。
消えた遺体は12体で数は増加している模様で切り刻まれたり、切断された遺体もあるそうです。
容疑者は現在のところ、不明です。
アルマジロの仰向けになった遺体がニュースをバックに大写しになります。
男女5人グループの乗ったワゴン車が幹線道路の脇で停車しています。
車椅子の男性が小用を足すため、一時的に停めたようです。
車椅子の男フランクリン(ポール・A・バーティン)は緩い丘の上で用を足していたのですが、
大型トラックが近くを通過した際の突風にあおられ、丘の下に転落してしまいます。
慌ててカーク(ウイリアム・ヴェイル)が助け起こします。
彼等は墓荒らしのニュースを聞いて自分の家の墓が無事を確認するために来たのでした。
移動中に物凄い臭気が車内に流れ込んできて、彼等はたまらず窓を閉めます。
フランクリンは近くの屠殺所から臭ってくると言います。
彼はその後も屠殺の様子などを詳しく話し、サリー(マリリン・バーンズ)、パム(テリー・マクリン)達を嫌がらせます。
路上にヒッチハイカーがいるのを発見した彼等は乗せてやることにし、ジェリー(アレン・ダンジガー)は車を停車させます。
ヒッチハイカーは異様な風体で南へ行くと言います。
彼は屠殺所の元関係者で、屠殺の方法などを熱く語り、処理中の牛の写真を皆に見せるのでした。
パムは気持ち悪いので話題を変えろと言い、話題は打ち切りとなります。
ヒッチハイカーはフランクリンのナイフを奪い取ると自分の掌の傷つけ始まます。
彼はフランクリンにナイフを返すと唖然としている周囲を尻目に自分のカミソリを見せびらかします。
その後、デカいカメラを取り出して皆の写真を撮り、街道の側の家まで送ってくれと言います。
一同はやんわりと断りますが、今度は写真を2ドルで買えと言い出します。
当然、断られると彼は写真をいきなり燃やし、カミソリでフランクリンの腕に切り付けます。
車内はパニックになり、何とかヒッチハイカーを叩き出します。
ヒッチハイカーはその後も車を蹴り続け、狂人のような素振りを見せていましたが、無事に通り過ぎました。
ヒッチハイカーの狂いっぷりと一同のドン引きした演技が凄くいいです。
一同は落ち着きを取り戻し、パムが星占いの雑誌を読み、フランクリンの今日の運勢は最悪だとジョークを飛ばします。
サリーの運勢は「真実と思えない出来事が発生したら、わが身をつねれ。」だそうです。
道中、ガソリンスタンドを発見したので立ち寄り、ガソリンを満タンにしようとしますが、配達されていないので、ガソリンはありませんでした。
スタンドの店主はガスは明朝届くからバーベキューでも食ってゆっくりしろと言います。
また店主は古い家や人の家には勝手に入らない方がいいと忠告します。
他のスタンドは随分先まで無いようで、彼等は軽く買い出しを済ませるとフランクリンの旧家に向かって出発します。
フランクリンはヒッチハイカーに切り付けられたことを気にしているようです。
また、スタンドで確認したところ、ヒッチハイカーは不気味な血文字のようなものを車の後部に書いていました。
旧家に着いた5人ですが。フランクリンを玄関に残して4人で家の探検を始めます。
フランクリンとサリーは兄妹でここは2人が昔住んでいた家でした。
中はボロボロで不気味な蜘蛛が集団で住み着いていたり、壁が崩れていたりします。
特に1階部分は殆どの壁が崩れ落ちて吹き抜けになっており、家と呼べるものではなくなっています。
4人は2階に上がり、サリーは当時を懐かしみます。
フランクリンは誰も手を貸してくれないので、独りで車椅子を操作し、何とか1階部分に上がり込みます。
彼は4人が好き勝手に行動しているのが面白くないのかふてくされます。
フランクリンは1階の階段付近で呪物のようなものを発見してサリーを呼ぶのですが、彼女には聞こえていません。
カークとパムは暑いので小川で泳ぐことにし、フランクリンに場所を聞きます。
道を聞いた彼らは1時間後に戻ってくると告げ、2人で小川へ向かいます。
小川は暑さで干上がっており、水が流れていませんでした。
カークは小川から周りを見ると風見鶏の付いた家を発見し、何かのエンジン音が聞こえます。
その家にはガソリンがあると考えたカークはパムと共にガソリンを譲ってもらう交渉をしに行きます。
彼らは気づいていませんでしたが、その家は釘付けにした時計やコーヒーカップが木にぶら下がっており、異様な感じです。
カーク達が家の周囲を確認すると発電機が動いており、先ほどから聞こえるエンジン音の主はこれだったようです。
ガソリンがあると確信した彼らは周囲に声をかけますが、人の気配はありません。
玄関でノックして声をかけますが、応答がなく、玄関ポーチには人の歯らしき物が落ちていました。
パムは外のブランコに座り、カークが玄関で何度も声を掛けます。
鍵は開いていたので、カークは業を煮やして入り込み、中で声を掛けますが、応答はありません。
彼は奥に動物の頭の剥製などが沢山付いている不気味な扉を見付けたので、声を掛けながら近づいて見ました。
突然、扉の横から皮の仮面を被り前掛けを着けた大男がハンマーを振り上げて現れ、力一杯カークの頭部を殴りつけます。
大男・レザーフェイスは痙攣を続けるカークの頭部に何度もハンマーを振り下ろしました。
レザーフェイスは動かなくなったカークを奥へ引きずり込み、金属の重そうな扉を閉めます。
特に音で驚かせたり等の演出はしてないんですが、登場シーンだけでこれだけインパクトがあるとは流石です。
パムはカークが戻らず、声もしなくなったので不審に思い、家に入ってみることにしました。
彼女はカークを呼びながら、鶏を屠殺場のような部屋に倒れこんでしまいます。
そこは床が古びた羽毛で覆われ人骨や歯のようなものが沢山転がっています。
人骨をあしらったベンチのようなものも置いてあります。
パムはあまりの異常さに嘔吐してしまい、部屋から逃げ出します。
パムの人は嫌そうな表情を浮かべるのが凄く上手だと思います。
この部屋のシーンは造形が素晴らしいと思います。人間と家畜が同列に扱われている感が凄く出てます。
パムは玄関に向かって走りますが、金属の扉からレザーフェイスが出てきます。
一瞬戸惑ったような動きを見せたレザーフェイスですが、パムを捕まえて奥へと抱きかかえて運びます。
パムは猛烈に暴れますが、レザーフェイスはびくともしません。
彼はパムを抱えるとブロック肉をぶら下げる巨大なフックに彼女の背中を差し込んで吊るしてしまいます。
パムの足元にはご丁寧に血抜きした血液を溜めるバケツまで用意されています。
レザーフェイスはチェーンソーのエンジンをかけ、振り上げると、パムの目の前でカークの解体を始めます。
パムは痛みと恐怖で絶叫します。
フランクリンの旧家ではジェリーがフランクリンをからかっていました。
車に血文字があるから奴はここまでお前を追いかけてきて殺すと言うのです。
流石にひどいと思ったサリーはジェリーを諫めます。
フランクリンがナイフが無いとごねるので、サリーはナイフを探してやりますが、見つかりません。
ジェリーは明るいうちに小川を見に行きたいようで、2人を置いて小川へ向かいました。
フランクリンの女々しい性格にサリーは辟易しているようです。
またフランクリンはサリーに頭が上がらないようです。
ジェリーは小川でカーク達を探しますが、彼もまたレザーフェイスの家を発見してしまいます。
彼は夕日の中、レザーフェイスの家に向かいます。
家に着いたジェリーは玄関で声を掛けつつノックします。
応答が無いので諦めて戻ろうとしますが、中からパムの声らしき物が聞こえました。
彼等が悪戯をしていると思ったジェリーは家の奥へと進んでしまいます。
パム達が処置されていた部屋へ進み、中を見てみると血の付いたフックや異様なものがあり、ジェリーは尋常ではないと感じ始めます。
彼は部屋の隅に置かれた長いクーラーボックスから物音がするので近づいてみます。
ジェリーがクーラーボックスを開けると、パムが飛び起きてきました。
同時に背後からハンマーを振り上げたレザーフェイスが奇声を上げ、部屋に突入してきます。
レザーフェイスはジェリーにハンマーを振り下ろし、クーラーボックスにパムを押し込めます。
彼は異様な雄たけびを上げながら、窓の外を見回し、椅子に座り込んで頭を抱えます。
外は月夜になっています。
ジェリー達が戻らないので、サリーは車のクラクションを鳴らしたりしています。
サリーはジェリー達を探しに行こうとしますが、フランクリンはスタンドに助けを求めようと主張します。
2人は言い争いになりますが、一緒にジェリー達を探しに行くことにします。
このシーン2人のエゴがぶつかっています。
2人は林の中を進んでいき、レザーフェイスの家を見付け、家の明かりを目指して進んでいきます。
突然、林の中からエンジン音と共にレザーフェイスが現れ、フランクリンに襲いかかります。
フランクリンはレザーフェイスのチェーンソーで切り刻まれます。
サリーは絶叫してレザーフェイスの家の方へ逃げ出します。
逃げるサリーをチェーンソーのエンジン音が追いかけます。
家の近くで近づいてきたエンジン音に追いつかれそうになった彼女はレザーフェイスの姿を見ます。
彼女は生い茂った木で動きが取れなくなりますが、何とか身を低くして逃げまくります。
レザーフェイスの家に飛び込み、戸締りしますが、ドアはチェーンソーで破られそうです。
彼女は2階に駆け上がります。
2階にはゾンビのような老人がおり、彼女が助けを求めても何の反応もありませんでした。
老婦人に至っては完全にミイラ化しているようで、側に犬のような生き物のミイラもあります。
回れ右して1階に戻ろうとしますが、ドアを切断して侵入したレザーフェイスと鉢合わせしてしまいます。
彼女は絶叫して2階へ駆け上るとガラス窓に飛び込んで庭に向けてダイブします。
サリーは傷を負いましたが、何とか気力で立ち上がり走り出します。
エンジン音は小さくならず、レザーフェイスはしつこく追いかけて来ているようです。
道中、枝に激突して倒れてしまい、間一髪の場面もありましたが、何とかガソリンスタンドまで逃げ切りました。
サリーの半狂乱になった演技が凄いです。
サリーは半狂乱でガソリンスタンドに飛び込み、倒れこんでしまいます。
同時に背後のエンジン音は聞こえなくなりました。
彼女は店主に助け起こされ、ベンチに座らされます。
感想
これは傑作です。オープニングバックの映像から既に怖いです。
レザーフェイスの造形は何度見ても凄いと思います。
表情が全く読み取れず、人間を肉としてしか扱っていない感じが凄く怖いです。
こんなのに出会って生き延びられるはずがありません。
ただし前半はただただ恐怖しか与えないレザーフェイスですが、
後半のサリーとの追いかけっこのシーンなどはコミカルな面も見られて笑いそうになるのも事実です。
5人グループが普通の子たちであるのも大きいと思います。
オープニングのニュースで結末は想像付くのですが、助かって欲しいと願ってしまいます。
役者の演技も頑張っていると思います。特に女性陣の絶叫ぶり、狂いっぷりは凄いです。
ストーリーも単純でわかりやすいので、頭を使わず見られます。
これだけ単純なストーリーで退屈せずに見られるのは凄いと思います。
個人的に助かるのはシーンがコロコロ変わらないので、ストーリーが追いやすいという点が上げられます。
ラスト間際である人物がレザーフェイス一味だったことがわかるのですが、元から怪しかったので驚きはなかったです。
スプラッター系ですが、血の量も少なく、直接描写も緩いので安心して見られるかと思います。
私はこの映画は好きです。また忘れた頃に見ると思います。
ラストまで(ネタバレ)
サリーはスタンドで何とか状況を説明しようとしますが「あいつが全員殺した。警察を呼んで。」等と支離滅裂な説明しかできませんでした。
スタンドの店主は外を見て、誰もいないのを確認し、彼女を落ち着かせようとします。
彼女は警察に連絡するように懇願しますが、ここには電話が無く、チルドレスに行かないとダメだと言われます。
店主はトラックを出してくるから待つように言い、出ていきます。
間もなく店主がピックアップトラックで戻ってくると手に麻袋を持っています。
彼が袋からロープを取り出すのを見て怪しんだサリーは手近にあった包丁を掴みます。
店主は箒を手に取り、サリーの包丁をはたき落とすと、尚も彼女をはたき続けます。
サリーには本当に申し訳ないのですが、ここ箒がぺチぺチいってて笑ってしまいました。
店主が終始、笑顔なのがいかんと思います。
サリーは箒の応酬を食らい、ぐったりしてしまいます。
店主は手際よくサリーを後ろ手に縛ると口に汚いタオルを詰め、頭から麻袋を被せるとトラックの助手席に放り込んでしまいました。
彼はスタンドの電気を消し、戸締りを手早く済ませるとトラックに乗り込みます。
泣き叫ぶサリーをたまに棒でどつきながら、店主は笑顔で運転します。
こんな狂人一家に捕まったらもうどうしようもないですね。
サリー生きた心地しないと思います。辛い。
店主は道中、ヒッチハイカーを見付け「墓場には近づくなと言ったろう!捕まったらどうする!」などと言って棒でしばき、荷台に乗せます。
どうやら、こいつが墓荒らしをしていたようです。
やがてトラックはレザーフェイスの家へたどり着き、停車します。
店主はヒッチハイカーに「弟を置いて外出するな。」と説教し、サリーを降ろすように言いつけます。
店主はドアを壊されたのでレザーフェイスを棒で殴りつけています。
彼ははレザーフェイスとヒッチハイカーの身内でこいつらは殺人一家だったのです。
ヒッチハイカーはサリーを運び出すと独り掛けのソファに座らせ、手足を縛りつけます。
麻袋を外され、ヒッチハイカーと対面したサリーは目を見開いて絶叫します。
口にはタオルが突っ込まれたままなので、大きな声は出せません。
ヒッチハイカーはそんな彼女を指でつついたりしておちょくるのでした。
店主はヒッチハイカーに「じい様」を呼んで来いと命令し、ヒッチハイカーは2階へ上がっていきます。
兄弟は2階にいたゾンビのような老人を運んできて、夕食の支度を始めました。
こいつらがごちゃごちゃやってる間、サリーはずっと泣き叫んでいます。
ヒッチハイカーがサリーの手の紐を解き、レザーフェイスが彼女の指先をナイフで傷つけます。
血が流れる指を老人の口に突っ込まれれると、老人は音を立てて彼女の血液を吸います。
老人は死体のようでしたが、生きていたのでした。
サリーはあまりのことに気を失ってしまいました。
めっちゃ気持ち悪いです。サリーの目の見開き方が凄いです。
サリーが気が付くと口のタオルは外されており、両手両足を椅子に縛られた状態で食卓に着かされていました。
彼女は絶叫します。一家はそんな彼女を大喜びでおちょくります。
サリーが助けてくれと懇願すればするほど一家は喜ぶのでした。
ヒッチハイカーは屠殺の名人だった老人に彼女を殺させようと言い出します。
老人は5分で60頭の牛をハンマーで屠ったのだと言います。
もうサリーの演技が凄すぎます。ここで有名な目のアップが入ります。一家の演技も殺してやりたいくらいです。
彼等は必死で抵抗するサリーの頭をバケツに押さえつけ、老人にハンマーを持たせて頭を叩かせようとします。
老人はハンマーをまともに持てないような状態でしたが、兄弟が手伝います。
力ない打撃ですが、老人のハンマーが何度かサリーの頭に当たり、彼女は頭から流血します。
その時、彼女が暴れまくっていたので手のロープが解けました。
サリーは全力で兄弟を振り払うと窓に向かってダイブします。
外は夜が明けて明るくなっていました。
サリーは足を引きずりながらも必死で走ります。
そんな彼女をおちょくるようにヒッチハイカーがナイフでつつきながら追いかけてきます。
レザーフェイスも家から飛び出して来て、エンジン音が響き渡ります。
彼女はヒッチハイカーに突かれながら通りまで出ると前から大型トラックが迫って来ました。
ヒッチハイカーはトラックに撥ねられ、さらに車輪で体をきれいに踏まれました。
ざまあ!すっきりしました。
サリーは停止したトラックの運転手に助けを求め、駆け寄ります。
運転手はトラックで逃げようと彼女を乗せますが、レザーフェイスがトラックのドア越しにチェーンソーで攻撃してきます。
2人はトラックの反対側のドアから降りて逃げ、運転手はスパナをレザーフェイスに投げつけます。
スパナはレザーフェイスの頭に命中し、倒れた拍子に足を自身のチェーンソーで傷つけてしまいます。
レザーフェイスはしぶとく2人を追います。
ざまあ!
そこにバンが通りかかり、サリーは両手を振り回して制止します。
バンが停止したのを見計らい、彼女は荷台に乗り込みます。
バンはスタートし、レザーフェイスが最後に振り回したチェーンソーも空振りに終わりました。
大型トラックの運転手は陸上選手真っ青のダッシュで現場から消えています。
サリーは荷台で夕陽を浴びながら狂ったように笑います。
レザーフェイスはとても美しい夕陽をバックにチェーンソーを振り回して踊り狂います。
サリーは助かってよかったですが、いまいちスッキリしない終わり方でした。
余韻を残す終わり方でしたね。続編もありますが、これで終わりでいいと思います。
2は結構面白いですが(コメディ的な意味で)
大型トラックの運転手が逃げる姿をカメラの端でとらえてるんですが、速いです。
彼はきっと助かったでしょう。