綺麗な吸血鬼映画 リヴィッド

リヴィッド

哀しみの人形少女、目覚める――

制作年 2011年
制作国 フランス
監督 ジュリアン・モーリー/アレクサンドル・バスティロ
脚本 ジュリアン・モーリー/アレクサンドル・バスティロ
上映時間 92分
出演
クロエ・クルー
フェリックス・モアティ
マリ=クロード・ピエトラガラ

だいたいのあらすじ

どっかの海岸では生首が打ち上げられており、それをカニが貪っていました。
この映画、音楽と雰囲気は素敵です。

10月31日、行方不明者が続発している海岸のバス停で左右の光彩の色が違うリュシー(クロエ・クルー)が間もなく現れたミセス・ウィルソン(カトリーヌ・ジャコブ)の車に拾われました。
今日から10日間、リュシーはウィルソンの下で訪問介護の研修を受けるになっており、早速車で独居老人の家を周ります。
ある屋敷に到着した所でウィルソンは「この患者はあなたには荷が重い」とリュシーを待機させて一人で訪問していました。
退屈したリュシーは門の所で屋敷を覗き込んだりしていたのですが、とうとう中に入ってしまいました。

鬱蒼とした庭を抜けるとまるで廃墟のような巨大な屋敷が目の前に姿を現したのですが、リュシーはとうとう玄関ドアを開けて中に入ってしまいました。
そしてベッドに横たわる酸素吸入器を装着されたミイラのような女性(マリ=クロード・ピエトラガラ)を発見し、その側に佇んでいたウィルソンからは「好奇心旺盛なのね」と嫌味を言われます。
この女性は元バレエ教師のデボラ・ジェセルだそうで、完全に寝たきりになっているということでした。

デボラは本来ならば施設に入るほどの植物人間状態なのですが、本人の希望で自宅に寝たきりであり、なぜか輸血を受けていました。
彼女はかなりの資産家であり、家の中に財宝が隠されているという噂があったので過去にウィルソンも捜索にチャレンジしたそうです。
その後、仕事は終了し、ウィルソンは「今日はよくやった。また明日」とリュシーを港で降ろしました。

リュシーは港で猟師の彼氏ウィリアム(フェリックス・モアティ)と合流し、バーに呑みに行きました。
そこでリュシーはデボラ家の話をし、ウィリアムは「じゃあ俺たちで財宝を頂こう」と言い出します。
ウィリアムには前科があったのでリュシーは「また捕まりたいのか」と憤ったのですが、彼は「今の生活はウンザリ」と訴えるのでした。
一方、なぜかウィルソンは道中で拉致した少女を殺害し、血液を収集していました。

帰宅したリュシーは8か月前に母を亡くしたばかりの父が早くも次の女を作ったと知って険悪になるのでした。
リュシーの母(ベアトリス・ダル)は浴室で自殺して縊死しており、父は明日から新しい恋人を家に招くのだそうです。
家が嫌になったリュシーはウィルソンの計画に乗っかり、何も壊さないという条件でデボラの屋敷に忍び込むことにしました。

ということで思い立ったが吉日とウィルソンとリュシーはベン(ジェレミー・カポーヌ)を伴って早速出発しました。
そして門を乗り越えて入り口を探し始めたのですが、ウィリアムは窓の破壊も辞さない態度だったので、リュシーは「約束破るなら、あたしが奢るから帰ろう」と盗みを止めさせようとします。
しかしウィリアムは「こんなんで諦められない」と執念で開いている窓を見つけ、一行は屋敷内に侵入しました。
入った先は蜘蛛の巣と埃だらけの地下室で、ガラクタが所狭しと並べられていました。
地下室を抜けてまずは一階から捜索を開始したものの、家のあちこちに南京錠が架けられていました。

やがてリュシー達は口が利けずに早死にしたというデボラの娘の子供部屋を発見しました。
そして鍵の架かった一室を発見したリュシーはデボラが首に掛けていたペンダントが鍵だと憶測します。
上手いこと鍵を盗んで奥に進むとバレエ衣装をまとった娘(クロエ・マルク)のミイラが安置されていました。
その床には鍵穴があったので差し込んでみるとオルゴールが鳴って娘の立った台座が回転し始めたので、ウィリアムは「ふざけんな!」とブチ切れて娘の側頭部に蹴りを入れて首の骨を折りました。

するとデボラの部屋しかないはずの上の階から足音が響いたので、ビビったリュシー達は逃げ出しました。
ところが玄関は施錠されており、忍び込んできた窓にも鉄格子が架かっていたので、イチかバチかで窓のあるデボラの部屋から脱出しよう!ということになりました。
しかし部屋に到着するとデボラの姿はベッドから消えており、窓もしっかりと施錠されていました。
そしてウィリアムとリュシーが窓を開けようと躍起になっている間に鏡を眺めていたベンは姿を消しました。

リュシー達はベンと出口を探して屋敷内を彷徨っていたのですが、その頃ベンは鏡に取り込まれたのか、ドアが存在しない理科室のような部屋に迷い込んでいました。
やがてバレエ衣装をまとった少女三名が現れてスパッとベンの喉を斬り、倒れた彼の周りを周回しながらハンマーで殴りつけたり、斬り付けたりと好き放題したので間もなくベンは死亡しました。
なんなんでしょうか?これ。怖いです。

感想

これは普通です。
財宝があると知った連中が屋敷に忍び込んでひどい目に遭う話です。
どんな映画なのかと思っていたらなんと吸血鬼映画でした。
なのですが、凡百の吸血鬼映画とは違っていてなんだかキレイです。
BGMも美しくてショパンのノクターン嬰ハ短調とベートーヴェンのピアコン5番の第二楽章、ピアノソナタ14番が使われてました。

その反面で全く怖さは無いのですが、グロいことはグロいです。
毎度おなじみのベアトリス・ダルさんも出演されてます。

イマイチスッキリしない点も多々あるのですが、映像に押される感じです。
結局デボラ達が何したかったのかという点がイマイチ読み取れませんでした。
あと、切り刻み少女もなんだったのか謎です。
あれはアナの犠牲者だったのでしょうかね?

この吸血鬼も一風変わっていて、超人的な力を持って人間を襲うという者とは一線を画しているようです。
日光や月光に当たると死ぬようなのですが、それもいきなり燃えたりはせず、なんだか昇天してしまうようです。
不死身に近いようなのですが、殺すことも可能なようで、杭打ちで死ぬとかそういうものでは無いようです。
吸血鬼に関係あるのかは不明ですが、蛾に魂を寄せたりと不思議なこともできるみたいです。

そんなに良作とは思えないのですが、良いものを見たような気分になる不思議な映画でした。

ラストまでのあらすじ

リュシーは家の中の写真を見てデボラの娘の名前がアナであると知ったのですが、仲良さげにデボラと並んだ写真を見て、アナの部屋に何か脱出に関わる秘密があるかも?と考え、一人で部屋に向かいました。
するとそこにデボラが現れて手を差し伸べたのでリュシーはその手を握り、彼女の記憶を読み取りました。
それによるとアナは吸血鬼だったらしく、生徒を襲って吸血したりと問題を起こしていたようです。
そしてデボラは消えたのですが、リュシーは部屋に閉じ込められます。

一方、ウィリアムの前にはベンがズタボロの姿で現れ、なぜか襲い掛かって来ました。
ベンは不死身状態でハサミで刺しても倒れなかったのですが、首の骨を折ると動かなくなりました。
そこに波状攻撃のようにデボラがウィリアムを襲撃し、吸血されたウィリアムは倒れて動かなくなりました。

その後、部屋から脱出したリュシーはアナのミイラの鼻血に触れ、彼女がこの家から逃げ出したがっていたことを知りました。
直後に動き出したアナに襲われたのですが、リュシーは揉み合いの末にアナをKOしました。
そこにウィルソンが現れてリュシーに腹パンを入れてKOしました。

どうやらウィルソンはデボラの生徒だったようで、デボラがアナに謎の手術を行う現場を見せられていました。
それ以来、ウィルソンはデボラの協力して生きていたようでした。
その後、謎の実験室のような部屋の台の上に寝かされたリュシーは腹部をデボラの爪で斬られ、そこに蛾の眉を入れられました。
そしてアナ同様に瞼をホチキスで止められたリュシーは口から蛾を吐き出しました。
同時にアナも体内から蛾を吐き出しており、二人が吐いた蛾は入れ替わりにお互いの口の中に入って行きました。

こうしてアナはリュシーの身体をゲットして新生アナとして生まれ変わったのですが、相変わらずダンスを強要されたのでブチ切れ、ウィルソンを殺害し、デボラの首にハサミをブッサリ刺して倒しました。
新生アナはアナの目のホチキスを切断して血を与え、アナと入れ替わったリュシーを助けてやります。
リュシーは自分がアナになってしまったことに困惑はしたものの直ぐに受け入れたようでした。

そこに再びデボラが襲ってきたので二人は協力プレイで彼女を階下に突き落とし、更に顎を引き裂いて倒しました。
屋敷を脱出した二人でしたが、その晩は月の光が注いでいたので移動を諦めました。

翌日、リュシーの身体をゲットした新生アナは移動を開始し、新生リュシーも日光を浴びないようにマントを被ってついて行きます。
新生リュシーは海岸の崖の上に立つと新生アナに見送られながら飛び降り、やがて昇天しました。

リュシーは母の下に行きたくなったようで、身体をアナにあげたようだと解釈しました。
どうもウィルソンはリュシーがここに忍び込むのを予期していたようです。
それにしても美しい映画でした。