血ぬられた墓標
呪いを受けてひどい目に遭う話
制作年 | 1960年 |
制作国 | イタリア |
監督 | マリオ・バーヴァ |
脚本 | エンニオ・デ・コンチーニ/マリオ・バーヴァ/マルチェロ・コスチア/マリオ・セランドレイ |
原作 | ニコライ・ゴーゴリ |
上映時間 | 87分 |
出演 |
バーバラ・スティール |
ジョン・リチャードソン |
イヴォ・ガラーニ |
だいたいのあらすじ
17世紀のこと、アーサ(バーバラ・スティール)という身分の高い女性が魔女として裁かれ、鉄の処女のような内側にトゲトゲのある悪魔の仮面を被せられました。
彼女は自分を裁いた兄の子孫を末代まで呪うと訴えた後に絶命しました。
しかしアーサを広場で焼こうとすると突然の雨に火が消えてしまい、人々は悪魔パワーに怯えて火炙りを中止し、一晩中清めの鐘を鳴らして対応しました。
後にアーサの愛人は罪人用の墓地に埋葬され、彼女自身は先祖代々の墓地に埋葬されたということです。
その200年後、医師のクルヴァヤン(アンドレア・ケッキ)と助手のゴロベック(ジョン・リチャードソン)は馬車でモスクワに向けて移動していました。
帰り道を急ぐ二人は御者に森を抜けるように依頼したのですが、道中で馬車の車輪が外れるというアクシデントに見舞われました。
修理の間、暇つぶしに周囲を探索していたクルヴァヤンとゴロベックは廃墟を発見し、地下に埋葬されたアーサの棺も発見しました。
そしてクルヴァヤンはオオコウモリに襲撃されたので発砲したのですが、揉み合いの際にガラスで手を切り、その血液がアーサの遺体に滴りました。
間もなく馬車が直ったので出発となったのですが、出発間際に犬を連れたアーサそっくりな女性と出会って挨拶しました。
その女性カティアはアーサの子孫にあたる女性だったのですが、帰宅した彼女の家ではアーサの肖像画が微妙に変化したり、ピアノの音がおかしくなったりと怪異が起きていました。
実は今日はアーサが処刑された日であり、過去にもこの日にはマーシャというアーサに瓜二つだった女性が変死していました。
カティアの父はカティアに身に何かが起こるのではないかと警戒していました。
その夜、棺の中のアーサの遺体は何やら生気が蘇っていました。
そして彼女が「蘇るのだー」と唱えると墓の中からかつての愛人であるヤブティッチ(アルトゥーロ・ドミニチ)がゾンビのように復活していました。
ヤブティッチはカティアの父の寝室に現れたのですが、父は十字架を構えて撃退しました。
しかし父は様子がおかしくなってしまったので、カティアの兄は宿屋に滞在しているクルヴァヤンを呼びに走ります。
その頃、クルヴァヤンは偽の使いに誘導され、アーサの棺のある地下墓地に拉致されていました。
そこでアーサに魅了された彼は顔が穴ぼこだらけのアーサとキスをさせられます。
ということでアーサ一味の手下にされたクルヴァヤンはカティアの父の診察をする振りをして家に潜り込みます。
アーサ一味の狙いはカティアの肉体乗っ取りであり、クルヴァヤンはその晩は城に泊まることになりました。
翌朝、カティア達は父の無残な遺体を発見したのですが、クルヴァヤンの姿は消えていました。
同じ頃、宿屋でクルヴァヤンがいないのに気付いたゴロベックは彼が城に呼び出されたと知って馬で城に向かいました。
また、カティアが使いに出したボリスの遺体が川で発見されており、村人は大騒ぎになりました。
そしてゴロベックが城に到着するとクルヴァヤンが見捨てたお陰で父が死んだ!とカティアの兄から非難されました。
ゴロベックが「いつもはそんな人じゃないんです」とクルヴァヤンを擁護しつつ父親の遺体を確認すると首筋に穴のような傷がありました。
その後、村人集団が城に現れてボリスの死でワーワー言います。
そしてクルヴァヤンが馬車に乗せられる所を見ていた宿屋の娘はヤブティッチの肖像画を指さして「迎えに来たのはこの人だった」とゴロベック達に知らせます。
ボリスの遺体を確認したゴロベックは首筋にカティア父と同じ傷があるのに気付きます。
感想
これは普通です。モノクロ映画です。
呪いの一族に生まれてきて大変!という内容です。
17世紀の魔女裁判的な呪いを引き摺っているという壮大な話です。
恐らく吸血鬼映画?になるのかと思いますが、直接的な吸血シーンとかは無いです。
ジャケ絵で襲われてるのが悪人だったという謎パターンです。
これ、原作が妖婆 死棺の呪いと同じみたいなのですが、全然内容違いますね。
古臭い映画なのですが、古城とか墓地の雰囲気はなかなかよいです。
流石に穴ぼこだらけのアーサの顔には苦笑してしまいますが、ヤブティッチは少し怖いです。
面白いなと感じたのが、アリバイ作りというか展開の繋ぎ込みでしょうか。
例えばクルヴァヤンが偽物に連れ去られるシーンに目撃者がいたり、ゴロベックが通過した川で丁度ボリスの遺体が発見されたりという展開が面白く感じました。
なんかホラーというよりミステリーの帳尻合わせみたいなものを感じました。
でも城に呪いの元凶である人物たちの肖像画があるのはなんだかなあという気がしました。
サクッと観られてなかなか楽しめました。
ラストまでのあらすじ
その後、クルヴァヤンはゴロベックの前に姿を現し、「立ち去れ、さもなくば大きな代償を支払うことになる」的に脅して消えました。
実はアーサ一味は城の一室にあるグリフォンの飾の前から出入り自由で番犬も彼等に吸血されて死亡していました。
その後、執事のイヴァンが隠し通路を発見し、カティア兄とゴロベックの三人で潜入しました。
果たして隠し通路はアーサの地下墓地に通じていたのですが、殿を進んでいたイヴァンは何者かに襲われました。
そしてカティア兄とゴロベックは活き活きとしているアーサの遺体を発見し、ゴロベックは神父に助けを求めに走ります。
神父はゴロベックを連れてヤブティッチの墓を暴き、中に眠っていたクルヴァヤンの遺体の左目に杭を突き刺しました。
こうすると呪いが解けるのだそうで、神父はアーサの企みに気付いてゴロベックを城に急がせ、自分はボリス達の呪いも解くことにします。
同じ頃、カティア兄は地下通路に閉じ込められ、ヤブティッチに追い詰められて落とし穴に落とされていました。
カティアは父に襲われたのですが、なぜかヤブティッチがそれを制し、父は暖炉で焼かれます。
そしてカティアはヤブティッチに連れ去られてアーサの横に寝かされ、精気を吸われます。
やがてゴロベックが駆け付けてヤブティッチと激しい格闘の末、ヤブティッチを落とし穴に落としました。
騒ぎに気付いたアーサは既に殺害したカティアと入れ替わってゴロベックを騙そうとします。
ゴロベックはロザリオが無いことから入れ替わりを見破り、間もなく神父が連れてきた村人軍団がアーサを連れ出して火炙りにしました。
すると奇跡が起きたのか死んでいたカティアが蘇りました。
燃え盛る炎にTHE ENDマークで終了です。
カティアはゴロベックとくっつくみたいです。