狗神
うっかり恋愛したらひどい目に遭う話
制作年 | 2001年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 原田眞人 |
脚本 | 原田眞人 |
原作 | 坂東眞砂子 |
上映時間 | 105分 |
出演 |
天海祐希 |
渡部篤郎 |
山路和弘 |
だいたいのあらすじ
Ⅰ 尾峰
坊之宮美希(天海祐希)は山奥の村・尾峰で和紙を製造して静かに暮らしていました。
そんなある日、本家の隆直(山路和弘)の嫁・園子(街田しおん)が「隆直が高松の女と浮気した!許せん!別れる」と泣きながら怒鳴り込んできました。
美希が「祭りの準備で必要な面会だったのでは…」的に宥めると園子は「それだけではない!あいつは事業にも失敗するし、ギャンブル好きで借金しまくりの甲斐性なしの屑なのだ」的なことを喚きます。
その後、隆直が連れ戻しに来ると園子は「離婚してやる」と泣きながら彼に抱き着いて連れ戻されました。
奴田原晃(渡部篤郎)はバイクに乗って池野村に向かっていたのですが、ガスが無くなったので村人の土居(原田遊人)に声を掛けて送ってもらっていました。
彼は美希の工房の近くにある池野村の中学校教師として赴任してきたそうです。
土居に村を案内されている際に晃は美希の家の前を通り、隆直に猛烈に睨まれたのですが、土井からは「もうすぐ坊之宮家だけの祭りがある」と教えてもらいました。
村はずれの山道を歩いていた晃は突然立ち眩みを起こし、美希の工房に担ぎ込まれました。
晃は息を吹き返し、土井が「婆さん」と美希のことを紹介したので「そんなことない。若くて綺麗」とフォローしたのですが、なぜか土居は「そうなってる」と声を荒げました。
美希は分家に所属しており、兄の道夫(原田遊人)、義姉の百代(深浦加奈子)達と同居しているのですが、中学校で事務員をしている姪の理香(渡瀬美遊)はこの村を出て行くと美希に打ち明けていました。
その晩、美希は死産するような悪夢を見て飛び起きたのですが、廊下に出てみると母の冨枝(藤村志保)も悪夢を見たのだということでした。
翌朝、百代も自分の身体が切り開かれて駐車場にされ、それを坊之宮の男衆が囲んで地図のように見ているという変な夢を見たのだそうです。
どうやら昨夜は尾峰の人間は全員が悪夢を見たようでした。
その後、美希は冨枝の薬を処方してもらいに池野村に行ったのですが、待合室では999の獣を打倒したという猟師・味元(佐藤京一)が武勇伝を披露していました。
看護師は美希が薬を求めると「えっ?」という表情をした後に同僚と何やらひそひそ話をしてから薬を処方してくれました。
その後、美希は工房の近くの道祖神のようなものに包みなどをお供えしていました。
実は美希に一目惚れしていた晃は「見学」と称してはちょいちょい美希の工房を訪ねるようになり、世間話等をするようになりました。
彼女は修学旅行の際に病気をしたので、四国から一歩も出たことがないそうです。
最初の内は晃にぶっきら棒に接していた美紀でしたが、多少は打ち解けて話すようになりました。
Ⅱ 七草
土居の家は製紙工場を営んでいるのですが、ある日彼は祖母で会長の克子(淡路恵子)から呼び出されます。
実は土居は理香に片思いしており、お弁当を差し入れたりして一生懸命だったのですが、克子から「坊之宮は狗神筋の一族だから理香には近づくな」と説教されました。
尚、坊之宮家では写真が厳禁だそうで、美希と同居している博文(入江雅人)は妻の喜代美(近内仁子)のカメラを処分して言い争いをしていました。
また不思議なことに美希はあの悪夢の晩以来視力が回復して眼鏡をしなくなっており、心なしか白髪も減ったようでした。
ある日、尾峰では東京から来た一家が無理心中をしたと大騒ぎになっており、それを知った隆直は「また狗神のせいにされる」とこぼしていました。
その後、美希は染料のための山菜採りをしていたのですが、山中の大きな岩の上に腰かけて書をたしなむ晃を目撃しました。
その時美希は山犬の気配を感じたのですが、一陣の風が付近を通り過ぎただけでした。
美希に気付いた晃は早速話しかけ、彼女が紙を染めるための七草を採集していたのだと聞きました。
突然の雨が降り出したので美希は付近の木のうろに晃を案内して雨宿りしたのですが、その際に過去の秘密を打ち明けました。
高校生だった美希(田中沙斗子)はここで男(榎田淳弘)と雨宿りをし、勢いでセックスして妊娠したのだそうです。
冨枝が気付いた時にはもう堕ろすことが難しかったので、冨枝は美希を遠い親戚の下に連れていき、そこで出産させました。
しかし産後の美紀は冨枝に「あんたの子は死産だった」と告げられたということです。
美希は若かったこともあり、相手の男のことしか考えられずに村に戻って来たのですが、男の姿は消えていたということでした。
ということで身の上話の後に美希と晃は勢いでHしてしまいました。
ある晩、美希は冨枝が壺を覗き込んで何やら数を数えているのを目撃したのですが、これは狗神が入った壺であり、その数を数えているのだそうです。
坊之宮一族の数だけ狗神はおり、それがこの所夜になると壺を出て行っていると冨枝は言います。
尚、男には見えず女にだけ見えるのですが、一族で狗神が見えるのは美希と理香だけだということです。
美希は「バカバカしい。そんなものおらん」」と取り合わなかったのですが、じゃあ壺を覗いてみろ!と冨枝は言います。
そして家の中には美希の「そんなもの居らん!狗神など居らん」という声が響くのでした。
Ⅲ 谷神
その後、晃は頻繁に工房に訪ねてきては美希と身体を重ねるようになり、美希は「人目があるから週一位で…」と諭すのですが、晃は「じゃあ週三で」と言い出す始末でした。
そんなある日、園子が「うちの子が狗神筋だって虐められた」と鎌を持って怒鳴り込みに行こうとしているのを発見した美希は止めようとします。
しかしその直後に村人が狗神憑きのお祓いをしているのに遭遇し、二人揃って「狗神の女はいね!」と追い払われてしまいました。
どうやら村では惹き付けを起こしたりする人が続出しており、坊之宮一族は疎まれているようでした。
その晩、美希は隆直が借金返済のために克子に勝手に土地を売り、自分の工房が潰されてレジャーランドになると聞かされます。
美希は克子と直談判しようと土居家を訪ねたのですが、過去に息子が美希に夢中だったことがあるので克子は美希のことを忌み嫌っていました。
克子は美希を見るなり、「犬の女が何しに来た」と怒鳴り付けて美希の話も聞かず、「こいつが孕んだのは実の兄の子だぞ」と怒鳴りました。
流石の美希も「黙りや」と怒鳴ったのですが、同時に克子は全身が黒くなって卒倒して死亡しました。
Ⅳ 狗神
村からは新たに来た人達が逃げ出すようになっており、晃も美希と悪い噂を流されて退職に追いやられました。
晃は荷物を纏めて美希の工房に立ち寄ったのですが、美希はおらず隆直が居ました。
そして隆直は自分が美希のお腹の子だった件、暫く東京へ行かされた件を晃に話し、「あいつは俺とここしか知らない寂しい女だ」と嘲笑いました。
更に隆直は美希が冨枝と一緒に子供を始末し、道端の地蔵の下に埋めたと言うのです。
隆直は美希が他の男と仲良くしているのが面白くないらしく晃に「あの女は坊之宮の女だから俺の所有物だ」と告げていました。
そして隆直は克子のお通夜に出ていた美希を待ち伏せて路上でレイプしようとしたのですが、激しく拒絶されて殴り倒されました。
この男は最高にクズですね。
感想
これは普通です。
閉鎖された村の因習とその犠牲になっている女性の話です。
お話はなんだかよくわかりませんでした。
原作は読んでないのですが、ちょっとこの長さだと恋愛パートまで忙しいのかな?という気がしました。
あと、現代劇だと無理がある気がするので、時代設定が明治とか大正だともう少し村人の行動にも納得できたかも。
その反面で美希の悲しさとかは演技力のせいかグイグイと伝わってきました。
ホラーというよりダークファンタジーっぽい話でそれほど怖さはないです。
一番怖かったのが村の習慣と村人だったりします。
結局彼等が何を恐れているのかサッパリ分からなかったので、過去の事例とか入れてくれると助かりました。
これ純愛物語だったみたいで、本当かどうか知りませんが、隆直は美希のことが忘れられずにダメ人間になった模様。
美希はもう踏ん切りついていて晃とくっつくわけですが、それにもジェラシーだった模様。
観ていて隆直にはウンザリで、誰か天誅を与えて欲しかったです。
何がなんだかわからなかったのですが、恐らく狗神は本当にいたのかな?と思います。
美希が段々若返っていたのも狗神パワーだったのかなと思います。
狗神ってもしかしてお飾りのように虐げられている女性の唯一の武器だったのかな?等とも考えてしまいました。
村のドンヨリ感や美しい自然の映像が素晴らしいと思います。
美希の力強い演技も素晴らしいと感じました。
全編出演者が四国?の方言で喋っているのですがなんとなく内容は伝わりました。
唯一東京弁で喋っている晃がボソボソ言ってて聞き取れないというw
映像と演技はよかったのですが、何だかよくわかりませんでした。
ラストまでのあらすじ
晃は工房で美希の帰りをひたすら待っていたのですが、村人が乗り込んできて打ち壊しを行い、工房は破壊されてしまいました。
この村人が一番怖いです。
戻ってきて放心している美希に晃は一緒にここを出て暮らそうと説得し、ようやく同意を得ました。
そこで晃は坊之宮の分家を訪ね、美希さんと結婚しますと告げたのですが、百代を筆頭に家族は猛反対します。
そして百代は「じゃあお母さんの意見も聞いてみれば」と言い出したのですが、実は冨枝はとうの昔に亡くなっており、美希が会話していた冨枝とは自分自身だったのです。
坊之宮家では狗神の番をする霊媒の血を絶やしてはならないそうで、美希は母の霊媒なのだということでした。
あの悪夢を見た晩、美希は1年前に死亡した冨枝の霊と出会ったようでした。
晃はそのまま叩き出されてしまい、門の所で味元と出会いました。
味元によれば狗神の祟りというのは本当にあるそうで、冨枝は若い時分に壺の番が嫌になって駆け落ちしたのですが、坊之宮一族に連れ戻され、相手の男は始末されたそうです。
Ⅴ 不死
美希は諦めたように壺の中の狗神を数え始め、晃は村を後にしました。
1か月後、美希を心配した土居は晃にメールで美希を連れ出して欲しいと依頼していたのですが、晃は「そこの環境が彼女を生かしている。連れ出したら腐るかもしれない」と訳の分からないことを言います。
土居は「もうすぐ先祖祭りで、美希は妊娠している」と知らせたのですが、なぜかPCは凄い文字化けを起こした後にクラッシュしてしまいました。
晃が出た後に尾峰は霧に覆われるようになり、園子は「狗神筋」と言われ続けたので発狂し、我が子を鎌で殺害してしまいました。
そして園子は林の中で首を吊って自殺していたのを発見されました。
その後、味元達が坊之宮家を訪ね、同行していた当時病院の看護師だったヒデ(冨樫真)は驚愕の証言をします。
美希が出産した当時、病院にはもう一人出産した女性が居たのですが、死産でした。
冨枝は無事に生まれた美希の子をヒデに頼んで死産の子と取り換えるように指示したのですが、その子の正体は晃でした。
村人達は忌まわしい子を身ごもった美希こそ今回の怪異の元凶であると考えており、美希を火炙りにして森に火をかけるつもりだと味元は告げました。
坊之宮家の男はどうするか話し合ったのですが、酒浸りの隆直は「一緒に死んだらいいだろ。それとも美希を殺すか?」と告げるのでした。
土居は警察に相談したのですが、「警察は神事には不介入」と相手にされませんでした。
そして先祖祭りの前夜が来たのですが、色々考えた末に晃は美希を救う決心をし、バイクで現れて自分の両親に宛てた手紙を土居に託しました。
晃は坊之宮家に飛び込み、先祖祭りに参加したいと申し出て、隆直に「よう来てくださった」と歓待されます。
いよいよ先祖祭りが開始され、鵺退治をモチーフにしたものらしく甲冑姿の隆直を先頭に参加者達は複数の鳥居をくぐり、海岸の丘にある祭壇へと向かいました。
祭壇には巫女の衣装を着た美希が一心に祈りを捧げており、隆直の指示の下、盃が全員に配られました。
坊之宮家は男達で話し合った結果、集団自決という結論に達したようで、盃を呑んだ者は次々に倒れていました。
晃は子供達や逃げ出す人々を送り出し、様子を見に来ていた土居に託しました。
美希は薬でも盛られたのか放心していたのですが、隆直に殺されそうになった拍子に祭壇から転げ落ち、正気に戻りました。
晃は美希を殺そうと迫る隆直の頭に斧を叩き込んで殺害しまし、二人は手を取り合って山を下ります。
しかし味元が待ち構えており、二人に発砲しました。
美希は倒れた晃を犬のように舐め、晃は息を吹き返して「子供は?」と聞きました。
美希は「産まれて、生きるのよ」と答え、二人はそのまま山の奥に消えました。
後日、土居と理香は地蔵に花を供えていたのですが、二人は崖の上を歩く美希達の姿を見たような気がしました。
エンドロールで終了です。
なんだかよくわかりませんでした。
もしかして美希は狗神になったんでしょうか?