劇場霊
ぜんぶ、ちょうだい
制作年 | 2015年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 中田秀夫 |
脚本 | 加藤淳也/三宅隆太 |
上映時間 | 99分 |
出演 |
島崎遥香 |
足立梨花 |
高田里穂 |
だいたいのあらすじ
少女姉妹がマネキンに殺害されるという事件が起き、父親は「なぜ殺した」とマネキンを抱えて運び、ナタでバラバラにして燃やそうとしていました。
そこに警察が乱入して父親を逮捕してしまいました。
二十年後、女優の水樹沙羅(島崎遥香)は死体役等しかもらえず、5年所属している事務所のマネージャー(広岡由里子)からは脱ぐように勧められます。
芝居がしたいと言い張る沙羅にマネージャーは鮮血の呼び声なる演劇のオーディションに出るよう勧めます。
このオーディションには同じ事務所の篠原葵(高田里穂)も出ており、沙羅は会場では野村香織(足立梨花)という駆け出し女優と知り合いになります。
その舞台はハンガリーの貴族エリザベートが若さを保つために若い女性を拉致しては殺害していた事件を元にしているそうです。
エリザベート役は葵がゲットしたのですが、沙羅と香織も端役を得ることができました。
そして小道具係のエリコ(土村芳)は業者の倉庫に眠る冒頭のマネキン人形を選別していました。
稽古が始まったのですが、沙羅演じる村娘が香織演じる侍女達に押さえられてエリザベートに迫られるというシーンで葵は台詞を忘れてつかえてしまい、演出家・錦野(小市慢太郎)からストップがかかります。
沙羅は葵が台詞を忘れたので小声で教えたのですが、後で余計なことすんなと怒鳴られ、衣装の後始末まで押し付けられます。
尚、舞台にはあのマネキンがエリザベートの心の声を表現するという役割で座っていました。
沙羅は人形担当の和泉(町田啓太)と知り合ったのですが、「女優に代わりはいても人形は一体しかない」という彼の台詞にカチンと来ました。
その夜、遅くまで残っていたエリコは人形に「頂戴。頂戴」と迫られていました。
翌朝、劇場には警察が来ていたのですが、担当刑事の神崎(ヨシダ朝)と検視官(柳憂怜)はいきなり死蝋化しているエリコの遺体を前に頭を抱えました。
その日の稽古で舞台上で人形の目が動くのを見た葵はつかえてしまい、錦野から「今度台詞飛んだら彼女に相談しなさい」と沙羅を示されます。
プライドが傷ついた葵はマネージャーに沙羅を降ろせと詰め寄り、当たり散らすのでした。
その後、葵は人形に追い詰められて屋上から転落し、沙羅はその現場を目撃して屋上に佇む人形を一瞬見ました。
そして沙羅は人形を見に行って魅入られたようになってしまい、和泉が現れたので我に返り、この人形は危険だと感じるようになりました。
沙羅はこの舞台自体を止めた方がいいと考えたのですが、錦野からエリザベートに任命されたので言い出せなくなりました。
そして沙羅は錦野に「個人指導」と称してセクハラされそうになったので彼を突き飛ばしました。
錦野は目に見えて沙羅に辛く当たるようになり、そんな稽古中に人形の目が動くのを見た沙羅は剣で人形の顔を薙ぎ払ってしまい、破損させてしまうのでした。
そして人形が破損した頬から血を流す幻影を見た沙羅は人形が姉妹を殺害する場面などを追体験してしまい、「あの人形は生きてる。舞台を続けると大変なことになる」とヒステリックに騒ぎ、エリザベート役を降ろされます。
エリザベートは香織が担当することになりました。
沙羅は稽古に出るのも辞め、舞台とは関わらなくなっていたのですが、なぜか和泉から連絡を受けました。
なんで連絡先知ってるんでしょう?
和泉は冒頭の事件の新聞記事を見せ、事件のあらましを沙羅に語りました。
人形師である児島(中村育二)は証拠不十分で不起訴となり、釈放されたということで、これから和泉は話を聞きに行くそうです。
沙羅も彼に誘われたので同行することになりました。
感想
これはイマイチです。
人形が人を襲って大変!という内容です。
ジャケのような絵はないので軽くジャケット詐欺です。
展開は無駄が多い印象でテンポもイマイチな気がします。
人形が動く理由は一切不明、襲う理由も憶測というその辺のOVも真っ青なスカスカな内容です。
誰でも知ってるエリザベート・バートリの話を披露したかっただけのような気がします。
こんな内容でも一応映画として成立させるのは監督の才能ではないでしょうか。
殆ど怖いシーンがなくて唯一怖かったのが、劇中劇の犠牲者が亡霊として佇んでいるシーンだけです。
人形が出てくると失笑してしまうので、ああいう絵が多いとよかったなあと思いました。
死体のグロさはなかなかで、エリコの目を剥いた死体はなかなかの恐怖。
児島に会いに行っても何も得るところが無かったので、すごく無駄だなと感じました。
更に何の根拠もないのに警察はしっかりと動き、わざわざやられに来てるのが凄いと思いました。
錦野の反応が正常だと思われ、沙羅は自分以外の人が沢山動いていて、それにはお金が掛かってるという点を理解してるのかしら?と思いました。
和泉もなんで人形の謎を追い始めたのか動機が分からず。
エリコの死がありましたが、あれと人形を紐づけはしないのでは?
錦野も錦野で舞台演出と言ってる割にはやってることが演技指導だけだという。
ただ、この舞台はなかなか舞台装置や道具周りが凝っていて面白そうだと思いました。
エリザベート役はやっぱり葵が良かったような…
オーッホッホッとか普通に言えそうなので、合ってる気がします。
沙羅の人は下手ではないけどいちいち大仰なのでホラーとか向いてない気がします。
香織の人はイマイチでした。
ラストまでのあらすじ
そして児島宅を訪ねた沙羅は追体験で彼の顔を見ていたので驚愕しました。
問題の人形は交通事故で亡くなった児島の長女(護あさな)をモデルにして作成したそうで、無残に潰れた遺体の代わりに棺に納めて葬儀を行う予定でした。
ところが葬儀の前夜にあの事件が起こり、児島の娘姉妹は斬殺されたのですが、どうも人間である彼女達を人形は羨んだようでした。
沙羅は鮮血の呼び声と状況が酷似していると気づいたのですが、人形を止める方法は児島にもわからないということでした。
移動中に沙羅は錦野に電話し、「人形ヤバいから舞台中止して」と依頼したのですが、電波扱いされただけでした。
そこで神崎に連絡すると、館内を警戒してくれることになりました。
舞台は試写会のようなゲストを招いた状態で講演が行われていたのですが、香織は人形の首を落とすシーンで目を動かした人形に魅入られてしまい、剣を取り落として「頂戴…頂戴」と呟くのでした。
そこに沙羅が飛び込んできたので香織は我に返ったのですが、舞台をぶち壊しにされた錦野は憤慨し、香織含めた出演者も沙羅に怒りを爆発させます。
一方、和泉は人形を密かに焼こうとしていたのですが、逆に襲われて倒れます。
暴走を始めた人形は警官や出演者を襲い、錦野は真っ先に逃げました。
どうやら人形は相手の精気を口から吸い取るらしく、原理は不明ですが、被害者は死蝋化するようです。
和泉と合流して警備室に逃げ込んだ沙羅は香織が人形に襲われるのを目撃したのですが、香織は死の寸前に「沙羅ちゃんがいなくなれば主役になれるかなって思った」と謝罪していました。
今更どうでもいいと思います。
人形は精気を吸うことで段々と人間に近づいているようで、顔が剥がれて筋肉組織が形成されているようでした。
間もなく錦野も人形に殺害され、逃げ場を失った沙羅達は舞台の上に逃れたのですが、神崎達も全滅していました。
燃料は浴びてるので燃やして終りな気がするんですが、大の大人が抵抗もせずにやられてるのはなぜでしょう?
和泉は追いかけてきた人形に小道具の斧で立ち向かったのですが、投げ飛ばされてしまい、沙羅はトゲトゲの付いた籠に逃げ込みます。
そのまま和泉が籠を吊り上げたのですが、籠の底が抜け、沙羅は人形の上に落ちました。
和泉が籠を落とすと人形は動けなくなったので、沙羅はトゲトゲを人形の顔に刺してあっさり倒しました。
一年後、なぜか沙羅は人気女優になっていました。
そして彼女はロケ先の河原であの人形の首を目撃しました。
エンドロールで終了です。
なんでこんな所に転がってるんでしょうか?