ブラック・サバス/恐怖!三つの顔
電話架かって来たりしてひどい目に遭う話
制作年 | 1963年 |
制作国 | アメリカ |
監督 | マリオ・バーヴァ |
脚本 | マリオ・バーヴァ/マルチェロ・フォンダート/アルベルト・ベヴィラクア |
上映時間 | 92分 |
出演 |
ミシェル・メルシェ |
リディア・アルフォンシ |
ボリス・カーロフ |
だいたいのあらすじ
冒頭でカーロフ氏が「吸血鬼とか近くにいるかもよ」等とのたまってました。
電話
原作 | ギ・ド・モーパッサン |
ロージー(ミシェル・メルシェ)は帰ってくる早々無言電話に悩まされていたのですが、とうとう男の声で「お前は美しい。殺す」的な電話が架かって来ました。
男はロージーの事を見張っているようで、なぜか服装や動きなども言い当てたので彼女はビビりまくっていました。
そしてロージーは鍵穴を塞いでカーテンを開けまくりという訳の分からないことをしていたので、またまた脅されまくるのでした。
やがて玄関の隙間から新聞記事が差し込まれたのですが、それは元彼のフランク(ミロ・ケサーダ)が脱獄したという記事でした。
再び電話が鳴り、「俺が誰だか分かっただろう」と男は告げました。
このままでは殺されてしまいます!とロージーはずっと仲が悪かった友人のメアリー(リディア・アルフォンシ)に助けてー!と電話しました。
メアリーは「じゃあ仕方ないね」と来てくれることになったのですが、実はさっきからのイタ電の犯人はメアリーであり、受話器にハンカチを押し付けて男声にして電話していたのでした。
その後、メアリーが訪ねてきて一晩ついてくれることになり、ロージーは枕の下にナイフを入れて寝ることにしました。
ということでメアリーは「今までの電話はあなたを反省させようとした私の悪戯」と書置きを残していたのですが、部屋に侵入したフランクに絞殺されます。
そしてフランクはロージーにも迫ったのですが、ナイフで反撃されて死亡しました。
因果応報、人を呪わば穴二つ的な話みたいです。
吸血ブルダラック
原作 | アレクセイ・コンスタンチノヴィッチ・トルストイ |
馬で移動中だったウラジミール(マーク・ダモン)は道中で首を切断され、背中に短剣を深々と刺された死体を発見し、馬と共に回収しました。
その先に立ち寄った家で道中で拾った短剣と同じものを発見しました。
その家の住人はやたらと何かを恐れていたのですが、ウラジミールが運んできた遺体はアリベクと呼ばれる盗賊のもので、一族の男は遺体の胸にナイフを突き刺して「やつはブルダラクだから止めを刺さないと」と告げていました。
そして彼等は父親がブルダラクになって戻ってくるのを恐れていました。
一族の娘ズデンカ(スージーアンデルセン)によればブルダラクというのは愛する者の血を吸う吸血鬼だそうで、今夜父が戻らなければブルダラクになっているそうです。
その夜、一族の父(ボリス・カーロフ)は疲れ切った様子で帰宅したのですが、一族は「本当に父なのか?」と疑惑を募らせます。
父は異様に顔色が悪く、羊肉を「いらん!」と食べなかったり、自分の犬を「五月蠅いから殺せ」と命じたり不穏な行動を取ります。
しかしアリベクとはケリをつけたようで、父はアリベクの生首を持っており、家の外に晒すよう命じました。
その深夜、父は長男の息子を拉致して外に飛び出して行ったので、それに気づいたウラジミールは一家に知らせました。
父の行動が怪しかったので次男が寝ずの番をしていたのですが、既に次男は首から吸血されて死亡していました。
長男は家を飛び出して父を追いかけ、ズデンカに一目惚れしていたウラジミールはどさくさに紛れて「ここから一緒に出よう」と口説いていました。
その後、長男は父に襲われて死亡した息子を連れ帰り、ナイフで胸を刺そうとしたのですが、妻のマリアが断固拒否したので叶いませんでした。
そしてウラジミールはまだ夜の明けきらぬ内に呪われた家からズデンカを連れ出し、馬を走らせました。
その後、長男の息子は墓場から蘇り、錯乱したマリアは長男を殺害して息子を家に入れたのですが、同行していた父に襲われました。
一方、ウラジミール達は走りに走って馬が疲れたので、道中の廃修道院に立ち寄って一夜を明かすことになりました。
結局、ズデンカは一族に連れ戻されてしまい、再度迎えに行ったウラジミールもズデンカによって吸血鬼にされてしまうのでした。
本格的なゴシックホラーで建物とか素敵でした。
水滴の音
原作 | アントン・チェーホフ |
ヘレン(ジャクリーヌ・ピエルー)は家で寛いでいたのですが、夜だというのに呼び出されてしまい、どこかへ向かいました。
看護師である彼女が訪問したのは先ほど亡くなった裕福な夫人の家で家政婦は夫人のエンバーミングを依頼しました。
屋敷には異常に猫が居り、家政婦によれば夫人は降霊術の最中に亡くなったのということです。
ヘレンはカッと目を見開いて死亡している夫人の目を閉じつつ、指に嵌めていた高価そうな指輪をガメました。
なぜか閉じた夫人の目がまた見開いていたのでビビりまくったヘレンでしたが、さっさと服を着せて靴も履かせ、家政婦と引き揚げました。
帰宅したヘレンはウキウキと指輪を装着していたのですが、なぜか指に蠅が集ったので、どうにか追い払いました。
しかし今度は水道の蛇口からポタポタと水の滴る音に悩まされるようになります。
どこかの蛇口がポタポタしているので停めると他の蛇口がポタポタ言い出すという感じでキリがないのです。
ようやくそれを収めたと思ったら今度は窓が勝手に開いた挙句に停電してしまいました。
ヘレンは窓を閉め、蝋燭に点火して対処しました。
しかし彼女は老婦人の幻影を見てしまい、指輪を嵌めた手で自分の首を絞めて死亡しました。
騒ぎを聞いた住民が通報したので警察が駆け付けたのですが、ヘレンの状況には首をひねるばかりでした。
ヘレンの指からは指輪が消えており、恐怖のために目を見開いて死亡していました。
これが一番怖いです。雰囲気もなかなか。
なんですけど夫人がアップになると笑いを誘います。
最後に吸血鬼姿のカーロフ氏が「霊を嘲笑うとひどい目に遭うんだよー」的なことを言い、「仲間になるのだー」とお別れの挨拶します。
彼が跨っていたのは遊園地にあるような張りぼての馬で、撮影風景が映されます。
FINEマークの後にエンドロールで終了です。
感想
これは普通です。
三つの恐怖ということで三本のオムニバス作品が入ってます。
お話はありがちな感じなのですが、ドンヨリした演出が上手いのと色がきれいだと思いました。
1作目はややスタイリッシュな感じで赤い電話とセクシーなお姉さんが印象的なスリラーです。
全体の色彩や演出がアルジェント作品っぽい感じです。
オチはやや読める感じで、部屋の感じが「暗くなるまで待って」に似てる気がしました。
主人公のロージーは愛人業?か何かしているようで、フランクの件は警察に密告したということだそうです。
2作目は吸血鬼お父さんが強烈なゴシックホラーです。
ちょっと笑ってしまうのですが、映像の雰囲気は3作目に劣らず素敵です。
特に一族の屋敷とか修道院の雰囲気は後のフルチ映画っぽい感じがしました。
吸血鬼を明確に見分ける方法さえあればこんなことにはならなかったのに…
意外と生首とかグロもあってビックリです。
3作目はオカルトホラーで、話の流れが怖い話風です。
これもヘレンの部屋の雰囲気とポタポタ演出が素敵で地味に怖い作品です。
個人的にはこれが一番好きかも。
夫人の顔が怖すぎるんですけど、ちょっと笑っちゃいます。