チャイナ・ゲイト
インドシナ戦争行って人助けする話
制作年 | 1957年 |
制作国 | アメリカ |
監督 | サミュエル・フラー |
脚本 | サミュエル・フラー |
上映時間 | 95分 |
出演 |
ジーン・バリー |
アンジー・ディキンソン |
ナット・キング・コール |
だいたいのあらすじ
第二次世界大戦後のヴェトナムでは独立を主張するホー・チ・ミンとフランス領インドシナを維持したいフランスとの間に軋轢が生じていました。
そして中国共産党を後ろ盾としたホー・チ・ミンとフランス、それを支援するアメリカとの間にインドシナ戦争が勃発します。
フランスは傭兵部隊を擁しており、この部隊の主な任務はモスクワからの支援武器を断つことで、ベトナム側は「チャイナ・ゲイト」と呼ばれる山中に大量の支援武器を隠匿していました。
傭兵部隊はチャイナ・ゲイトから160Km離れたサントイという街に立て籠もって抗戦していたのですが、物資は底を尽き今や米軍からの支援投下物資だけが頼みの綱でした。
1954年には町の中のあらゆる動物が食べられており、バーを経営するリア(アンジー・ディキンソン)の息子は飼っている子犬を必死に匿っていました。
傭兵部隊の指揮官であるコーモン大佐(ポール・デュボフ)は現地の事情に詳しくチャイナ・ゲイトを守るチャム少佐と知り合いでもあるリアにゲイトまでの案内を依頼します。
リアは混血児である息子にアメリカ国籍を与えることを条件にし、コーモンはこれを渋々了承しました。
しかしリアはブロック軍曹(ジーン・バリー)の姿を見た途端に機嫌を損ね、ブロックをビンタして「この話は無かったことに」と引き揚げてしまいます。
それというのもブロックは過去にリアを現地妻にした後に捨てていたからでした。
ブロックはリアが産んだ息子が完全に中国系の顔立ちだったことに「君は中国とアメリカ人のハーフでは無かったのか!」と腹を立てて別れたということでした。
コーモンになんとかせいと言われたブロックはヘラヘラと結婚式を取り仕切ってくれた神父に「リアを説得してくれ」と依頼したのですが、共産党の拷問を受けて片足を失くしていた神父から「心優しいリアを捨てた偽善者」と罵られただけでした。
仕方なくブロックはリアに会いに行き、「この機会を逃したら息子のアメリカ行きは無いぞ!」と脅迫しました。
リアは同行することになり、異様にいい声で歌が上手いゴールディ(ナット・キング・コール)がブロックと分担して爆薬担当になります。
まずは物資を運ぶリアのボートの積荷に隠れて検問を突破しました。
尚、アメリカ人ハーフと言っていたリアは実は中国人とモイ族という少数部族のハーフだったそうです。
小隊はジャングルの中で夜営することになったのですが、ジャシーという兵士は先の大戦のPTSDに悩まされており、悪夢を見てゴールディを殴るのでした。
ブロックは非情にもジェシーを始末すると言い出したのですが、話し合いの結果今回だけは見逃してやることになりました。
翌日、小隊は敵の潜伏する遺跡に潜入したのですが、誤って地雷を爆破してしまい交戦となったので見張りを倒して強行突破しました。
背景が完全に合成で浮いてます。
次の砦では見張りをリアが惹き付けている間にブロックが殺傷して突破しました。
小隊はこの砦で夜営することになり、ブロックはリアと寄りを戻そうとイチャコラ始めたのですが、リアが「家族でアメリカに行きましょう」と言ったのに対し「それはできない」と返答してしまい、リアを凍りつかせるのでした。
尚、この時点で中国系というだけでリアを捨てたブロックは差別主義者とみなされており、小隊の部下全員から嫌われていました。
その後、道中で崖から転落して背骨を折った兵士がいたので、小隊は彼が死亡してから埋めました。
その夜、夜営していた小隊は敵襲を受け、兵士が二名死亡しました。
偵察兵らしき敵兵はたおしたものの敵はボートの上から迫撃砲で攻撃してきたのでブロックが泳いで接近して手榴弾で殲滅しました。
尚、100個あった爆薬の半分が爆破されてしまったので残り50個となり、小隊もリアを入れて全6名となりました。
感想
これはイマイチです。
民間人の女性がフランスの外人部隊のベトミンの弾薬庫を破壊する作戦に同行するという内容です。
戦争映画というよりロマンス映画という感じで、戦争は添え物的なことになってます。
どうやら差別主義だった男が改心するという内容っぽいのですが、どうも弱い気がします。
その差別に関しても主人公が差別主義だというだけで混血の悲惨さとか全然伝わって来ませんでした。
どうにか子を思う母の気持ちが伝わったかな?という感じです。
共産主義者と差別主義者はどっこいどっこい的なことなのかな?とも思ったんですけど、そこは全く読み取れなかったので私の考えすぎみたいです。
インドシナ戦争のことも冒頭にチラッと触れるだけでかなりフランス側からの一方的な紹介でした。
戦争映画なのに敵側の事情が描かれてないのはどうかと思います。
なにしろ主人公がクズなのでお話しに入り込めませんでした。
フラー監督の映画は殆ど見てないんですけど女性の方が好意的に描かれてるパターンが多い気がしました。
他の人はキャラ紹介的な場面はあるんですけど、全員薄いので群像劇としてもどうかと。
ラストまでのあらすじ
その後、小隊は敵の少年兵に発見されてしまい、偵察に現れた敵兵をゴールディがナイフでサイレントキルしたものの大きな釘の罠を踏んでしまい足に重症を負います。
ブロックの手当を受けながらゴールディは「俺は子供もできず妻も死んだ。お前を軽蔑している。リアの息子は俺がアメリカに連れて行く」と絡むのでした。
その後、小隊はチャイナ・ゲイトの付近に接近し、ひとまずリアが偵察に出ました。
物資を提供しているリアは敵兵に大歓迎され、小隊はその隙に大勢の敵兵の検問を突破しました。
小隊はとうとうチャイナ・ゲイトに到着し、まずはリアが先行して敵兵の大歓迎を受けます。
そこでリアは司令官のチャム(リー・ヴァン・クリーフ)と再会しました。
チャムは敵側であれば寺院でも破壊するのですが、ここでは敵襲の盾としてあえて寺院や僧侶を配置しているのだそうです。
彼は残虐な男ですが特に思想がある訳でもなく自身の地位や富のために戦争に参加しており、フランス軍が勝ったら教師に戻ると豪語していました。
また、チャムはリアに惚れまくっており、息子を連れてここに住めばいいとのたまっていました。
そしてリアは大量の武器がある弾薬庫に案内され、「早く俺と結婚しないと息子がこの武器で死ぬかもよ」的な遠回しの脅迫を受けます。
小隊に戻ったリアは一部始終を報告し、ブロック達は作戦の段取りを始めます。
とうとうブロックはリアに今までの行動を詫び、もう一度やり直して欲しいと懇願し、リアはそれを受け入れました。
ここでブロックがこんな風に言い出すのはちょっと弱いかな?という気がしました。
一応、道中の積み重ねがあるにせよ強引な気がします。それはそうとゴールディ元気ですね。
尚、リアは離婚届けを出していないので法的には二人はまだ夫婦なのだそうです。
こうして小隊は夜陰に乗じて弾薬庫に潜入して見張りをサイレントキルし、爆薬を仕掛けました。
しかしリアは「サプライズがあるんだ」とのたまうチャムに捕まります。
ブロックは爆破を開始しようとする仲間を説得し、2分だけリアが逃げ出す時間を猶予されます。
一方、チャムは配線が発見されたという報告を受けて切断させており、リアを問い詰めました。
リアは息子をアメリカに行かせるためだとスパイだったことを認め、どさくさに紛れてチャムを窓から突き落して殺害しました。
リアは切られた配線を手で繋げて自爆し、ブロック達は敵の爆撃機を奪って脱出しました。
脱出の際に仲間が死亡したので生き残ったのはブロックと大尉、ゴールディだけだったのですが、唯一操縦のできる大尉が機内で死亡しました。
爆撃機は森の中に不時着し、ブロックとゴールディだけが生き残りました。
村に戻ったブロックは息子をアメリカに送る手続きを終え、彼の手を引いて歩き出すのでした。
そしてゴールディはいい声でチャイナ・ゲイトの歌を歌ってそれを送り出しました。
終了です。
人種差別的な話だったんでしょうか?