ロスト・フロア
子供が消えてひどい目に遭う話
制作年 | 2013年 |
制作国 | スペイン/アルゼンチン |
監督 | パチ・アメスクア |
脚本 | パチ・アメスクア/アレホ・フラ |
上映時間 | 88分 |
出演 |
リカルド・ダリン |
ベレン・ルエダ |
オズバルド・サントロ |
だいたいのあらすじ
ブエノスアイレスでは犯罪率は増加していたものの、いつも通りの朝を迎えていました。
弁護士のセバスチャン(リカルド・ダリン)は妻のデリア(ベレン・ルエダ)とは別居中でした。
彼はフェルッティという悪党の弁護をしており、大事な裁判を控えていたのですがデリアに取られた部屋に戻り、ルカとルナの兄妹を学校に送って行くことにしました。
というのもデリアからは正式に離婚を要求されており、もうじきデリアと子供達はスペインに帰国してしまうからでした。
階段で競争をしたいというルカとルナを送り出し、自身はエレベーターで下に降りたセバスチャンでしたが、下には子供達がいませんでした。
更に待てど暮せど子供達は現れず、ルカの携帯に電話しても繋がらず、ロビーに常駐している管理人ミゲル(ルイス・シエンブロウスキー)も二人は見ていないと返答します。
階段を捜し回っても部屋に戻って呼び掛けても二人の姿は無く、裁判所の同僚からは「大変なことになってるから早く来い」と督促されました。
部屋は7階にあるのですが、6階の住人マリアは二人の姿を見て「危ないから階段で競争するな」と呼び掛けたのだそうです。
途方に暮れたセバスチャンはミゲルの協力で3階に住むロサレス警視( オズバルド・サントロ)に相談します。
ロサレスはまず学校に連絡してはと気の無いアドバイスを引っ込んだので、セバスチャンは学校に電話してみたのですが、やはり二人はまだ登校していませんでした。
ひとまず事情を知ったロサレスは署に連絡してくれることになり、セバスチャンは他の住人にも聞き込みをします。
しかし手掛かりは得られず、ロサレスは誘拐の可能性を視野に入れ、警官を派遣してくれることになりました。
ひとまずセバスチャンはデリアに「子供が消えた」と連絡したのですが、彼女はイマイチ信じていないようでした。
そしてセバスチャンは取り乱してしまい、いつも挨拶もしない5階の男の家に押し入り、ミゲルに制止されました。
その後、セバスチャンは上司のゴルドステイン(ホルヘ・デリア)から「30分で裁判所に来ないと君は終わりだぞ」と宣告されます。
そしてデリアも戻って来たのですが、彼女はいつも子供を家に呼んでいるナタリア(アンドレア・カルバージョ)が怪しいと言い出し、早速怒鳴り込みます。
当然ナタリアの所には子供はおらず、デリアとナタリアの仲は険悪になりました。
デリアは「お前、スペインにやりたくなくて隠したろ」とセバスチャンを疑い出したので、「そんなことは無い」と必死で弁解します。
弁護士ですからね。セバスチャンはデリアに嘘ばかり吐いていたそうです。
しつこくゴルドステインが連絡してきたのでセバスチャンは「子供が誘拐されたらしい。裁判より大事だ」と電話を切り、ようやくデリアは彼の言うことを信用しました。
裁判が延期されたと知ったセバスチャンは検察側がこの件から自分に手を引かせようとしてるのでは?と邪推し、確認してみたのですが、やはり邪推に過ぎませんでした。
その後、ロサレスが2Cに住むパスカルという人物が前科者だと情報を持って現れたので、セバスチャンが強引に彼を説き伏せてミゲルに鍵を準備させ、2Cに押し入りました。
セバスチャンは挙句の果てにミゲルを疑って殴り掛かるのですが、当然「ずっと一緒だったじゃん」と否定されます。
万策尽きた感のあるセバスチャンはロサレスを疑い出し、先ほど連絡した検察側の人物にロサレスを洗うように依頼しました。
その後、別れた夫アルベルトに嫌がらせを受けている件でセバスチャンに相談している妹ガブリエラから「夫から助けて欲しい」と電話がありました。
セバスチャンは事情を説明して待って欲しいと返答したのですが、ガブリエラはルカ達を誘拐したのはアルベルトではないかと言いました。
確かにアルベルトは接近禁止になったことでセバスチャンを相当恨んでいて脅迫メールも送って来ていたのですが、セバスチャンには粗暴なだけのアルベルトが用意周到に誘拐を実行できるような人間ではないと判断しました。
そしてロサレスが交通事故を起こして賠償金を払えないでいるという調査結果が入ったので、セバスチャンは管理室の鍵を拝借してロサレスの部屋に不法侵入しました。
ロサレスの部屋にはロサレスと年老いた妻がおり、ロサレスは「いくら欲しいんだ」と詰め寄るセバスチャンを「俺は味方だ。いい加減にしろ」と怒鳴り付け、終いには殴り倒しました。
その後、デリアが暮らす自宅に「子供は預かっている。要求に従えば無事に帰す」と女性の声で脅迫電話が吹き込まれました。
そして直後に「2時間以内に10万ドル用意しろ。警察に言えば子供の命はない」と連絡がありました。
セバスチャンはロサレスの協力はひとまず断り、お金の工面に奔走します。
そしてセバスチャンはゴルドステインを脅迫同然で説得し、事務所の売上10万ドルを借りました。
感想
これは普通です。
子供がいきなり消えてしまった事件の謎を追うという内容です。
先の展開が気になる感じで割と面白かったと思いますが、なんとなくはこうなるんだろうな?という気がしてました。
一応、意外な展開というかそういうのがあるのでネタバレは無しで観た方がいい気がします。
結末付近の展開にはやや疑問は残りました。
残念なのがドラマ部分の描写が足りなく感じたことでしょうか?
確かにセバスチャンの過去の話は少し出てましたけど、ちょっとあれだけだと動機として薄いかな?という気がします。
一方的な視点にも感じられてしまうのでもう少しこの辺りが描写されると結末付近の展開には納得できた気がします。
ベレン・ルエダさん出演のロストシリーズはこれが最新みたいです。
ロスト・ボディとアイズも印象的でしたけど、やっぱり永遠のこどもたちの印象が強い気がします。
セバスチャンは普通のおっさんに見えますが、どことなく魅力的な感じでした。
なんか優秀な人なんだろうなという感じもして行動力はある感じですが、やや直情的な印象です。
ラストまでのあらすじ
セバスチャンが車に飛び乗って犯人からの連絡を待っていると「港湾地区の駐車場の屋上に金を持ってこい」と連絡がありました。
犯人はルナの声も聞かせたのですが、彼女は「お迎えはまだ?」等と呑気なことを言っていました。
現場に到着したセバスチャンは指示通りに黄色い柱のようなコンクリートブロックの上にお金の包みを乗せました。
やがて自転車に乗った少年が現れ現金を回収し、セバスチャンは犯人から「受け渡し完了」と連絡を受けたのですが、スマホの充電が無くなってしまいました。
一連の事件の犯人はロサリオだったのですが、黒幕はなんとデリアであり、ロサリオは「これで彼は書類にサインするだろう」とデリアに告げていました。
そして帰宅したセバスチャンにミゲルが「子供見つかった!ずっと4Aにいたらしい」とビックリの報告をしました。
子供達はスーパーの紙袋をこぼして困っているおばさんを助けてそのまま厄介になっていたそうで、彼女はいい人だったということでした。
セバスチャンはデリアに「もう一度やり直せないか」と持ち掛けたのですが、デリアは今回の事件を引き合いに出し「ここに居るのは危険だから」と即刻スペインに退去すると告げるのでした。
そう言われれば納得するしかなく、セバスチャンはとうとう離婚の協議書類にサインをしました。
こうしてデリアは二人の子供を連れてタクシーで去り、セバスチャンは独りぼっちになりました。
なんか凄く可哀想 😭
もう片付けが始まっていた4Aの部屋を見ていたセバスチャンは犯人が知る術もない筈である、ルナが服用済みの薬の外装を目撃しました。
ハメられたと悟った彼は急いで空港に向かい、道中でデリアに電話したのですが、彼女は当然無視します。
仕方なくセバスチャンはまたまた頼れる仲間ルビオに電話し、空港に手を回そうと手配しつつ道中を急ぎます。
セバスチャンがようやく空港に到着した頃にはデリア達は搭乗手続きを済ませていたのですが、ルナとルカがロビーにいる父親に気付いて走って来ました。
二人を抱きしめたセバスチャンは「パパと帰るんだよ」と告げ、デリアには「君一人で帰れ。そうでないと子供達に真実を話す」と詰めました。
抵抗するデリアにセバスチャンは「君のしたことは犯罪だ。刑務所には入りたくないだろう」と円満解決を持ち掛けます。
こうしてデリアと子供達は今生の別れとなったのですが、セバスチャンは「ママには直ぐ会えるよ」と言いつつ我が子を車に乗せて帰宅するのでした。
エンドロールで終了です。
てっきり悪が栄えるエンドかと思いました。
デリアは恐らく賠償金を肩代わりする方向でロサリオ達を味方につけたんでしょうね。
説明無いので詳細は不明ですが…