粒は揃ってます映画怪談新耳袋 劇場版

怪談新耳袋 劇場版

色々とひどい目に遭う話

制作年 2004年
制作国 日本
原作 木原浩勝/中山市朗/メディアファクトリ
上映時間 92分
出演
竹中直人
坂井真紀
高岡早紀

だいたいのあらすじ

夜警の報告書

監督 吉田秋生

警備員の上司(竹中直人)はあるビルの夜警が次々に辞めてしまうので、困っていました。
その日も若い警備員が辞めたいと言い出したので問い詰めた所、お化けが出ると言うのです。
彼は先輩・吉沢(林泰文)と一緒に見回りをしている際に靴ひもが解けて置いて行かれ、階段で自分の周りに集まってくる白い足に囲まれて絶叫しました。
その後もお弁当を食べていると肩に白塗りが顔を乗せたりしたので、若い警備員は参ってしまったのですが、吉沢は霊が見えているにも関わらず「気のせいだよ」と軽く流していました。
上司は仕方なく若い警備員を送り出し、改めてそのビルの報告書を読んでいたのですが、「異常なし」と書かれた報告書の下の方には「但し、老人一名」等と注意書きがありました。

仕方なく上司はベテランの中谷(嶋大輔)に後任を依頼し、中谷も報告書を「バカバカしい」と笑い飛ばして早速ビルに向かいました。
そして中谷は子供の笑い声を聞いたのを皮切りに霊現象に遭遇したので、上司に「ここはヤバいから無理」と電話して引き揚げてしまいました。
上司は中谷からの報告電話の背後で女性の笑い声を聞いたので、不審に思ってそのビルに向かいました。
中谷は「そんなの気のせいでしょ」とは言うのですが、仮眠中に女性が覆いかぶさったりしてくるので睡眠不足だということです。

詰所の上では子供の足音が響いており、中谷の首には明らかに絞められた手形がくっきりついているのですが、あくまでも気のせいだと言い張るのでした。
そして上司は中谷と一緒に見回りを始めたのですが、やっぱり女性の影を見たり、トイレが勝手に流れたりする怪異に襲われます。
その後、老人やら子供やら着物の女性やらが集団で出現したので上司は音を上げました。

その後、上司は退職して公園で休息していた際に中谷と再会したのですが、なんと彼は未だにあのビルで勤務しているということでした。
そして上司は彼に抱き着いている無数の手を目撃してしまうのですが、中谷は事も無げに「気のせいですよ」と告げて去りました。

なかなかビルの中に居る霊が怖くていい感じでした。

残煙

監督 鈴木浩介

微妙に性格悪そうな女子社員三名が社員旅行の宴会から抜け出し、ドライブをしていたのですが、山中で道に迷ってしまいました。
神社っぽいものがある道端で一服していたのですが、先輩社員(坂上香織)が突然透明人間のように消えてしまいます。
何やら周囲の森から騒音がし始めたので、二人は逃げ出したのですが、後輩(佐藤康恵)は転んだ先輩(坂井真紀)を「お前が道間違えたせいだぞ!」と怒鳴り付け、置き去りにします。
先輩はどうにか起き上がって車へと急ぎ、「早く開けろよ!」と怒鳴りつけている後輩を助手席に乗せたのですが、彼女もタバコの煙を残して消えました。
そして何かが生き残った先輩に迫り、彼女は悲鳴を上げるのでした。

これは微妙過ぎて、だからどうしたという感じです。

手袋

監督 佐々木浩久

OL(高岡早紀)が帰宅してマンションの自室に入ろうとしている際にふと廊下に目をやると突き当りに不気味な女性が現れて消えました。
その直後に元彼(大沢樹生)が部屋に押しかけてきたので、仕方なく泊めてやることにします。
かつて二人は同棲していたそうですが、彼女は元彼には完全に見切りをつけていました。
その夜、OLは悪夢を見て魘されて目覚めてしまいました。

翌朝、「この女が未練がましくてさ」と自慢げに携帯を見せる元彼に「あんたと同じじゃない」と吐き捨て、さっさと出てけと追い出そうとしていたOLでしたが、リップを塗ろうとしたらなぜか折れました。
その後、彼女が就寝すると貴婦人っぽい感じの手袋が首を絞めてくるという怪異に見舞われるようになります。
悪夢だと思っていたのですが、くっきりと首には手形が残っており、櫛の歯が折れているという地味な嫌がらせも受けます。
首を絞める手は夜ごとに力を増し、OLは眠れない日々を送っていました。

そんなある夜、また元彼が現れたので「お前の所為じゃねえの」と問い詰めた所、不思議なことに元彼は毎夜この部屋に来る夢を見ていたのだということです。
ひとまず元彼を返し、その夜も首を絞められるOLでしたが、手袋の向こうに浮かぶ顔のようなものを目撃しました。
その夜を境に怪異は止んだのですが、その後元彼から「結婚しました」ハガキが送られてきました。
そしてその写真の花嫁の手袋を見たOLは「こいつが首絞めてたんだ」と悟りました。

OLはハガキをゴミ箱にポイし、引っ越したということです。

演出がしょぼいのですが、意外と怖いです。

重いッ!

監督 鈴木浩介

ある夜のこと、女性(井上晴美)は布団の上に何かが乗ったような衝撃を受けて目覚めてしまいます。
確かにお腹の辺りに何がが乗っているようで苦しいのですが、手だけで押し退けようとしても空しく空を切るだけでした。
あまりの苦しさに声も出せず、横でスヤスヤと眠っている息子に助けを求めたものの手が届きません。
女性は必死に枕元に手を伸ばし、目覚まし時計を両手に掴んで振り上げ、お腹の辺りにダブルスレッジハンマーをかまします。

どうやらお腹のものはいなくなったようだったので、ほっとしていた女性でしたが、今度は枕元に不気味な男(北村一輝)が現れ、彼女の両腕を激しく引っ張ってにやりと笑うのでした。
男プリンスみたいなシャツでウケます。
女性がかすれた声で「消えて」と告げると男は「「なんだよ」みたいな顔をして顔を近づけてきます。
そして男は横で寝ている息子に目線を向けたので、女性は必死に「どけ」と繰り返します。

やがて男は消え、女性はやれやれとキッチンで水を飲んでいたのですが、その間に男は息子の上によっこいしょと腰を下ろしていました。
気づいた女性が駆け寄ると男は首だけ180度回転させて笑顔を見せ、再び息子に迫っていました。
女性は「ダメー!止めてー」と叫ぶのでした。

霊の凄くいい笑顔でウケます。王子様みたいです。

姿見

監督 三宅隆太

卒業を控え、就職先も決まった二人の学生は久しぶりに学校の体育館で再会しました。
学生の一人ユキオ(上條誠)は噂を検証しようぜとか言い出し、消極的な友人(内野謙太)を巻き込んで体育倉庫の姿見の幕をめくりました。
友人は携帯で会社に呼ばれたので少し席を外していたのですが、その間にユキオは鏡から伸びた手に引き摺り込まれていました。
戻って来た友人が見たものは散乱した鏡の破片のみだったのですが、ふと破片を手に取った彼は背後に立つ女性の姿を目撃します。
そして響く女性の笑い声が恐ろしくなった友人は体育館から脱出しようとしたのですが、バスケットボールを持ったBBAが突撃してくるのでした。

これ、呪怨のバスケBBAにそっくりですね。

視線

監督 豊島圭介

ある高校では10年後の自分がどうなっているか?とうタイムカプセル用の映像が撮影されていたのですが、ゆかり(堀北真希)は女優になりたいという夢を語ったものの「親の意志を継いで会計士になる」と撮り直していました。
しかしその映像の彼女の背後には何やら横向きの人のような怪しげな白い影が映っていました。
映像を見た教師(乃木涼介)は帽子を被った人物が俯いているように見えると分析しました。
この学校は戦中に病院だったのですが、火災により沢山の人が亡くなっていたそうで、人影は当時の看護師のようにも見えました。

教師はこの件は公表しない方がいいだろうとゆかりと話していたのですが、ビデオを観た女子が面白がって「文化祭の出し物として出そう」とクラスメイトと勝手に話を進めてしまうのでした。
噂が広まってゆかりは一躍有名人になってしまい、後輩や同級生から「アドレス交換しよう」等と持ち掛けられるようになります。
しかし女優志望だったゆかりはその状況を喜んでおり、「私人気者になっちゃった」と母親に話していました。

その後、文化祭当日になったのですが、映像を見た女子から「こちらを睨んでいる目が怖い」等という謎の感想を告げられます。
気になったゆかりが確認してみると、以前は横向きだった人影が段々とこちらに身体を向け、迫って来ていました。
そしてビデオは勝手に繰り返し再生され、最終的には看護師がカメラの前でアップになりました。
実はゆかりは既にビデオの亡霊からずっと監視されていたのですが、気付いた時には既に遅く、ビデオから出て来た看護師の亡霊は腰を抜かしたゆかりの背後から「ずっと…見ていて…あげる」と呟くのでした。

これはありがちな話ですけど怖いです。アップになった時より近づいて来る映像が怖いです。
なんですけど、最後の一言は要らなかった気がします。これ言わせたことで私の中では怖さ半減です。
無言で迫ってくる感じが良かった気がしますので。

約束

監督 雨宮慶太

ヒロユキ(曽根悠多)は雑誌の編集者である叔父(小野寺昭)の高級マンションの留守番をすることになりました。
出発時に叔父は「名前を呼ばれるから返事しろ」と謎の指示を与え、「これだけは絶対に守れ」と固く誓わせていました。
その後、寛いでいたヒロユキは抑揚のない女性の声で「カズノリさん」と呼ばれ、反射的に「はい」と答えました。
辺りに女性の姿がある訳でもなく、何か他に起こる訳でもありませんでした。
その後、声は決まった時間ではないが1日1回であり、返事をするまで繰り返し呼ばれる、特に危害を加えられることも無いと判明しました。

宅配が来た時に呼ばれたことがあったのですが、どうも声はヒロユキにしか聞こえていないようです。
また、声に対して何かを言っても無駄で、きちんと呼ばれたことに対する返事をしないと繰り返し呼ばれるようでした。
そんなこんなでそろそろ叔父が戻る日が近づいて来たのでヒロユキはバイト仲間のアヤノを呼んで散らかり放題の部屋を一緒に片付けてもらいます。
ということで片づけも終り、ヒロユキはアヤノに「今日泊っていけば」と持ち掛け、彼女もまんざらでは無い様子でした。

そういうことなのでヒロユキはアヤノにキスしようとしていたのですが、「カズノリさん」と呼ばれます。
しかしその日は「はい」と返事しても呼び掛けは治まらず段々と早口で呼ばれたのでヒロユキは恐ろしくなり、終電が無いアヤノを「もう帰った方がいい」と叩き出します。
そしてヒロユキが返事をすると声は止んだのですが、居間の中央に薄汚れたワンピースを来てボロボロの熊のぬいぐるみを持った巨大な女が立っており、ゴゴゴゴと背筋を伸ばそうとして天井につかえ、横向きになった顔でこちらを睨んでいした。
彼女はゆっくりと人差し指を突き出してヒロユキを指さし、「カズノリさん」とあの声で呼びかけました。

ヒロユキは恐ろしくなって部屋を飛び出し、翌朝は路上で叔父に鍵を返しました。
そして帰宅しようとしたヒロユキの背後から「カズノリさん」の声が響き、あの女が路上に立っていました。
どうやら叔父はあの女性に想いを寄せているようで、今でもあの部屋に住んでいるのですが、彼の名前は「カズノリ」ではないそうです。

これは大女のインパクトが凄くて怖いです。
前半はコメディっぽい感じなんですけど。どうも住人男を束縛する習性があるみたいですね。

ヒサオ

監督 平野俊一

母親(烏丸せつこ)は何かとヒサオに呼び掛け、何かと面倒をみているのですが、ヒサオは恐ろしく無口で母親の言うことを聞かずに立ち去ることが多いようです。
そして彼が歩いた後にはなぜか大量の水が残されました。
ヒサオは学校でカミヤ達不良グループやアサコちゃんなる女子にお金を貸しているようで、母は「あの人達とは付き合わない方がいい」とヒサオを説得するのでした。
ヒサオは確かに実在しているのですが、どうやらカミヤ達に虐めに遭った挙句、池に落とされて殺害されたようなのですが、カミヤは「ヒサオが勝手に泳いだ」と証言しており、事故死として扱われているようです。

ヒサオがカミヤ達に殺害されたことは水橋という人物が目撃証言を母親だけにしたことから発覚したようで、母親は包丁を持ってカミヤ達に話を付けに行こうとしていました。
するとヒサオが「もういいわ。お母さん」と告げたので「いいことない!」と反論していた母でしたが、カミヤ達が突然原付で川に落ちて死んだというニュースが流れました。
母はカミヤ達を殺そうとしていたのですが、ヒサオが既に動いたと知って諦めました。

尚、ヒサオの姿は母にしか見えておらず、「もうすぐずっと一緒に居られるからな」と母は首を吊って自殺するのでした。

悲しい話系です。

エンドロールで終了です。

感想

これは普通です。
劇場版と言っても短編集なので粒揃ってて面白いです。
なんだったんだろう?という作品は少なく、観やすいと思います。
全体的に佇んでいる感じの霊が多くて余計な音とかアクションとか起こさないのでなかなか怖いです。
残念だったのが残煙くらいで他の作品は楽しめました。