ニンフォマニアックVol.2
色情狂の女性の半生
制作年 | 2013年 |
制作国 | デンマーク/ドイツ/フランス/ベルギー/イギリス |
監督 | ラース・フォン・トリアー |
脚本 | ラース・フォン・トリアー |
上映時間 | 124分 |
出演 |
シャルロット・ゲンズブール |
ステラン・スカルスガルド |
シャイア・ラブーフ |
だいたいのあらすじ
前編です。
不感症でショックを受けるジョー(ステイシー・マーティン)に対してジェローム(シャイア・ラブーフ)は彼女を束縛するようになり、誰かが訪ねてきても追い返し、電話も線を抜いてしまいました。
そしてジョー(シャルロット・ゲンズブール)はセリグマン(ステラン・スカルスガルド)に12歳の時に遠足行って、丘陵地帯の原っぱで寝そべっていたらイってしまい、自分が浮遊して二人の女神のようなものが見えた話をします。
この絵ウケます。ツインゴッデスかな?
セリグマンはそんなアホな!とツッコんだのですが、ジョーは大真面目でした。
その女神のような女性の風体を聞いたセリグマンは「それは色情狂と名高いヴァレリア・メッサリナでは?」と言います。
そしてもう一人の獣に跨っている女性は大淫婦バビロンだろうということで、セリグマンによればジョーの体験はイエスの山上の変貌の冒涜的な表現であるということでした。
セリグマンはその話を誰かから聞いたとすると東方教会に対するかなりの冒涜だと珍しく嫌悪の表情を浮かべました。
ジョーは自身が不感症だった時期を「私がオーガズムを失くすということは、あなたが本を失うようなもの」と例えました。
セリグマンはまたまた「ゼノンのパラドックスだな」と数学に例えたので、ジョーは「お前、人の話真面目に聞いてないだろ!男は私の話聞くと性的に興奮するんだぞ」とキレます。
ジョーは「もしかしてお前、童貞なんじゃないの」的にツッコみ、セリグマンは少し悲しそうな表情を浮かべつつそれを認めるのでした。。
セリグマンは非常に性欲が薄い人間だそうで、10代の頃には自慰もしたそうですが、それは欲望を満たすためというより好奇心からだったそうです。
「でも自分は性的に白紙だから、君の話を聞いて善悪の判断ができるんじゃないの」ともセリグマンは言うのでした。
要するに興味があるから話の続きを聞きたいんでしょうね😏
また、セリグマンは無宗教に近い人間なのですが、東方教会には聖母マリアと幼いイエスの絵が多いことから「幸福の教会」、西方教会には磔のイエスの絵が多いので「苦しみの教会」という宗教観を持っているそうです。
それを聞いたジョーは東方教会と西方教会をテーマにした話を始めます。
第六章 東方教会と西方教会
ジョーは自慰をしたり、濡れタオルで股間を叩いたりしていたのですが、不感症は治りませんでした。
ジェロームはそんなジョーにスプーンを膣に入れたら5ポンドと悪い遊びを持ち掛け、彼女は次々にスプーンを挿入するのでした。
レストランのウェイター(ウド・キアー)からは「「スプーンどこ行った」と聞かれるのですが、ジョーは平然とパフェを食べて5ポンドゲットし、股間からスプーンを落としながら引き揚げるのでした。
どう考えてもジェロームはジョーで遊んでる気がします。
そんな中、心の平穏を求めたジョーはジェロームにべったりになり、とうとう妊娠してしまいました。
ジョーはマルセルという息子を産んだのですが、オーガズムを失ったままでも性欲はますます強くなりジェロームは彼女を持て余します。
ジェロームはジョーに「他の男を引っ掛けて性欲を埋めてくれ」と依頼しました。
ということでジョーはピアノ教師になりすまして路上でエンジンのプラグをわざと外し、男に声を掛けて引っ掛けるという作戦に出ました。
その後帰宅したジョーを出迎えたジェロームでしたが、やはり嫉妬心はあるらしく鏡を叩き割るのでした。
三年後、ジェロームは出張ばかりになり、たまに帰ってきては「育児が成ってない」とジョー(シャルロット・ゲンズブール)にこぼすようになりました。
しかしそれはジョーの愛人たちへの嫉妬であり、ジョーはジョーで相変わらず性的に満たされない日々を送っていました。
刺激を求めたジョーは近所の黒人ギャングとセックスすることを思い立ち、わざわざ通訳を雇ってギャングに近づきます。
メモを渡されたジョーはホテルを訪ね、そこで二人の黒人ギャングに輪姦され、後ろと前を同時に犯されます。
しかし黒人二名は自分がどちらの穴に入れるかで揉め始めたので、ジョーはさっさと引き揚げました。
更なる刺激を求めてジョーはK(ジェイミー・ベル)という男のSMクラブに侵入します。
Kは一見のジョーを見て帰るように促したのですが、ジョーが居座り続けたので彼女に力一杯ビンタしてからルールを説明します。
ここでは「ファックは無し」、「中に入ったらKを止めることはできない」、「乗馬用のムチを用意して夜中に待合室で順番待ちし、呼ばれるかどうかはその時の気分次第」ということでした。
ということでジョーは子守にマルセルを押し付け、Kの待合室に座ったのですが、前かがみでお尻丸出しで屈辱的な姿勢でソファに拘束された挙句に「尻が低いから木曜日にしよう」と追い返されました。
木曜になったのでジョーは子守も現れないのにマルセルを放置し、Kの待合室に行き、今度は「よくなった」と言われて12回お尻をムチで打たれます。
こうしてジョーは倒錯した世界に入り込み、Kにコインが一杯詰められた手袋で顔面を殴られたり、縛られたりと虐待を受けます。
ある晩のこと、ジョーがKの下に入り浸って順番待ちをしている間に目覚めたマルセルがベランダに出て柵を乗り越えようとしていました。
ジェロームが帰宅して気付いたので良かったのですが、下手するとマルセルは落下死していました。
ジョーは当然外出していたことを責められ、もう深夜に外出しないと誓わされ、更に「今夜出掛けたら俺にもマルセルにも一生会えないぞ」と別れを予告されます。
しかしジョーはクリスマスの夜だというのにジェロームの目の前で外出してしまい、Kの下に向かいました。
そしてジョーはKの下に向かって他の女性の順番を無視して割り込み、あろうことかKに愛情を求めたのか抱き着いてキスします。
Kはジョーを追い返すかどうか考えた後にクリスマスプレゼントにと先端に縄の割っかが無数についている拷問用のようなムチを渡しました。
ここでは犬コロと呼ばれているジョーに人権は無く、「ファックして欲しい」と言ってもダメだと断られ、ローマに倣ってムチ打ち40回の刑になります。
ジョーはお尻を打たれながら陰核を腰の下に敷いてある本にこすりつけ、とうとう絶頂しました。
ジェロームとマルセルはジョーの前から消え、ジェロームは間もなくマルセルを施設に預けました。
ジョーは今でも1000ポンドをマルセルの口座に匿名で振り込み、罪を償っているのだそうです。
尚、ジョーはサイレント・ダッグという遊びもKにしてもらったそうですが、それは五本の指をアヒルの嘴のようにしてお尻の穴に入れるというものでした。
ここまで聞いたセリグマンはKに感心しながらも「間違ってるぞ。ローマのむち打ちは3回ずつを繰り返すから40回にはならないぞ。イエスでも39回だぞ」とどうでもいい感じにツッコむのでした。
第七章 鏡
ジョーは体を痛めつけていたツケが出たのかトイレで自慰している際に陰核から出血しました。
更に職場の人事部から呼び出され、毎日男とやりまくっている点を指摘されて同僚から信用を失っていると告げられます。
会社としてはジョーをセックス依存症と判断し、禁欲の会とカウンセリングを勧めたのですが、ジョーは興味ないと断ります。
しかし会社は「受けないと解雇。他でも同じことの繰り返しだよ」と提案ではなく命令だと強調しました。
ということでジョーは禁性欲の会に参加し、グループセラピーとカウンセリングを受けることになります。
カウンセラーによれば100万人に一人には性欲の無い人間がいるのだそうです。
セリグマンかな?
そしてカウンセラーは「接触の原因を断つこと」とよくあるアドバイスをしたので、ジョーはまずは自宅から電話を外しました。
更にHな浮世絵や自慰に使用しそうなものを封印し、鏡を塗りつぶしまし、久々に押し花ノートを広げて心の平穏を求めます。
モツのレクイエムの入祭誦が流れてます。
ジョーはひとまず3週間と5日禁欲に成功したので、会でそれを発表し、それまでは自身を「セックス依存症」とは認めず「色情狂」と定義していたのですが、はっきりと自分の口で「セックス依存症」であると認めました。
しかし禁断症状がヤバかったのかジョーは会場の鏡の中に少女時代の自分の幻覚を見ます。
そして何を思ったか「私はゴミでもなんでも入れたいだけのあんた達とは違う!私は色情狂であり、そんな自分を誇りに思う」とぶち上げました。
彼女はそれが済むとさっさと会場を飛び出し、どっかの城っぽい建物の前で車を燃やしていました。
ここまで聞いたセリグマンは「車はなんなの?」とまるで映像を観たように言い出し、ジョーは「最終章に行こうと急ぎ過ぎた」と端折り過ぎたことを認めます。
これは監督の好きなメタっぽいお遊びでしょうね
そしてジョーは剥き出しの漆喰の壁で囲まれた部屋を見回し、ここはまるで修道士の個室みたいと呟きました。
私はどこにも受け入れられず、行き場がないと訴えるジョーにセリグマンは「見方を変えること」をアドバイスしました。
すると自分が紅茶のカップを投げた壁のシミが見えたのですが、それは横向き見るとまるでオートマチック拳銃のようでした。
第八章 銃
なるべくして成ったということなのかジョーは借金の取り立て業に落ち着いたそうで、先ほどの車を燃やしているシーンは取り立ての一環だそうです。
元締めはL(ウィレム・デフォー)という男でジョーは助手を二名着けてもらい、
彼女は債務者の秘密の性癖を暴いて取り立てを行うことで才能を発揮しました。
拷問はSM繋がりでわかるんですけど、正直ジョーにこんな才能があるとは思えないです。
その後も数年仕事をこなし、ジョーは年齢を重ねました。
ある日、Lはジョーを呼び出して仕事ぶりを讃えつつも「そろそろ君もいい年齢だし、後継者のことを考えるべきだ」と忠告しました。
ジョーは断ったのですが、Lは刑務所でシンママを捜してその子供を手懐けるように指示しました。
ということでジョーは強制的に候補となっている少女P(ミア・ゴス)を見学しに行くことになりました。
Pの父親は死亡、母は麻薬常習で服役しており、彼女は孤独であり、その孤独を埋めるためにバスケをしていました。
しかしマルセルの件もあったのか、ジョーはPが憐れになり、毎週試合を見に行っては声援を送っていました。
その件にPも気づき、二人は親密になっていきます。
ジョーはPに自分が父(クリスチャン・スレーター)から受けたように森の中を散歩したのですが、その際に父が「自分の魂の樹」だと言っていたオークの樹のことを思い出します。
父は様々な森の樹を示して「ここには真っすぐな樹や歪んだ樹があり、それは人間の魂のようだ」とも話していました。
やがてPは成人したので、ジョーは後見人として同居することになりました。
その頃、ジョーは性器が激しく痛み、セックスができない状態で禁断症状に悩まされていました。
Pはそんなジョーを優しく介抱するのですが、実は彼女はレズでジョーとレズプレイをするのでした。
感想
これは普通です。
今回はジョーの後半生が語られることになりました。
途中で鬱っぽい展開はあるもののギリギリセーフな感じですが、前半よりキツイ内容な気がします😭
でも言うほどマニアックでもないような気がしていて、ソフトな印象です。
ジョーの稼業の件はやや陳腐で強引だなあという気がしました。
引っ張っていた謎もそれほどインパクトのあるものではなく、別な展開なのかと思ってました。
全編ボカシが多いんですけど、2時間と長い作品ながら、長くも感じませんでした。
ただ、Kのくだりはあまり要らないんじゃないかなあと感じたんですね。
マルセルの件はまあ必要だったとして、他のエピソードじゃダメだったのかなあと…
確かに稼業の件でその知識を利用しているのは事実化もしれませんが、私には稼業自体が陳腐に感じられたのと、言うほどそんな知識要らんだろっていう気がしました。
結末はやっぱり病気だと思いました。
ただ結末付近でセリグマンが言っていた男女の差についてはやや考えさせられました。
ジョーの人は顔面パンチされたりお尻叩かれたりして大変だったと思います。
ヘンな監督に捕まると大変なんだなあ、役者も楽じゃないなあと感じました。
後編はデフォーさん出てるんですが、彼を除いて男性陣も殆どチン〇出してて大変です。
その分ボカシも多いという。
キングダムを完結して欲しいというのが私の心からのお願いです。
無理でしょうけど😭
ラストまでのあらすじ
そんなある日、ジョーはPからなぜ自分の試合を観戦しに来たのか質問されます。
ジョーは正直に全てを打ち明けてしまい、それを知ったPは仕事へ同行したいと言い出し、とうとうジョーは根負けします。
Pは生まれ育った環境の所為かこういう世界には慣れており、ジョーが思った以上に暴力的でした。
暴走を懸念したジョーはひとまずPから銃を没収しました。
そんなある日、債務者として訪れたのはジェロームの家でした。
気まずいジョーはPに「ここは独りで任せる。誰も傷つけずに無理のない返済計画を勧めるように」と指示しました。
そしてジョーは彼女が倒れていたあの路地を通って帰宅しました。
その後戻ってきたPはジェロームには6回払いを提案したと報告しました。
そしてジェロームの最後の返済日になったのですが、なかなか戻らないPに業を煮やしてジョーが見に行くと、ジェロームとPはセックスしていました。
何もかもが嫌になったジョーはもう消えようと考え、ひとまず山登りをしたのですが、山頂で父の魂の樹に似た樹を目撃します。
その樹は一本だけポツンと山頂に力強く立っていました。
BGMはフランクのヴァイオリンソナタイ調ですね。名曲だと思います。
それを見た彼女は自分が消えるくらいならジェロームを殺そうと決心します。
そしてあの路地裏で待ち受けていると間もなくPとジェロームが千鳥足で現れ、熱烈なキスを始めました。
ジョーはジェロームに向けて引き金を引いたのですが、弾は抜かれていました。
動揺しているジョーの後頭部をジェロームは思いきり殴りつけて倒し、更に蹴りまくった後にマウントを取ってボコボコにします。
そしてジェロームはPに目で合図し、正常位で3回、お尻の穴に挿入して5回腰を振りました。
Pはジョーをまたいでおしっこを掛け、二人は倒れているジョーを後目に引き揚げました。
そして現在に至るということで、弾も入っているのを確認したのになぜ出なかったのか?と首を捻るジョーにセリグマンは「オートマチック拳銃はスライドして安全装置を外さないと」と説明しました。
こんなの私でも知ってるのに…Pはこの件でジョーのことをますます見下したのかも
長い話が終わったので朝になり、雪は止んでいました。
この路地は高層ビル等に囲まれており、直接は日は差さないのですが、どこかから反射して僅かに光が向かいの建物の壁に差しており、これが唯一の日光でした。
セリグマンは「今までの君の話を整理すると女だから罪悪感を抱くことで、男なら当たり前にしていることではないか」と結論付けました。
更に恐らくジェロームも殺すつもりはなく、潜在意識で殺人を拒んだので銃の知識を封印したのではないかと言いました。
ジョーは「否定するのも面倒臭いので肯定する」と返答し、これからはセクシャリティを排除して生きると決意を表明しました。
そして彼女はセリグマンに感謝の言葉を述べ、少し寝ると言いました。
セリグマンはあろうことか眠りに着いたジョーをレイプしようとし、ジョーが拒絶すると「多くの男とやった癖に」と言われます。
冒頭と同じように画面は真っ暗になり、銃声が響き、ジョーが部屋を出ていく音がします。
そして静寂のまま映画は終わります。
エンドロールで終了です。
いい話で終わらせてほしかったんです。
いい話で終わらすと死ぬ病気か何かなんでしょうか?
でもジョーは「自分のセクシャリティを排除するためだったら今までの自分の強みを総動員する」と言ってたので矛盾は無いです。