世にも怪奇な物語
色々とひどい目に遭う話
制作年 | 1967年 |
制作国 | フランス/イタリア |
原作 | エドガー・アラン・ポー |
上映時間 | 121分 |
出演 |
ジェーン・フォンダ |
ピーター・フォンダ |
アラン・ドロン |
だいたいのあらすじ
黒馬の哭く館
監督 | ロジェ・ヴァディム |
脚本 | ロジェ・ヴァディム/パスカル・カズン/クレメント・ビドル・ウッド |
富豪伯爵令嬢であるコンテッサ・フレデリック(ジェーン・フォンダ)は莫大な遺産を相続し、女王のように振る舞っていました。
側近・ユーグ(セルジュ・マルカン)はそんな彼女に奴隷のように扱われていたのですが、それがご褒美だったようで密に彼女に想いを寄せているようでした。
或る日、一味をぞろぞろと従えて馬で遠乗りをしたコンテッサは断崖で吹曝しになっている絞首刑受刑者の死体をバックに「私はここが大好き」等とのたまっていました。
コンテッサはチーターの子供飼ってるんですけど、めちゃ可愛いです。
それはそうとしてかなりの悪役なのですが、コンテッサ可愛いです。
そしてコンテッサは野原でウィリアム・テルごっこを始めたのですが、それは若い家臣を首吊り状態にし、ロープをコンテッサが射るという危険極まりない遊びでした。
このように彼女は使用人を人間扱いしておらず、仕えるのは非常に大変でした。
更にセフレの彼女を巻き込んで無理矢理3Pさせたり、屋敷に招いた連中と乱交パーティーしたりと退廃的なことをしていました。
しかしコンテッサの富と権力を恐れている周囲の者は誰も彼女に意見はしませんでした。
伯爵家にはベルシフィリングという貧しい分家があるのですが、ウィルヘルム男爵(ピーター・フォンダ)はフレデリック家と反目しており、しばしば公然とコンテッサの振る舞いを批判したそうです。
コンテッサはウィルヘルムの貧しい暮らしを取り巻きと嘲笑うのですが、彼は全く興味を示しませんでした。
そんなある日、コンテッサは森の中でトラばさみを踏んで動けなくなっている所をウィルヘルムに助けられ、彼のことを意識するようになります。
そしてコンテッサは放蕩生活にも上の空になり、ウィルヘルムの姿を求めて頻繁に森を訪ねるようになります。
コンテッサは廃城塞に佇むウィルヘルムを発見し、「今度乱交パーティー家に来ない?」的な勧誘を行ったのですが、無口なウィルヘルムは「お門違い」とキッパリと断って立ち去りました。
プライドを傷つけられたコンテッサは可愛さ余って憎さが百倍とばかりにユーグにベルシフィリング家に復讐をするよう命じ、ユーグはベルシフィリング家の馬小屋に放火しました。
そしてウィルヘルムは愛馬を逃がそうとして馬小屋に飛び込んだのですが、彼は出て来ずに馬小屋は焼け落ちました。
ウィルヘルムの死を聞いたコンテッサは放心してしまったのですが、同時にフレデリック家には黒い謎の暴れ馬が現れました。
その馬は誰の言うことも聞かずに暴れまくっていたのですが、なぜかコンテッサが近づくと大人しくなるのでした。
美人パワーかな?
同時にフレデリック家の壁に書かれている馬の絵画が燃えたので、コンテッサはユーグに修復を命じました。
ウィルヘルムを失ったショックは癒えず、コンテッサはこの黒い暴れ馬に蔵を付けて愛馬にすることにしました。
来る日も来る日もコンテッサは黒い暴れ馬に身を委ねるように跨り、一人で外出するようになります。
そして壁の絵画は実はタペストリーであり、老職工の手で丁寧に織られて修復されつつあったのですが、なぜかコンテッサはこの馬の絵が元通りになったら自分は死ぬと考えるようになりました。
そしてタペストリーの馬部分が完成したのですが、なぜか馬の目は真っ赤だったので理由を尋ねると職工は「これは炎を見ているからだ」と答えました。
或る日、森に雷が落ちて大規模な山火事が発生したのですが、コンテッサはその炎に吸い寄せられるように暴れ馬に跨り、炎の中に飛び込んで命を落としたそうです。
どうやら黒い暴れ馬はウィルヘルムの生まれ変わりだったようで、コンテッサは呪いを受けてしまったようです。
影を殺した男
監督 | ルイ・マル |
脚本 | ルイ・マル/クレメント・ビドル・ウッド |
額と頬に傷があるウィリアム・ウィルソン(アラン・ドロン)が教会に駆け込み、強引に神父に頼み込み「自分は人を殺した」と懺悔しました。
そして彼はその理由について語り始めます。
寄宿学校に入れられていたウィリアムは悪事の限りを尽くしており、同級生をネズミが入った桶にブラされたりしていました。
或る日のこと、寄宿学校にウィリアム・ウィルソンという同姓同名の子供が転校してきました。
ウィリアムはウィリアム2号をライバル視するようになり、とうとうウィリアムは2号を絞殺しようとしてしまい、揃って放校されました。
数年後、ウィリアムは医学校に入学したのですが、地元の女性に暴行まがいのことをしたりと相変わらず悪事ばかり働いていました。
ウィリアムは女性を全裸で教壇に縛り付け、他の学生が見ている前で解剖ごっこをして彼女を晒し者にします。
そこにウィリアムと瓜二つのウィリアム2号(アラン・ドロン)が現れて彼女を解放しました。
ウィリアムは2号ともめ、誤って女性を刺してしまいました。
その後、ウィリアムは軍隊に入って、この町に駐屯することになり、相変わらず悪事ばかり働いていました。
ある日、ウィリアムは賭場でジェセピーナ(ブリジット・バルドー)から挑発されトランプで勝負することになりました。
朝まで白熱した勝負だったのですが、ウィリアムの勝ちとなり、彼はジェセピーナを皆の前で上半身裸にし、背中を鞭打ちました。
更に皆で彼女を輪姦しようとしていたのですが、ウィリアム2号が現れて彼のイカサマを暴いて立ち去りました。
現場にいた上官によりウィリアムは除隊となり、もう好き勝手はできなくなりました。
逆上したウィリアムはウィリアム2号を追いかけ、サーベルを抜いて斬りかかるのですが、あっさり敗れます。
そしてウィリアムはとうとうナイフを抜き、隙を見て2号の腹部を刺しました。
ウィリアム2号は「私が死んだらお前も死ぬ」的なことを告げて息絶えました。
そして現在に至るということで、懺悔を聞いた神父は「それお前の幻覚。もう酒呑むな」的に諭しました。
ウィリアムは「私の告解を信じないとは馬鹿め!」と吐き捨てて立ち去り、そのまま時計台から身を投げました。
彼はもちろん死亡したのですが、不思議なことに彼の腹部にはナイフが突き刺さっていました。
ウィリアム2号はウィリアムの良心だったような気がします。
結末は怪奇小説風だと感じました。
悪魔の首飾り
監督 | フェデリコ・フェリーニ |
脚本 | フェデリコ・フェリーニ/ベルナルディーノ・ザッポーニ |
イギリス人俳優のトビー・ダミット(テレンス・スタンプ)はアル中で落ち目なのですが、突然イタリアから映画出演のオファーがあり、急遽イタリアに向かいました。
空港では制作者である神父と兄弟監督がダミットと迎えに来ており、移動中の車の中で「キリストが登場する西部劇である」と作品説明を受けました。
この空港での映像が巻き戻ったりしており、夢か現実なのか区別が付き辛い状態です。
車の窓から見える夕陽の映像は黒沢清監督の演出っぽい感じで印象的です。私が観た映画だと道の監督ですね。
今作は映像の情報量が兎に角多くてカオスです。
出演の報酬はフェラーリだそうで、それは今夜受け取れるということで、移動中の車の窓から突然ジプシー風の女性が現れてダミットの手相を見てくれたのですが、なぜか見たくないと言われてしまいました。
何しに来たんでしょう。というかこの人どうやってついてきてるんでしょう。
また、ダミットはアル中の影響なのか白いボールを投げてくる白い少女の幻覚をしばしば見ており、それを鎮めるためにお酒を呑むので悪循環に陥っています。
更に彼はヤク中でもあるようで、LSD等のドラッグを常用しているそうです。
その後、ダミットはTV番組に出演し、映画出演の動機はフェラーリ、一番軽蔑している対象は自分のファン等とインタビューに答えます。
他にも母親はやっぱりアル中で彼を撃退していた件、批評されるのが大嫌いな件、髪は信じないけど悪魔は信じる件等を続けて答えました。
尚、ダミットはあの白い服の少女を悪魔的な存在であると考えているようでした。
その間もダミットはお酒を呑み続け、その後もどっかのバーで呑んでいたと思ったらそこはイタリアのオスカー受賞式の会場だったりと訳の分からない展開になります。
ダミットはもうベロベロなのですが、まだ呑み続けようとし、色んな人が彼に挨拶に来てステージ上ではファッションショーが始まったりします。
やがて授賞式が始まったのですが、ダミットが呼ばれることは無く、彼は待機用のテーブルに一人で座って式を眺めていました。
そういう訳でダミットが頭を抱えて嘆いていると悪魔っぽい黒衣の女性が近づいてきて「私はあなたの味方」的に励まします。
直後に、檀上に呼び出されて受賞するダミットでしたが「偉大な俳優」という紹介に「私は偉大じゃない」と1年前に酔っているのを理由に契約解除されてから仕事をしていないと語りました。
そして錯乱して会場を飛び出したダミットの前にはフェラーリが駐車してあり、キーを受け取った彼は夜の通りを爆走します。
ひとしきり暴走した後にローマに引き揚げようとしたのですが、行き止まりばかりで戻れずにいました。
とうとう通行止めのバリケードをぶち破って進んだのですが、その先は工事現場で止むを得ずダミットは車を停めます。
そこにあった橋は工事中で付近住民は迂回するよう指示したのですが、橋の向こうに白い少女を確認したダミットはアクセルを踏み込んで橋からダイブしようとします。
そしてダミットは張ってあったロープで頭部を切断してしまい、白い少女はボールの代わりにその頭部を拾い上げるのでした。
幻想的な感じです。
ダミットがハマり過ぎなのですが、この話はどこまでが現実なのか謎です。
感想
これはなかなか面白いです。
連作オムニバスなのですが、ハズレがないです。
お話は幻想的というかぼんやり終わるのが多いのですが、なんとなく楽しめました。
三本目が一番面白かったような気がしました。