時間の切れ目からヤツがやってきます ランゴリアーズ

ランゴリアーズ

目覚めたら、そこは世界の果て…

制作年 1995年
制作国 アメリカ
監督 トム・ホランド
脚本 トム・ホランド
原作 スティーヴン・キング
上映時間 180分
出演
デヴィッド・モース
マーク・リンゼイ・チャップマン
パトリシア・ウェティグ

だいたいのあらすじ

ロスからボストンへ向かうアメリカン・プライド29便の航空機に怪しげな仕事をしているニック(マーク・リンゼイ・チャップマン)が乗り込む際にロビーでローレル(パトリシア・ウェティグ)にぶつかって詫びを入れます。
この便には盲目の少女ダイナ(ケイト・メイバリー)やビジネスマンのクレイグ(ブロンソン・ピンチョット)等も乗り込みます。
またパイロットのブライアン(デヴィッド・モース)も離婚した妻が焼死したということで急遽この便に乗ることになります。
彼はネバダ砂漠でナゾのオーロラが発生しているという話を管制官から聞きます。

29便は離陸し、不思議なことに寝ていた10名を除いた他の乗客が飛行中に消え失せるという事件が起き、ダイナが最初にそれに気付きます。
鬘、衣類、入れ歯等の装飾品も含めて荷物は残されているのですが、姿が忽然と消えています。
クレイグはボストンの会議に遅れるだろ!責任取れ!とブースカギャースカ言っていましたが、ニックにシメられて大人しくなります。
乗務員も消え失せており、ブライアンは無線で連絡を取りますが通じず、窓から外を見ても何も見えません。
ブライアンは皆に状況をわかりやすく説明しました。

ブライアンとニックをコックピットに残して客室に戻った皆はひとまず自己紹介します。
ミステリー作家のボブ(ディーン・ストックウェル)、ローレルは教師で、ダイナは目の手術を受けに行くということです。
音楽学校生のアルバート、ベサニーは叔母の家に遊びに行く途中、塗装の仕事をしており孫の顔を見にいくドンが自己紹介しました。
後はビジネスマンのグレッグとファーストクラスで寝ているおじさんの全10名です。
その後、ファーストクラスで寝ていたおじさんも目を覚まして皆と合流します。

ブライアンはメイン州のバンゴアに着陸すると放送し、グレッグはギャースカ騒ぎますが他の皆が黙らせます。
グレッグは精神を病んでいるようで、皆の顔がゾンビのように溶けて見えたりします。
ダイナは心を読む能力があるようで、グレッグが周りの人を怪物だと思っていることを見抜き、ローレルに伝えますが信じてもらえませんでした。
グレッグはその後、様子がおかしくなり、ずっと自席で紙をビリビリと破いています。

夜が明け、客室のローレル達は身の上話を始めます。
ローレルは実は文通相手の男性に会いに行く途中だったと話し、ベサニーはヤク中だったのでリハビリに向かっているということです。
いよいよブライアンは降下することにし、乗客に知らせます。
ベサニーが怖いと怯えたので、アルバートはここぞとばかりに彼女に近付き「大丈夫だ、問題ない」と励まします。
雲の中は乱気流が多く機体が激しく揺れましたが、雲を抜けると海が見え、やがて陸地や民家も見えてきます。
ニックはなぜずっとコクピットにいるのでしょうか?ワーワー騒いでるだけで邪魔な気がしますが。

バンゴアには無事着陸しましたが、空港内はなぜか無人のようです。
ひとまず皆は空港に降りてみることにしますが、ダイナはここの匂いは良くない!と言います。
盲人のダイナは音や匂いには人一倍敏感なのですが、ここには音も匂いも存在しませんでした。
クレイグはブライアンとアメリカン・プライド社を訴えると息巻きますが、ブライアンがどうぞご自由にというと放心します。
クレイグは子供の頃から父に厳しくしつけられており、Bを取ると「ランゴリアーズ」という怪物に喰われると植え付けられていました。
彼は何度かブライアンに話し掛けられ、怠け者はランゴリアーズに食われるんだと答えます。

皆はひとまず空港ビルに入りますが、中には人っ子一人おらず、電話やPCは使用不能でした。
時計も止まっており、どうやら電化製品は全て停止しているようです。
ファーストクラスで寝ていたおじさん・ルディは食いしん坊のようで、いつもご飯ご飯と言っています。
今回は皆も彼に賛同し食べるものを捜すことにします。

クレイグは単独行動していたのですが、父親の幻影を見て会議をさぼるような奴はランゴリアーズに食われると脅されます。
彼は子供の頃からずっと我慢の連続だったようで、仕事なんか止めてやる!と爆発します。
父親はランゴリアーズが来る!と言いそんなのはいない!と否定するクレイグに絶対いる、奴らは来る!と断言します。
クレイグは皆が自分を捜している声に我に返り、警備室に隠れました。
彼は拳銃を見付けて自殺しようとするのですが、再び現実逃避して紙を破り始めます。
その後、拳銃を手に警備室を出たクレイグはボストンに行くことを決めたと一人ごち、狂気の笑みを浮かべます。

ブライアン達は2階に上りますが、ダイナは窓の外を指さし、あっちからコーンフレークにミルクをかけた時の音みたいなのが聞こえると言います。
何か良くないものであるようで、こっちに来るから早く逃げた方がいいとダイナは大騒ぎします。
皆はひとまず食堂で何か食べることにしますが、ビールもサンドイッチも味が無く砂を噛むようで、ここのマッチは使えません。
ボブは仮説があるようで、周りを見て気付いたことは無いですか?となぞなぞを始めます。
私は個人的にボブみたいな人は凄く苦手です。上から目線だと思います。
アルバートがそういえばここには人の荷物がない!と気付きます。

そこにクレイグが乱入してきて銃をベサニーに突き付けてボストンへ飛べと脅します。
アルバートは俺のベサニーがヤバいと止めに入り撃たれてしまいますが弾は床に落ちており無事でした。
ニックは悪さをしないようにクレイグを縛り上げます。
ボブは自分の仮説を話し始め、まずこの事象は世界に起きているのではなく、ここにいる10人に起きていると言います。
10人は時間の裂け目に落ちてしまい、15分ほど前の過去に閉じ込められており、この世界は消滅すると考えているようです。
10人に起きているいるということは何となく賛成です。

ダイナの言っていた音は大きくなり、とうとう皆の耳にもザワザワという音が聞こえるようになります。
燃料を補充して航路を引き返せば時間の裂け目から戻れるのではないかと考えますが、良く考えるとここにある燃料は使用できないので結局移動できないのでした。
ここまでが前半パートです。

ダイナはクレイグがランゴリアーズと呟いていたのを聞いていたので、ランゴリアーズって何?と質問します。
クレイグはランゴリアーズは毛むくじゃらで口と足だけの化け物で暗闇などに住んでおり、相手を食べるそうです。
また足が速く逃げ切ることは不可能だということで、クレイグは父親から聞いたことも自分は父親を恐れていたことも正直に話します。

アルバートは飛行機の中では自分達の時間が残っているのではないかと考え、ニック、ボブ、ブライアンと共に機内に戻ります。
空港にあった燃えなかったマッチはここでは燃え、ビールも元に戻りました。
これは戻れるかもしれない!と四人は喜びます。

クレイグはロープを解いて脱走し、隠れていた所を見つかったのでダイナの胸をナイフで刺して逃走します。
ニックはダイナの胸で折れてしまった刃を抜いて応急処置を施します。

アルバートとドンは担架を捜しに行き、警備室で担架を発見しますが、隠れていたクレイグにドンが刺されます。
クレイグはアルバートにも襲い掛かりますが、トースターで殴られて失神します。
ドンは残念ながら死亡しており、皆はクレイグは放置して飛行機にダイナを運びます。

ブライアン達は離陸準備を始め、出発までは後15分ほどかかりそうです。
例のザワザワ音は大きくなり、唸り声のようなものも聞こえてくるようになり、空港付近の送電線の鉄塔が消え始めます。

ダイナは意識の中でクレイグに呼びかけ、クレイグはフラフラと立ち上がります。
クレイグは旅客機前方に向かって誘導され、燃料補給が完了したブライアン達は翼からホースを外します。
彼女はクレイグに旅客機前方で会議が行われいるような暗示を与えて幻を見せます。
クレイグは幻の会議でわざと損益が出る投資を行って大金をスッた!ざまあ見ろ!と叫びます。
またキングさん出てます。本当に出たがりですね、この人。
それはそうとダイナは要するにクレイグを囮にしたってことですよね。

倒れた鉄塔の方からは鮫のような牙を持つボールのようなものが群を成して現れ、転がりながら空間を食べています。
あれがランゴリアーズのようで、鋭い歯でトラックや地面を削り取るように食べています。
とうとうクレイグは食われてしまい、空港ビルも凄い勢いで食べられています。
ランゴリアーズというのは時間の守護者のようでこうやって過去の時間の間に迷い込んだものを綺麗に消して整合性を保っているようです。

空港ビルを平らげたランゴリアーズは凄い数で旅客機に向かって飛んできました。
ブライアンは必死で離陸しようとしますが、ランゴリアーズの速度は旅客機の滑走速度を上回っているようです。

感想

これは普通ですが長いので結果的につまらないです。
TVで前後編で放送されたものなので全体だとちょっと長いです。
前半は推理パートと人物描写がメインなのでちょっと退屈な感じです。(不要だとは思いませんが)
後半になるとちょっと面白くなってきますがランゴリアーズは殆ど出ません。
そしてラスト付近までまた人間ドラマっぽくなります。
やっぱり3時間引っ張るドッグヴィルって凄い映画だったみたいだと再認識します。

話をどういう路線に持ち込みたかったのか良くわかりません。
SFなのかオカルトなのか超能力ものなのか中途半端な印象で、テーマも何を伝えたいのか良く分かりませんでした。
最初は漂流教室のデカいフナムシみたいな展開なのかなあと思ってましたが違いました。
私にはクレイグが恐れていたランゴリアーズと実在した怪物を紐づけて彼を犠牲にした話にしか取れないんです。
多分、違うのではないかと思いますが。

演出はTVシリーズなのでそれなりという感じですが、少しスリリングな展開があり、そこは良かったです。
旅客機の燃料補給シーンがあったりして、教育テレビでこんなの見たなあと懐かしく感じたりします。
ランゴリアーズのCGはしょぼいのですが、これは仕方ないと思います。
ランゴリアーズというのは正式名称では無く、クレイグの父が使っていた名前です。

登場人物に魅力が感じられないのがちょっと残念です。
まともな人はブライアンだけのような気がします。
ニックがイマイチで自分では女王陛下の掃除役とか言ってますが、この人器小さいしリーダー向きじゃないと思います。
ボブもなんだかクイズ王みたいで最初から言えよ!と思いますし嫌味な感じです。
ニックとローレルはいい雰囲気になるのですが、ローレルの神経を疑います。
恐らく彼女は自分の殻を破りたいとか言ってたせいだと思ってますが、アルバート&ベサニーもイチャコラする必要あったのでしょうか?
私はこの話に恋愛要素は不要だと思ってますので、白けるだけでした。

ダイナもチートな感じだし、ルディは空気だし、ドンは殺されただけだし、ベサニーは力仕事要員だし、こんなに登場人物いらないと思います。

印象に残っているシーンが離着陸だけでした。

私はこの映画は普通です。

ラストまで(ネタバレ)

ブライアンは何とか離陸に成功します。
このシーンはなかなかスリリングで唯一良いシーンでした。

ニックはまたコックピットに入り浸りますが、ブライアンに自分はイギリス諜報部の特殊工作員だと語ります。
更に俺はボストンでは大物の愛人を暗殺する予定だったんだぜ!と自慢します。
絶対嘘だと思います。こういう誇大妄想の人たまにいますよね。

その後、ダイナは死亡してしまいました。
そろそろ時間の歪付近だということで、ブライアンは周囲に気を配りながら操縦します。

ボブはしきりに首をひねり何かが間違っていると考え込んでおり、寝ているルディを見て何かに気付いたようです。
ブライアンは前方に巨大なオーロラを見付けて客室に「出口を見付けた!」と知らせます。
ボブはコックピットに飛び込み、オーロラに飛び込むな!と止め、ブライアンはギリギリでオーロラを回避します。
ボブ曰く前回は皆寝ていて、今回は起きているのでこの世界でも自分達は消滅してしまうだろうということです。
でも起きてた人達って普通に暮らしてるんですよね?だったら消滅したら戻りそうな気がするのですが。

ブライアンが機内の気圧を一気に下げて一斉に気絶することにしてオーロラに飛び込むことにします。
しかしそれには一人起きていて気圧スイッチを元に戻し、ブライアンを目覚めさせる犠牲者が必要でニックが名乗り出ます。
ニックは最後にローレルに伝言を頼みます。

上手いこと全員が気絶した状態で亀裂に突入し、ニックは消滅します。
ブライアンは目覚めて機を立て直しますが燃料切れになり、何とかロスへと不時着しました。
このシーンもなかなかスリリングです。この映画は航空パニックだったのでしょうか?

皆は空港に降り立ちますが、ロスにも人影は全く無く途方に暮れます。
ローレルが嫌な女化してブーブー言っててウザいです。後4、5分の辛抱です。
しかしこの空港には音も匂いもしているようで、食べ物も味がします。
ボブはもうすぐ大きな波が来るから移動しようと言い、皆はそれに従って壁にぺったり貼り付きます。
どうやらここは未来のようで、何だか光のようなものに包まれます。
ローレルは凄く喜んでます。さっきの態度はなんだったんでしょう。

ブライアン達は人が沢山いる空港の壁にバーンと出現します。
どうやら戻れたようで、皆は大喜びしました。
ローレルは「私達、新しい人だわ」と喜んでますが、おばさんだと思います。

皆はひとまず外に向かって走り出すのでした。

皆さん嬉しそうに走ったりジャンプしたりしてますが、色んなこと投げっぱなしなのでスッキリしませんでした。

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