皆白目になります ビヨンド

ビヨンド

地獄を見るとひどい目に遭う話

制作年 1981年
制作国 イタリア
監督 ルチオ・フルチ
脚本 ルチオ・フルチ/ダルダノ・サケッティ/ジョルジオ・マリウッツォ
上映時間 87分
出演
カトリオーナ・マッコール
デヴィッド・ウォーベック
アントニー・セイント=ジョン

だいたいのあらすじ

1927年 ルイジアナ州
魔術書「エイボンの書」を所有した画家シュワイク(アントニー・セイント=ジョン)はセブン・ドアーズ・ホテルに滞在して絵を描いてました。
ある晩、村人達がわらわらと集まって来てシュワイクを鎖で殴りつけて壮絶なリンチを始めます。
彼は肉が削げ落ちるほど鎖で殴られ、生きたまま壁に釘で磔にされ、硫酸を浴びせられます。
いきなり怖いです。そして音楽もいいです。

1981年 ルイジアナ州
ライザ(カトリオーナ・マッコール)は遺産相続でこのセブン・ドアーズ・ホテルを相続するのですが、貧乏な彼女は外装を直して営業を再開しようと目論みます。
周囲は内装がボロ過ぎると反対するのですが、ライザは聞く耳持ちませんでした。
その日、ホテル壁の塗装をしていたラリーは室内に白目の女性を見てビックリして足場から転落します。
彼は重症を負い、医師のマッケイブ(デヴィッド・ウォーベック)に搬送されます。
このホテル水も出ないんですが、大丈夫でしょうか?

ホテルには不気味な絵があったり、シュワイクが滞在していた部屋から呼び出しベルが鳴ったりと嫌な感じです。

次の日、水道修理のためジョーがホテルに現れますが、地下は水が溜まっており、不気味な様子です。
手伝いをしてくれるマーサ(ヴェロニカ・ラザール)が通り道を作ってくれたというので、ジョーは独りで修理に掛かります。
ジョーは水漏れしている部屋らしき物を発見して壁を壊すのですが、そこはシュワイクが塗りこめられた部屋でした。
彼はそこで何者かにアイアンクローされて目玉を抉りだされて死亡します。

ライザは町に買い出しに出るのですが、道の真ん中に白目で盲導犬のシェパードを連れたナゾの女性が立ちはだかります。
このシーンは凄いですよね。何も無いだだっ広い道路に佇むナゾの白目美女。
エミリーは冒頭のシュワイクリンチシーンでエイボンの書を読んでいた女性にそっくりです。
彼女はエミリー(サラ・ケラー)と名乗り、ライザを捜していたとのことです。
エミリーはなぜかライザを自宅へと案内し、悪いことは言わないからホテルを手放して出て行った方がいいと忠告します。
ピアノ曲が流れるのですが、エミリーが弾いているという設定のようです。なかなか良い曲です。

その頃、マーサは変わり果てた姿で内臓を口から吐くジョーと古い遺体を発見していました。
その後、その古い遺体は医師の下へ運ばれるのですが、誰も見ていない所で脈打ち始めています。

ジョーの妻はなぜか勝手に遺体安置所に入り、夫の遺体に服を着せてやったりしていました。
彼女は何かを見て驚き、倒れて硫酸を頭から浴びて死亡し、叫び声を聞いて入ってきた娘のジルも冷蔵庫にいたゾンビに襲われます。
ここジョーの妻が驚いた理由と硫酸の下にわざわざ倒れるのが全く意味不明なのですが、やりたかっただけだと思います。

ライザは帰り道にマッケイブにナンパされて食事を共にします。
彼女は貧乏だという身の上話をし、使用人のアーサーとマーサはホテルとセットだったけど、邪魔ばかりすると愚痴ります。
ライザはマッケイブと親しくなりますが、そこに病院の惨劇を伝える電話が入りました。
その後、ジョーと妻の葬儀が行われ、ジルは無事だったのか出席していましたが、白目になっていました。

その夜、エミリーはホテルに訪ねて来て、早くここから出ていけと督促します。
彼女曰く60年前にこのホテルで大量失踪事件が起きたそうで、シュワイクは地獄の門を開ける鍵を持っていたと言うのです。
36号室からのベルはシュワイクが戻ってきたからで、部屋を開けてはダメだと付け加えます。
ライザにはそんな話は到底信じられず、ホテルを手放すつもりは無いときっぱり断りますが、エミリーはなぜか手から出血して逃げ帰りました。
エミリーはまるで目が見えているようです。

頭に来たライザは36号室に入り、そこで「エイボンの書」を見つけます。
そして壁に釘付けにされたシュワイクの姿を見てしまい、悲鳴を上げてホテルから飛び出そうとするとマッケイブが現れます。
マッケイブが調べますが、遺体は無く、夢でも見たんじゃないの?という流れになります。
しかしエイボンの書は消えており、マッケイブが言うにはこの辺りにエミリー等という盲目の女性は住んでいないそうです。

ライザは古本屋でエイボンの書を見付けるのですが、手に取ると違う本に変わっていました。
古本屋でフルチさんが主人の役をやってます。イヒヒヒヒヒと嫌らしい演技です。

ライザの経営の助言をしていた男性は図書館で梯子に上って昔のホテルの建築計画の書類を閲覧しようとしていました。
彼は書類を見付けて開いてみますが、何かに気付いて驚きます。
直後、雷が鳴り、彼は梯子から落下して動けなくなり、どこからともなく現れた大蜘蛛に全身を食われて死亡します。
ホテルの図面はなぜか綺麗に消えてしまいました。
これ意味あるのでしょうか?単に人が蜘蛛に食われるシーンが撮りたかっただけのような気が。

マッケイブはホテルの隣にあるといいうエミリーの家を訪ねてみました。
そこはどう見ても廃屋で、ドアも釘付けされていましたが、無理矢理侵入し、中でエイボンの書を見付けたので読んでみます。
「7つの呪いの地に地獄への門が隠されている。」と書かれていました。

マーサは36号室に立ち入り、浴室のバズタブに真っ黒い水が張ってあったので、汚いわねえと水を抜きます。
すると中からゾンビが現れてアイアンクローされた挙句、壁の釘に頭を打ちつけられ、目玉が飛び出して死亡します。

マッケイブは本を見ていて気になることがあったので、病院に戻り、古い遺体を確認します。
古い遺体の腕には本に書かれていたのと同じ呪術風の入れ墨があるのでした。

感想

これは面白いです。
相変わらずの雰囲気と演出は怖くて流石です。
お話は相変わらず意味不明ですが、ホラーとしては良作だと思います。
地獄の門よりはまとまっている印象です。

意味ありげなシーンが意味なかったり、意味不明なシーンがあったりと相変わらずです。
これいらないよね?ってシーンが多いのは流石のフルチ先生だと思いました。

音楽はなかなか良いです。
なんだか壮大な雰囲気ですが、やっぱり安いと思います。

ライザは相変わらずフルチ作品に出ずっぱりですが、エミリーに食われてます。
この映画はエミリーのインパクトが凄いと思います。

登場人物の行動や展開にはナゾが多いのですが、やはり演出は流石です。
この独特の雰囲気はちょっと他の監督には出せないと思います。
ラスト付近は結構、盛り上がります。

グロは多いですが、やはり作りが安いのでリアルではないです。
しかしこの人は目玉を破壊するのすきですよね。
特別な思い入れがあるのでしょうか?

ゾンビは正統派ゾンビ系で頭を撃つと倒れます。
フルチさんにしては綺麗なゾンビで、アイアンクローが得意技みたいです。
でもやっぱり一部、汚いゾンビもいました。
とは言っても正統派のゾンビ映画では無いと思っています。

色んなことを投げっぱなしなのですが、キリが無いのであまり気にしないことにしました。
好みが分かれる所だと思っていて、こういうのが許せない人は多いと思います。
これは見どころが結構あるので、暇つぶしに見るのにはいいのではないでしょうか?
ただ、何のナゾも解明されないのでご注意ください。勢いだけで撮ってる映画だと思います。

私はこの映画は好きです。何度見ても飽きない映画だと思います。

ラストまで(ネタバレ)

エミリーはシュワイク一味のゾンビに囲まれてしまいます。
どうやら彼女は地獄からやって来て門を開ける役をしたようで、一味が連れ戻しに来たようです。
エミリーは盲導犬をけしかけてゾンビを追い払いますが、なぜか自分も犬に喉笛を食いちぎられ、耳を齧られて死亡します。
というか元々死んでたみたいです。やっぱり冒頭の女性がエミリーだったようです。

ライザは地下でゾンビ化したアーサーに襲われるのですが、何とか逃げ出します。
そこにマッケイブが現れ、彼女を助けますが、エイボンの書によるとここが地獄の入り口だそうです。
地下に降りた二人を雷が襲い、水溜りがざわざわと波打ちます。
二人はこりゃたまらんとホテルを飛び出て車で逃走し、ホテルにはゾンビが溢れます。
盛り上がってきました。

二人は病院に向かいますが、道に人気が無く、病院に着いても人気がありませんでした。
電話は通じず、ゾンビが現れて襲われ、ライザはエレベーターに乗りますが、マッケイブは間に合わず別れて行動することになります。
ライザの乗ったエレベーターは遺体安置所に通じており、そこにはなぜかジルがいました。

マッケイブはハリスと再会しますが、ガラスのドアを撃ち抜いた際、ハリスは顔面にガラスが刺さって死亡します。
ここ意味分かりませんでした。
マッケイブはゾンビを撃退しながら何とか脱出し、エレベーターで戻ってきたライザ達と合流します。
マッケイブは頭を撃つとゾンビを倒せるということが分かったのに腹を撃っててもどかしいです。

三人は脱出を図りますが、周囲はゾンビに囲まれていました。
遺体安置所を通り、道中でジルに襲われたりしますが、撃退しつつ進みます。
ジルは拳銃で撃たれただけなのに頭が吹き飛んでます。

二人は地下へと逃げるのですが、そこはホテルの地下でした。
奥に進むとそこは地獄で囁くように二人を呼ぶ声が聞こえ、やがて二人は白目になってしまいました。

エンドロールで終了です。

地獄の住人になってしまったということでしょうか?
それにしても荒涼としたラストの地獄の風景はなかなかいい感じでこれも見ただけでも良かった気分になれます。

久し振りに予告編見てみたのですが、ほとんどネタバレしてますね。
まあこの映画はネタバレしても意味不明なのでどうでもいいのかもしれません。

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