三国競作です 美しい夜、残酷な朝

美しい夜、残酷な朝

愛されたかった。

制作年 2004年
制作国 日本/香港/韓国
上映時間 126分

収録作品

これはオムニバス合作映画になっており、3篇収録されています。

Cut

制作年 2004年
制作国 韓国
監督 パク・チャヌク
脚本 パク・チャヌク
上映時間 46分
出演
イ・ビョンホン
カン・ヘジョン

映画監督(イ・ビョンホン)は現在、吸血鬼物の映画を撮影中で多忙を極めていました。
その日も夜遅く自宅に帰宅します。

監督が家に入ると見知らぬ男性が家に侵入しており、襲われて気絶してしまいます。
彼が息を吹き返すと妻のミラン(カン・ヘジョン)がピアノに演奏する姿勢で座らされています。
ミランの指はピアノ線で吊られており、侵入者の男に親指を瞬間接着剤で固定されています。
監督は両手を縛られており、お金ならありますから、命は助けてくださいと侵入者に訴えます。
ここはどうやら映画のセットの中でどうやら妻と共に拉致されたようです。

男はその様子を見て、かつて撮影中にチンピラを怒鳴りつけた気概はどこに行ったのだと説教を始めます。
彼は監督のことに詳しいようですが、監督は男が誰なのか分かりませんでした。
男は監督に自分のことを思い出させようと色々なコスプレをしますが、監督にはサッパリ思い出せません。
その様子を見てイラついた男はミランの片手の指の一部を斧で切断してしまいました。
なんか完全にギャグなのですが笑えないです。この監督ギャグはスベるんですよね。

監督は怒り狂って男に飛び掛かろうとしましたが、腰をゴム紐のような物で固定されているので無理でした。
男は監督をおちょくるようなことばかり言い、監督はミランに声を掛けて励まします。
監督はようやく男のことを思い出します。彼は監督の映画に出ていたエキストラでした。
男は監督が金持ちで人間が出来ていることにイラつき、今回の犯行に至ったようです。
逆恨みも甚だしいと思います。

なんだか話はヘンな方向に進み、男は監督に今まで悪いことしたこと無いだろ!と絡みます。
監督は過去の悪事のことを思い出そうとしますが、思い出せず「善良ですみません」と男に謝ります。
男は見知らぬ若い少女を拉致してきており、その少女を殺害できたら妻を自由にしてやると持ち掛けます。
殺害できなければ5分毎にミランの指は一本ずつ切り落とされてしまいます。
監督が躊躇していると男はまた斧でミランの指を切り落としました。
無駄なシーンが多いと思います。

監督は何とか悪事を告白しようとライバル監督に嫉妬していると打ち明けます。
しかし男は「それがどうした!俺は今朝、妻を殺害した」と返答します。
監督はとうとう衣装係の女性と3年間不倫していると告白しました。
何とその後、監督はミランにいつも「服買え、整形させろ」と金金言われている不満をここぞとばかりにぶちまけました。
監督はとうとうミランに「お前の指など何の価値もない。くたばれ」と言い放ってしまいます。

男はミランも不倫していると監督に教えてくれます。
さらに俺を笑わせたら5分を10分に伸ばしてやると監督に持ち掛けます。
監督は男を罵ったもののズボンを下して腰を振って尻文字のような物を描き始めます。
つい緊張しておならが出てしまい、場の空気を凍り付かせます。
男は監督に失望し、ミランの指を切り落とそうとします。
ここの監督の弁解台詞は笑ってしまいました。

男はミランの指は切断せず、今までに切断した3本の指をジューサーにかけて粉砕してしまいました。
監督は仕方なく、少女を殺害しようとしますが、男はミランの猿ぐつわを外します。
ミランは早く少女を殺せと絶叫し、監督は呆気にとられます。
しかしまた男がミランの指を切断したので、とうとう監督は少女の首に手を掛けました。
そして力をこめてとうとう少女を殺害してしまいました。
しかし少女は実は少年でまだ存命していました。
それを確認すると男は今度はミランの手首を切り落とすと宣言し、カウントダウンを始めます。
この時点で少年の正体が早々にわかった気がします。

監督は慌てて少年を絞殺しようとしますが、間に合いそうにありません。
男は斧を手にミランに迫りますが、指輪に躓いて転んでしまい、ミランの横に倒れます。
ピアノ線が首に食い込んで苦しんでいる男の喉笛をミランが噛みついて食いちぎりました。
男は血の海に倒れ、ミランはゲーゲーと血を吐きます。
皮肉なことにその情景は監督が撮影している映画の1シーンにそっくりでした。

少年はやはり男の息子だったようで、復讐してやると呟きます。
監督は混乱しつつもミランの首を絞めて殺害するのでした。

男の遺体が消えているように見えたのですが、最初からいなかったということでしょうか?
でもそれだと辻褄が合わないような気がします。
私は監督は偽善者から脱せなかったのではないかと勝手に解釈しています。
男は自分で殺せなかったので監督に息子を殺害させて自分も死ぬ気だったのでは?

これはイマイチです。
ちょっと話に無理があり過ぎてついて行けませんでした。
なんだか小難しく作っているようで、話も良く分かりません。
役者の演技に救われているような気がします。

Box

制作年 2004年
制作国 日本
監督 三池崇史
脚本 福島はるこ
上映時間 40分
出演
長谷川京子
渡部篤郎

小説家の鏡子(長谷川京子)はたびたび雪景色の冬の平原で男が木箱を埋めている夢を見てうなされていました。

鏡子の担当編集者の吉井(渡部篤郎)は鏡子に指定された待ち合わせ場所で原稿を受け取った帰り、不気味な少女の姿を目撃します。
吉井が確認しようと近づくと少女の姿は消えていました。
少女は吉井と入れ替わりに鏡子の所へ向かったようでした。

鏡子は先ほど吉井から作品が好評な礼だと言われてプレゼントを受け取っていました。
中には金属の箱が入っており、それを見た彼女はなぜか長持ちを漁り、中から血の付いたダーツを取り出します。
そして吉井に貰った箱を開けてみると、それはオルゴールでした。
鏡子はオルゴールの曲に合わせてあの少女がハミングしているのに気付きます。
この作品は雰囲気はいいのですが、あらすじがサッパリ分からず理解に苦しみます。

鏡子は少女に駆け寄り「お姉ちゃん」と呼びかけ、少女は振り返ると青い宝石の付いたネックレスを握りしめて「熱い」と呟いて姿を消します。
鏡子は幼少期に双子の姉と共に見世物小屋の軽業師っぽいことをしていたようで、座長らしき男の顔は吉井に瓜二つです。
姉妹は箱の中に身体を丸めて閉じ籠るという芸を見せ、座長がダーツを箱に投げます。
すると箱は壊れますが、姉妹の姿は消えてバラの花が箱から沢山出てきました。
姉は鏡子より出来が良かったようで、その日も座長に褒められて青い宝石の付いたネックレスをプレゼントされます。
鏡子はそんな姉を少々妬ましく感じていたようです。

鏡子は長持ちの中から座長のと同じ仮面を取り出し、仮面を被ってダーツを持って街角に佇むという奇行を見せます。
雪の中、その姿を見咎めた吉井は鏡子に声を掛けます。
彼女は奇行の説明をするように「人を捜している」と吉井に呟きます。
吉井はいつも心を開かず、謎に包まれている鏡子に「あなたの力になりたい」と打ち明けるのでした。
鏡子はそれには答えず「良く似てる」と呟くと逃げるようにその場を去ります。
彼女はその帰りに炎に包まれるテントと姉の幻を見ます。
実は鏡子には過失で姉を殺害したという過去があったのでした。

いつも姉ばかり褒められているのを羨ましく思った鏡子は一晩だけ姉に成りすまそうと箱に入る練習をしていた姉を閉じ込めます。
しかし座長に現場を押さえられてしまい、打たれてしまいます。
姉を箱から出そうとしている座長に嫉妬パワーを爆発させた鏡子はダーツで座長をブスブス刺します。
座長は深手を負いながらも鏡子を落ち着かせようとしますが、怯えた彼女は後ずさった拍子に石油ストーブ倒してしまいます。
アッと言う魔に火は燃え広がり、テントと姉の箱は炎に包まれ、座長は箱に駆け寄ります。
鏡子は燃え上がるテントを背に宛ても無く雪原を走り去ります。
凄く寒そうです。子役も大変ですね。

幼少期の鏡子はいつの間にか現在の鏡子と入れ替わっており、鏡子は雪原を青いドレス1枚で走ります。
鏡子は雪原の大きな木を見てバッタリと倒れます。
何者かが幼少期の鏡子にそっくりな人形の身体を捻じ曲げ、ビニールに包むと現実の鏡子も苦しみながらビニールに包まれます。
鏡子はどうやらその後、箱詰めにされて何者かに埋められるようです。
そこで鏡子は目覚め、今まで見ていたのはいつもの夢でした。
目覚めた鏡子が周囲を見回すと花束と招待状が置いてありました。

鏡子は招待状を持ってバスに乗り、雪に埋もれながら見世物小屋のテントに辿り着きます。
テントの中には姉が入っていた箱がステージ上にポツンと置かれており、真っ黒に焦げて箱の南京錠は外れています。
鏡子は姉のことは好きであれは事故だった、自分はずっと姉を捜していたと弁解しながら箱に手を伸ばします。
箱は怒っているようにドンと揺れ、中からは微かに「助けて」という囁きが聞こえます。

鏡子は怯えながらも箱に手を伸ばし、思い切って箱を開けてみます。
しかし中に何かを見た鏡子は恐怖のあまり、腰を抜かして後ずさり、テントから逃げ出そうとします。
その時、テントの入り口に座長が現れ、ゆっくりと中に入って来ました。
座長は怯える鏡子を押し倒すと身体を撫でまわし始めます。
その後、箱を見ろ!と背後から鏡子を無理矢理押さえつけます。

箱がゆっくりと開き、隙間から焼けただれた顔の姉が片目だけでこちらを睨んでいます。
鏡子はその光景を力づくで見せつけられ、泣きながら謝罪することしかできません。
このシーンは無理やり目をこじ開けたりして凄いです。
姉は箱の中に戻って行きました。
座長は「君の分も買ってあった」と言い、鏡子の首に姉と同じネックレスを掛けます。

鏡子は座長を激しく求め、濃厚なキスをして二人はイチャコラ始めます。
座長は「君たちは二人で一人だから、どっちが欠けてもダメなんだー」と言うと鏡子にビニール袋を被せます。
そして鏡子を箱に詰めると埋めてしまいました。
と思ったらそれは夢で鏡子の隣には姉がいました。

うーん。最後で良く分からなくなりましたが、全ては鏡子の夢だったみたいです。
シャム双生児ネタだったのでしょうか。

これは普通です。この映画の作品はなんだか小難しく作ってありますね。
ちょっと見ていて疲れるのですが、これはなかなか怖いです。
雰囲気がとても良いので我慢して見ると内容は読み取れます。

三池監督は個人的に当たり外れが激しいと思っているのですが、これは割りといいと思います。
雪国でロケしてるみたいで全体的に雪景色なのもいい感じだと思います。
寒々として空気が張りつめており、それでいて景色は幻想的で美しい感じがします。

役者さんも良い感じで良かったです。
私は昔から吉井ファンですが、この人は誰を演じても同じ演技な気がします。
この人達は声小さいので音量上げると突然叫んだりするので困ります。

Dumplings

制作年 2004年
制作国 香港
監督 フルーツ・チャン
脚本 リリアン・リー
上映時間 37分
出演
ミリアム・ヨン
レオン・カーフェイ
バイ・リン

元女優のリー夫人(ミリアム・ヨン)は今では大金持ちリー(レオン・カーフェイ)と結婚していました。
しかし寄る年波には勝てず、美容に力を入れていました。
ある日、美容に効果があると言われている謎の餃子屋を訪ね、謎の女性メイ(バイ・リン)の作った餃子を食べます。
メイはおばあちゃんということなのですが、何だか色っぽい人ですね。
冒頭で今後の恐ろしい展開を匂わせるような調理シーンが入ってます。

メイは餃子を包みながら、リー夫人に色々と蘊蓄を披露します。
谷間サービスあります。
リー夫人はメイがサービスだと言って京劇風の振付けと共に歌い出した歌を聞きながら餃子を食べます。
なんと、リー夫人のお肌はなんだか少しピチピチになってきました。

リー夫人の夫のリーはしょっちゅう出張だと称して浮気ばかりしています。
そういう訳でリー夫人はお金に不自由はしないのですが、夫の愛に飢えていました。

メイは飛行機で中国に入国し、病院で何かを仕入れていました。
医師の一人が横流しをしているようです。

リー夫人はメイの元に足しげく通うようになり、ちっとも夫の浮気が治らないので、もっと強いのないか?と尋ねます。
メイは5,6ヶ月位が最高だと意味不明なことを言い、ちょっと素材を見てみるか?と誘います。
まな板の上にはゼリー状に切り刻まれた何かの肉が乗っていました。
いつものように餃子を食べたリーがコリコリするのは何なのか?とメイに尋ねると、ああ、それ骨!と事も無げに返されます。

メイは非合法の堕胎手術も請け負っているようで、その日も学生の少女が母親に付き添われてやって来ました。

ある日、材料が気になったリー夫人が厨房を覗くと餃子の材料が堕胎した胎児だったという事実を知ります。
彼女は悲鳴を上げてメイの家から逃げ帰ってしまいました。
しかし若返りたいという欲望には勝てず。、結局リー夫人はメイの家に戻って餃子を食べました。
リー夫人は美味しそうに餃子を食べ、その顔には笑みさえ浮かべているのでした。
彼女の肌は何だか張りが出てプルンとしてきました。
出だしで流れはわかるのですが、改めて見せられると恐ろしいです。

リー夫人は夫が足を骨折したと連絡を受けて病院へ向かいます。
病室を見舞った彼女の若返った様子を見て久しぶりに夫は欲情するのでした。
夫は大興奮してしまったので、リー夫人は口から水を垂らして飲ませてあげたりとHなことをします。
ということでリー夫人はすっかりご満悦になるのでした。
しかし喜んだのも束の間、何だか身体に斑点のような物が出来、体臭が生臭くなってしまいます。
メイにクレームの電話を架けるのですが、あれは近親相姦の子で最高だといつもの調子でした。
リー夫人は医者にも診てもらうのですが、異常は無く、それどころか妊娠していました。

一方、メイに堕胎手術を受けた女子学生が出血多量で死亡するという事件が発生していました。
その後、母親は怒りのあまり堕胎の原因となった夫を刺殺してしまい逮捕されます。
自分に手が回るのを恐れたメイは早々に逃走してしまいました。

餃子パワーが得られなくなってしまったリー夫人は途方に暮れてしまいました。

メイは中国本土で気ままに暮らしているようです。

リー夫人はこうなったら仕方ないと自分の子を風呂場で堕胎してしまいます。
そして餃子を作って食べるのでした。
恐ろしい話です。しかしこの人は美人ですね。

これは普通です。
これは単純明快で分かり易い話なので、この作品が一番見やすかったです。
扱ってる内容は不謹慎なのですが、カラっとコメディ調に仕上げています。
しかし悲しいシーンもありますので、明るいばかりではなくメリハリもありますね。
ネタが苦手な方が多いと思いますが、これが一番見やすいような気がします。
ラスト付近はブラック過ぎてヤバいので要注意です。

感想

全体的に普通です。
競作ということで、皆さん独特の演出ですね。
私はこの中ではDumplingsが突き抜けてる気がします。
一番怖いのはBoxだと思います。

Cutは単なるコントでBoxがナゾホラー、Dumplingsが悪趣味ホラー・コメディのような感じです。

全部だと長いのでCutは見なくてもいいような気がします。