お勉強映画 HAXAN 魔女

HAXAN 魔女

魔術研究したので映画にしてみた話

制作年 1922年
制作国 デンマーク/スウェーデン
監督 ベンジャミン・クリステンセン
脚本 ベンジャミン・クリステンセン
上映時間 104分

あらすじ

この映画は7章から成る文化史の講義です。

第1章

「昔の人は悪いことが起きると悪霊や魔術のせいにしましたよ。」
「それがこんな絵で書かれてましたよ。」
と説明され、素敵な絵を見せてくれます。

古代エジプトでは高い山々が世界を取り囲んでいたと信じていました。
空は鉄でできていて、山々が支柱となり空を支えていると考えていたようです。
星はランプのように空からロープで吊るされていると考えていたようです。
これ色々な国にありますよね。亀の上だったり、地球が平らだったり。

悪霊は子供をさらうものだと考えられており、悪魔は地球の中心核に住んでいるとされていました。
というような地球や魔術について古代の人がどう考えていたのかを延々と図で説明しています。
この辺は殆ど本を読んでいるような感覚です。

魔女が家畜や病人に悪いことをした、サバトでは裸で悪魔と踊るなどのお勉強が入ります。
興味深かったのは魔女の軟膏というのがあってそれを背中に塗ると空を飛べるらしいのです。
サバトには参加したくないですが、塗って欲しいです。

サバトではどのようなことが行われるかというと、魔女と魔術師は十字架を汚して神を冒涜したりしてサタンから悪魔の洗礼名をもらえます。
その後、罪人の死体を食材にして宴を開き、魔女は悪魔の尻にキスをします。
夜明けの一番鶏の声とともに解散します。
なんだか楽しくないですね。というかこの辺は他の本で読みました。

第2章

1488年ころの魔女の地下住宅を見せてくれます。
魔女の家に複数の魔女が集まって「絞首台の上の月がきれいだね。」とか不吉なことを言いながら、人肉を料理したり、蛇やヒキガエルなどを鍋に入れて何かを作っています。

魔女の家に一般人の女性が周囲に見られないように細心の注意を払って魔女の家に入って来ます。
彼女は醜い中年女性で信心深い男を誘惑するための媚薬を調合してくれと魔女に依頼し、魔女は猫の糞と鳩の心臓を月夜の下で煮詰めたものを女に渡し、飲み物に一滴垂らしなさいと言います。

彼女は早速家に帰って実践してみると、効果がありました!
後日、彼女はもっと強い薬を求めて魔女の元を訪れ、魔女に媚薬を貰います。
彼女がまた試してみると、男は大興奮して無理やりキスされてしまいます。
女は魔女に媚薬の代金を払おうとしますが、魔女の軟膏を嗅げと言われます。
女は辞退しますが、魔女は男の背中にこの軟膏を塗れば男が女に会いに飛んでくると言い、女は軟膏を貰いました。
これきっとギャグですよね。
私は後日談のように書いてますが、全部女の想像かもしれませんね。

男が2人で女性の遺体を運び込み、解剖しようとしています。
どうやら疫病の原因を調べようとしているようです。
そこを部屋を覗いた女性に発見され、彼らは魔術師のレッテルを貼られてしまいました。
この後どうなるか考えると怖いですね。

悪魔も信じられていたようで、実在すると思われていたようです。
この後楽しい悪魔映像が流れます。なんか面白いです。
悪魔に誘惑される女の話や悪魔の伴侶はブス残念だとかそんな内容です。
魔女が幽体離脱してどっかに行く話だとかそんなのもあります。
アペローネの話はなんだかよくわかりませんでした。

第3章

魔女裁判の話になります。
ドイツでは魔女の判決を行う際に水の中に投げ込み、沈めば無罪です。浮いて来たら有罪で火刑になるそうです。
なんかで読みました。無茶苦茶ですね。

印刷工の夫が突然、死んでしまったので妻アンナ達遺族は「魔女の呪いのせいに違いない!」と決めつけます。
印刷工の死因を調べようと、魔術師らしき男が煮えた鉛をお玉ですくい、遺体の周りをなぞる様にかざします。
その後、鉛を桶の水に浸け、形を見て「これは呪いに違いない」などとのたまっています。
この魔術師を捕まえて拷問した方がいい気がします。

アンナは見知らぬ醜い物乞いの老婆を魔女だと決めつけ、異端審問官に告発してしまいました。
老婆・マリアは異端審問官達に取り押さえられ、法廷へ連れて行かれてしまいます。
この部分はこの映画のテーマの一つであるようです。

第4章

魔女裁判の続きです。
マリアは着替えさせられると、髪の毛の中に魔女の粉が付いていないか調べられました。
その後、罪を認めるように説得されますが、マリアはもちろん罪を認めません。
マリアは上半身裸で鎖につながれ、首に聖なる文字で書かれたという羊皮紙を掛けられ、拷問部屋へ後ろ向きに押し込まれました。

彼女はとうとう拷問に耐えきれず、「私は悪魔の子をたくさん産んだ。出産の際にはカーナや仲間が助けてくれた。」と告白を始めてしまいます。
また「トリナは私に魔女軟膏を塗った。トリナの箒に乗って夜のブロッケン山まで飛んだ。そこでは黒魔術が行われていた。」と次々告白します。
なかなか面白い映像が沢山見られます。
これはモノクロだから怖い感じがしますが、カラーだったら笑ってしまったかもしれません。

マリアの告白は続きます。
集会では魔法がうまく使えない魔女は悪魔に酷い扱いを受けた。
ヒキガエルとと幼児を調理して食べた。魔女たちは悪魔と関係を持った。
魔女は悪魔の尻にキスをした。
などなど告白を続け、異端審問官達は下卑た笑いを浮かべながら、それを聞いています。

彼女は驚くべきことを言い出します。
アンナの母が集会にいて悪魔の尻に嬉しそうにキスをしていたと言うのです。
マリアは恐らく拷問に耐え切れなくなったので、自分が恨みを持っている人間を次々に魔女だと告発したようです。
魔女は家の前に尿をかけて呪いをかけるなどヘンな話とヘンな映像が盛り沢山です。

第5章

魔女裁判の続きです。
芋づる式の告白により、アンナの母や使用人は捕らわれました。
またアンナもそれを止めようとしたため、魔女と同類と見做されてしまいました。

異端審問官達もまともな精神ではやっていられなかったのか、迷いがあると仲間同士で鞭打つ描写が見られます。
異端審問官の一人、ヨハンはアンナの美しさに魅かれ、心に迷いを持つようになりますが、仲間達はそんな彼をアンナの魔法にかかったと決めつけ、ヨハンに彼女を捕らえさせます。

ここで異端審問官が子供を利用して母親を騙し、火刑にするエピソードがあります。

このようなことが判事の移動先で日常的に起きており、200年の間で800万人を超える老若男女が火刑になったといいます。
ちょっと800万人は多いと思います。いくらなんでも多すぎるような気がしますが、どうなんでしょう。

第6章

魔女裁判の続きです。

ある魔女の告白によると、ネコに変身したり、夜中に祭壇を汚して、その間は動物の姿をした悪魔が見張ったといいます。
別の告白ではベッドに結び目を作り、避妊させ家に呪いをかけて不幸にするなどの少しは現実的なものもありました。
しかし魔女の告白は狂気の沙汰と思われるものが多かったようです。
ちょっとこの再現はコレジャナイと思いました、着ぐるみ着てるだけじゃん。

魔女があり得ない告白をしてしまうのはやはり恐ろしい拷問道具によるところが大きかったと思われます。
以下のような拷問道具がありました、
・先がフォークのようになった肉を抉るやっとこ
・足を締め付ける万力
・手首を固定して手を槌で打つ
・脛の部分を木で固定して上から槌で打ち、両足の脛を締め付け砕く。
・手足を引っ張る拷問棚
・ヘッドクラッシャー
・棘が付いた鉄製の首輪
・親指をネジ絞めする器具
こいつらを映像で見せてます。

ある修道院全体が悪魔崇拝の咎で魔女狩りにあったこともあったそうです。
新デモンズみたいですね。
映像がコミカルで笑ってしまいました。

第7章

今度は現在の話です。
中世の魔女像は貧しい老婆が多かったのですが、現在ではそのような人の多くは教会の施設や養老院に入っています。
彼女たちは外見だけで魔女だと決めつけられてしまったのですが、これは現在でも起こりえます。

マリア役の女優は1921年の現在でも悪魔はいると信じており、祈祷書を見せてくれました。
彼女は精神的に疲労しているので、そのような考えに陥ったのだと思われます。

悪魔憑きににた症状は現在でも見られます。
・夢遊病
・ヒステリー
このような患者が発作的に放火したり万引きしたりしてしまう姿が描かれます。
この辺は退屈でした。
宝石店の店員役の人は親切だと思いました。

現在では悪魔に怯えたり、魔女が箒で飛び回ったりしませんが、迷信は残っています。
貧しい老婆やヒステリー患者は差別されているので魔女狩りと程度の違いがあるだけですね。

というまとめを入れて終了です。

感想

ちょっと全体的に退屈なのですが、挟まる映像がなかなか面白いです。
着ぐるみでしょぼいのですが、モノクロなので何とか見られます。
あと長いですね。1時間位でよかったかも。序盤の地球観の話は特に退屈です。

語られている内容も当時は斬新だったのかもしれませんが、今日のように情報が溢れている時代だと既知の内容ばかりなので、退屈です。

この映画自体はホラーではないのですが、ホラーの原典として見てみるのは面白いかもしれません。
退屈な映画ですが、出来が悪いとは思わないので暇つぶしに見る分にはいいかもしれませんね。
第三章~第六章は見るところがありました。
ちょっと悪魔に憑かれた人々の演技がコミカルで笑ってしまいますが。

魔女裁判のくだりは考えさせられるものがあり、辛いシーンもありますね。
マリアは自身の巻き添えに沢山の人を告発したわけですが、私ならどうしたかなと考えてしまいました。
またこうした映画だと裁く側が悪く描かれるものですが、裁く側の苦悩も描かれているので平等な視点で見ていると感じました。

私はこの映画は普通です。大体の内容も覚えてますので、1回見ればいいかなと思います。
ただ、たまにヘンな映像を思い出して見直すときが来るかもしれません。

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