怪談新耳袋 ノブヒロさん
ママ、行っちゃ駄目…
制作年 | 2006年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 豊島圭介 |
脚本 | 加藤淳也 |
原作 | 木原浩勝/中山市朗 |
上映時間 | 88分 |
出演 |
内山理名 |
平田満 |
高橋和也 |
だいたいのあらすじ
21年前
少女だった悦子は飛び降り自殺を目撃し、逆光で顔が見えない男から「見てはダメだ」と言われました。
シングルマザーになった悦子(内山理名)はバスの中うとうとしますが、その時の夢を見てハッと目覚めます。
横の座席に座っていた娘の彩香はバスの中の男性を見て異常に怯えて過呼吸になりますが、悦子がそちらに目をやると男性の姿は消えていました。
その後、デザイン会社勤務の悦子は上司(筒井真理子)からの指示で画家の島崎信弘(平田満)の担当になりました。
島崎は男女が崖から飛び降りる心中等の不気味な絵を描いており、悦子に自分のことは「ノブヒロ」と呼ぶように指示します。
彼は心中こそ男女の究極の愛だと言うのですが、悦子は「逃げてるだけだ」と否定します。
ノブヒロは悦子にモデルになってくれと依頼しました。
どうも21年前に悦子を止めた男とバスの中の男はノブヒロのようです。
悦子はこの所、仕事が忙しく帰るのが遅くなってしまい母(田島令子)から娘のことも考えなさいと苦言を呈されて口論になりました。
彼女は断ると角が立って仕事に影響が出ると感じたのかノブヒロのモデルをOKしました。
早速デカいフリルが付いたワンピースに着替えさせられてデッサンが開始されます。
ノブヒロは悦子の話を聞きたがり、絵が好きだったことや家族や離婚等のことを聞かせることになります。
彼は結婚したことはおろか恋愛経験もあまり無いようです。
しかしノブヒロは紳士で気さくな人物だったので、悦子もすぐ打ち解けていくのでした。
実は心中の絵はノブヒロの曾祖父を描いたものだということなのですが、祖祖父は途中で木に引っ掛り、そこで身動きできずに息絶えたそうです。
彼はその絵も描いており、崖の途中の木に引っ掛った若い男が下の海に落ちて行く女に手を伸ばしています。
ノブヒロは曾祖父に「いつか思いを遂げさせたい」と話し、悦子は「でも家族を捨てて心中したんでしょ」と非難します。
彼は珍しく声を荒げ「譲れないものだってあるんだよ!」と怒鳴って悦子を凍り付かせます。
ノブヒロはすぐに我に返って悦子に謝りました。
悦子は何となくノブヒロと友達付き合いを始めるのですが、彩香は異常に彼のことを怖がります。
ある日、ノブヒロは「僕はもうすぐ死ぬかもしれないけど、君に会えて良かった」と話して悦子をドン引きさせます。
とそこに「ノブヒロ―」と叫びながらノブヒロの母(佐々木すみ江)が現れ、兄(でんでん)も付き添っています。
ノブヒロは「ここには来るなって言っただろ」とブチ切れて二人を叩き出しました。
次の日、悦子は彩香が熱を出して苦しんでいるということだったので、会社を早退して帰宅します。
彩香はてんかんの発作のように苦しんでいましたが、大分落ち着いてきました。
時計は深夜1時を回っていましたが、玄関のチャイムが鳴り、出てみると誰もおらず、血痕が点々と非常階段の方向に付いていました。
血痕を辿って下の階に降りるとなぜかノブヒロが居り、悦子は事情を説明して「「今日、行けなくてゴメン」と詫びます。
母が悦子の後を追ってきたのですが、悦子は誰もいない空間に話し掛けているように見えました。
翌朝、悦子の会社に警察が来てノブヒロが昨夜21時過ぎに自宅の階段から落ちて死亡したと知らされます。
悦子はノブヒロの家に行ってみるのですが、ノブヒロ母に追い返され、ノブヒロ兄も彼女のことを快く思っていないようです。
彼女はそこでノブヒロの知り合いだという精神科医の藤村(高橋和也)と出会いました。
藤村がノブヒロの遺体を発見した際には彼の上半身は不自然に捻れ、恐ろしい形相を浮かべていたそうです。
また彼は何か掴むように手を伸ばしていたそうで、それは正しく彼が描いていた祖祖父の絵にそっくりでした。
母が家で放心していた悦子に見えない空間に話し掛けていたことを尋ねようとするのですが、突然倒れてしまい入院するハメになります。
悦子は母の病院の待合室でノブヒロとすれ違ったような気がしました。
その後、付き添っていた悦子達がベッドの横でうたた寝をしている間に母は何かに導かれるようにベッドから出てしまいました。
母を導いていたのはノブヒロの亡霊で彼女は病院の階段で変死しました。
悦子はドアの前に立つノブヒロや携帯へのノブヒロからの着信に悩まされ、彩香もノブヒロを見たと言います。
彼女は藤村にそのことを話し、ノブヒロは成仏できていないのでは?と言うのですが、藤村は「あなた疲れてるのよ」と取り合いませんでした。
悦子は気になってノブヒロのアトリエに侵入するのですが、そこには彼女の小さい頃に持っていたぬいぐるみがありました。
またアルバムには悦子が産まれた時の産湯に浸かっている様子から現在に至るまでの隠し撮り写真がありました。
ショックを受ける悦子でしたが、そこにノブヒロ母が現れたので慌ててクローゼットに隠れます。
ノブヒロ母は精神を病んでいるようで、死んだ彼のために食事を運んできては腐らせているようです。
悦子は見つかりそうになりますが、上手いことノブヒロ兄が母を連れ出しました。
悦子はテープを見付けたので再生してみます。
どうやらノブヒロは悦子を曾祖父と心中した女性の生まれ変わりだと信じて誕生の瞬間から見守っていたことが日記のように記録されていました。
悦子が飛び降り自殺に遭遇した際に背後から声を掛けた男はやはりノブヒロでした。
彼女が年頃になって外泊した際や結婚時には怒りの「死ね」という発言も記録されています。
ノブヒロは悦子がモデルを引き受けたことで自分の考えが受け入れられたと考えたようです。
悦子は藤村にテープを聞かせて相談しました。
彼はノブヒロが自分の患者であり、自分が曾祖父の生まれ変わりであると信じていたと語ります。
悦子は彩香が熱を出さなければ自分も殺されていたかもしれないと考えて震え上がるのでした。
テープは藤村が処分してくれると約束し、彼に送ってもらい悦子は帰宅しました。
感想
これはつまらないです。全く怖くないです。
サイコホラーは出尽くおりこれはインパクトが無く、話もつまらない気がします。
生まれ変わりを題材にしているのと赤ちゃんの頃からストーキングしているのは新しかったですが、それだけで終わってしまっています。
テンポはダラダラと盛り上がり無く続き、ヤマ場もありません。
演出も平凡で怖いシーンや面白いシーンもありませんでした。
お話もツッコミどころが満載で、勢いが無いのでつまらないなあと感じながら観続けるハメになります。
やっぱりこのシリーズは「お化けが出たぞー」っていう短編がいいのではないかと思いました。
悦子の人は頑張っていたので可哀想ですが、この映画は地雷だと思います。
結末も異常につまらないので、他の映画を観た方がいいと思いました。
ラストまで(ネタバレ)
悦子の家には自分とノブヒロが心中する様子を描いた絵やあのワンピース、それに新しいテープが置かれていました。
同じ頃、藤村のクリニックにはノブヒロの亡霊が現れ、藤村の手を万力で挟んでハンマーで打ちました。
その後、藤村は身体が変な方向に曲がって死亡しました。
藤村が死ぬ理由が良く分からないです。
テープにはノブヒロが死亡した際の様子が収録されており、悦子の前にノブヒロの亡霊も現れます。
このテープがつまらないのです。
翌朝、悦子には「警察がまた会社に来たからお前クビ」」という上司からの伝言が吹き込まれ、彼女はそれをガン無視して放心していました。
ある日、超都合よく悦子母のお墓がある寺の住職が訪ねて来ました。
悦子はノブヒロに取り憑かれてネグレストをしているようで、見えないノブヒロとずっと話をしています。
住職はそれを見て悦子を寺へと連れ帰りました。
戸締りとか大丈夫でしょうか。
住職は「このままではお前か彩香が連れていかれる」と悦子に話し、彼女はネグレストのくせに娘がヤバい!と反応しました。
と思ったらやっぱり駄目人間だった悦子は彩香を連れて家に帰ります。
住職は悪霊退散と読経するのですが、やっぱりノブヒロにやられてしまいました。
なんでノブヒロはこんなに強いのでしょうか?
ということで帰宅し、相変わらずノブヒロと語り合う悦子でしたが、いよいよノブヒロが彼女をとり殺す時が来たようです。
すると彩香が「止めろー」と止め、鼻血を出したので悦子は我に返って彩香に駆け寄ります。
ノブヒロは母娘の前で間接をヘンな方向に曲げるという一発芸をします。
しかし母娘にウケず、ドン引きされたので襲い掛かることにしました。
悦子達はなぜか非常階段を使って逃げるのですが、ノブヒロは四つん這いで階段を上るという芸を披露します。
やっぱり悦子達にはウケず、母娘は悲鳴を上げて屋上に逃げ出します。
私にもウケませんでした。というか開いた口が塞がりませんでした。
ノブヒロが現れて「一緒に飛ぼう」と悦子を誘ってきたので、悦子は「私は本当はビッチなの」とか「万引きしたの」とか告白します。
するとノブヒロは雄たけびを上げながらフェンスにタックルするという寸劇を始めます。
しかしウケなかったせいか今度は念力のようなもので彩香を攻撃します。
悦子は「止めて!言うこと聞くから」とノブヒロを受け入れ、彩香に「下に降りてなさい」と命令しました。
ということで悦子は飛び降りてしまい、悦子に近付く彩香の肩にはノブヒロらしい男の手が置かれました。
エンドロールで終了です。
いつ面白くなるのかと思って観ていたら最後までつまらなかったです。
なんか「いつか働いてくれるだろう」と思いながらダメ男と付き合っているような気分になりました。
でもダメ男はたまに優しくしてくれる時があるのですが、この映画には一切ありません。
そういう訳で嫌な気分になる映画でした。