ザ・テロリスト
今日からお前ら皆、敵だ―
制作年 | 2009年 |
制作国 | カナダ/ドイツ |
監督 | ウーヴェ・ボル |
脚本 | ウーヴェ・ボル |
上映時間 | 85分 |
出演 |
ブレンダン・フレッチャー |
ショーン・サイポス |
マット・フルーワー |
だいたいのあらすじ
ビル(ブレンダン・フレッチャー)が森の中で着ていた服や装備をドラム缶で燃やしています。
またどこかのビルに車が突っ込んでいました。
2日前
ビルはニュースを聞きながら狂ったようにサンドバッグを叩き、身体を鍛えています。
ニュースでは原油価格の高騰、イラク侵攻、各地で起こるテロや犯罪の様子を放送しています。
彼は両親と同居しており、母(リンダ・ボイド)と父(マット・フルーワー)と朝食を共にしますが「いい加減出てけ」と言われます。
ビルは23歳にもなって大学に行く学費を稼ぐと言って家に居座り、自動車修理工をして日銭を稼いでいました。
両親はそんな彼の態度に痺れを切らしたようです。
イラついた彼はカフェでマキアートを注文し「泡が足りない!金返せ!」とケチを付けてカフェ店長と喧嘩になったりします。
職場では「もっと作業効率を上げろ」と上司に文句を言われ、ムシャクシャします。
上司はうるさ型ですが、ビルも態度悪いです。
仕事が終わった彼は友人のエヴァン(ショーン・サイポス)から荷物を受け取り、チキン店で食事をします。
ところが、女性店員の態度が良くないようで注文したものをこぼされたりして、またストレスが溜まります。
エヴァンは環境問題に関心が深く金持ちに反感を抱いているようです。
その夜、ビルはエヴァンから受け取った荷物の中の金属片を取り出し、ボディアーマーを組み立てます。
他にも偽札を印刷したり、爆弾のようなものを作ったりしていました。
次の日、ビルは朝食の際、両親に「今日は仕事休んで大学の願書を書く」と宣言し、両親は大層喜びました。
両親が仕事に出るとビルは自室で沢山の銃器に弾を込め、ボディアーマーを着こんでヘルメットを被って完全防備します。
そして「人間は皆ゴミだ」と宣言するとサブマシンガンとハンドガンで武装して車で家を出て行きました。
車をすり替えると町のメインストリートに出て行き、事前に細工してあった路駐していたバンをラジコン操作で無人運転します。
バンを警察署に突っ込ませて荷台の爆弾で爆発させて多数の警察官を殺傷し、警察を機能不全に陥らせます。
この爆破シーンはワイヤーアクションが速すぎて、車が爆発する前に警官が飛んでました。
その後、ビルは適当に車を降りるとサブマシンガンを対向車に乱射して事故らせます。
通りを歩いている人々を片っ端からサブマシンガンで射殺しました。
パトカーが駆けつけて警官隊と撃ち合いになりますが、ボディアーマーで弾を防ぎ、返り討ちにします。
その後もどんどん町の人を殺傷し、ずんずん歩いて進みます。
撃たれる人の演技がなかなか上手いと思いました。
ビルはあのカフェ店に行き、また店長にマキアートを注文した後、射殺しました。
美容室ではわざとヘルメットを脱いで「顔を見られたから」という理由で店内の人を殺害します。
老人がビンゴゲームに興じている飲食店では嫌がらせに番号を読み上げたりするのですが。彼を見ても皆、無反応でした。
ビルは「こいつらはもう死んでる」と誰も殺さずに去って行きます。
彼は車に戻って移動を始め、カーラジオではビルの事件のことが報道されていました。
ビルは今度は銀行に突入し、「全員カウンターの後ろに行け」と指示しました。
勇敢な行員が彼の背後から飛び掛かりますが、ビルは何とかマウントを取ってナイフで首を切り裂いて殺害します。
その騒ぎを見てろしくなり、逃げ出そうとした人達にはサブマシンガンを浴びせます。
ビルはマネージャーに金庫を開けさせ、金庫のお金とカウンターのお金を有るだけバックに詰めさせて銀行を後にしました。
感想
これは普通です。
話自体はなかなか面白く感じますが、この監督の他作品がひどすぎるからだと思います。
演出ではわざわざ死体をアップにしたり、未来の映像をバンクで入れたりとボル節が炸裂します。
でもそういうヘンな演出が無ければ意外と普通の映画です。
テンポはサクサクであっと言う間に観られ、なかなか娯楽性も高いです。
かなりのご都合主義もありますが、一人で計画して上手く実行したんだなあと感じます。
却って一人の方がやりやすいのかもしれませんね。
ビルのやっていることは鬼畜そのものなのですが、現実離れし過ぎているせいか、怒り等は沸いて来ないです。
彼の動機もイマイチはっきりとわからないので、その辺りが原因なのかもしれません。
ヘンな演出が多いのと、結局何を言いたかったのか良く分からない映画でした。
暇つぶしに観るのには良いかもしれません。
ラストまで(ネタバレ)
ビルはバッグを車にしまうと偽札を銀行員達が見ている前でわざわざ燃やして「金なんかクソだ」とアピールします。
その後、彼が車で移動するとラジオでは市民に「外出は控えるように」と呼びかけています。
一方、マルボイ保安官(マイケル・パレ)は銀行のマネージャーから通報を受け、町に向かいます。
パレさんはボルさんのマブダチなのでしょうか。
ビルが移動していると母から「変な男が無差別殺人してるから、家から出ないでね。もうすぐ帰るから」と電話がありました。
お母さん、あなたの通話相手が変な男です。
ビルは通りすがりにあのチキン店に寄り、料理をこぼした店員をおもむろにハンドガンで殺害し、エヴァンとの待ち合わせ場所に向かいます。
エヴァンはビルとサバイバルゲームをする約束になっていたのですが、彼が現れないので電話してきたのでした。
ビルは町の入り口の看板に爆弾を仕掛け、応援に駆け付けたパトカーを吹き飛ばします。
マルボイの車は無事だったので、現場から逃走するビルの車を見て、追跡を開始しました。
ビルは適度な距離を保ちつつ、横に並ばせないように注意して運転します。
ビルは車を停車して森の中に入って行く様子をマルボイ達に見せつけ、車を爆破しました。
他の警官は死亡しましたが、マルボイは無事だったので無線連絡の後、ビルを追跡します。
ビルは道中でマルボイをナイフで刺して殺害し、エヴァンとの待ち合わせ場所に向かいました。
エヴァンは2時間も待たされたので怒って帰る直前でしたが、ビルは彼にスタンガンを押し付け、銃を持たせると自殺させました。
ビルは銃器類やアーマー、靴をエヴァンに装着し、エヴァンのバッグと札束のバッグだけ持ってその場を去ります。
彼は隠しておいた自分の車に乗って速やかに現場から引き揚げました。
そして森の中のドラム缶で服を燃やし、車に積んでおいた自分の服に着替えて帰宅しました。
こうしてビルはエヴァンに罪を擦り付けて大金を手に入れました。
ビルはTVのニュースを見つつ帰宅した両親と事件の話をし「エヴァンが犯人だった」と告げます。
彼は自室に入ると旅行鞄に大金と最低限の服を詰めました。
TVのニュースでは連行されるエヴァンの父が「息子は無実だ。ビルが犯人だ」と叫んでいます。
ビルは旅行鞄を手にそのまま失踪し、2年後に犯行声明のビデオをアップロードしました。
犯行声明では「人口が増え過ぎだから、俺が減らしてやる」と語っていました。
エンドロールで終了です。
お金が欲しくて、ついでに世間を騒がせたかっただけのような気がします。