アザーズ
ヒステリックな母がひどい目に遭う話
制作年 | 2001年 |
制作国 | スペイン/フランス/アメリカ |
監督 | アレハンドロ・アメナーバル |
脚本 | アレハンドロ・アメナーバル |
上映時間 | 104分 |
出演 |
ニコール・キッドマン |
フィオヌラ・フラナガン |
クリストファー・エクルストン |
だいたいのあらすじ
母親が子供に天地創造の話を読み聞かせている声が響きます。
挿絵風のものでグレース一家を襲う恐怖を暗示しているようです。
1945年 イギリス:チャネル諸島のジャージー島
朝陽が入る部屋で大美人の奥さんグレース(ニコール・キッドマン)が絶叫して目覚めていました。
ある日グレースの暮らす大きなお屋敷に三人の人物が訪ねて来ます。
年配女性ミルズ夫人(フィオヌラ・フラナガン)と庭師の年配男性タトル(エリック・スタイル)、声を出せない若い女性リディアでした。
前の使用人が突然、給料を置いたまま一斉に消えたため、グレースは使用人を募集したので、それに応じたものでした。
彼女は家の中を案内するのですが、部屋を出入りする際は必ず鍵を開け閉めしていました。
グレースの夫・チャールズ(クリストファー・エクルストン)は1年半前に出征したまま帰省していませんでした。
彼女は三人にもドアの開け閉めは一つずつで鍵を掛けること、ピアノは子供に触らせないことを説明します。
グレースはとても神経質な様子で、音を立てるのは禁止だそうで、この家にはラジオも電気もありませんでした。
グレースには姉のアンと弟のニコラスという二人の子供がいるのですが、光アレルギーであり、太陽光等を浴びると全身が腫れ、呼吸困難に陥るそうです。
姉弟が起きている間はカーテンを閉めきって無ければならず、彼女が異常なまでに神経質なのはそれが原因のようです。
また、グレースは新人深いようで祈りは欠かさず、姉弟にも必ずお祈りをさせていました。
ミルズは早速、アンに「飯が不味い」と文句を言われたので「前の人と違うからね」と答えます。
アンはみんないなくなった後にあんなことに…と何かあったことを匂わせるのですが、ニコラスは「無い」と叫びます。
そこにグレースが「五月蠅い!」と現れて「残り1分でご飯食べろよ!」と子供に命令しました。
グレースはまだ求人を出していなかったようで、なぜうちに来たの?とミルズを問い詰めます。
ミルズは何年か前にこの屋敷で働いていたので飛び込みで来たと説明します。
グレースは「いつも冷静でいなければいけないから大変」とこぼし、「子供達が奇天烈なこと言っても相手にするな」的なことをい厳しい顔で言いました。
グレースメンヘラっぽいのですが、大丈夫でしょうか。
グレースは子供にイエスを信じると言ってピラトに死刑にされた子供の話を朗読させます。
姉弟は「こんなの嘘吐いて誤魔化せば死刑にされないじゃん」と言うのですが、早速母は顔を曇らせます。
グレースは「嘘吐くと来世で地獄行き、ずっとずっと永遠に苦しむのよ」とささやくように教えるのでした。
こんなに美人なのに怖い母は嫌です;;
その後、グレースは姉弟に別々の部屋で勉強するように命じ、子供のすすり泣くような声を聞き、ニコラスの所に飛んで行きます。
ところが、ニコラスは本を朗読してたけど…と怪訝な顔をしており、アンも同様でした。
アンはここには「ビクター」という男の子が住んでおり、その子が泣いたということで、音楽家の父も一緒にいると言います。
グレースはそんな訳ないだろ!とイライラ口調で言うのですが、なぜか彼女が入って来たドアが開いていました。
彼女はミルズとリディアを呼び「ドア閉めろって言ってるでしょ」と怒鳴りますが、知らんがなという反応をされます。
その反応に彼女は「じゃあなに?私?私が子供に対してそんなことするわけないでしょ!」とブチ切れました。
その夜、アンは「ビクターが勝手にカーテンを開ける」とニコラスに訴え、カーテンを閉めている側から開けられてしまいます。
ニコラスは確かにカーテンを開けに来る子供の足音を聞き「僕のベッドだ、出ていけ」と言う男の子の声を聞きます。
アンはビクターと「私のベッドよ、ママ呼ぶわよ!怖いわよ!」と口論しており、弟に触れと言いだします。
子供の手がニコラスに触れ、彼は悲鳴を上げたので、グレースが飛んできます。
昨夜のことはアンの悪戯ということになり、罰として聖書の朗読を命じられます。
アンは罰は受けるものの私は嘘吐いてない!と頑なに主張するので、罰を延長されます。
屋敷の周りにはずっと霧が立ち込めており、カモメの声さえも聞こえず、最近は神父が訪ねて来ないのでグレースは世間から隔離された気分だとミルズに子こぼします。
二階ではリディアが五月蠅い物音を立てているので静かにさせろとも付け加えました。
グレースは家事は使用人に任せっきりでひたすら刺繍をするのでした。
二階では確かにドタバタと駆け回るような音がして居ますが、リディアはミルズと庭で話しています。
物音は物置小屋から響いてくるようで、中を確認したグレースは確かに「彼女は求めている」的な人の話し声を聞きます。
更に背後のドアが勝手に開閉するのですが、グレースには姿が見えません。
階段で聖書を朗読していたアンは見えるようで、沢山人がいると言い、彼等は「家を買った。カーテンは全部取り払う」と話していいるということです。
この辺はグレースの演技のせいか怖いです。
グレースは取り乱してしまい、ミルズを呼んで「何かが家の中に勝手に入って来てる」と訴えます。
アンはビクターとその両親とナゾの老婆のイラストの横に遭遇回数を書いていたのですが、老婆には14回遭遇しているそうです。
その老婆は魔女で色々なことを聞いてくるそうで、怯えるニコラスにグレースは「ママが付いてるから」と慰めます。
グレースは猟銃を持ち出し、タトルとリディアと手分けして家中を見回ることにしました。
グレースが怖いです。
結局、家の中に異常は見られなかったのですが、グレースは棺に入っている人を写したアルバムを見付けます。
ミルズに「どういう趣向なの、こんな迷信」と尋ねると「喪失は人の心を揺らします」と返答されました。
グレースは気味悪いのでミルズに写真を処分するように言いつけました。
ミルズが前に働いていた時は15人位使用人がいたそうですが、ロンドンに一家が越したそうで、最後は今の三人になったそうです。
グレースの両親と家族も1940年にここを離れたそうで、彼女は「皆、この島を離れていく」と寂しそうに語りました。
ミルズは「長く馴染んだ場所はずっと心にあり続ける」と言い、前に勤めていた時は結核の流行で立ち退きになったのだとグレースに打ち明けました。
リディアは恐らくその際に口が利けなくなったのではないかと言うことで、グレースは「何があったのかしら」と深く考え込むのでした。
その晩、グレースは寝ているアンに「いつも厳しくしてゴメンね」と謝罪してゆるしを乞い、アンは寝たふりをしていましたが聞いていました。
グレースの去り際にニコラスが「パパはいつ帰ってくるの?」と聞いたので「戦争が終われば帰ってくる」と答えました。
戦争はとっくに終わっているので、グレースは独り「チャールズ、どこにいるの」とシクシク泣くのでした。
その後、音楽室のピアノが勝手に演奏され、鍵を掛けても開けられてしまうという怪異が起こります。
グレースはこれは霊の仕業に違いないとミルズに訴え、ミルズは「死者と生者の世界が交わることがあるのでしょう」と返答します。
グレースは神父に会って家の中を清めて貰おうと、早朝だというのに霧深い中を教会に向かって出発します。
グレースが家の外に出るシーンはここが初です。
彼女は出掛けにタトルに庭に小さな墓石がある筈だから探しておいて!!と命じました。
それを見送ったミルズはタトルと話をするのですが、二人は何か知っているようで「グレースが見ているのは幽霊ではない、彼女は霧で立ち往生」という点を匂わせます。
また小さな墓石は存在していたのですが、枯葉で隠してしまいました。
グレースは暫く進むのですが、霧に阻まれて右も左も分からない状態に陥りますが、霧の中からチャールズが現れます。
彼女はあまりのことに感激して夫に抱きつき、彼は「向こうから来た、家を捜していた」と話します。
二人は寄り添って屋敷に戻り、姉弟も父との再会を喜びますが、ミルズは困惑した様子でした。
チャールズは疲れていたのかベッドで寝てしまい、いつも通りの食事風景となります。
アンに戦死した人はどこに行くのかと聞かれたグレースは「英国兵は天国、ドイツ兵は地獄」ととんでもないことを言います。
またグレースの中では侵入者の件も無かったことになったようで、アンにその話はもう止めろ!と強い口調で言いました。
ミルズは泣いているアンを慰め。自分も侵入者を見たことや、その内グレースも認め変化が起こるだろうと話しました。
その晩、ミルズ達使用人はタトルの小屋で「子供は大丈夫だけど、母が厄介。チャールズは自分の状況も把握できていない」等と話し合っていました。
チャールズは無気力人間になってしまい、ずっと横になっているようです。
グレースはアンにヴェール付きの洋服を試着させていたのですが、アンの姿が老婆に見えたので暴行を加えてしまいます。
アンは「ママに殺される。ママは私達を殺したがってる」とミルズに泣きつき、チャールズにチクリました。
グレースは混乱し、ミルズのことも信用出来なくなり、提供された頭痛薬を飲まずに捨てました。
チャールズはグレースにアンからあの日のことを聞いたと言うのですが、彼女には何のことか分かりませんでした。
彼は「前線に戻るからお別れを言いに来た」と言い出し、それに対しグレースは戦争に出たことを一方的に避難します。
「戦争に行ったのも、私の側に居たくなかったからだろ!」とグレースにチャールズは歩み寄り、愛し合うのでした。
感想
これは面白いです。怖いです。
怖い母とそれに反抗しながらも翻弄される姉弟、何か隠している三人の使用人。みたいな話です。
前半は家の中に何かいるというミステリータッチの話になり、段々と雲行きが怪しくなってきて、違和感を感じて来ます。
中盤でチャールズが帰還した辺りから鑑賞者の頭の上の疑問符が更に大きくなる感じでしょうか。
地味な話なので直接的な超常現象のようなことは起こらず、これは後ほど理由が判明します。
それなりにヤマ場はありますが、前半パートは後の布石みたいな感じなので、少し退屈な感じはしました。
前半は兎に角、グレースが怖いのです。
使用人にも常にいつもAlways尋問口調で、私この人と同じ職場だったら3秒で死にそうです。
ピリピリしてる上にちょっとした事でもキレるので、すぐ地雷踏みそうです。
でもこの人はちょっと大げさすぎる演技があるようでたまにウケる時があります。
例えばアン画伯のビクター一家のイラストの数字を見た時の「この数字は何」って聞いた後、答えを聞いて息を飲む場面等です。
いつも怯え方に隙が無いので相当、ピリピリして演じてたんでしょうかね。
中盤位からドッグヴィルの人みたいな感じになって来ますが、相変わらず見ているだけで不安が伝染りそうな感じです。
周辺の人物やチャールズの行動がおかしく感じるのですが、これも理由があるようです。
屋敷はお城のように大きいのですが、あまり全体像は映らないです。
いつも深い霧に覆われていてよい雰囲気です。
子役もいいですね、アンは面白いです。
グレースとアンが怖いことばっか言うのでニコラスはいつもビビった顔していて、この表情が何とも言えません。
私はミルズが一番好きで、この人はいつも上品に微笑んでいて凄くいい歳のとり方してると思います。
結末付近の流れはなかなか興味深いものでした。
これは佳作だと思いますので、観て損はないと感じました。
但し、役者さんの演技が殆どの映画だと思いますので、面白く感じるのは初見だけだと思います。
ラストまでのあらすじ
グレースが微睡から目覚めるとチャールズの姿は消えていました。
そしてアンの凄まじい悲鳴に駆けつけた彼女は子供の寝室のカーテンが無くなっているのに気付きます。
そういえばアンがそんなこと言ってました。
彼女はローブで姉弟をくるみ、違う部屋に連れ出そうとするのですが、どこもかしこもカーテンが撤去されていました。
グレースは三人のミルズ達を疑い、家かあら追い出してしまいました。
ミルズ達は玄関で「もう我慢の限界だ」と話し合っており、庭の墓石を見えるようにしました。
夜になったので、パパに会いに行こうとアンとニコラスは家を脱走し、庭でミルズ達三人の墓を発見しました。
その頃、グレースも1891年に彼等が結核で死亡しているという写真を発見していました。
姉弟はミルズ達が近づいて来たので、幽霊だと叫び家に逃げ込みました。
グレースは玄関の鍵を掛けて彼等が入って来られないようにし、ミルズ達は玄関で「共存しましょう」と呼び掛けます。
ミルズ達はカーテンを外したのは侵入者で、今でも彼らは家にいると主張するのです。
上の階では子供達がクローゼットに隠れていましたが、見知らぬ老婆に遭遇しました。
グレースは姉弟を心配し、二階に上がって子供部屋を開けると、そこでは見知らぬ人物が交霊会を行っていました。
霊媒らしき老婆に話し掛けられたアンはママに枕で…と老婆に耳打ちしますが、「殺されたの?」という質問は否定します。
姉弟は死んでない!と叫び、グレースも彼等の机を揺すって机の上の紙を破いて「芯でない!」と叫びます。
その様子は交霊会チームの皆さんから見るとポルターガイスト現象のようでした。
実はグレースは錯乱して姉弟を殺害した後に自殺していました。
交霊会を行っていたのは霊能者二人とここに住む夫妻で、息子のビクターが女の子が見えると訴えるので霊能者を呼んだようです。
ビクター母はもうこんな家は出ましょう!と夫に訴え、明日出て行くことになりました。
一方、グレースも姉弟の顔に枕を押し付け、自分は猟銃で自殺したことを思い出しました。
三人はすぐ幽霊になったようで、グレースは神に救われて無かったことになったように思ったそうです。
ミルズが現れてお茶を淹れ、グレースは彼等と共存することになります。
姉弟は父も死亡したのだと理解し、グレースは三人で「ここは私達の家」と繰り返します。
あの一家は家を出て行き、ビクターはグレース達が窓に並んでいるのを目撃します。
グレースは「ずっとここに居る」と固く決心し、ビクター一家の車は門から出て行きました。
家は売りに出されることになりました。
エンドロールで終了です。
幽霊屋敷というはこうしてできるみたいですね。