隠れキリシタン村の話 奇談

奇談

記憶を取り戻すとひどい目に遭う話

制作年 2005年
制作国 日本
監督 小松隆志
脚本 小松隆志
原作 諸星大二郎
上映時間 88分
出演
藤澤恵麻
阿部寛
神戸浩

だいたいのあらすじ

1豊臣秀吉の時代から江戸時代に架けてキリスト教は禁じられ、全国各地で隠れキリシタンが発生しました。
隠れキリシタンの中には弾圧が終わった近代にもずっとその独自の教義を守っている集落があったそうです。
九州かどっかで聞いたことがあるような。

1972年
大学院生の佐伯里美(藤澤恵麻)は草原で見知らぬ少年が手を振るという以前から見ていた夢を近頃、頻繁に見るようになります。
彼女は7歳の時の記憶が2ヶ月程度欠落しているそうで、また閉所恐怖症気味だということです。
民俗学を専攻する里美はある時東北の秘境「渡戸村」という村の教会の写真を見て見覚えがあるような気がしました。
その村は隠れキリシタンの村でもうすぐダムに水没するということなのですが、詳しく調べると里美が7歳の時にその村で神隠しに遭っていたということが判明しました。
一緒に神隠しに遭った小杉新吉という少年は未だ行方不明だそうですが、里美はあの夢の少年が新吉に似ている気がするのでした。
里美は当時のことを両親からは「親戚の家に預けた」と聞いており、両親は多くを語りませんでした。
彼女は休暇を取って渡戸村に向かうことにし、神隠しのことを知っていた教授は了承し、「ハナレ」と言われる集落が今はどうなっているのか確認して来て欲しいと依頼しました。

渡戸村では地震があったようで、その後ハナレに住む重太(神戸浩)という男性が血相を変えて駐在所に駆け込み、駐在(柳ユーレイ)に「皆が遠くに行く」と打ち明けていました。
里美は移動中にハナレに関する資料を確認するのですが、ハナレというのは渡戸に迫害を受けたキリシタンが逃げ込んできた際には既にあり、隠れキリシタンの集落だったそうです。
ハナレでは近親婚が行われており、その所為か村人は7歳程度の知能しかないそうです。
駅には教授が手配してくれた加納(菅原大吉)という男性が里美を出迎えてくれました。
加納はどうやらハナレについては触れて欲しくない様子でした。

宿への道中で見覚えのある教会を発見した里美は車を停めてもらい、見に行ってみました。
そこはカソリック教会で霧島(清水紘治)という柔和な男性が神父でした。
教会には考古学者の稗田礼二郎(阿部寛)も居り、里美は彼の著書を読んだことがありました。
稗田は「私が妖怪大好きで学会を追われ、最近ようやく再就職した稗田です」的な自己紹介をしました。
どう見ても上田です。
彼は神隠しのことを調べている内にハナレのことを知り、調査に来たと言います。
霧島は稗田の依頼でハナレの記録映像だというフィルムを上映してくれました。
畳の上に男性が集まって、キリスト教と神道を混ぜたような祈りを捧げているんですが「じゅすへるの子」、「ぱらいそ」、「永遠の命」という単語が出て来たようです。
里美が神隠しに遭ったことを打ち明けると皆は驚き、稗田は彼女と行動を共にすることになります。

稗田は里美を村の長老・妙(草村礼子)の所に案内し、一緒に話を聞くことにしました。
彼女は神隠しは50年に一回程度発生していると言い、明治17年には彼女の兄が神隠しに遭ったそうです。
理由は不明ですが、神隠しに遭うのは7歳の子だそうで、ハナレが疑われて村八分が酷くなったそうです。
妙はハナレの人間は死なないと驚くべきことを口にしますが、二人は帰り際に彼女の孫だという人物が弾くピアノの演奏を耳にしました。
これはベートーヴェンの悲愴ですね。プロがわざと下手に弾いている感じです。
その夜、里美は断片的に記憶を取り戻し、自分と新吉が神隠しに遭う際にもう一人の少年が自分に行くなと止めていたことを思い出し、その際に震度三程度の地震がありました。
翌日、里美は加納と霧島に江戸幕府による奥羽崩れの際に渡戸村の宣教師が焼かれて見せしめのために骨を撒かれたといい、村民の間では聖地と呼ばれるカルバリ山を案内してもらいます。
幕府による取り締まりの際にハナレの住人は平然と踏み絵をクリアしたそうで、幕府に渡戸のことを密告したのもハナレではないかという噂が立ち、村八分になったそうです。
その件とは直接の関係は無いそうですが、ハナレには未だに電気・ガス・水道のインフラが整備されていないそうです。
さて山を登ると先に稗田が来ていたのですが、彼は駐在を呼びに行くと言います。
山の頂上の十字架には何者かが磔にされていたのです!
横溝正史みたいな怖さでいいですね。

村では周囲の道路が土砂崩れにより孤立した状態になってしまい大騒ぎでしたが、そんな中カルバリ山での事件が駐在の耳に飛び込んできました。
死亡していたのはハナレに住む善次という男性だったのですが、霧島は異教徒はお断りと声を荒げて遺体預かりを拒否しましたが、駐在にやんわりと説得されて遺体を地下室に一時預かることになります。
死亡推定日は一昨日辺りだそうで、駐在はそういえば重太が来ていたなあと思い出し、霧島と共にハナレに事情聴取に行くことにしました。

その後、稗田は龍尊寺の住職(一龍斎貞水)から明治17年の神隠しでは妙が帰って来たのだと聞きました。
この住職は夏になると怖い話してた人ですよね?子供の頃見た記憶があります。
稗田は他にも妙が神隠し後に簡単な予知能力を身に着けたこと、妙と一緒に暮らしているのは孫では無く静江という村の付近をさまよっていた正体不明な人物であることを聞きました。
その際に妙は静江は江戸時代に神隠しに遭った子である、地獄を見てきたと言ったそうで、古文書を調べた所、彼女のことが載っていたそうです。
稗田は、里美と共に妙を訪ね諸々のことを質問するのですが、妙が答えたのは「私は6歳だったし、マリア様が守ってくれた」、「神隠しは遊び相手を探しているのが原因」という煙に撒くようなものでした。
稗田は江戸時代に書かれた古文書からディエゴという宣教師が恐ろしいものを見て自殺していたということを里美に教えました。

その後、里美と共に神隠しに遭った小杉新吉が当時のままの姿で発見されますが、彼は周囲の言葉には反応せず、ひたすらフィルム内の村民が唱えていた祈りを繰り返していました。
そこになぜか妙が着物姿の静江(ちすん)を連れて現れ、皆がそちらに気を取られている間に新吉は煙のように消え失せました。
里美は少し記憶が甦り、自分が新吉をハナレに誘ったことを思い出しますが、静江はなぜか「あなたの所為じゃない」と彼女に告げました。
静江がバッチリメイクしてるのに違和感があります。
その夜、旅館で新吉の姿を目撃した里美は翌日、ハナレに同行したいと稗田に申し出ました。

翌日、駐在と霧島、加納と稗田、里美はハナレに向かいました。
ハナレには車で行けないので山中を歩くのですが、ハナレに近付くにつれ、なぜか全員の時計が動かなくなりました。
一方、教会の地下に保管されていた善次の遺体はゾンビのように起き上がり、教会を出て行きました。

感想

これはなかなか面白いです。
「生命の木」というお話を映像化したものだそうです。
カルバリ山の映像は安いのになかなか良い雰囲気で、なぜかビヨンドを思い出しました。
古文書等の小道具や古い家等も良く作りこんであると思います。地獄もありますよ!
展開も支離滅裂なのですが、フルチさんの映画が好きな人はセーフかもしれません。

テキトーなことを言うとかなり映像は頑張っていたと感じますので、短編にすると良かった気がします。

生命の木は読んだこと無いのですが、暗黒神話は実家にあったので読みました。
絵が可愛くないのでふーんって感じで読んだんですが、面白かったです。
余談ですが、こういう食わず嫌いなパターンは画太郎先生や福本先生の漫画もそうでした。
後、JOJOも楳図先生の漫画も絵が苦手だったんですよね。

里美役は存じ上げない方ですが、清純な感じで唇がセクシーという不思議な感じの人で何となく金麦の人に似てますね。
稗田の人はファンなので嬉しかったたです。温泉サービスもありました。
でもどうしても真面目な上田に見えました。
静江は美人でしたが果たして必要だったのか?
霧島はツッコミ役で笑いしかとってない気がしたけどいいのか?
サン・ジュワンがあんなに貧相なおじさんでいいのか?
等配役に関しては色々とツッコミ所が多いみたいです。

結末付近は超展開で笑ってしまいましたが、ちょっとガッカリもしました。
これは評価が分かれそうな気がしますが、私は割と面白いと思いました。但しガッカリ部分に脳内フィルターを掛けた結果ですが。
ネタバレすると色々と投げっぱなしでさらに「この映画は投げっぱなしです」って宣言されるので怒る人は物投げるレベルだと思います。
後、駄洒落が許せない人も要注意です。

ラストまでのあらすじ

ハナレとはカムイ伝に出そうな小屋が集まった集落で、なぜか無人でした。
東北の山中でこれはヤバいと思いました。
重太だけが残っていたのですが、彼は皆はぱらいそに行ったと言いました。
善次は他の村人達によってキリストの磔刑を再現するようなことをされたのが原因で死亡したようです。
稗田の調査によればハナレの聖書では神が楽園を追ったのは「あだん」と「じゅすへる」ですが、じゅすへるは生命の木の実を食べたことで不死身になり、彼の子孫も不死身だったそうです。
神はそれを怒り、じゅすへる達をいんへるのに落としたということです。
稗田によれば知恵の実と生命の実を食べた者は神と同じ力を持つそうで、日本に宣教師が渡ってきたのも生命の木が日本にあるという伝説があったからだそうです。
てっきりHPが増えたり、知力が増えたりするものだと思ってました。
重太は洞窟の手前に皆を誘導し、稗田はおもむろにスースの内ポケットから懐中電灯を出して突撃しました。
この人は懐中電灯持ち歩いてるんでしょうか?凄く自然に出してました。
里美は自分がこの洞窟に新吉と一緒に来たと思いだし、彼女もおもむろにリュックから懐中電灯を出して稗田の後を追い、ついでに霧島もついてきました。
里美が閉所恐怖症っぽい理由はこれだったようです。それにしても懐中電灯って1972年に流行ったんでしょうか?

洞窟の奥に進むと広い礼拝堂に出たのですが、壁には血管状の模様があり、禍々しい感じです。
里美はここに来て新吉はこの先の穴に入り、自分は逃げ出したことを思い出しました。
すると黒マントを羽織って赤い顔をした三人の小柄なおじさんが現れました。
重太が突然現れて「さんじゅわん様、おらも連れてってくだせー」と跪いて彼等に手を合わせます。
さんじゅわんというのは聖ヨハネのことらしく、稗田曰くそれぞれが「洗礼のヨハネ」、「使徒ヨハネ」、「黙示録のヨハネ」ではないかということです。
稗田がさんじゅわんにハナレの人来ませんでした?と質問すると真ん中の人(白木みのる)が床を指差し「いんへるの」と答えます。
いつの間にか、稗田達とさんじゅわんの間には巨大で深い墓穴のようなものが出来ており、奥の方では炎が蠢いているようでした。
覗き込んでみると底では無数の人が蠢き、炎に巻かれているようです。
やっぱり地獄描写は面白いですね。安いけどちょっと怖いです。

稗田は突然、重太はじゅたつでユダ、善次はじぇずでイエス、じゅすへるはルシフェルと駄洒落のようなことを言い出します。
そういえばアメリカは日本だった!みたいな本ありましたね。オハイオでおはよう!
彼の仮説はハナレの人達はじゅすへるの子孫で、知恵の木の実を食べていないため知能が低く、ある時が来ると地獄に落とされるのだということです。
突然、新吉が現れたので、里美は彼の手を取り「一緒に帰ろう」と誘いますが、新吉は「人間界に疲れた、ぱらいそに行きます、里美ちゃんも一緒に来ない?」的なことを言いだし、彼女が来ないと悟るといきなりいんへるのに身を投げてしまいました。
フルチさんばりに支離滅裂です。そもそも神隠しの理由の説明が無いです。
7歳の子供が一度地獄に落ちて「人間界に疲れた」という理由も不明です。
それになんで帰って来られたんでしょうか?

忙しいことに善次まで登場してしまいましたが、イエスが3日で復活したことに由来するようです。
どうやら彼はいんへるのの人達を救いに来たようで彼は両手を広げて「おらと一緒にぱらいそさいくだー」と叫びました。
いんへるの人達は新吉と一緒に折り重なってゾンビ映画みたいなイヤなピラミッドを形成していたのですが、そのまま光り輝いて満面の笑顔で天へと昇り、善次とさんじゅわんも天へと昇りました。
善次の台詞は原文ママです。
霧島はずっとツッコミ役で頭を抱えたりしながら「バカな!」、「神は一人だ!」等とツッコんでました。
重太だけユダなので天国に行けないようですが、意味が分かりませんでした。

霧島は「ヒー」と言って悪霊のように退散し、洞窟が崩れ始めたので稗田と里美も退却します。、
外に出た里美はポカーンと天に昇る光の十字架を見て「全ての罪が光となって消えていくようだ」と凄いことを思っていました。
その頃、静江が妙と一緒に「あの子達を返してください」と教会で祈っていたのですが、その結果、神隠しに遭った子が
帰って来ました。

里美は後にこの事件を「ハナレの人が何者で、なぜあそこにいたのか?重太はなぜぱらいそに行けなかったのか?いんへるのは地獄だったのか謎のままである」と回想しています。
彼女は更にハナレの人達は今の自分達より無垢人間であったかもしれないけど、我々とどちらが幸せだったろうと的なことを考えます。
この人は可愛い顔してメタ発言やら意味不明なこと言ってひどいです。
私はこの台詞を聞いた時に食人族のモンローを思い出しました。そういう映画じゃねえだろ!ってツッコみたいです。

稗田は東京の街角でホームレスになって町を彷徨う重太とすれ違いました。

エンドロールで終了です。

重太はどうやって上京したのでしょうか?
結局、定期的に起こる神隠しとはなんだったんでしょうか?
ダムの件と今回の件は何か関係があったのか?謎は深まるばかりです。

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