ガルフ・ウォー
その戦場に真実はあるか
制作年 | 1998年 |
制作国 | アメリカ |
監督 | ロッド・ホルコム |
脚本 | ジョン・セイクレット・ヤング |
上映時間 | 115分 |
出演 |
テッド・ダンソン |
ジェニファー・ジェイソン・リー |
ブライアン・デネヒー |
だいたいのあらすじ
1991年
テリー(ジェニファー・ジェイソン・リー)はバーで知り合った陸軍特殊部隊のクリス(マット・キーズラー)と付き合うようになり、短期間でプロポーズされて結婚しましたが、彼は直後に出兵し湾岸戦争の砂漠の嵐作戦へ参加ししました。
1月20日 イラク
クリスが撮影した家族向けのビデオレターには化学兵器の警報に慌てる兵士の様子が録画されていました。
クリスは移動中に上官のスミスと共に化学兵器で死亡したと見られる動物の死骸を発見するのですが、周囲の蠅も死亡していました。
2月24日 砂漠の剣作戦
米兵は飛び交うミサイル攻撃を合図に進軍し、戦車隊の一部の兵士は致死量のマスタードガスによる毒ガス攻撃を受けました。
後に戦争は終結し、アメリカ兵は帰還しました。
3月 ワシントン ジョージタウン
ベトナム帰還兵のジム(テッド・ダンソン)は妻から米兵帰還の様子を聞かされ、戦争のことは思い出しくないと話していました。
ジャレッド(スティーヴン・ウェバー)はテキサス州のウェイコから戦後の撤収支援のため、イラクへと出発しました。
クウェートに到着した彼は民間の処理会社で勤務し、同僚のジミー、レイフと知り合い、ドラム缶等の処理を行います。
ジャレッド達は勤務時間中は休む暇なく働かされ、休日はありませんでした。
また派遣先の企業は防毒マスクや防護服といった装備を貸し出してくれませんでした。
ジャレッドはどこかから防護服を調達してきて、皆に配布しました。
クリスは帰国後、発熱が続くようになり、正格も暗くなってしまいましたが、本人も原因は分からないようでした。
体重は16kg落ち、顔には吹き出物が出来たので軍医の診断を受けるのですが、精神的な疾患が原因であり、従軍との因果関係は無いと診断されます。
退役軍人省では湾岸戦争の帰還兵は肉体的なダメージを受けているが、殆どが精神疾患だと診断され、治療費の補助も行われないと帰還兵の一部が政府に対する訴えを起こしていましたが、訴えは黙殺されていました。
ジャレッドはその後、帰国してテキサスの姉ジェリリン(マーグ・ヘルゲンバーガー)の夫婦の家を訪ねますが、妊婦だった姉は出産していました。
彼は脳に悪性腫瘍が出来て危険な状態に陥っており、それを知ったジェリリンは彼を入院させようとします。
ジムは体調不良を訴えて入院していた帰還兵と対面しますが、彼は軍医のダブ(マーサ・バーンズ)から「あなたの症状は湾岸戦争とは無関係」と怒鳴られていました。
彼も頭に腫瘍が出来て手術を受けたので回復しないそうです。
しかし議員の質問会に出席していたダブは「兵たちの体調不良は原因不明」と言っていたのに「湾岸戦争との因果関係は無い」と断言してロックフェラー議員に矛盾を突かれており、傍聴していたジムも彼女は信用できないと考えるようになります。
ジャレッドは腫瘍の手術を受けて99%の腫瘍を取り除くのですが、2つの癌細胞が複雑に絡み合った珍しいケースだと医師に言われ、ジェリリンと母はジャレッドは余命1年と宣告されてしまいました。
クリスは慢性的に体調不良となり、日常生活に支障を来すようになっていました。
しかし健康に問題がありと判断されると除隊となるため、クリスは医師の診断を受けるのは止めると言い張ります。
テリーは軍医に詰め寄るのですが、診断は完璧だったと彼は言い張り、とんでも無いことに「手違い」で医療記録を紛失していました。
ある日、クリスは家の付近で倒れ、危険な状態に陥り、ワシントンの病院に搬送されることになりました。
テリーは念のため、クリスのカルテを盗みますが、圧力が掛かったのか医師はクリスの症状は湾岸戦争に起因したものでは無いと言いだし、搬送も中止となります。
怒りのテリーはマスコミに情報を売り込み、マスコミの力で軍や政府を告発しようとしました。
ジムは相変わらず帰還兵と面会したり証拠集めに追われていました。
ある日、彼は名も知らぬ密告者とベトナム戦争慰霊碑の前で会話し、化学兵器と警報について調べろとヒントを貰いました。
ジムはその後、リーグル上院議員(ブライアン・デネヒー)に調査結果を持ち込み、協力してもらうことになりました。
リーグルは退役軍人省の上院質問会で軍に鋭く切り込むロックフェラーの友人で上院質問会で証言してくれることになりました。
彼は前線に立った兵士達が化学兵器に汚染された可能性を指摘しました。
それに対し、軍や退役軍人省の関係者は相変わらず「調査します!」という回答をするだけでした。
テリーはクリスと共に陸軍のパーティーに出席するのですが、マスコミに情報をリークした彼女は周囲から白い目で見られ、彼女の事を物乞い呼ばわりするような張り紙があったので帰宅します。
クリスはハワイに転属となり、テリーは彼から離婚を通告されました。
ジャレッドが意識不明だと知り、クウェート時代の同僚が励ましに来てくれたので意識が戻りました。
しかしジャレッドはその後、痙攣のような発作を起こし、母とジェリリンは彼をテキサスの実家に連れ帰ることにしました。
きっかけとなったのは湾岸戦争症候群を主張するジェリリンに「根拠が無い。あなたが祈る神はなぜジャレッドを助けないのか」という医師の一言でした。
調査を進めていたジムはイラクが使用した化学兵器の一部はアメリカが輸出したものだという恐ろしい事実を突き止めます。
ジムの調査結果を聞いたリーグルは自身の政治生命を賭けて証言することにしました。
ここはカッコ良くて感動しました。
感想
これは普通です。
題材は戦争なのですが、戦闘シーンは殆ど無く、湾岸戦争症候群を扱ったものです。
後遺症とかそういった話なのかなーと観ていたのですが、段々と陰謀よりの話になって来ます。
正直、今となっては題材が古く、真偽の程は分かりませんが、少なくとも後年アメリカはイラクの大量破壊兵器の存在は否定しています。
登場人物が沢山出て来て私には誰が誰やら理解するのが大変だったのですが、段々と話が繋がって来てわかる様になりました。
完全な群像劇で誰が主役ということは無く、各パートで話が進みます。
クリスが前線に立った兵士の立場で、ジャレットが終戦後にイラクに派遣されたという立場、ジム達が政治的な立場ということになります。
ドキュメンタリー風にしてあり、当時の映像や関係者のインタビューもちょいちょい入ります。
最後まで観ても分からなかったのがジムの職業で、この人は議員付の調査官か何かなのでしょうか?
どの会議にもリーグルの後ろの方に出席しており、重要人物っぽいのですが、私の知識ではこの人が何なのか分かりませんでした。
女優陣だとテリーが一番メジャーだと思いますが、ジェリリンの人もスピーシーズとか出てましたね。
リーグルの秘書のタミーというおばさんが大人女性という感じで素敵です。
そういえばイラクで女性兵士の姿が良く映っていたのですが、帰国後の彼女のエピソードは無かったのです。
あれは何だったのでしょうか?
ラストまでのあらすじ
ジムには早速圧力がかかり、報告書を提出しないように通告されますが、リーグルは徹底交戦といいう構えで、自分は大統領と直談判して、秘書のタミー(エイミー・カールソン)にはホワイトハウスと国防省にも報告書のコピーを送るように指示しました。
リーグルはこの問題を輸出管理に関する報告会で問題提起し、「湾岸戦争症候群」の存在も明言しました。
国防総省はイラクで実際に化学兵器が使われたという証拠は無いが、兵士が化学兵器に接触した可能性は否定できないと回答しました。
検出報告の誤りの可能性に関する質問をした所、M-8とM-256という検出器でM-256の検知率は高いという回答だったので、今回の報告書には-256が化学兵器を検出したと記載があると指摘し、化学兵器が無いという報告と矛盾するのでは?と指摘しました。
最後にリーグルは事実を早めに明確にし、兵士やその家族に安心を与える必要があると〆ました。
ジムはその後、内部告発者と会い、帰還兵の住所と治療記録のリストを受け取り、これ以上は協力できないと言われました。
テリーはハワイに赴任したクリスが軍病院に入院し、その後脱走したと電話で聞かされ、直後にクリスが訪ねて来ました。
彼はその後、、除隊したようでテリーが出産した娘アレックスと三人で暮らしています。
ジャレッドはその後、帰宅してから帰らぬ人となり、クウェートの友人達も葬儀に参加しました。
1996年の湾岸戦争の後遺症に関する大統領審議会には化学偵察隊の指揮官だったグラスが証言します。
彼は1991年の2月28日に致死濃度のマスタードガス、臭化ベンゼンをイラクの施設付近で検出したと報告しました。
軍は誤報によるものの可能性が高いとこの報告を否定しました。
ジムはホワイトハウスの前で「軍の過ちをいつか認めさせてやる」と吠え。妻に化学兵器の恐ろしさを説き、これからも戦うと宣言しました。
エンドロールで終了です。