ラスボスの目玉の動きが怖いです ダブル・ビジョン

ダブル・ビジョン

ほんとうに、ほんとうに、邪(よこしま)なものを見た。

制作年 2002年
制作国 香港/台湾/アメリカ
監督 チェン・クォフー
脚本 チェン・クォフー/スー・チャオビン
上映時間 113分
出演
レオン・カーフェイ
デヴィッド・モース
レネ・リウ

だいたいのあらすじ

どこかの病院で出産している女性が居たのですが、腹部を切開して産まれて来た子の一人は死産で、瞳孔が二つある重瞳でした。

台北市
台湾警察国際部のホアン・フォトウ刑事(レオン・カーフェイ)は妻子の待つ家には帰らず、ひたすら警察署の寝泊まりしており、同僚から気味悪がられています。
彼は少女を人質にした犯人が少女の頭を撃ち抜くと同時にヘッドショットで射殺されるという幻覚を見ています。
台湾警察署内では署員が勤務中にカラオケに興じたり、司法とズブズブだったりと腐敗が進んでいるようです。

ある日、大豊化学という会社の高層ビルの一室で社長が変死したので警察が出動します。
彼は熱いさ中だというのに異常に寒がって蒸し暑い社内の冷房を切らせ、毛布を被って死亡していましたが、検死官(ヤン・クイメイ)によると死因は溺死で、鼻の中が凍結しているということです。
ホアンも現場に駆け付けて「管轄外だろ!」と他の刑事に追い払われそうになるのですが、彼は不法就労者を逮捕しに来ただけでした。
ホアンが署に戻ると、妻のチンファン(レネ・リウ)と小学生の娘メイメイが来ており、彼女はメイメイの三者面談に出て欲しいとホアンに頼みました。

社長の遺体は内部組織が完全に凍結しており、肺から水は検出されず、脳内と鼻孔から黒いカビが検出されました。
また、マンションの一室で新聞紙の自然発火により、議員の愛人女性が焼死しました。
火災シーンがしょぼいです。
彼女は消防に通報していたので、消防団と警察が駆けつけたのですが、部屋は燃えた形跡は一切なく、愛人女性だけが極度の脱水症状が見られる燃えていない焼死体として発見されまいた。
こうして実際には溺れていない溺死体、実際には燃えていない焼死体が出現してしまい、検死官と担当刑事は頭を抱えながら署長に「死因が分からない」とありのままを報告するのですが、「議員の愛人騒動に巻き込むな!」と迷惑そうな様子で「死因は心臓発作とでもでっち上げろ」的なことを指示しました。

ホアンはメイメイの学校を訪ねるのですが、彼女は同級生男子に髪を切られて目を引っ掻く等の仕返しをしており、担任教師は過剰に反撃するメイメイを問題児扱いしており、特殊学級に入れた方が良いとまで言われてしまいました。
またホアンは把握していなかったのですが、帰りに立ち寄った病院ではメイメイにきちんと薬を飲ませるように釘を刺されます。
父を外で待っていたメイメイは退屈だったので病院の標本室に忍び込むのですが、そこで重瞳の赤ちゃんの標本を目撃しました。
一方、信理教会という教会でベッドで寝ていた白人のロレンゾ神父が腹部から血を流して悲鳴を上げて死亡していました。

久し振りに自宅のソファで寝ていたホアンは白人が死亡したので担当となり、呼び出されるのですが、家を出る際にチンファンが裁判所から取り寄せた離婚協議書を見付けてゴミ捨て場に捨てました。
検死官によるとロレンゾは寝ている間に複数の男に腹を裂かれて腸を取り出され、犯人は水洗いした腸を元に戻して縫合されているという見立てでした。
腹部の雑な縫合痕には道教の呪文のような文字が書いてあり手を拘束されていた筈ですが、手首に外傷はありませんでした。
猟奇的な事件が起こってしまったので、警察は三つの事件に関連性があると判断せざるを得ず、マスコミにも連続殺人事件として発表しました。
台湾警察は政府機関を通して、FBIのプロファイリングの専門家であるケビン・リクター(デヴィッド・モース)に捜査協力を依頼しました。

英語が得意なホアンがケビンの通訳となりましたが、チンファンが他の男に車で送られているのを目撃していたので
大荒れでした、
ケビンはロレンゾの腹部に書かれていた模様は道教教会に問い合わせ中だと聞き、宗教の専門家をあたるよう指示します。
細々と指示を与えるケビンは台湾警察に主導権の侵害であると受け入れらず、現場の刑事達は非協力的でした。
ホアンはケビンを殺害現場に案内することになり、移動中にケビンから「君が通訳に推薦されたのは台湾警察の腐敗と戦った過去があるから」と言われるのですが、「若気の至りで、恥ずかしいことをしたと後悔している」と返答しました。
更に「俺は上からの命令で動いているだけだから、期待するな」とケビンに釘を刺すのでした。

ロレンゾ達の現場を見て回ったケビンはエアコンから丸い弾を発見しましたが、その弾は他の被害者のエアコンにもありました。
弾は顔像エアライフルから撃たれたようで、弾には穴が開き、中にはカビが入っていました。
どうやらこの弾をエアコンに撃ち込んで、そこからカビを被害者に吸わせたようです。
犯人がなぜ被害者をターゲットにしていたのかを探っていたホアンは三人が殺害の前日に新聞記事に掲載されていたという共通点を見出して同僚に知らせるのですが、事件の解決に消極的な同僚はケビンが事件を解決してもお前は妬まれるだけだと深入りしないよう忠告しました。
一方、ケビンは署に来ていたチンファンとメイメイと出会い、英語が堪能なチンファンからメイメイがある事件以来2年間言葉を失っていると聞きました。

ロレンゾの腹部にあった文字の件を問い合わせていた専門家からは中国で発掘された「真仙観」という道教の寺の壁画に似たような模様があったという報告を受けました。
その文字は地獄からの閻魔大王の呪いを意味するそうです。
専門家の部屋には亡者が苦しむ「氷地獄」、「舌抜き地獄」、「腸抜き地獄」、「心臓抜き地獄といった不気味な絵が飾られており、ケビンは東洋の地獄観を興味深げに眺めていました。
また真仙観の石碑には他にも道士が薬を練る方法を記した文献なども存在していました。
その頃、真仙観にはマフィアのような連中が出入りし、信者の一人の背中をナイフで斬り、手を突っ込んで臓器を取り出していました。

ホアンは石碑にあった紋章の頂点とと文献にあった文字の位置を合わせて「富、妙、景、旺」という四つの文字を導き出します。
富と妙が二人の被害者の名前に含まれている文字であり、景は中国で昔、キリスト教のことを「景教」と呼んでいたことからロレンゾを表しているのではないかとケビンに意見を述べます。
また、別の碑文を重ね合わすと「不、信、鬼、神、者」という文字が導き出され、「不信心者」の意味で、また別の碑文を合わせると「少、陽、太、陰」と読めました。
ということで次の被害者は名前に「旺」の含まれる人物ではないかと予想しました。

FBIに分析を依頼していたカビはカビでは無く、菌のような生物であることが判明し、ダニを媒介として被害者に移動したようです。
被害者の体内からは大量で高濃度のセロトニンとドーパミンが検出されたそうで、これはコカイン1トン分の相当し、つまり恍惚とした状態だったということです。
恐らく被害者が見たのは幻覚だろうということですが、未知の事が多くて詳細はまだ分からないそうです。
犯人は被害者の見る幻覚を意図的に選ぶことができたのか?等の謎が残りました。

ホアンは同僚刑事が「陳両旺」という人物が殺されたと知らせ、迎えに来たので車に飛び乗ります。
彼もまた、両親が自殺したという内容で二日前に新聞に名前が載った人物で、道教の寺に通っていたそうです。
陳両旺は真仙観で臓器を掴み出されて死亡していた人物で、彼を運んでいた車の犯人二人組が前の車のチンピラと言い争いになった後に消えたので発見されたようです。
ケビンとホアンは状況から見て彼が連続殺人の四人目の被害者だと断定しました。
屋台で宗教観の話をした二人は悪霊を信じるというホアンとケビンの間で多少の軋轢が生じます。

帰りの車内でホアンはケビンにメイメイの事件を語るのですが、それは署の廊下でチンファンの従弟ユアンがメイメイを人質に取って逆上し、射殺される前にメイメイの頭を撃つというものでした。
事の発端はホアンが警察の腐敗を告発した際にユアンが逮捕されて懲役15年になったことの逆恨みでした。
幸い、メイメイを撃った弾は頭をかすめただけで彼女は無事だったのですが、その後、言葉を発しなくなったことで、ホアンがあの時、メイメイが何か人外というかそういうものを見たのではないかと考えているようです。
また、彼は一度も銃を撃ったことが無いそうで、ユアンを射殺したのは同僚でした。
ホアンはそのことを悔やみ、帰宅することを避けてずっと職場で寝泊まりしているようで、彼が最初に見ていた幻覚はこの事件のものでした。

陳両旺の背中の傷からはお札が出たのでホアンはまた専門家のション博士に見てもらうことにしました。
お札の写真を見たションは「永遠の命を望んでいる」と言い、道教の一部宗派の地獄が「氷、火、腸抜き、心臓抜き、舌抜き」の五つであり、五つの地獄を抜けると永遠の命が与えられるとだと言います。
犯人は恐らく永遠の命を得ようとして地獄を再現しようとしているようで、宋の時代にウォンシャンという人物が多くの半人間(不道徳な罪を犯した者)を殺害して永遠の命を得たといいます。
ウォンシャンは重瞳であったということで、そのような目のものだけが半人間を見分けられるということです。
犯人は重病人である可能性が高いそうで、また、「少陽太陰」の意味は5~7月の季節を差すそうで、フォトウ(火土)のことだそうです。
ホアンの名ですね。

ケビンは四人目の被害者の遺体が発見されたバンから紫外線と静電気を遮断する素材が発見されたことから、ICチップの輸送に用いられている車ではないかと睨み、事件の背後にはハイテク企業がいるのでは?とホアンに連絡しました。
その後、バンは第一通信社という売却された企業のものだと判明しますが、経営者の二人タオションとイーホンは真仙観を中国から解体して台湾に持ち込み、ビルの中に完全復元した後に出家したそうです。
警察は真仙観に踏み込むのですが、剣で武装した信者と激しい戦闘になり、手や足、首を斬られる等の被害が出てしまい、信者にも多数の死傷者が出ます。
グロイです。
死闘の末、容疑者のイーホンは射殺され、タオションは逮捕されました。
また、寺院の床下からは腹部に傷がある死体のような少女が発見され、病院へ搬送されました。

感想

これは普通です。
道教をベースにした連続殺人が発生し、それを追う刑事の話です。
中半位までミステリータッチなのですが、後半はホラーになります。
大筋はわかるのですが、細かい所で良く分からなかったのと、結末付近が何が何やらという感じでした。
ただ、テンポが良いのと映像が重苦しい感じで雰囲気が良いと思いました。

ホラー的な見せ場は寺院と警官隊の死闘の部分と後半の少女のナゾの術部分でしょうか?
重瞳と五大地獄の話は興味深いと感じたのですが、不明点が多いです。

まずあの教団が何をしていたのか良く分かりませんでした。
指導者は誰で、何をするために集まっていたのでしょうか?
私には少女が教祖となるのは無理があるような気がして、少女の話を聞いたタオションとイーホイが指導者的な立場だったということでしょうか?

カビの正体や分泌物のメカニズムも良く分からず、少女があれを培養できた理由も良く分かりません。
今回の事件の中でホアンの名が出て来たのですが、彼が絡んだ理由も分かりませんでした。
ただ、この辺りは劇中でケビンが「毎回、解決したと言うが、実は何も解決してない」的なことを言っていたので、その辺にかけられているのかもしれません。

何だかとてもモヤモヤしてしまうのですが、全体的には悪くない気がする不思議な映画でした。

ラストまでのあらすじ

病院に収容された少女は腫瘍に脳を圧迫されており、手術が不能だったそうで、腹部の傷は皮を剥ぎ取られて菌の培養に使われていたということです。
また逮捕されたタオションは犯行を自供したということでした。
事件は解決したのでケビンは帰国することになり、最後の夜だったのでチンファンに夕食に招待されました、
彼なりにホアン夫妻を取り持とうとしたらしく、その夜、ホアンとチンファンはベッドを共にしました。

翌朝目覚めるとケビンは自分の舌を抜いて死亡しており、鼻孔からはあの菌が採取されました。
これで五つの地獄が揃ったということでしょうか。
やはり同じ部屋のソファで寝ていたホアンにも異常が出て病院へと搬送されました。
ホアンは薄れゆく意識の中で「重病人だけが真に覚醒する」というションの言葉と寺院から収容された少女の件を思い出していました。
意識を取り戻したホアンは同じ病院に収容されている少女を捜すのですが、彼女は病院から脱走していました。
ホアンが意識を失っている際に少女は彼の病室を訪ねたそうで、「自分が殺人を犯した。寺院の地下で修行していた。これからも信者無しで修行する」と告げていました。
こういうシーンはありませんでした。

ホアンはチンファンの留守電に少女が病室で告げたことを伝言し、寺院へと向かいました。
寺院の入り口には拳銃で自殺していた人物が居たので拳銃を奪い取ります。
奥へ向かうと少女が天井に貼り付き、細菌ダニを埃のように撒いていましたが、彼女の瞳は重瞳でした。
ホアンは彼女に銃を向けるのですが、手に火が点いた幻覚を見せられて阻まれます。
床に降りて来た彼女を逮捕しようとうするホアンはユアンにメイメイが撃たれそうになっている警察署の廊下に飛ばされ、メイメイが撃たれた後にチンファンが「本当に私達を必要としていた?」と質問しながら拳銃自殺をするという幻覚を見せられます。

無力化して床に突っ伏して泣き叫ぶホアンに「私を殺せ」と少女が拳銃を自分の頭に突き付けますが、彼が反応できずにいると少女はホアンの腕と脚に発砲した幻覚を見せ、「私を撃てばお前も死ぬ」と告げました。
ホアンは少女の頭を撃って殺害し、脳味噌のはみ出た彼女をタクシーに乗せて病院へと運びました。
なぜか弾はかすめただけだというこで少女は無事でしたが、ホアンに彼女の瞳のことを聞かれた医師は17年前に彼女は双子として誕生したが、姉は重瞳であり死産だったこと、少女は脳腫瘍により幻覚を見ており標本となった姉を発見してから「姉は永遠の命を手に入れた」と妄言を吐くようになったということでした。
そして自宅では署名済みの離婚協議書を見付け、チンファンがメイメイを虐待しており、少女に変わったので撃ちますが、全ては寺院に入った時に見た幻覚でした。
ホアンの足元には血まみれの少女が倒れており、「先に逝くね」と言って死亡しました。

警察が駆けつけた時には少女は死亡しており、ホアンもまた菌を大量に吸ったので心停止していました。
チンファンが心臓を叩き続けますが、蘇生する筈も無く、メイメイが「パパ」と呼び掛けても反応しませんでした。
彼は閉じた目から涙を流しており、まるで泣いているようでした。

エンドロールで終了です。

死因は置いておいて、ストーリー上でホアンが死ぬ理由が良く分かりませんでした。
医師の説明は幻覚の中だと思えるのですが、少女がこれ仕込むでしょうか?

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