横柄な分身 ドッペルゲンガー

ドッペルゲンガー

分身、見たら死ぬ。

制作年 2002年
制作国 日本
監督 黒沢清
脚本 黒沢清/古澤健
上映時間 107分
出演
役所広司
永作博美
ユースケ・サンタマリア

だいたいのあらすじ

永井由佳(永作博美)はホームセンターの駐車場で弟の隆志と出会ったので「おーい」と呼び掛けるのですが、彼は反応はしたものの無言で立ち去ってしまいました。
彼女が車で帰宅すると家のリビングでは隆志がTVを観ていたのですが、彼はホームセンターには行ってないと言います。
その後、警察から電話があり隆志が死亡したので病院に来て欲しいと言われ、家の隆志も消えていました。

メディカルサイテック社の研究員・早崎道夫(役所広司)は助手の青木(戸田昌宏)、高野(佐藤仁美)と介護用の人口じん帯ロボットの開発を行っていました。
これは要するに車椅子にアームを付けたような物で首に付けたセンサーで意思を伝えて自分の手足のようにアームを操ることが出来るという物でした。
なかなか卵を割る等の精密な動作がアームには行えず、早崎はピリピリしていました。
同僚の村上(柄本明)からはロボットの開発の予算が撮り辛いとペースメーカーの開発を打診されますが、早崎は断りました。
早崎はいつも助手を怒鳴りつけていて、私だったら10秒で死滅しそうです。

高野から「知り合いの弟が自殺したのだが、ドッペルゲンガーを見た所為らしい」とかいう話を聞いた早崎は興味ないと言い切ります。
これ由佳です。
その帰り、早崎は通用口で預けていた車のキーを受け取ろうとするのですが、「さっき渡しましたよね」と言われてしまい、車を確認すると運転席ドアーにキーが挿さっていました。
帰宅した早崎は自分と同じ姿をしたドッペルゲンガーを目撃してしまい、見なかったことにしようと目を反らす早崎を覗き込むようにして偽早崎は消えました。
一方、由佳は偽隆志が家に居着いたので、一緒に暮らすことにしたようです。

早崎は村上経由で社長から管理職になって開発職からは退くように打診され、より一層イラチ度がアップします。
帰りに駐車場に行くと、今度は車が無くなっていたので、早崎は行きつけのいつもアマリリスがBGMに流れている喫茶店で一息入れます。
そこに早崎を粗暴にした感じの偽早崎が入って来て後ろの席に座り、ウェイターに「同じもの」と早崎の席を示すので、早崎は恐ろしくなって逃げ出しました。
帰宅すると偽早崎が家に居り、勝手にレポートを見て、お酒を呑んでくつろいでいました。
早崎が「お前は誰だ?」と質問すると「お前だよ」と返答され、追い出そうとしても無視され、見なかったことにしようとしても、ちょっかいを出して来ます。
偽早崎は「お前は人間が小さすぎる!俺と一緒に楽しもう」的なこと言い、早崎は「俺が俺にに説教するな!」とブチ切れます。
私的には偽早崎の方がいいです。画面分割で二人の立ち位置を上手いこと表現しています。
早崎が「出ていけ!車に乗るな!お陰で徒歩だ!」と色々言うと偽早崎は面倒臭そうに出て行きました。

まだ開発中のロボでしたが、役員の前でデモをすることになり、アームで卵を割るという技を披露します。
めっちゃシュールです。
ひとまず予算は採れたのですが、早崎はイライラとプレッシャーの板挟みに苦しみます。
うんうんベッドでうなされる早崎の肩を偽早崎がポンと叩き、「俺に任せとけ」と言ってから研究室に
行き、部屋の中をしっちゃかめっちゃかに破壊してしまいました。
出社した早崎に「そんなに俺が気に入らないのか」と落胆した村上が言い、早崎はクビになってしまいました。

暇人になった早崎は高野の伝手で由佳に会ってドッペルゲンガーのことを聞き、偽隆志が家に居ると聞きました。
偽隆志は新人賞を目指して家で小説を書いているそうで、生前の隆志よりしっかりしていて嬉しいと由佳はこぼします。
彼女は早崎にドッペルゲンガーにはその内慣れるし、慣れるしかないのだと言いました。
偽早崎が早崎の家にトラックで現れ、無理矢理早崎を連れ出すと会社の前に連れて行きます。
早崎は駄々っ子のように車を降りようとしないので、偽早崎は研究室に行き、高野の見ている前でロボットっを盗もうとします。
偽早崎は手を貸そうとする高野の忠心を利用して彼女一人にロボットの積み込みまでさせて、「村上には上手いこと言っといてね」と言い、更に「君のことは一生忘れない」とか別れの挨拶までします。
どうやらその後、高野とHまでしてしまったようで、早崎はブチ切れました。

翌朝、早崎が目を覚ますと家にロボットがありました。
その後、由佳は早崎に「隆志が出て行った。やっぱりあれは別人。これからどうすれば」と相談し、早崎は「隆志君はこれで死んだことになったのでは」と返答します。
由佳はひとしきり「どうして私がこんな目に」と騒いだ後に「どうでも良くなってきた」と呟くと去りました。
そこに偽早崎が現れて由佳の正面から肩を抱き「僕に何もかも任せて」と言うと偽隆志のアパートに行き、ハンマーで彼を撲殺して浜辺に埋めました。
その後、停車していた車を滅茶苦茶に壊してから持ち主を殺し、鞄から札束を奪い取りました。

早崎はロボットの開発を続けていたのですが、早崎偽はロボットでタバコを吸ったりしておちょくりに来ます。

偽早崎はコンビニ弁当を食べている早崎に特上寿司を差し入れて食べ始め、札束を差し出します。
「何かやったのか?俺の所為にされるだろ!」とキレる早崎に「お前が何やっても俺が捕まるだろ」と偽早崎は返答し、出ていけと言われたので素直に出て行きました。
ある日、早崎が買い物から帰宅すると家の前に「あんたの兄貴から雇われた」と君島(ユースケ・サンタマリア)が現れます。
君島は頭悪い系のキャラで面白いです。
早崎はそれを聞き、君島をロボットの被験者として使うことにしますが、彼は意思が弱いようで上手いこと操作できないようです。
君島は「あんた本当に兄貴にそっくりだな、気持ち悪ぃ、分身みてぇ」と言うのですが、早崎は「二度とあいつの話はするな!」と言い聞かせます。
君島は段々と握手したり、腕を体操のように動かしたりと上手いこと操作が出来るようになってきました。

早崎はすっかり偽早崎にお金の工面をしたりするようになっており、「何でも力になるから言えよ」と言う偽早崎に「新潟にあるメディコン産業の情報を手に入れてくれ」と依頼します。
君島は旋盤工だったらしく、どこかの工場を提供してくれてロボットの部品となる円形プレートを作ってくれます。
早崎は「俺と契約して兄貴には二度と会うな」と言い、君島は「契約はどっちでもいいよ」」とそれに従います。
君島は「じゃあ、俺たちパートナーだね」とやる気を出すのでした。

ある日、工場に由佳が「探したんですよ」訪ねて来て、偽隆志の件で早崎にお礼を言いますが、偽早崎は隆志がアメリカに行ったと説明したようです。
由佳に「あなたの問題は解決したのか?」と聞かれた早崎は「俺は俺のやりたいようにやる。やっとわかったよ」と答えます。
由佳は仕事を辞めたらしく、早崎の手伝いをしたい!と申し出でて、早崎は「俺も君が必要だ」と言い、彼女をレイプしようとします。
この早崎は偽早崎で、本物の早崎と君島がそこに戻って来ました。
由佳は何考えてるのでしょうか?いくら何でも雑過ぎです。
早崎にしては受け答えが適当だし、こんなこと言わないと思ったらやっぱり偽でした。
でも「やりたいようにやる」という台詞は矛盾がありますが、早崎に言って欲しかったですね。

由佳は早崎に気付くと「えっ?やだ?ちょっと」と言って逃げ出してしまいました。
早崎は偽早崎を殴りつけますが、へらへらと「彼女はお前に抱かれたんだぞ」と言われてしまいます。
偽早崎は「出ていけ」と言われる前に弁当とメディコン産業の情報を置いて帰りました。
早崎は偽早崎に嫉妬しているのだと思います。
その後、由佳が戻って来て「本物の早崎さんですよね?研究手伝いたいです」と言い、君島に「お前には無理」とツッコまれます。
戸惑う早崎でしたが、「さっきはOKしてくれた」と言う由佳に、ひとまずロボットの被験者になってもらうことにし、意外とサクサク動かして由佳は愉快そうに笑うのでした。
由佳は早崎を「冷たいのか暖かいのか分からない。私は暖かい早崎さんが好き」と評しました。

怪しげな部品屋でロシアからの部品を取り寄せた早崎は村上と再会しました。
村上は開発費を横領してクビになったそうで、早崎から「俺は何か変わったか?」と聞かれ「何も変わってない。相変わらず傲慢で自信家」と即答します。
彼は早崎に研究の資金提供を申し出ますが、早崎は断りました。
その後、ロボットはかなり精巧な動きが可となり、早崎はメディコン産業にコンタクトを取ります。
この早崎は煙草吸ってるので偽の方でしょうか?

偽早崎は「金と名誉と権力と女!望みが叶ったな!」と早崎を祝福します。
早崎は「下衆野郎」と切って捨て、「俺は自分のために、達成感のためにこれを作った」と吐き捨てるのですが、偽早崎は「金と女はもらうから、後はやる」と飄々と反論します。
早崎は「これは俺が誰の手も借りずに一人で作った!だからお前には何もやらん!」と怒鳴りますが、偽早崎は「俺だってそうするさ」と答えます。
早崎は本当に自己中だと思います。
早崎は「お前は存在していないから俺が消えろと念じれば消える」と言い、消えろと強く念じるのですが、何も起こらず、偽早崎は「お前が自分の中の俺を認めるのが生き残る手段、俺たちはいずれ一つになる」と言い、早崎は絶叫してしまいます。
そこに君島と由佳が現れ、君島はペンチで偽早崎をボコボコに殴り、早崎が偽早崎に止めを刺しました。
三人は工場の床下に偽早崎を投げ込んでしまいました。

感想

これは普通です。
自分の分身が出て来る話で、分身は悪いことばかりするのですが、内容はブラック・コメディです。
楽しい映画ではあるのですが、あまりにも設定がザルなのと展開が雑過ぎるのが難点だと思います。
偽早崎に出会うことで、段々と早崎自身も偽早崎に似て来るのが面白いです。

ぶっ飛んでいて面白いお話ではあるのですが、観ていると複雑な気持ちになります。
コツコツやっている人を小馬鹿にされているような気持になるのは考え過ぎでしょうか?
確かに早崎自身は「コツコツやっている人」とは縁遠く、傲慢で自己中であり、周りのことは一切考えず、しかもそれを自覚していないという怪物ですが、研究自体はコツコツやってました。
そういうものを全て「バカバカしい」と言われている気がするのは考え過ぎでしょうか?
「もう少し、力抜いたらどうですか?」程度の内容なのかもしれませんが。
でもそうだとしてもそんなことののためにドッペルゲンガーとか使われても困ります。

早崎は非常に偽早崎に嫉妬しているようなのですが、偽早崎は万能で不死身なので、嫉妬しても仕方ない気がします。
確かに早崎は万能感に憧れを感じそうだし、それが実在していて、しかも自分だということに憤っていたのかもしれません。
それにしてもその後の展開が納得できず、役者は豪華だけど収拾付かなくなってしまった映画のような気がします。
(監督の中では完結しているのかもしれませんが。)

登場人物は皆さん強烈な方ばかりで素晴らしく、早坂の人は演技だけで「これは偽で、こっちが本物で」と見分けられるほどの素晴らしさでした。
二人のやり取りは本当に面白いです。
君島の祖暴感、村上の飄々とした感じは素晴らしかったのですが、残念だったのが由佳です。
この人は容姿が大変に可愛らしいのですが、演技が微妙な感じで「一生懸命バカな女を演じている」ようにしか見えませんでした。
後、高野は完全に踏み台扱いで気の毒でした。

ラストまでのあらすじ

由佳は「もともと幻だったのが消えただけだから気にする必要ない」と言い、さっさと新潟行こうと早崎の背中を押します。

新潟への移動中に村上が現れて、早崎達の車をブロックし、早崎にロボットを二千万で売れという話になります。
早崎はロボットを奪おうとする村上を突き飛ばし、「俺はもう昔の俺じゃない。二度と近づくな」と吐き捨てました。
その後、機械を揺らさないように超ノロノロ運転をしていたので車がオーバーヒートしてしまい、早崎と君島は沢に水を汲みに行ったのですが、君島が「俺は今後、マネージャーとなり、機械の管理を任せろ」と言い質したので早崎は君島を崖下に突き落としてしまいました。
由佳には君島はクビにしたと説明し、早崎は偽早崎の吹いていた口笛を吹くのでした。

君島は生きており、後に早崎達に追いついて二人を鈍器で殴りつけて倒し、車を奪いました。
早崎は先回りして車の前に立ちふさがり、君島に謝罪するのですが、轢かれてしまいました。
早崎はここで退場の模様です。お疲れ様でした。
村上が君島の車の前に現れ、二千万でロボットを売れと言ってきたのですが、君島はお金を受け取ってからレンチで村上を殴って倒し、銃を奪って去りました。

由佳は道路で早崎と待ち合わせていたのですが、偽早崎が車で現れ、彼女を拾います。
その後、村上が路上にいたので拾いますが、偽早崎は「お前、いつからそんな風になったんだ?昔は爽やかな奴だったじゃないか」と彼に話し掛け、村上は「いつからだったかな」と思案します。
思案の末、村上は「早崎悪かったな、俺、帰るわ」と偽早崎と握手して去りました。
その後、自分を見つめ直そうと呟きながら歩いていた村上でしたが、林を出た所で大型トラックに撥ねられてしまいました。

偽早崎は廃工場に潜伏していた君島を発見し、突入して銃をバンバン撃たれます。
君島は「俺は一人で皆手に入れたぞー」と凄むのですが、偽早崎は「お前は何を手に入れたんだ」とおちょり、デカいミラーボールでインディ・ジョーンズごっこをしていた君島をドアをいきなり開ける攻撃で気絶させます。
偽早崎はトランクのお金を奪い、君島を銃で撃とうとしますが、由香が現れて止めたので殺すのは止めます。
ということで車とロボットを奪還し、メディコン産業に行きました。

偽早崎はロボットを引き渡す直前で、「止めた」と言って相手の開発部長を殴り倒し、すっかり偽早崎の女になった由佳を乗せて去ります。
二人は海岸の断崖に行き、そこでロボットを自力走行させて崖から落としました。
そして現金のトランクを持つと、寄り添って歩いて行きました。

エンドロールで終了です。

早坂は自己中だったので同情できないのですが、努力を否定された気分になるんですよねえ。
村上を殺した理由も不明ですし、バカにされてる気分になります。

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