おばちゃん怖いです ミザリー

ミザリー

小説書いたらひどい目に遭う話

制作年 1990年
制作国 アメリカ
監督 ロブ・ライナー
脚本 ウィリアム・ゴールドマン
原作 スティーヴン・キング
上映時間 107分
出演
ジェームズ・カーン
キャシー・ベイツ
リチャード・ファーンズワース

だいたいのあらすじ

作家のポール・シェルダン(ジェームズ・カーン)は小説を書き上げ、ワインクーラーに冷やしたシャンパンを抜いてグラスに注ぎ、両切り煙草にマッチで火を点けて一服しました。
これはポールの小説を書き終えた時の儀式なのです。
そして長年苦労を共にした年季の入った鞄に原稿を入れ、吹雪の中車で移動していたのですが、スリップ事故を起こして車は崖下に転落しました。
彼はミザリーという人気シリーズを書いて人気作家になったのですが、このままでは他の小説が書けなくなると危機感を抱き、新しい小説を書いており、冒頭で書き上げていたのがそれでした。
ポールは逆さまになった車の中で意識を失っていましたが、何者かがバールでドアをこじ開けて彼を救出し、応急措置をして蘇生させた後に吹雪の中を担いで運んでいました。

2日後、ポールはベッドの中で点滴を受けている状態で息を吹き返しました。
側には看護師であるアニー(キャシー・ベイツ)がおり、彼女が彼を助けてくれたそうですが、アニーはミザリーシリーズのナンバーワンのファンを自認するほどのファンだということです。
電話は不通で吹雪が酷いので病院には運べなかったそうで、ポールは痛み止めにノブリルという薬を飲まされています。
両脚は複雑骨折していたのですが、アニーが処置してくれていました。
一方、NYのポールのエージェントであるマーシャ(ローレン・バコール)はポールが所在不明であることから彼が執筆していたシルバークリークの保安官バスター(リチャード・ファーンズワース)に通報しました。

アニーはポールの髭を剃ったりして甲斐甲斐しく世話を焼きつつ、実はポールの執筆していたロッジをちょいちょい監視していたと打ち明け、事故に遭った日も彼を尾けていたということでした。
ミザリーの既刊8冊の台詞を暗記するほど読んだというアニーは鞄の中の原稿を読んでみたいとポールに申し出、許可を得ました。
一方、バスターは念のためロッジの管理人に話を聞いたのですが、ポールは大作家と呼ばれるようになっても威張らず、昔からの習慣を守る好人物という評判でした。

アニーはポールにスープを与えながら小説を40ページまで読んだけど言葉が汚いと批評し、ポールはそれに対して「スラムの話だし、僕が育った所もそうだった」と返すのですが、彼女は「そんな筈ない」と強く否定し、じゃあ私がこう言うのか!と激昂して劇中の台詞を叫び始めます。
そして興奮の余りにスープをこぼし、「お前の所為でこぼれた」と怒鳴り始め、次の瞬間にはいつもの穏やかな様子に戻りました。
彼女は時々、我を忘れるのだそうで「ごめんなさい」と謝罪し、ポールは目を剥いて驚き、引きつった笑顔で「問題無い」と返しますが、「愛してるわ。ポール」と返され、才能と知性に対してという意味だと説明されたもののドン引きしました。
これが最初の兆候なのですが、怖いです。

バスターは妻で保安官補のヴァージニア(フランシス・スターンハーゲン)と共にポールの通った道路を回っていた所、道路脇で不自然に折れた枝を発見しました。
下の崖に降りてみたものの、雪深いので諦めましたが、バスターの目と鼻の先ではポールの65年型ムスタングが雪に埋もれていたのでした。
この老夫婦がなかなか面白いです。
また、夫妻の乗ったパトカーはアニーの運転する車とすれ違っていました。
アニーは町に出たそうで、最新刊である「ミザリーの子供」を買ったとポールに自慢したので、ポールは道路が開通したなら病院へ送ってくれと頼みますが、彼女は「町までだけ」と返答し、整形外科部長やエージェントには電話したと言いました。
電話直ったの?とツッコむと「町のだけ」と煙に巻き、ミザリーの話ばかりするのでした。

アニーはミザリーという雌豚をポールに「可愛いでしょ」と披露し、「ミザリーの子供」を「神の作品」と褒めたたえて豚の物真似をしており、その様子を見てポールは早く病院に行きたいという思いを募らせます。
また彼女は離婚歴があり、夜勤の際に読書するようになり、ミザリーを読み始めたそうですが、アニーは会話が微妙に噛み合わなかったり、一つの行動をしていると他への注意力が散漫になったりするので、ポールは彼女に警戒心を抱くようになります。
その後、「ミザリーの子供」を読んでミザリーが死んだと知ったアニーは「何で殺したんだよ!この人殺し!」と怒鳴り込んで来て、脚が痛むポールのベッドを揺すります。
更に植木鉢を飾ってある台を「この人殺し!」と怒鳴りながら振り上げ、壁に叩きつけて破壊し、「いい人だと思ってたのに騙された。あんたも皆と同じ嘘吐き。これからは態度を変える」的なことを静かに告げて引き揚げました。

アニーは引き揚げる際に「どこにも連絡してないから誰も来ない。あたしに万一のことがあったらお前も死ぬ」と脅迫しました。
ポールは恐ろしくなり、アニーが出掛けた際に逃げ出そうとベッドから降りて、両脚を床に打ちつけて悶絶しながらも、唯一自由の利く左腕一本でドアまで這いずってドアを開けようとしましたが、しっかりと施錠されていました。
一方、ポールが行方不明という記事が新聞にも載り、FBIや州警察も捜索に動いていました。

帰宅したアニーは床で寝ているポールを乱暴にベッドに戻しながら、過去に裁判の証言に立ったことを匂わせることを呟きます。
そしてバーベキューコンロを出して来てポールの新作原稿にライターオイルをかけ、マッチを突き出して原稿を焼くよう命じます。
ポールはコピーがあるから痛くも痒くもないとささやかな抵抗を試みるのですが、ファンであるアニーは彼がコピーを取らないことを知っていました。
世には出さないようにすると言っても彼女は承知せず、ポールは原稿にマッチを擦って投げ、燃え上がる原稿を見て放心しました。
外ではポールを捜索するヘリが飛んでいましたが、ムスタングは無いので通り過ぎて行きました。

ポールはノブリルをベッドマットの中に隠匿し始めました。
アニーはポールに車椅子と髭剃りを用意し、机を窓際に置いてタイプライターを設置し、「ミザリーの生還」を書けと指示します。
ポールはアニーが買ってきた紙はインクがにじむと指摘し、実演してみせると彼女は納得したようでしたが、「こんなに面倒見てやってるのに紙にクレーム?」とまたまた癇癪を起し、紙の箱をポールの脚に叩きつけました。
その後、アニーが紙を買いに行ったので、ポールは彼女が落としたヘアピンを拾い上げ、部屋の鍵を開けて外に出ようとするのですが、玄関にはきっちり鍵が掛かっており、置いてある電話はハリボテでした。
ポールは改めて彼女の異常性を認識しつつ、薬棚からノブリルの束を盗み出しました。

ポールは裏口から逃げようと苦労して車椅子を降りてドアノブを回したのですが、やはり鍵が掛かっていました。
そしてアニーが戻って来たので、急いで車椅子に乗り、部屋の戻ってヘアピンで鍵を掛けました。
帰宅した彼女は怪しまれないように脚の痛みを訴えたポールをベッドに運び、構想を練れとメモを渡して「期待してるわよ、ダーリン」と投げキッスし、ポールを憮然とさせます。
吹雪が収まったのでポールの車が発見され、彼は自力で車から這い出し、もう死亡しているだろうというのが大方の見解でしたが、バスターだけはドアのバール痕に気付き、ポールは誰かに連れ出されたのだと推理していました。
一方、ポールは今までコツコツと集めたノブリルのカプセルだけを飲み、中の粉をせっせとメモ用紙で作った袋に集めていました。

ポールは気乗りしないながらも「ミザリーの生還」を書き始めるのですが、前作と矛盾があったので、アニーに突っ込まれて書き直しを命じられました。
そこで埋葬されたミザリーは蜂に刺されて仮死状態だったという筋で書いた所、アニーは納得し、早く続きが読みたいと言いました。
彼は今夜はお祝いに夕食を共にしようとアニーを誘い、彼女は光栄だと了承しました。
そして夜になったので、夕食となりましたが、ポールはアニーの機嫌を損ねないよう、料理を褒め、蝋燭を取りに行かせてから彼女のワインにノブリルの粉末を混ぜました。
しかし乾杯をするとアニーは謝ってワインを全部こぼしてしまい、言いたくも無かった歯の浮くようなお世辞を言っていたポールの努力は水の泡となりました。

その後ポールは雨の日も雪の日も晴れの日も粛々と続きをタイピングし、タイプライターをダンベルのようにして筋トレも行います。
チャイコのピアコンのアレンジ曲がBGMです。
小説は終わりに近付き、ポールの脚も良くなって来ていたのですが、ある雨の晩、鬱状態に入ったアニーは「本が完成したら、あなたは私を捨てて出て行く」とポールに訴え、「しばらくここに居る」というポールの返答を嘘だと見抜きます。
彼女は古びた拳銃を取り出して弾を買わなくちゃと家を出て行き、その目が自分に向けられていたのに気付いたポールは身の危険を感じ、アニーが不在の間に包丁を盗んで武装しました。
一方、バスターは何かの手がかりになるかもと考え、ミザリーを読んでいたのですが、法廷で「人間の正義を超越した正義に従う」とミザリーが宣言した部分が気になっていました。

感想

これはなかなか面白いです。良作だと思います。
事故った作家が監禁されて執筆を強要されるというものです。
細かい所は覚えていませんが、かなり原作に忠実だと思われ、リスペクトも感じられて良くまとまっていると思います。
何といってもお話で面白い点が作家が自らの文章を武器に戦う所で、これを作家が書いている点が面白いです、
タイプ用紙の製品名や「65年ムスタング」みたいに製品名が出て来る所が実にキングさん的な脚本だと思います。
ご都合主義な展開もありますが、これは原作もそうだったと記憶しています。

演出は普通ですが、アップを多用したサスペンス的なもので良くマッチしていると思いました。
ちょっとTVのサスペンスドラマ風でしたが、ポールが家の中を漁っている間にミザリーが帰宅しそうになるシーン等はお見事だと感じました。
人間怖い系の映画は沢山ありますが、この映画は頭一つ抜けている印象です。

実質二人で進む話でアニーの演技が恐ろしいと思いました。
やはり表情が怖くて、具体的にはアニーがスイッチ入る直前に真顔になり、その切り替えも怖いのですが、何かを指摘されて考え直す時にも同じ表情を浮かべます。
これはスイッチが入ったのか、それともセーフだったのかどドキドキしてしまい、恐ろしいです。
ポールも嫌悪が顔に出てしまうという誤魔化せない感じを良く出していたと思います。
箸休め的にバスター夫婦のエピソードが挟まれるのですが、ヴァージニアが皮肉屋で会話が面白いです。

これサイコ系の怖い話では秀逸だと感じました。

ラストまでのあらすじ

ポールはアニーの「思い出のアルバム」というスクラップブックが広げてあり、自分の失踪記事が貼られていたので、気になって中身を見ることにします。
そこにはアニーの夫カールが謎の転落死をしたこと、アニーの看護学校での同級である優等生が不審死し、彼女が優等を取ったこと、就任した病院では医師が急死したこと、乳児の連続死が発生して彼女が逮捕されていたこと等の記事が貼られていました。
改めてアニーの恐ろしさを知ったポールはベッドの中ですぐ反撃できるように包丁の素振りを行いました。
その夜、うとうとしていたポールにアニーは何かの注射を打っていました。

翌朝、ポールはベッドに縛り付けられており、外に出たことをアニーに咎められます。
ヘアピンや包丁も全て取り上げられており、アルバムを読んだこともバレていました。
アニーは「ここからは出られない」と宣言し、南アフリカではダイヤを盗んだ労働者にこうすると言い、ポールの脚の間に角材を挟むと両足首をハンマーでへし折ってしまいました。

バスターは町に買い出しに来て、接触事故を起こそうになり、相手の運転手を激しく怒鳴りつけるアニーを見て何かを思い出して図書館で彼女の記事を調べ、「人間の正義を超越した正義」をアニーが逮捕された際に一字一句の誤りも無く供述していたことを思い出しました。
町の雑貨屋で聞き込みを行った彼はアニーが最近、タイプ用紙を買ったこと、ポールの書籍を誰よりも早く買っていることを知り、彼女の家に向かいました。
アニーはバスターのパトカーの接近を知り、抵抗して首を絞めて来るポールを押さえつけ、麻酔を注射して眠らせ、地下室へ放り込みます。

バスターを出迎えたアニーは「神の声が聞こえたので、彼の後を継いで小説を書いている」と説明しながら家の中を見せます。
一通り見回った彼は引き揚げようとしていましたが、地下室でポールが大きい音を立てたので、何事?と戻って来ます。
ポールはここぞとばかりに「ここだ!助けてくれ!」と叫び、バスターが地下を見て驚くのですが、アニーはバスターを散弾銃で射殺しました。
そしてアニーはポールに心中の準備は整っているから一緒に死のうと言うのでした。
拳銃と麻酔注射を手に迫るアニーにポールは「ミザリーを完結させてくれ」と時間を稼ぐことにし、ライターオイルを服の中に忍ばせました。

そして執筆を始めたポールは次々にアニーに原稿を渡し、もうじき書き終えることを知らせて、煙草とライター、シャンパンという執筆後の儀式の準備を依頼しました。
アニーの扱いに慣れた来たポールは「ドン・ペリグノン」という銘柄の誤りも指摘しませんでした。
ポールは書き上げた原稿にオイルを掛け、「読みたいか!」とアニーに叫んでからマッチで火を点けて燃やします。
アニーが火を消そうと駆け寄ったので、そこにタイプライターで頭に一撃食らわせました。
怒り狂ったアニーは発砲しますが、一発はポールの肩に命中し、もう一発は外れました。

揉み合いになった二人でしたが、ポールがアニーを押さえつけ、口に「そんなに好きなら食って窒息しろ!殺人鬼!」と焦げた原稿を押し込み、逆上したアニーが立ちあがったので折れた脚を犠牲にして足払いを食らわせ、彼女は倒れた拍子にタイプライターで頭を強打して動かなくなります。
ポールはズリズリと玄関へ這い出すのですが、アニーはまだ存命で、再び圧し掛かってきたので、彼は彼女のお気に入りである豚の置物を顔面に叩き込んで絶命させました。

1年半後
ポールは杖をついて歩けるようになっており、彼が執筆した本は非常に高く評価されました。
彼はマーシャにこの本が書けたのも皮肉なものでアニーとのことがあったからだと話します。
マーシャは体験談を書かないかと勧めるのですが、それだけはお断りと返答しました。
ポールはあの事件以来、女性がたまにアンに見えるという後遺症に悩んでおり、その日もウェイトレスが一瞬アンに見えました。
しかしやはり別人なのですが、ウェイトレスは「あなたのナンバーワンのファンです」と話し、ポールは引きつった笑いで応対するのでした。

エンドロールで終了です。

特典はメイキングやギャラリーがあって豪華でした。