あそこの席
ワタシノセキ トラナイデヨ
制作年 | 2005年 |
制作国 | 日本 |
監督 | 中村義洋 |
脚本 | 鈴木謙一 |
原作 | 山田悠介 |
上映時間 | 71分 |
出演 |
阪田瑞穂 |
細田よしひこ |
浅香友紀 |
だいたいのあらすじ
高校の試験中の教室で土屋裕樹(細田よしひこ)の隣の席に座っていたゾンビ顔JK(矢口聖来)の答案用紙に「トラナイデヨ」という文字が浮かび上がり、彼女は「返すから許して…」と泣きそうな顔で呟いていました。
彼女は音楽室で誰かが弾いているショパンの練習曲10-3をBGMに学校の屋上から飛び降り自殺を遂げました。
なかなか難曲です。
ある日、担任の市村(眞島秀和)に案内されて転校生の瀬戸加奈(阪田瑞穂)が裕樹のクラス3-Bにやって来ました。
実は市村も前の教師が倒れたので3-Bの担任となったそうで、この学校は3年間クラス替えが無いそうです。
可奈が壇上で挨拶しても生徒達は無反応で、彼女は自殺した女子の席に座ることになりました。
なんだか可奈の周りは意地悪そうな生徒ばかりなのですが、隣の裕樹だけは「よろしく」と挨拶してくれました。
放課後にクラス委員の女子が可奈に校内を案内してくれたのですが、彼女は帰り際に「クラス変えて貰えないかな…」と意味ありげなことを言っていました。
ピアノが特技な可奈はショパンの練習曲の音色に誘われて音楽室に行くのですが、ピアノの前には誰も居ませんでした。
その代わりに黒ずくめな音楽教師(根岸季衣)が現れたのですが、彼女もピアノは弾いていないそうで、「もう閉めるから」と可奈は追い出されてしまいました。
次の日、可奈は上履きを盗まれるという虐めを受けてしまい、仕方なく上履き無しで授業を受けました。
裕樹の反対隣の男子は口から血を噴き出している人物の漫画を描いており、可奈にペン先からシャーペンの芯を飛ばしてくるという地味な攻撃を仕掛けます。
どういう原理なのでしょう?特注?
可奈は校舎の外の排水口内に自分の上履きを発見したのですが、拾おうとしていると上から黒板消しが落ちて来ました。
黒板消しを拾っていると今度は塵取りが落ちてくるという危険なわらしべ長者のようなことになるのですが、落としてきた男子は笑顔で「ごめーん」と謝っていました。
可奈は運動もできるようで、うっかりバスケの時間に才能を披露してしまったのですが、クラスのボス的な意地悪女子・竹上淳子(浅香友紀)にはそれが気に入らないようでした。
教室に戻ると可奈の机には「ワタシノセキ トラナイデヨ」と刻まれており、淳子からは「あんたの席は呪いの席だ」と言われます。
可奈の席には昔、執着していた生徒が居たそうで、その呪いで座った者は必ず不幸になるそうです。
お前らが虐めてるだけなんじゃないかと問い詰めたいです。
そして可奈が机の中に手を入れると、中には割れた鏡が入っており、指を怪我してしまいました。
裕樹はそれに気付き、「消毒しないと」と可奈を保健室に連れて行きます。
彼は鏡は期末試験の日に自殺したJK千佳のものだと教えてくれました。
裕樹は千佳の悩みを聞いてやれなかったことを後悔しているそうで、呪いの席の秘密を知りたいという可奈と17時に落ち合うことになりました。
可奈は暇だったので、音楽室で練習曲を弾いていたのですが、市村が見回りに来て、1年半前に失踪した関綾乃という生徒がいつもこの曲を弾いていたと教えてくれました。
尚、可奈は母が離婚して実家に戻って来たので転校して来たらしく、祖母は「恥さらし」と母を罵っているそうです。
市村のリクエストがあったので、可奈は練習曲を弾くのですが、突然市村が肩を掴んできたので驚いてしまいました。
その直後に可奈は自分の指がぐにゃぐにゃに曲がるという幻覚を見たのですが、同時に音楽教師が「ピアノ勝手に弾くな」と怒鳴り込んで来ました。
その後、裕樹は現れなかったのですが、教室に「あたしの席取らないでよ」と柴田理恵氏のような声で迫るJKが現れ、可奈は失神し、その間に何者かが彼女の身体を弄っていたのですが、彼女が息を吹き返すとそこには市村が居り、「教室で気絶してた」と言いました。
もしかしてこの人、痴漢教師?
そして唐突に現れた裕樹によればあの席には千佳の前に明日香という女子が座っていたそうで、彼女は教室で「もう勘弁して」と発狂して病院に入院しているそうです。
その前に座っていたのは綾乃だったということですが、市村は「そんなの偶然」と笑い飛ばしました。
翌日、遅刻して登校して来た可奈に裕樹は「不幸になるから学校来ない方がいいんじゃ」と言い、幽霊は綾乃なのではないかと語りました。
可奈は市村に綾乃(市川春樹)の写真を見せて貰ったのですが、あの時目撃した幽霊より小柄でした。
3-Bは裕樹の伴奏で合唱の練習をしていたのですが、裕樹がとちるので、クラス委員はダメ出しします。
音楽教師は裕樹の母だったのですが、息子には甘いようで、クラス委員に逆ギレします。
裕樹があまりにもトチりまくるので、伴奏は加奈がいいのではないかという説が産まれることになりました。
可奈はその所為か他の女子と仲良くなるのですが、裕樹は冷たくなり、机の中には彼女の盗撮写真のような物が入っていました。
その後、可奈は写真を焼却炉で燃やしている際にも「取らないでよ」という声を聞きました。
可奈は裕樹に今までのあの席の生徒の事象は呪いでは無く虐めでは?と言うのですが、裕樹は「クラスメートを疑うならクラス変えて貰えば」と冷たく言い放つのでした。
合唱コンクールの練習の際に裕樹はテンポを外しまくったので、市村は伴奏を加奈に変えるようクラス委員に指示します。
するとなぜか淳子達意地悪三人組が抗議し、音楽教師も申請してあるからダメです!と強硬に却下します。
裕樹は音楽室を出て行ってしまい、可奈が追い掛けると「もういい加減にしてよ」とまさかのオネエ言葉で吐き捨てて去りました。
感想
これはイマイチです。
呪いの席というものの話なのですが、呪い関係無くね?というのは早めに分かります。
お話はツッコミどころが満載というか、支離滅裂でキチ○イ過ぎてついていけませんでした。
なので私的には正直つまらなかったです。
虐めがメインのようですが、それよりもキチ○イがのさばっているという。
そしてショパンの練習曲が使われているのに、決して表現とテンポが難しい部分は一切演奏されないという。
ここまで徹底していると練習曲が侮辱されてるような気がしてしまいます。
演奏自体はプロの人が抑えめに弾いている印象でした。
登場人物はもれなくキチガ○で、こんな学校ある訳ねーだろ!って思いました。
ネタでやってるならいいのですが、残念なことに終始シリアスです。
従って観ていて気分が悪いです。
演出はそんなに悪くないと思われ、教室の撮り方は面白かったのですが、あまり怖くはないです。
結末付近は良かったのですが、五月蠅いんです。
この辺りになると演出が悪ノリしてるので、やっぱこの話ネタかもと思えて来ます。
凶器メトロノーム辺りからヘンになります。
意外に演技が普通だったのに驚きました。
何か虐められるのが可愛い子ばっかりなのも不条理でした。
可愛いは正義だった筈なのに…
ラストまでのあらすじ
実は裕樹はオネエだったようで、可奈のピアノの腕に嫉妬しているようでした。
女装した裕樹の演奏を意地悪三人組と音楽教師が「上手い上手い」と聞いていたのですが、苛立った裕樹は「あたしの席だけじゃなくてピアノまで奪うあの女は消せ!」と癇癪を起し、カッターナイフで淳子の頬を切りました。
超展開です。
その後、クラス委員は加奈に淳子が綾乃失踪後に意地悪になった件、音楽教師は裕樹の母な件、綾乃は裕樹と付き合っていた件を話しました。
可奈がロッカーに戻ると制服の上着がズタボロに切られており、壁には可奈の写真が貼られ、「呪い殺す」等とスプレーで書かれていました。
クラス委員はブチ切れて市村を呼びに走りましたが、淳子達に捕まります。
実は可奈の上履きを隠したり、割れた鏡を机に入れていたのも淳子に命令されたクラス委員でした。
それはそうと女装した裕樹は綾乃ということになっているようで、音楽教師もイカレているのか「綾乃ちゃん」等と呼びかけていました。
そしてクラス委員は校庭から見上げている加奈の前で屋上から首にロープを架けて飛び降りてしまいました。
可奈はなぜか屋上には向かわず、教室から遠いロープに手を伸ばして今更クラス委員を助けようとします。
そこに女装裕樹が現れ、「あたしの席返してよ」と言いつつ、淳子達に「この女殺して」と命じます。
淳子達は「あいつイカレてるから逆らえない」と言いつつ、可奈にロープを手に迫ります。
そこに「お前ら何してんだ!」と市村が現れたのですが、音楽教師にメトロノームで殴られてKOされました。
裕樹は綾乃に「他に好きな人できたから別れて」と言われて逆上し、ピアノに挟んで綾乃を殺害しており、それから裕樹は綾乃になったのでした。
音楽教師は全てを知っていましたが、イカレているので裕樹の味方でした。
可奈もメトロノームでKOされて淳子達に廊下を引き摺られるのですが、綾乃の亡霊が出現して意地悪男子生徒二名を殺害します。
一人は塵取りが頭に刺さってます。
そして裕樹達はさっさと逃げ、可奈は取り残されるのですが、綾乃は消えました。
綾乃は音楽教師を音楽室に誘導してピアノに挟んで殺害します。
屋上に追い詰められた淳子は落下して死亡、教壇に隠れていた裕樹も綾乃に迫られました。
こうして悪は滅び、可奈も平和に暮らせるようになりました。
しかし可奈の席には「ワタシノセンセイ トラナイデヨ」という文字が浮かび上がります。
実は市村は可奈のパンツを覗いたり、痴漢行為を行ったりしており、綾乃の好きな人とは彼でした。
そして可奈は手が潰れるという幻覚を見て怯えるのでした。
エンドロールで終了です。
可奈とばっちりですね。