ザ・ロード
週末世界を彷徨ってひどい目に遭う話
制作年 | 2009年 |
制作国 | アメリカ |
監督 | ジョン・ヒルコート |
脚本 | ジョー・ペンホール |
原作 | コーマック・マッカーシー |
上映時間 | 112分 |
出演 |
ヴィゴ・モーテンセン |
コディ・スミット=マクフィー |
シャーリーズ・セロン |
だいたいのあらすじ
世界は災害により文明を失っていました。
太陽は当たらず大地は死に絶えて次々に木が倒れる中を父(ヴィゴ・モーテンセン)と息子(コディ・スミット=マクフィー)がカートを押して旅しています。
物資が無いので靴はボロボロで食料もなかなか口にできず、周囲には略奪者や人食いの連中が跋扈していました。
父は眠っている際によく妻(シャーリーズ・セロン)の夢を見ており、荒廃した世界でしたが、息子に善き人であることを説いていました。
しかしその一方で父は二発弾の入った拳銃を持ち歩き、自分と息子の自殺用とし、息子にもしっかりと死に方を教えていました。
ある日親子は道端に止められているボロボロの廃車の中で寝ていたのですが、父は妻が息子を出産した時の夢を見ます。
息子が産まれた時には既に世界は滅んでおり、妻は産みたくないと話していました。
父がうなされているとトラックに乗って武装した連中が前方から現れたので、息子を起こして二人は急いで道路脇の林に隠れました。
連中は騙し騙し使っているトラックがエンストしたので、周囲を窺いつつ小休止していました。
立ちションしに来た男に見つかりそうになったので止む無く父は男を脅して連れ去ろうとしたのですが、息子を人質にされたので発砲します。
トラックの連中が発砲音を察知したので親子は急いで逃げ出し、何とか撒きました。
実は父が持つ拳銃は妻が自殺用に用意したもので、いつか人喰い連中が私達を殺しに来る前にというのが彼女の言い分で、父は「なんとしても活きるんだ」と彼女を励ましていました。
親子は道路にぶちまけれていたカートを回収して出発しましたが、息子は眼の前で男が撃たれたことに凹んでいました。
父は息子に「彼は善き者では無かったから仕方ない。俺たち心の火を運ぶ善人で、これからもずっとそうだ」と息子を励まします。
母はその後死亡したようで、お腹が空いた息子は「ママといけばよかった」とこぼし、父は「もうママの事は言うな」と励ますのですが、「どうすればママを忘れられるのか?」という問いには返答できませんでした。
妻は父の説得に聞く耳持たなくなり、息子を置いて家を父を振り切り、家を出ていました。
それ以来、親子は南の海を目指して旅をしているようです。
ある日、鍵付きの貯蔵庫のある家を発見したのですが、こじ開けてみると中に入っていたのは人間で、彼等は「助けてくれ。食われる」と助けを求めて来ます。
どうやらここは人喰い連中の家だったようで、親子は逃げ出そうとしたのですが、庭に人喰いの連中が戻って来ていました。
親子は急いで二階に隠れたのですが、連中の一人が上がって来てしまいました。
最早これまでと覚悟を決め、父は息子を撃とうとし、息子は「また会える?いつ会える?」と泣きそうに尋ねます。
その時、貯蔵庫の人達が騒ぎ始めたので連中はそっちに夢中になり、親子はその隙に階段を駆け下りて外に逃げました。
その晩、息子は「僕たちは飢えても人を食べないよね?」と父に尋ね、「もちろんだ」と返答されました。
翌日は父の生家を訪れて父は想い出に浸るのですが、退屈な息子は外でお絵描きをしていました。
息子は少年の姿を見て駆け寄るのですが、少年は逃げ去り、更に父に制止されてしまいました。
父は餓えで弱り死を意識するようになり、息子を一人でも生きられるようにしないとと考えていました。
ある日、親子はピアノのある家に侵入し、父は母を思い出して泣くのですが、その家の庭には隠し貯蔵庫があり、缶詰の食料が沢山ありました。
親子は大喜びで食事を採った後に感謝の言葉を述べるのでした。
暫くその家に滞在することになり、親子は久しぶりに風呂に入って散髪しました。
父は久しぶりにお酒を呑み、タバコを吸いました。
しかしそんな平和は長く続かず、ある日親子は近づいて来る犬の声を聞き、物資を持てるだけ持って逃げることにしました。
その道中で杖をついて歩いている老人を見つけ、怯えている彼に「俺達はあんたと同じで盗人じゃない」と呼び掛けました。
息子は父の反対を押し切って老人に缶詰を一つ与えました。
息子は老人に同情的で同行させればいいと考えたのですが、父は事前にダメだと言い、代わりに夕食に誘いました。
その夜、イーライと名乗るその老人と焚火の側で食事を採りました。
その後も移動を続ける親子でしたが、母娘が悪漢に襲われているのに遭遇した父は息子には見せないようにその場を離れました。
逃げている途中でよく発生している倒木に巻き込まれますが、倒れている木の間に隠れて難を逃れました。
父の具合はますます悪くなっているようで、ある朝血を吐いてしまいました。
その様子を見ていた息子は「怖い夢を見た」と父に甘え、「咳をしないで!」と訴えます。
父は怖い夢を見るのは戦う意志があって生きるためにはいいことで、良い夢を見始めると危ないと息子に話しました。
父は妻との幸せな日々の夢しか見てないんですが…
その一方で親子は目的地の途中にある海に近付きつつありました。
感想
これは普通です。
原因は分からないのですが、滅亡した世界を歩く親子の話です。
終始くすんだ灰色っぽい映像で、殆ど色が感じられない演出になっています。
崩れた道路等の映像はかなり大掛りでした。
正直、前半は退屈で眠くなりました。
その後も淡々と進んで行く感じで、凄く地味な映画なのですが、生存のヤバさは伝わって来ました。
全編絶望的な感じですが、所々に希望のようなものが見えます。
それが良いことなのかは分からないですが、結果的には良かったのかなあと思えます。
映像は所々に挟まれる親子の会話等は良いと思いましたが、私にはイマイチ世界に入り込めなかったです。
というのも父の言う「善人」の定義が良く分からなくなってしまったからです。
ただ、この環境でも息子は私から見ても「善人」っぽい感じに育ってるので、父は立派に子育てしたと思います。
食われる前に死ぬという考え方も特異に感じましたが、母の気持は理解できたような気がしました。
母が凄い美人でしたが、ちょっとしか出てないです。
内容的に仕方ないですが。
父はたまに全裸披露していてお尻を見せてくれてました。
ラストまでのあらすじ
息子が初めて見た海は美しいものでは無く、灰色の波が寄せており、座礁したタンカー等が見えます。
その夜息子は熱を出してしまい、父は必死に看病しますが、息子に「ぼくが死んだらどうする?」と聞かれた父は「俺も死ぬ」と返答しました。
父はタンカーに何か役に立つものがあるかもしれないと考え、久々にスッポンポンになって泳ぐことにしました。
彼が色々と持ち帰ると、息子が寝ている間に盗人が現れて物を持ち去っていました。
怒りの父は息子を担いで盗人(マイケル・ケネス・ウィリアムズ)を追い掛け、ようやく追いつくと銃を突き付けて「服を脱げ」と逆追いはぎを始めます。
盗人は「餓えて死にそうだったんだ」と泣きつき、「お前と同じことしてやる!」と父は彼を全裸で置き去りにしました。
息子は「彼が心配だ!」と父に反抗し、仕方なく父は来た道を戻り、盗人が居た辺りに服と缶詰を置いて去りました。
息子の方が善人になってますね。
親子が何処かの町を歩いていると父はいきなりボウガンで脚を撃たれました。
怒りの父はタンカーでゲットした照明弾をその窓に撃ちこみ、相手の男を燃やしました。
見に行ってみるとその男の妻が嘆いており、男は自分が親子に後を尾けられていると怯えて撃ったと判明しました。
父は愕然としつつその場を去るしかありませんでした。
脚の傷の所為か父の容体はますます悪化し、とうとうリヤカーも引けなくなりました。
親子は近辺の海辺で休むことにし、父は寝たきりになりました。
父は自分の命が長くない事を悟り、「南に行け。銃を手放さず善き人の仲間を捜しなさい」と告げました。
「そんな事言わないで一緒に居て」と訴える息子に「パパもそうしたいけど無理」と告げ、「パパの心はこれからもずっとお前のものだ」と言い残しました。
その夜、父は息を引き取りました。
息子はひとしきり泣いた後に父の遺体に毛布を被せて出発しました。
彼が一人で歩いているとライフルを持った男(ガイ・ピアース)が近づいて来て「一緒に居た男はどうした?」と尋ねました。
息子は彼に銃を向けるのですが、男は事情を察して「俺と一緒に来ないか」と誘いますが、男が善人かどうか判断できない息子は戸惑います。
男には息子と娘がおり、人は食べないということが判明したので、息子は最後に「おじさんは火を運んでいるか?」と尋ねました。
彼は仕方なく「運んでるよ」と軽く答え、「怖い想いをしたんだな」と息子に同情しました。
息子は男の世話になることにし、父の遺体に「絶対に忘れない。毎日話し掛けるから。」と父の遺体にキスしました。
男の妻(モリー・パーカー)は優しく息子に微笑み、「姿を見かけてから心配して後を追っていた」と話しました。
男の息子というのは息子が道端で見たあの少年で、一家は犬も連れていました。
こうして息子は男の一家と一緒に行くことになりました。
エンドロールで終了です。
相手がこの人だとイマイチ安心感が無いのですが、安心は無いのかもしれません。
もう少し早く知り合いになっていたら父もこのタイミングで死なずに済んだかもしれません。
貯蔵庫で吠えていた犬の声はこの一家の犬のようですね。
父の行動が裏目に出てるようで可哀想ですが、息子の方が善人っぽく育ってるみたいですね。
そう考えると「信頼」というのは誰かの庇護の下に成り立っているのかなという気もしました。
判断力は父より息子の方が鉄板な気がしましたが、それも父のお陰だった気が…