袖がいるので大丈夫です 新釈四谷怪談(後編)

新釈四谷怪談(後編)

妻を捨てたらひどい目に遭う話

制作年 1949年
制作国 日本
監督 木下惠介
脚本 久板栄二郎/新藤兼人
原作 鶴屋南北
上映時間 67分
出演
上原謙
田中絹代
滝沢修

だいたいのあらすじ

前編です。

映画新釈四谷怪談(前編)のネタバレ紹介と感想です。

翌日、袖(田中絹代)は岩(田中絹代)が心配になったので、民谷家を訪ねたのですが、家には誰もいませんでした。
宅悦(玉島愛造)が通りがかったので、岩の事を聞いてみると「家出した」と言われてしまいました。
宅悦無事だったようですが、口止めされたみたいです。
一方、小平(佐田啓二)の母(飯田蝶子)も小平が見つからないので途方に暮れていました。

一文字屋の槇(杉村春子)の所には昔の亭主だというこれまた悪そうな男・新吉(加東大介)が訪ねて来ました。
新吉は直助という男を捜しているそうで、槇はうちに出入りしている直助は気質で私と夫婦になる約束をしているから無関係!と新吉を追い払いました。
袖の夫である与茂七(宇野重吉)も行商の際に一文字屋に立ち寄り、伊右衛門(上原謙)が一文字屋の娘である梅(山根寿子)と婚礼の準備をしているという話を聞きました。
そこで帰宅して袖にその件を打ち明けて話し合い、「これは何か裏がある」という結論に達しました。

槇は直助(滝沢修)を奥座敷でこっそりともてなしながら、新吉から聞いた話をしました。
その中で熊五郎とかいうパワーワードを持つ人物の名を聞いて直助は軽く動揺しました。
熊五郎という人物は小平によれば脱獄した際に直助に怨みを持ち、命を狙っているということでした。
また槇は新吉とかつて夫婦だった件を直助に話しました。

袖は探偵のような事を始め、古着屋に岩の着物が売りに出されていた件や職人風の男が売りに来た件を知りました。
早速、与茂七に相談すると「辰五郎親分に相談しよう」という事になりました。
与茂七が安定感あるので、この夫婦には癒されます。
早速、十手持ちの辰五郎が袖達と民谷家を捜査し、家の中で血痕を見つけました。
袖は「姉さんは殺されたんだ!」と決めつけるのですが、与茂七は「そうと決まった訳じゃないから落ち着け」と妻を宥めるのでした。

伊右衛門は夜な夜なうなされるようになっており、梅(山根寿子)に「捨てないでくれ」と泣きつき、梅も梅で「何をおっしゃいます」とひしと抱き合っていました。
一方、熊五郎の捜査の件をこっそり見ていた宅悦はどうやら口止め料を貰っていたようで、直助に捜査の件を知らせ、遠回しに口止め料の上乗せを要求しました。
宅悦さん12分で悪い人になってました。腐ったリンゴが箱にあると女は一緒
にリンゴを買いに行ってほしいとかいう話でしょうか?

宅悦が邪魔になった直助は伊右衛門に「あいつ口止めしないとヤバいぜ」と遠回しに話すのですが、メソメソ人間伊右衛門は「そんなのヤダ」と返答し、仕方なく自分で始末を付けることにしました。
また、直助は伊右衛門を強請るつもりだったようで、大金の借用書にサインしろと要求しました。
梅が帰宅したので引き揚げましたが、直助は今後も伊右衛門を脅すつもりのようでした。
尚、伊右衛門は折角仕事が決まったのに引き籠っているそうで、梅は大層心配していました。
梅の人は美人なのですが、悪事に加担していない所為か終始空気のようです。
というか直助、槇という不動の2トップが強力過ぎて伊右衛門も完全に空気になってます。

家の中でお酒ばかり呑んでいる伊右衛門はとうとう岩&小平の亡霊ズを見てしまい、家の中に灯りを増やさせて絶やさないよう指示します。
梅は夫の奇行と夜になると必ずHを要求しつつも苦悩するという夫の奥深い謎の行動に頭を抱えてしまいます。

その後、直助は伊右衛門からの借用書をゲットしたので一文字屋に行って換金しようと上機嫌で飯屋でお酒を呑んでいました。
そこに槇がやって来て「いつになったら結婚してくれるのか」とブチ切れたので、開き直った直助は「俺をただの植木屋と思ったら大間違いだぞ!」と脅しました。
二人を尾けていた新吉は直助が探していた男だと知り、姿を現して詰め寄るのですが、揉み合いの末に川に落ちて流されてしまいました。

袖の家には辰五郎が川で男女の死体が上がったと告げ、翌日は与茂七が身元確認に行くことになったのですが、頬かむりしたならず者が現れ、「余計な事に首を突っ込まない方がいい」的な事を言って脅しました。
その夜は台風でも来たのか外は暴風雨が吹き荒れていたのですが、伊右衛門はいよいよ乱心してしまい、梅に刀を振り上げて追い回し、梅は槇に助けを求めます。
伊右衛門は正気に戻って梅を寝所に引き摺りこもうとするのですが、梅は拒絶して伊右衛門を突き飛ばし、その拍子に倒れた戸板を見て異常に動揺する伊右衛門でした。

翌日、早速直助は借用書を一文字屋に持ち込み、「お宅の義理の息子の借金だから」と切り出したのですが、喜兵衛(三津田健)は三百両という大金だったので直ぐには払うとは言いませんでした。
直助は伊右衛門が岩と別れる際にあこぎな事をしたという噂だと持ち出し、世間に知れるとマズいんじゃないかと喜兵衛を遠まわしに脅します。
そこに使いの者が来て、梅が伊右衛門が発狂したと訴えて実家に戻って来たという知らせがあり、槇を呼び出して様子を聞きます。

槇は伊右衛門が刀を振り回して大変だったと訴え、あの人は恐ろしいことをしたに違いないと喜兵衛に訴えました、
また、槇は直助の姿を認めて「こいつが悪党です」と喜兵衛に訴え、直助は本性を露わにして槙に襲い掛かりました。
槇は洗いざらい喜兵衛にぶっちゃけ、形勢不利になった直助は捨て台詞を吐いて立ち去りました。
一方、岩と小平を投げ捨てたと思われる川べりを歩いていた伊右衛門は線香を上げている老婆を発見して声を掛け、それが小平の母であることを知りました。

その後、奉行所へ行った小平の母は息子が惨殺されたことを知って嘆きます。
袖は岩の着物を着て深川の伊右衛門の家に怒鳴り込む事に決めました。
一方、宅悦は口止め料の上乗せを再度要求して直助に殺害されていました。

感想

これはなかなか面白いです。
いよいよ伊右衛門達が追い詰められていくパートに入りました。
前半で岩が亡くなったので、ずっと幽霊パートなのかと思っていたら、よく考えると袖が居るので、岩の人は出ずっぱりです。
後半に入っても相変わらずダメ人間な伊右衛門でした。

前半と比べるとホラーっぽい描写が多くなっているのですが、相変わらず直接的な描写はありません。
そして映像は美しく感じられ、今回は橋の上の立ち回り等が綺麗だったと思いました。
推理パートっぽいものも
後半のスピード感溢れる展開もアクション映画を観ているようで、不思議な作品でした。

私は岩の亡霊等は本当は居なくて、伊右衛門の心の弱さが見せる妄想だったのではないかと思います。
本当にいるのであれば、直助も祟られたハズです。
しかし結末付近で伊右衛門も目の上を切っていたのと、梅が目に火傷を負ったのは不思議な話です。

伊右衛門を見ていたら以前にやたらと女性が叩かれていたバッテリー女のコピペを思い出しました。
あれ、女が叩かれる理由が私には理解できないんです。
ただ単に車が故障して移動できないから困った、でも付き合ってもいない男に自分から送ってくれとは言えないという事だと思います。
車が動かない原因を調べようとした挙句に何もしてくれないのが伊右衛門タイプだと思います。
直助はきっと送ってほしい旨を女の口から言わせて優位に持ち込むタイプで、何も言わずに送ってくれるのが与茂七タイプだと思います。
やっぱり伊右衛門が一番面倒臭いです。

尚、宅悦ファンの方には残念ですが、彼は完全に闇落ちしました。
梅ファンの方にも残念なお知らせですが、彼女は後半も空気でした。

ラストまでのあらすじ

袖は縁側に座り込み、障子越しに伊右衛門に恨み言を言い、追い帰されそうになったのですが、部屋に上がり込んだので岩の着物を見た伊右衛門は逆上して刀を抜きました。
袖に斬り掛かる伊右衛門でしたが、岩の亡霊に邪魔され、怯えて家の外に飛び出しました。
気絶した袖は与茂七に助け起こされました。

直助は伊右衛門を訪ね、上方に逃亡するから一文字屋の蔵破りの手引きをしろと指示し、伊右衛門はそれに従いました。
伊右衛門は直助の自慢話を聞いて自分を浪人に追い込んだ蔵破りは直助だったと知り、刀を抜いたのですが、「お前は俺無しでは逃げられないぞ」と指摘され、泣き崩れるしかありませんでした。
一方、与茂七は身重な袖を思いやって籠に入れて帰宅していたのですが、道中で瀕死の宅悦を目撃して助け起こします。
宅悦は「お岩様は直助が殺した」と打ち明けました。

伊右衛門は一文字屋を訪ね、梅を連れ帰るとゴネ、その間に直助は一文字屋の塀を乗り越えて侵入していたのですが、新吉がそれを見ていました。
新吉流されただけだったので、生きてたみたいです。
伊右衛門の相手をしていた喜兵衛は辰五郎に呼び出されたので、その隙に伊右衛門が直助を手引きしました。
直助は蔵の鍵をゲットし、梅に頼まれて様子を見に来た槇に匕首を突き付け「蔵を開けろ」と鍵を渡しました。
伊右衛門はどさくさに紛れてに梅の居る二階に上り、直助は蔵でお金を詰めます。

梅は真相に薄々気付いたのか「岩殺したのお前だろ」的な事を言って脇差を奪ったので伊右衛門は「一緒に逃げてくれ」と懇願します。
一方、槇は隙を見て逃げたので直助に殺害されそうになり、割り込んだ新吉は揉み合いの末に直助に刺されました。
同時に喜兵衛から伊右衛門が一文字屋に居ると聞いた辰五郎が呼んだ奉行所の人達が「御用」と乱入して来ました。
屋敷内は梅が抵抗した際に倒れた行灯で炎に包まれました。
凄いカオスです。

直助は二階へ駆け上がり、伊右衛門を連れ出そうとしたのですが、伊右衛門は梅を連れ出そうとぐずぐずしていたので見捨てようとします。
伊右衛門は発狂したのか直助に斬り掛かり、燃え上がる屋敷の中で大立ち回りの末に直助を斬り捨てました。
その間に槇は倒れた梅を助け出して階下へと運んでいました。

伊右衛門は炎の中に岩の姿を見て駆け寄り、焼け落ちた一文字屋と運命を共にしました。
梅は顔に火傷を負って目の上が腫れてしまいました。
伊右衛門はずっと「許してくれ」と叫んでいたそうです。
翌日、袖と与茂七は焼け落ちた一文字屋の前で小平の母と話し込んだ後、産まれてくる子供の話をしながら一文字屋を後にしました。

「終」マークで終了です。

結末付近のスピード感と混乱振りは凄いなあと思いました。
炎の中での斬り合いは迫力ありました。

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