線見ると発作起こします 白い恐怖

白い恐怖

発作を起こすとひどい目に遭う話

制作年 1945年
制作国 アメリカ
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚本 ベン・ヘクト/アンガス・マクファイル
原作 フランシス・ビーディング
上映時間 111分
出演
イングリッド・バーグマン
グレゴリー・ペック
レオ・G・キャロル

だいたいのあらすじ

精神病院に勤務する分析医のコンスタンス(イングリッド・バーグマン)は優秀な医師だったのですが、同僚からは表情に乏しいと言われていました。
この病院では所長のマーチソン(レオ・G・キャロル)が引退することになり、新所長としてエドワーズ(グレゴリー・ペック)が赴任しました。
エドワーズは若いのですが大変優秀な精神科医で、著作も有名であり、コンスタンスも彼を尊敬していました。
その夜、細やかな歓迎会が開かれ、エドワーズとは初対面だったコンスタンスは「素敵な殿方」と一目惚れしてしまうのですが、彼女がお行儀悪く施設の増築案をテーブルクロス上にフォークで描くと、それを見たエドワーズは異常なほど動揺していました。

コンスタンスの患者には「自分が父を殺した」と罪悪感から思い込んでいるガームズがいたのですが、エドワーズは彼に興味を示していました。
急にエドワーズに呼び出されたコンスタンスは「午後から休みだろ。一緒に休もう」というセクハラ発言をされますが、意外と楽しそうに同行します。
唐突にロマンスが始まるのがヒッチコッククオリティですね。
エドワーズと一緒に周囲を散歩したコンスタンスは恋は脳がそう思い込んでいるに過ぎないという持論を展開し、二人はピクニック気分でサンドイッチを食べました。

ここの病院の医師は老人やおじさんばかりなのですが、エドワーズがイケメンだとかコンスタンスの尻を追い掛けてるだとか噂していました。
そう言う訳なのでコンスタンスもおじさん達に冷やかされてしまい、彼女の反応を見た皆は「今まで仕事中毒だったから」とか「彼女もまんざらではなさそうだ」等とまたまた噂話に花を咲かせるのでした。
その夜、エドワーズの事を考えて眠れなくなったコンスタンスは彼の部屋を訪ね、二人はキスしてしまいました。
しかしエドワーズはコンスタンスのガウンの縞模様を見て動揺し、その件を打ち明けるのでした。
これ普通に生活できないような気がします。

その直後にガームズが自殺行為をしたので手術が行われる事になったのですが、エドワーズは「部屋が暗いからこうなった、明るくしろ。ドアを開けろ。ガームズは父親を殺した」等と支離滅裂な事を言い出して眩暈を起こし、周囲を驚かせます。
コンスタンスは倒れたエドワーズに付き添うのですが、エドワーズの書籍のサインと実際の筆跡が異なっている事に気付きました。
彼女は息を吹き返した男に「あなたは誰?」と尋ねると、彼は頭を抱えると「思い出した。私はエドワーズを殺して成りすました」と告白しました。

殺人鬼と対面という恐ろしい状況だったのですが男は記憶を失っており、他の行動は正常だったのでコンスタンスは「男がエドワーズを殺したと思い込んでいるだけ」と判断しました。
コンスタンスは彼の記憶を呼び戻し、助けてやることを決意しました。
実は昨日、男はエドワーズの助手である女性から電話を貰っていたのですが、彼女はエドワーズとずっと連絡が取れない件と男の声を聞いて別人だと指摘したと言うことでした。
また、男がホテルで荷造りをしている際にコートのポッケに「J.B」というイニシャルが書かれたタバコ入れが入っていたそうで、それを見た際に頭痛がしたそうです。

コンスタンスはきっとそれが男の本名に違いないと告げ、混乱する男に「今夜はゆっくり休みなさい」と指示して引き揚げました。
J.Bは「君に迷惑は掛けられない。NYのホテルに滞在する」と書置きをコンスタンスの部屋のドアの下から差し込んで出て行きました。
翌朝、マーチソンは昨夜の件に不審を感じエドワーズの助手を呼んで確認した所、やはり男はエドワーズとは別人でした。
彼は警察を呼んだのですが、J.Bは既に居なかったので刑事はコンスタンスからも事情を聞きます。
コンスタンスの部屋を刑事が出て行く際にマーチソンが書置きを拾ったのですが、彼は特に不審を感じずにコンスタンスに渡しました。

書置きを見たコンスタンスはJ.Bの潜伏先を知ったのですが、誰にも話しませんでした。
しかしこのままJ.Bが追い詰められると記憶喪失患者の特性から考えて自殺してしまう可能性が高いと考えた彼女は苦悩します。
その後、ラジオでJ.B捜索の手がマンハッタンに及んだと聞いたコンスタンスは居ても立っても居られず、ホテルに知らせに行くことにしました。
ホテルのエレベーターから降りて来た人はもしや監督では?
ホテルのロビーに掛けていたコンスタンスはピッツバーグから来たおっさんにセクハラされ、ホテル専属の探偵が追い払ってくれたのですが、探偵にマークされてしまうことになります。

ピンチの筈だったのですが、探偵があれこれ聞いて来たのでコンスタンスは「実は主人と口喧嘩の末に家出されて…偽名を使ってるだろうから部屋が分からなくて…」と相談し、親切な探偵はJ.Bの特徴を聞いて宿帳を調べてくれました。
ということで部屋が判明し、J.Bと再会したので逃亡させるのかと思いきや、コンスタンスは「医師としてあなたを治す。恋愛感情とかじゃないんだからね!」と宣言して熱いキスと抱擁を交わすのでした。
コンスタンスはホテルに部屋を借り、ここでカウンセリングを行う事にしました。
よく考えてみるとJ.Bは妻帯者の可能性もあったのですが、その辺はお互いに考えないことにしたようです。

エドワーズは患者に会いに行った後に失踪しており、J.Bは自分がその患者であろうと考えているようです。
また、J.Bの左手には最近のものらしい皮膚移植を受けた治療痕がありました。
病院が捜索願いかまたは通報したらしく、最新の夕刊にはコンスタンスの写真が掲載されていたので、二人はホテルを引き払って移動することにしました。
駅に到着したのでコンスタンスは以前にもNYに移動した筈だから窓口に行ってその時の記憶を思い出して切符を買ってみて!と指示し、J.Bは必死に思い出そうとして「ローマ」と言い出して倒れたので、コンスタンスは駅員に「ジョージア州の」とフォローして切符を買いました。
行列できてるのに迷惑カップルです。

先ほどの窓口のゴタゴタで鉄道警官に怪しまれたので、行き先がバレたと警戒したコンスタンスは列車に乗る振りをして引き返す事にしようとJ.Bに指示し、二人は違う列車に乗りました。
列車の中でJ.Bは自分が医療部隊に居てローマ上空で撃墜された事を思い出し、自分は恐らく脱走したのではないかと打ち明けました。
二人はコンスタンスの恩師であるブルロフの家に到着したのですが、ブルロフは不在で二名の警察関係者らしき人物が彼の帰宅を待っていました。

気まずい空気の中、ブルロフ(マイケル・チェーホフ)が帰宅し、警官からエドワーズの事を聞かれたのですが、「何も知らんと言っただろう」と追い帰しました。
どうやらブルロフとエドワーズは非常に仲が悪かったらしく、学界でも何度かもめた事があったようです。
コンスタンスは「この人と結婚した」とJ.Bを示し、「ホテルの部屋が取れなくて…」とブルロフに嘘を吐き、ブルロフは「それはめでたい。家に泊まりなさい」と上機嫌で対応しました。
ブルロフは細かいことは気にしない身内には寛大な人物のようで、二人は大歓迎され、部屋に通されました。

J.Bはベッドカバーの縞模様を見て動揺し、コンスタンスは縞模様に秘密があると考えました。
コンスタンスは「逃げずに見て」と縞模様を見せるのですが、J.Bは卒倒してしまいました。
どうやら彼は縞模様というより、白地に線が入っているものが苦手なようで、深夜に起きだして洗面所の陶器に浮かんだ影を見て怯え、その後放心したように剃刀を手に下の階へ降りて行きました。
下の階ではブルロフが仕事をしており、「やあ君もどうだ」とJ.Bにミルクを差し出し、J.Bは無意識にそれを受け取って飲みました。

翌朝、J.Bが居ないのに気付いたコンスタンスは慌てて階下に降りたのですが、ブルロフは椅子で眠りこけ、J.Bはソファで横になっていました。
実はブルロフはコンスタンスの嘘はお見通しで様子がおかしいと感じて寝ずの番をしていたのだそうです。
そこにJ.Bが剃刀を手に現れたので鎮静剤を入れたミルクで眠らせたということでした。
ブルロフは警察に通報しようとするのですが、コンスタンスは「女の勘」的なものでJ.Bは悪人ではないと判断していると正直に話します。
終いにはコンスタンスは、「彼は危険だ」と言い張り、なかなか納得しないブルロフに「私が好きになった人だから悪人の筈がない」と完全に捨て身の発言をします。

ブルロフは将来を有望視された分析医が子供のような事を言い出したのに嘆きつつも、数日間だけ治療のチャンスを与えることにしました。

感想

これはなかなか面白いです。
殺人容疑がある男の無実を信じて頑張る分析医の話です。
正直、ロマンスの方に目が行ってしまうのですが、視聴者が参加できる少しは推理要素もあります。
なかなか楽しめるのですが、私は殆ど自分で推理できずにコンスタンス探偵に委ねてました。
というのも前半の「本当にJ.Bが犯人なの?」という点はこちらには情報が得られないので、参加し辛いのです。
結末付近は二段落ちみたいな感じになってまして、ここから「どういうことなんだろう」と一緒に考えられます。

白地に線が入ってるものがダメという完全に生活NGのようなツッコミどころ満載の謎症状も面白いですよね。
分析の過程はちょっと強引な気がしましたが、それも楽しめました。
展開がダラダラしてる感じでテンポはそんなに良くないかも。

視点を使った演出も面白く、スリリングな演出も上手いと思います。
ホテルのロビーのシーンの肩透かしや駅のシーンのドキドキ感は流石です。
結末付近のJ.B大丈夫か?本当に善人なのか?という辺りもハラハラしました。
夢のシーンも何だか不気味で面白く、J.Bが斜面を大きな翼に追われているシーンが特に素敵でした。

音楽はロマンスパートとサスペンスパートに分かれてまして、殆どロマンスパートです。
このロマンスパートの音楽がゆったりしていていい感じなのですが、ちょっと暗雲が差すとサスペンスパートが流れるという。
この切り替わりはちょっと笑ってしまいました。

コンスタンスは凄い美人ですが、地味で聡明な感じで更に笑顔が可愛いので応援しやすいかも。
J.Bはイケメンなのですが、ちょっとダメな感じです。
でも、この人はきちんと自分の意見を言って自分の意志で行動できるので、素敵な殿方である事は間違いないと思います。
他の人達も素敵で私はブルロフ推しですが、最後の方で二人を追っていた刑事も渋いおじさんで良かったです。

ラストまでのあらすじ


J.Bは前後の記憶は混乱しているようで、ここに来た事だけは覚えていました。
ブルロフは彼の夢分析をすることにしました。
J.Bは夢の中で賭場のような場所に居り、そこは目が沢山描かれたカーテンがあり、大きなハサミを持った男がカーテンを切っていました。
フロアでは薄着のコンスタンスに似た女性が周囲の人物にキスをしながらテーブルを巡回しており、間もなく女性はJ.Bのテーブルに来たそうです。
そこでブルロフは「それは良くある願望だろう」とツッコみました。
私もそう思いました。


J.Bは口ひげの男とトランプを始め、男に負けたのですが、それはイカサマだったそうで、店の主人が「ここは俺の店だ!出て行け」と男に警告していたそうです。
今度は屋根の上に口ひげ男が居たので、J.Bは「気を付けろ!」と叫んだのですが、男は真っ逆さまに下に落ちました。
男の背後からは先ほどの店主が現れ、車輪を屋根の上に落としたそうです。
そしてJ.Bは斜面を巨大な翼に追われてどこまでも逃げ、夢は終わりということでした。

ここまで話したJ.Bは窓の外を見て「何か変だ」と怯え始めました。
窓の外では雪が降り始め、近所の子がそり遊びをして遊んでいました。
それを見たコンスタンスはJ.Bが怖がっているのは雪の上をそりのような何かが通った跡ではないかと勘付きました。
そしてエドワーズが患者の治療にテニスやスキーといったスポーツを取り入れていた点を思い出しました。
そこでコンスタンスはエドワーズとのスキー中にJ.Bに何かが起こり、それが原因で記憶喪失になったのではないかと推測しました。

夢を分析したブルロフは口ひげの男は崖から落ちたエドワーズで翼は天使の象徴なのではないかと推測しました。
そこでJ.Bはスキーをしたのはガブリエル谷だったと思いだすのですが、自分がやはり殺人鬼ではないかと怖くなったのか「自首する」と言い出しました。
コンスタンスは「スキー場に行きましょう」と彼を励まし、電話で列車の予約をしました。
一方、コンスタンスの写真がブルロフの地元警察署に届けられていました。
J.Bは「同じ事をしてしまうかもしれない」と恐れていたのですが、コンスタンスは「絶対にあなたは殺人を犯していない」と断言しました。

ということでスキー場までやって来た二人は斜面を滑走します。
二人の前方には崖があり、このままでは二人とも真っ逆さまという所でJ.Bが子供の頃の記憶を思い出してコンスタンスを押し倒しました。
J.Bが終始怖い顔をしているので、やっぱり殺人鬼なのでは?と思わせてハラハラします。
というかこのスキー場と治療法はチキンレースみたいで危険すぎると思います。

彼は子供の頃に滑り台で滑っていて下に居た弟にドロップキックしてしまい、吹っ飛んだ弟が先端が尖った柵に刺さって死亡するという事故に見舞われていたそうです。
ピタゴラスイッチかな?

こうしてひとまずJ.Bが強い罪責感を抱いている原因が分かったのですが、警察はコンスタンスとJ.Bを手配し、ガブリエル谷に迫っていました。
J.Bは自分の身分や「ジョン・バランタイン」という本名を思い出し、エドワーズと一緒にスキーに来て彼が崖から落ちた事も思い出しました。

事象を整理するとこういうことでした。
彼は過去の事があったので、一時的に悩みを抱えており、エドワーズに相談した所、スキー治療を持ち掛けられた。
スキーに来たものの周囲には靄がかかっており、エドワーズは前方が良く見えず崖から落ちた。
ジョンはショックで弟が死亡した際の事を思い出して記憶を失い、自分がエドワーズを殺したと思い込んでしまい、罪悪感から彼に成りすました。

ということで遺体の件を通報し、ジョンの抱えている謎の縞恐怖症も治り、二人はロッジでイチャコライチャコラしていました。
そこに警察が来たので「万事解決!」となった筈だったのですが、問題が起こってしまいました。
なんとエドワーズの遺体からは銃弾が検出されてしまったというのです。
ジョンは残念ながら殺人事件の容疑者として連行されてしまい、コンスタンスはお咎め無しだったようです。

コンスタンスはジョンを助けようと奔走したのですが、彼を救う手掛かりは得られませんでした。
ブルロフは落ち込む彼女を「君はまだ若い。仕事に専念して頑張りなさい」と彼の事は忘れるように助言しました。
その後、マーチソンに励まされたコンスタンスはエドワーズが消えると誰が得をするのか?と考え、メモを見ていてある点に思い当たりました。

コンスタンスはマーチソンの部屋を訪ね、ジョンの夢に出ていた店主とはあなただったのでは?と遠回しに探りを入れました。
ジョンがやっていたブラックジャックのカードは21クラブという店を現しており、マーチソンはエドワーズに後釜を譲るのが嫌で21クラブでジョンと呑んでいたエドワーズを怒鳴りつけたのではないかという点でした。
マーチソンはそれをあっさりと認めました。

コンスタンスが更に店主が落とした車輪は拳銃で「エドワーズを撃ったのはあなただ。銃はまだ現場にある」と指摘すると、マーチソンは「見事な分析だが、銃はここにある」と引き出しから拳銃を取り出しました。
銃を突き付けるマーチソンにコンスタンスは開き直って「目撃者は沢山いるハズだからいずれ捕まる」と諭しました。
「こうなったら二人殺しても罪は同じ」とマーチソンは彼女を殺害しようとしたのですが、コンスタンスは「エドワーズの件は情状酌量が付くでしょうが、私を殺害したら正規の殺人鬼で重罪です。警察に通報します」と言って部屋を出て行きました。


マーチソンは彼女が部屋を出るまで引金を引けず、とうとう自殺してしまいました。
この自分に銃を向けるシーンはマーチソン視点なので、こちらに銃が向くのでちょっと嫌です。

こうしてジョンは釈放され、本当にコンスタンスと結婚してハネムーンに行くことになりました。
ブルロフは駅で旅立つ二人を大喜びで祝福し、二人は抱擁してキスを交わします。
何度も二人の切符を切っていた駅員は「またこの人達か」と怪訝な表情を浮かべます。

エンドマークで終了です。

良かったですね。
この駅員さんは前にコンスタンスが列車に乗る振りをして引き返すという偽装工作をした際に切符を二度切った人です。
「あれ、この人達さっき違う列車に乗った筈だけど」という事だったのですが、最後にも登場してました。

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